ボードゲームレビュー第113回「トラム」

「トラム」(原題:Trambahn)
発売元:MAYFAIR GAMES/日本語翻訳:ジーピー
作者:Helmut Ohley
プレイ人数:2人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約30~45分

 


明けましておめでとうございます~~♪
いやー、無事に2016年がやってきましたねー、皆さんはもう今年の初ボドゲは済ませましたか?
私の初ボドゲはボードゲームレビュー第79回でご紹介させて頂いた「ネプチューン」で、小アジア地域だけを完全独占した結果ボロ負けしました(まてこら)。
いや-、あのゲームやっぱりちゃんと全域に満遍なく交易しないと勝てないですねー(当たり前だ)。

まあ、そうやって皆でわいわいと遊ぶゲームもいいですけど、たまには一対一の真剣勝負なんて言うのも悪くないと思いませんか?
ってな訳で、今回ご紹介するのはMAYFAIR GAMES様&ジーピー様から発売されました「トラム」(路面電車)なのですー♪

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プレイヤーは鉄道会社者の社長となり、舞台である19世紀末のミュンヘンで路面電車事業を拡張しつつ、乗客を次々と乗せて、ポイントを相手より多く稼ぐのが目的です。

……とまあ、ここまではよくある鉄道ゲームの流れですよね。
ところが、いざパッケージを開けて中身を拝見したところ……

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次々と出てくるカード&カード&カード……。

あ、あれ? ゲームボードは? 電車のコマは? 
結構パッケージが小さかったので「あれ?」とは思いましたけど、中のコンポーネントを展開していくにつれて、てっきり間違って拡張版でも持って来ちゃったのかと思いました(汗)。

だって、出てくるのはカードばっかりですよ!?
鉄道ゲームですよ!? 鉄道ゲームといったら、こうテーブルいっぱいに拡がるゲームボードに、ちっちゃくて可愛い列車のコマがたくさんあって、紙幣カードと積み荷とか乗客を表すミープルもチットとかがわんさかあるじゃないですか!?

だから、余計にカードと点数を書く用紙だけしかないコンポーネントにちょっと焦ってしまったのですよ。

本作のゲームデザイナーを担当されたのは、ドイツのHelmut Ohley様なのですー。
デビューは今から19年前の1997年にリリースされました「18FR」という19世紀のフランスを舞台にしたヘックスマップ型の鉄道ゲームから始まりまして。
その後はアメリカとカナダを舞台にした「1862」、スイスを舞台にした「1844: Switzerland」、オーストリア・ハンガリーを舞台にした「1824」、さらには中国を舞台にした「1880: China」……こ、この人、列車関係のボードゲームしか出してないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?

そんな馬鹿な! き、きっときっと少しくらいは列車と関係ないゲームだって作ってるはずですよね!?
いくら鉄道ゲーム大好きっ子だからって、鉄道ゲームだけで19年間も……と思ったら、あった! ありましたよ!
2010年に「ポセイドン」という古代ギリシアを舞台に、貿易路を確保しつつ、未知なる領土を探索していくというゲームもリリースしているのです!

でも、これ以外は本当に鉄道ゲームしか出してないご様子……むむむ、筋金入りってやつですね!

そんなデザイナー様が作った作品だからか、コンポーネントを展開した段階では、イメージとのギャップに小首を傾げている私だったのですが、この「トラム」……かなりがっつりと遊べるゲームだったのです(笑)。

●ゲーム準備

さあ、早速ゲームの準備を始めるのですよ! といっても、他の鉄道ゲームと違って、組み立てたり拡げたりするようなコンポーネントはないので、やることは結構少ないのですよ。

1)駅カードと車掌カードをシャッフル
まずは、青・オレンジ・緑・黄色の駅カードと車掌カードをシャッフルして、下向きに置いて山札を作ります。

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左上のが車掌カード、他は駅カードなのですよ。

2)路面電車カードの準備
次に、路面電車カードを価値ごとに分類して、上から価値が2→3→4の順になるように山札を作ります。
そして、上から三枚を購入出来るように、山札の前辺りに並べて配置します。

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え? 数字の上の×はなんだって? ふふふ、それはまだ秘密なのですよ。

3)資金&手札の調達
さあ、ここまで来たらほとんど準備は終わりです。
次はゲームでもっとも大事な資金調達なのですよ。

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ですがこのゲーム、お金のカードは単品では存在しません! え? 上の画像で1000マルクのカードがあっただろうって?
ふふふ、その通り、確かに写真では1000マルク札を次々と並べている様子が映っていましたね……ですが、この写真! 駅カードと車掌カードをシャッフルしている時の様子だったのですよー!(ばばーん)

……え? 前置きはいいからさっさと言え?
……うぐぐ、つ、つまりですね! 駅カードと車掌カードの裏が、お金の役割を果たしているのですよ!
そう、あの第30回目で紹介した「ポートロイヤル」と同じ手法なのです! いやー、まさか第98回の「ドラゴンと羊」に引き続き、このシステムと出会えるとは思わなかったのですよ-。
でも、すっごく画期的だなーっともの凄く感動していたこの手法なんですが、まったく関係のないところからこうして3回も出会うところからして……結構メジャーなんですかね?

ちなみに、この駅カード、このゲームでは「駅」「乗客」「1000マルク」と三つの顔を持っているのですよ。
……ってか、どこまで無駄がないんですか(汗)。

まあ、そんな事はさておき資金調達ですよ!
先程作った駅&車掌カードの山札を上から、もっとも最近、路面電車を利用した人が先攻になり12枚、相手プレイヤーは15枚引きます。
そう、後攻はちょっと有利に3000マルク多い状態でスタートとなるのですよ。
ただし、ここで注意しないといけないのが、資金扱いとなるこのカードはめくってはいけません。めくっちゃったら、察しのいい人だと山札に何が何枚ないかとか分かっちゃいますから、その為の予防なんでしょうねー。

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めくるな! 絶対にめくるなよ!?(まてこら)。

こうして資金調達が完了したら、両プレイヤーとも同じ山札から6枚ずつカードを引いて、手札に加えます。
これで、資金&手札カードの調達は完了。
あと、少しだけゲーム中にカードを並べたりするので、その分のスペースを確保しておけばバッチリなのですよ♪

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4)ターミナル駅の展開
最後に、ターミナル駅カードと呼ばれる4色のカードを縦に並べ、その横に4枚カードを置けるようにスペースを確保します。

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準備が出来たの図。

さあ、これでゲームの準備は完了なのですよ!

○ゲーム進行

このゲームでは、プレイヤーが交互に以下の行動を順番通りに行います。

1)乗客を置く

まず自分の手番が来たら、6枚ある手札から必ず1枚か2枚の駅カードを「乗客」として配置しなければなりません。
絶対です、それがルールです、いいですか市民!?(まてこら)。

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ただし配置する乗客は、準備の時に縦置きされたターミナル駅カードの隣に置きますが、同じ色でないと置くことは出来ません。
また手札から2枚配置する時は、必ず同じ色を出す必要はないので、青と緑に一枚ずつ配置するみたいな事が可能なのですよ。

そして車掌カードは色とは関係なく、どの駅にでも置く事が出来る、まさにオールマイティーカードなのです。

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どんどん乗客を並べちゃうのですよ。

2)駅を置く

このゲームでポイントを稼ぐ為に必要な駅の作成です。
ここでは残った手持ちのカードを、何枚でも使う事が可能です。

手札のカードをプレイヤーの手前に配置する事で、駅が作成された事になります。
駅カードの数が多ければ多いほど、その駅は大きいと言うことになるのですが、ただし、このカードを配置する際は、必ず色別に昇順に並べなくてはなりません。
なので綺麗に並べると1~10になるんですが、数字を飛ばすことが可能!

ただし、10の駅カードを置いたらその列は完成という扱いとなるので、それ以上は増やすことは出来ないのでご注意なのです

また、駅の数には制限がないので、数字を並べる事が出来なくなってしまったり、他の色の駅が作りたいなーっと思ったら、どんどん新しい列を作っちゃいましょう♪
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ふふふ、緑と黄色の駅を作っちゃったのですよ。

ちなみに、車掌カードは駅の色や数字に関係なく配置することが出来る、ジョーカーの役割をしていますが、別に置いたからといって、次に好きな数字を置けるという訳ではないっぽいのでご注意ご注意なのですよ。

え? じゃあ、なんで車掌なんてあるんだって?
それはですね。このゲーム、駅&車掌カードが8枚並べると“エキストラツアー”という、並べた駅カードの勝利点を取得出来る特別な計算が発生するのですよ!
つまり! たくさん駅を作る事も可能だけれど、一つの駅を出来るだけ大きくすればする程、プレイヤーが有利になるということなのですよ!
ただし、この“エキストラツアー”は各列で一回だけなので、9枚目を置いたからまた計算! という訳ではないので、ご注意を。

3)収入

さあ、乗客と駅を置いて、まだ手元にカードが残っていた場合。
持ち越しするのもいいですけど、資金繰りが怪しかったり、不要だと思ったら裏向きに資金の上に置きましょう。
これで手持ちのカードは売却された事となって、1枚1000マルクのお金として使用することが可能となるのです!

……あ、その場合でも表を見ちゃ駄目ですからね?

4)路面電車の購入

さあ、鉄道事業に必要なのはなんでしょうか?
そう! 鉄道ですよ! 駅をいくら乱立させても、肝心の路面電車がなければ話にならないのですよ!

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プレイヤーは手持ちの資金が許す限り、最大3枚の路面電車カードを購入する事が出来ます。
この時もしも少し資金不足で、手元にカードがあったとしても、売却して資金の足しにするというような行為は出来ませんので、収入の時にしっかりと売り払っておきましょう。
また支払った資金はそのまま捨て札となりますが、駅&車掌カードがなくなったらリシャッフルして再利用しますので、一つに固めておくのをオススメします。

さて、路面電車を購入したら、即座に路面電車のない駅に配置しましょう!
ただし、一度配置したら他の駅に再配置する事は出来ませんので、現在の駅の規模や将来性を考えたりして、損のない配置をするのが鍵なのですよ。

こうして路面電車の購入と配置が終了したら、路面電車カードの山札からまた3枚になるように補充しておきましょう。

5)新しいカードを引く

さあ、すっかり手元のカードがなくなったら、補充の時間なのですよ♪

あ、でも、その前に!!
もしもこの時点で路面電車カードのない駅があった場合、残念ながらせっかく並べたそのカードは全て売却となってしまいます。

この処理が終わったら、手札が6枚になるように山札からカードを引きます。

また、もしも山札がなくなったら、その場で両プレイヤーはお金の束を半分(小数点切り捨て)捨てます。
そう、もしもこの時に並べていた駅カードが売却となって、資金が潤沢でウハウハだと思ったら、半分持って行かれるなんて悲劇があるのですよ!、

……と、以上の5項目がプレイヤーが行う行動となります。
順番を間違えちゃいけないといいますが、やることは至極単純なので、最初は戸惑うかと思いますがすぐに覚えれるんじゃないかと思います。
実際、私も最初は右往左往しておりましたが、中盤頃にはシャシャシャシャーッと進めていたのです♪

○得点計算とゲーム終了

ゲーム進行の一番最初に、ターミナル駅に乗客を置いていくと説明しましたが、この乗客が4人置かれたら、その時点で得点計算を行います。
ただし、対象は完成した乗客の列の色と同じ色の駅のみです。そう、乗客を配置する時はどの色を選ぶかも結構、大事なのですよ。

計算方法は、配置している駅カードの上の中心に書かれている勝利点を全て足し合わせて、その合計数に路面電車カードの価値数(2~4)と掛け算した数字がプレイヤーの得点となります。

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この場合だと、黄色の乗客が4人になったので、黄色が計算対象となります。
相手側は1×4=4点。
私は勝利点5×2=10点、10×3=30点、2×2=4点で合計44点となるのですよ……ふふふ、圧倒的ではないか!

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そして、計算が終わったら、忘れないようにスコアボードにカキカキしておきましょう♪

計算が終了したら、4人になったターミナル駅の乗客は全て捨て札にして、ゲームを再開。
こうして、次々と得点を積み重ねていき、10回目の得点計算が終わったらゲーム終了となります♪

最後に、それまで重ねてきた得点と、エキストラツアーで獲得した得点を合計して最も高いポイントを獲得したプレイヤーが、このゲームの勝者となります。
もしも同点だった場合は、資金が多いプレイヤーが勝利となり、それでも駄目なら、もう一度プレイして勝敗を決めましょう。トコトンやるといいですよ!

○総評

……と以上が、「トラム」の大まかな流れなのですよ。

個人的に、最初は鉄道ゲームの割にコンポーネントがカードと得点計算用紙だけで、さらに30~45分と短いので「本当に面白いのかなー?」と思ったのですが……駄目ですよ、このゲーム……やばすぎなのですよ。

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若干カードの運が左右する部分もありますが、とにかく他の鉄道ゲーム同様に小さな積み重ねが重要で、如何に1回1回の計算を最大限に活かせるか、一点特化にして一回にドカッと得点を稼いだり、複数の駅を展開して常に得点が入るようにするかなど、どういう駅配置をするのかで戦略が全然違ってきます。

上手く得点計算のタイミングを操作しつつ、駅の建設、資金確保、路面電車の確保を意識しつつ、さらに山札切れでリシャッフルのタイミングまでに資金を使い切った方が良いなとか。
ルールがシンプル過ぎるんじゃないかという意見もあるかもしれませんが、プレイ中は常に思考がぐるぐるフル回転するので、これくらいでちょうど良いと思いましたね。

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見た目が地味なのと、二人専用ということでちょーっと目立ちにくい存在になっているかもしれませが、このゲームは本当オススメですねー。
カードだけなので、場所もそれほど必要でないですし、お手軽にがっつりゲームがしたいなーっという人にも十分応えられる一品だと思いますので、ご興味のある方は、ぜひぜひ一度遊んでみてくださいませませ♪

 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
 趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
 実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 長編ホラー映画「腐女子」。
 その他多数。