ボードゲームレビュー第101回「ブルームサービス」

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「ブルームサービス」(原題:BloomService)
発売元:アレア/日本語翻訳:メビウスゲームズ
作者:アンドリュース・ペリカン&アレクサンダー・フィスター
プレイ人数:2~5人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約30~75分

 


 

 皆様、初めまして。もしくはお久し振りです。
 ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。

 今回ご紹介するのは、『ブルームサービス』というゲームです。
 2015年の年間ゲーム大賞、それもエキスパート賞を獲得した快作で、「魔法にかかったみたい」というカードゲームが原作の作品です。
 またタイトルやパッケージのイラストから、かの名作アニメ「魔女の宅急便」を思い出すのではないでしょうか?
 はい、その通り。

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 ゲームの目的は、7ラウンド内に最も多くの勝利ポイントを獲得することです。
 そのために各プレイヤーは魔女や収集者、ドルイド、妖精の「ほうき便」になり、魔法の杖を片手に広い魔法の国を駆けめぐります。
 そして各地に点在する塔に、魔法のお薬を配達して勝利点を得るのです。

 では今回は基本ゲームで、本作の遊び方と魅力をご紹介して参りましょう。まずは準備からですね。

 基本ルールのゲームボードは、2つのお城に赤い旗が立っている面を使います。

 そして自分が選んだ色の役割カード10枚と、コマ二つ、各色の薬を1つずつ、そして魔法の杖を1つを得ます。

 役割カードは10枚それぞれが異なる内容で、大まかには「魔女」「収集者」「ドルイド」「妖精」の四種類に分かれています。

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 「魔女」は主に移動を行い、コマを1つ、その地域に隣接していて内容に対応した、雲のない地形に移動させることができます。貪欲ならばさらに移動先の地域に隣接する塔へ薬を配達して、その塔に書かれた資源と勝利点を得ることができます。
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 「収集者」は資源を得る役割で、薬や杖を手に入れる役割です。対応する資源を1つを手に入れます。貪欲ならば3つ得ることができます。
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 「ドルイド」はコマのある地域に隣接する塔に薬を配達し、その塔に書かれた資源と勝利点を得ます。貪欲であれば、追加で勝利ポイントを3点得ます。
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 「妖精」は天気を操り、コマが隣接する地域の雲タイルに1つ取り除きます。また貪欲であれば、雲タイルを取り除いたときに、勝利ポイントを3点追加で得ます。
 上記の四種類の役割カードは上下に、2種類のアクションが書かれています。
 下に書かれているのが「控えめ」なアクションです。
「控えめ」なアクションは出せば直ちにその行動を行います。安全確実なアクションです。
 一方、上に書かれてる「貪欲」なアクションは、「控えめ」なアクションより追加で得られる物や同時に行えるアクションが多いのですが、他のプレイヤーに妨害される恐れが生じます。これが本作では重要な要素なので、先に良くアクションを確認しましょう。
 また特例として、「魔女」のカードの効果で、塔に薬を配達する場合は、必ず移動してからになります。移動せず、あるいは移動の前に配達はできません。注意して下さい。
 それと湖の上や雲タイルが一つでも上に置かれている地域には、コマを移動させることができません。ここも要注意です。

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 自分のコマは、自分がどの地域にいるかを示します。2人で配達していると思えばいいでしょう。スタート地点になるお城にそれぞれ分けておきます。

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 魔法の杖は、行く手をふさぐ「雲タイル」を取り除く事ができます。雲タイルに書かれた数字と同じ数の杖を消費すれば、その雲タイルをゲームボードから取り除き、獲得することができるのです。

 そして勝利ポイントマーカーは、勝利ポイントチャートの10のマスに置きましょう。

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 残った薬と魔法の杖は後ほど使うので、ボードのそばに置いておきます。この魔法の杖と三色の薬は資源として数え、ゲーム終了時にボーナス点になります。

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 次に分厚い雲タイルを24枚、裏向きに良く混ぜてから、ゲームボードに描かれた雲のマスに置いていきます。置いたら表向きにするといいでしょう。この雲に描かれた雷マークが、その雲の困難さと価値を決めるのです。魔法の杖で獲得した雲タイルは、ゲーム終了時にボーナス点となります。

 ではイベントカード10枚を良く混ぜて、そのうち3枚を裏向きのまま選び、箱に戻します。そして残りの7枚を山にしてゲームボードのそばに置きます。イベントカードはゲームのラウンド数を示すと共に、様々な変化をゲームにもたらすのです。

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 例えばカードに書かれた役割カードを手札に選んでいた場合、枚数に応じて勝利ポイントが獲得できたり、逆に減点されたりします。
 このように大半のイベントカードは、書かれた条件とプレイヤーの役割の選択、アクションの実行で勝利ポイントを増減させます、中には魔法の杖を得るものもあります。
 もちろんイベントカードによる勝利ポイントの減点を覚悟して、より最良の手を選んだり、他のプレイヤーを出し抜くこともできるので、より駆け引きを高める効果もあるのです。

 最後に「呪われた役割」を決めます。
 プレイヤーが2人から4人の場合、選ばれなかった色から1色を選び、その役割カードをよく混ぜてから、「5引くプレイヤー人数分」の枚数を表にして、ゲームボードのそばに置きます。
 「呪われた役割」と同じカードを使用した場合、その成否にかかわらず即座に勝利ポイントが3点、減らされてしまうのです。
 なお「呪われた役割」カードは、なくなったら良くかき混ぜて山を作り直します。呪いが途切れることはありません。
 かように「呪われた役割」は、「眠れる森の美女」のおとぎ話に出てくる魔女の呪いのように意地悪で、本作にぴったりですね。

 以上で基本ゲームの準備は終わりです。残りの用具は、箱に片付けましょう。

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 それではゲームスタートです。
 まずはラウンドの流れを、ざっと紹介します。

①そのラウンドのイベントカードを確認します。
②各プレイヤーはこのラウンドに使う役割カードを10枚から4枚選んで、手札にします。
③そのラウンドのスタートプレイヤーが、手札から役割カードを1枚出して、「貪欲」か「控えめ」か宣言します。
④次のプレイヤーから順番に「フォロー」を行い、「フォロー」の処理を、順番に行います。
⑥「フォロー」の処理が終わったら、最後に「貪欲」なアクションを行ったプレイヤーをスタートプレイヤーとして、次の1巡を行います。
⑦巡が進んで手札を出し切ったプレイヤーは、順番を飛ばして、手札を持っているプレイヤーのみで巡を行っていきます。
⑧全員が手札を出し切ったら、イベントカードをめくって次のラウンドに移ります。

 以上が、ラウンドの流れです。
 また役割カードを出して、「アクションを行わない」こともできます。この場合も先に「控えめ」か「貪欲」かは、宣言して下さい。

 ここで本作の重要な特徴である「フォロー」について説明しましょう。
 スタートプレイヤーが「貪欲」を宣言して役割カードを出した時、アクションの処理の前に他のプレイヤーの「フォロー」があるか、1巡で確認します。
 次の順番のプレイヤーの手札に同じ役割カードがあれば、必ず「フォロー」を宣言してそのカードを出します。
 そして「フォロー」したプレイヤーは「控えめ」か「貪欲」を宣言します。
 「控えめ」の場合は、直ちにアクションを処理して、次のプレイヤーの順番になります。「貪欲」を宣言した場合は、先に「貪欲」を宣言していたプレイヤーのアクションの権利を無効化して、次のプレイヤーに順番を譲ります。
 これを1巡の最後のプレイヤーまで行い、最後に「貪欲」を宣言したプレイヤーのアクションのみを行います。
 以上のように「貪欲」なアクションは、他のプレイヤーに「貪欲」に「フォロー」されると無駄になってしまいます。
 また「フォロー」しても、自分より後の順番のプレイヤーにさらに「フォロー」されると、やはり無駄にされてしまうハイリスクハイリターンなアクションなのです。
 しかもラウンドが終われば、また役割カードを選びなおすので、何度でも同じカードが使われます。なので他のプレイヤーがそのラウンドで何をしたいか、あるいは何を防ぎたいか読むことが、この「フォロー」を特徴づけているのです。

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 そしてもう一つ重要なのが、配達先の塔のルールです。塔に配達できるのは、屋根の色の薬です。
 そして丸い屋根の塔は早い者勝ちで、一番最初に配達したプレイヤーの薬を、その塔の上に置き、その塔に書かれた資源と勝利ポイントを得ます。すると他のプレイヤーは、もうその塔には配達できません。
 一方、四角い屋根の塔には、1ラウンドに1回、誰でも薬師を配達して資源と勝利ポイントを獲得できます。配達した薬は資源置き場に戻します。

 以上のように本作は7ラウンドに、全てのプレイヤーが自分の選んだ4枚の手札を使ってアクションを行います。
 しかし必ずアクションが行えるとは限りません。
 「貪欲」なアクションを、他のプレイヤーに「フォロー」されるかも知れないのです!
 一方、「控えめ」なアクションは妨害されませんが、得られるものは少なくなりますし、先に手札を使い切ってしまえば、もう他のプレイヤーを「フォロー」できないと明かしてしまうことになります。そこがプレイヤー同士の読み合いや駆け引きとなるでしょう。
 またゲームボード上のコマの移動や、資源の確保も重要です。
 丸い屋根の塔は早い者勝ちですし、四角い屋根の塔をうまく使って無駄なく配達していくのもいいでしょう。
 コマが2つあるので、手広く動くも、密接して連携して動くこともできます。

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 イベントカードや「呪われた役割」、自分のコマの居場所や塔の独占、雲による移動の阻害によっても、4枚の手札の選び方も変わります。

 1ラウンドに4枚の役割カードを選ぶだけですが、ここまでプレイヤーが読み合いと駆け引き、そして計画性を楽しむことができるとは、とてもすごいですね!

 こうして7ラウンドを終えたら、ゲームが終了します。
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 獲得した雲タイルは雷マークの合計数で、チャートカードの裏側の表にある勝利ポイントを得ます。
 資源は異なる資源3種類1組につき勝利ポイント2点、4種類なら1組につき4点を獲得し、勝利ポイントチャートに加えます。
 そして最も勝利点の多いプレイヤーが勝者です。

 またゲームボードを見て下さい。スタート地点の城から遠い塔ほど、高得点です。
 より遠くの塔に配達した方が、高い点数を得やすいのですが、そこに到達する苦労も計算しなければなりません。
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 かくして魔法の国の「ほうき便」は、熾烈な配達競争になっているのですが、おとぎ話の雰囲気たっぷりのイラストや用具が、古き良き夢の世界を演出してくれるでしょう。
 また今回では触れなかった上級ゲームもありますし、基本ゲームでも一緒に遊ぶプレイヤーが違えば戦略も千差万別、イベントカードのランダム性もあって、何度も遊べる傑作ではないでしょうか。
 優れたゲーム性を持ちながら、初心者の人ともわいわいと遊ぶことのできる、ルールと雰囲気が高いレベルで調和している楽しいゲーム。
 それが「ブルームサービス」です。
 さぁ、皆さん。黒猫をお供にほうきにまたがり、お薬を届けましょう♪

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作/シナリオライティングチーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ」「ゲーム企画」など。
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」「天極姫」シリーズ
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。