ボードゲームレビュー第115回「世界の七不思議:デュエル」

「世界の七不思議:デュエル」
発売元:ホビージャパン
作者:アントワーヌ・ボウザ&ブルーノ・カタラ
プレイ人数:2人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約30分

 


 

「勝利を得ることの出来る人間とは、物事を決断する勇気を持つ人物のことである。――ヘロドトス」

 皆様、初めまして。もしくはお久しぶりです。
 ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
 今回もよろしくお願い致します。

 今回は本作のルールブックに習いまして、『歴史の父』と呼ばれる古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの格言で、お伝えしましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 ご紹介するのは『世界の七不思議 デュエル』。
 ベストセラーボードゲーム『7Wonders/世界の七不思議』シリーズの二人用にデザインされたゲームです。
 1対1に特化され、よりスピーディに遊べるのが本作の特徴ながら、いささかも『世界の七不思議』らしい魅力を減じることなく、また本作のために盛り込まれたアイディアが面白い作品となっております。
 なので『世界の七不思議』を遊ばれた方も、まだ遊ばれてない方も、面白く遊べるのが本作の良いところです。

 本作は建造物や七不思議を建造して自分の都市文明を進歩させ、軍事的優位、科学的優位、市民勝利の3つのうちからいずれかを達成して勝利するゲームです。
 軍事的優位は、軍事力を高めて相手の首都を陥落させれば勝利、科学的優位は6種類の科学シンボルを集めれば勝利です。軍事的優位と科学的優位はゲーム中、いつでも達成して勝利することができます。
 市民勝利は、ゲーム終了時により多くの勝利ポイントを持っていたプレイヤーが勝利します。
 このように3つの勝利条件で、自分の有利不利を計りながら方策を練ることができる奥深さがあり、ゲーム中から終了時まで、スリリングな展開が楽しめるのです。

 では次に、ゲームの内容物をご紹介しましょう。

「弓は使う時には引きしぼるが、使わぬ時にはゆるめておくもの。――ヘロドトス」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

・七不思議カード
 古代の七不思議を表し、強力な効果を持つカード。
 まずプレイヤーにはランダムで4枚ずつ配られ、ゲーム中にコストを支払って建設できます。
 七不思議ですから世界で合わせて7つしか建造できず、4つ目を建てられるのは早い者勝ちという、なかなかに競争をあおる仕組みです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

・交戦トークン
 対戦相手より軍事的優位を進めた時に、獲得できる利益を示したチップです。敵側に攻め込み、獲得しましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

・進歩トークン
 世代/ギルドカードに書かれた、同じ科学シンボルのペアを集めたときに、得ることができる利益を示します。
 科学シンボルを異なる種類で集めた方が科学的優位に近づきますが、あえて重複させて利益を得るのも一つの手です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

・ボードと紛争コマ
 ボードはプレイヤー同士の軍事的優位の状況を表し、また交戦トークンや進歩トークンが置かれます。
 プレイヤーが軍事力を獲得する度に、ボード上のスペースを移動して、その有利不利を示すのです。
 相手に押し切られると交戦トークンを奪われ、首都マスまでコマを進められると負けてしまうので、防衛も大事です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

・コイン
 お金です。建造や資源購入に活躍します。
 ゲーム終了時には、勝利ポイントにもなります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

・世代/ギルドカード
 どちらも建造物を表します。第Ⅰから第Ⅲ世代まであり、カードに書かれたコストを支払って建造します。
 カードの効果は上段、コストは中段のイラスト左上、カード名は下段に書かれています。
 コストが必要ないカードもありますし、効果に連鎖シンボルが描かれているカードもありますので、ご注意を。
 資源を発生させる、原材料カードと製造物カード。
 勝利ポイントになる、市民建造物カード。
 科学シンボルと勝利点になる、科学建造物カード。
 コインや資源になり、交易ルールを変更し、勝利ポイントにもなる商業建造物カード。
 軍事力を上昇させ、相手側に紛争コマを1マス移動させる軍事建造物カード。
 そして個別の基準に従い、勝利点となるギルドカード。
 以上の7種類です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 この他、勝利点の計算に使うスコアブック、ヘルプシートもついていますが、実にコンパクトにまとまっています。

 それでは、ゲームの準備に取りかかりましょう。

「急ぎは失敗の母である。――ヘロドトス」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 まずスタートプレイヤーを決めます。
 そしてボードを、プレイヤーの間に置きます。中央にカードが並ぶので、はしに置く方が良いでしょう。
 そして紛争コマをボード中央の中立スペースに、交戦トークンを対応するスペースに表向きで置き、進歩トークンをランダムで表向きに5枚置いて、残りを箱に戻します。
 各プレイヤーは、銀行から7コインを受け取ります。

 そして七不思議カードを選ぶのですが、通常は12枚中4枚引いてスタートプレイヤーが1枚、2番手プレイヤーが2枚、またスタートプレイヤーが1枚選び、今度は4枚引いて2番手プレイヤーが1枚、スタートプレイヤーが2枚、また2番手プレイヤーが1枚選んで、それぞれ4枚ずつをランダムに得ます。
 ただし初回プレイヤーで遊ぶ場合は、推奨される組み合わせがルールブックに書いてあります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 次に世代/ギルドカードの用意です。
 第Ⅰから第Ⅲまでの世代ごとに、ランダムで3枚を非公開で箱に戻します。そしてランダムに3枚選んだギルドカードを、第Ⅲ世代の山札に加えます。最後に、第Ⅰから第Ⅲまでの世代の山札を、よく混ぜておきましょう。
 そしてルールブックに書かれた並べ方で、第Ⅰ世代の山札のカードを中央に「カードディスプレイ」として並べます。
きちんと順番に、表と裏を間違えないように注意してください。
 残りの世代の山札は後で使いますので、非公開でわきに積んでおきましょう。

 最後に、プレイヤーに配られなかったコインを集めて、銀行としてボード近くにでもストックしておきます。
 捨て札置き場も、その近くに決めておきましょう。
 これでゲームの準備は完了です。
 第Ⅰ世代のカードディスプレイを並べたところで、その裏表のある独特の配置に、わくわくすると思います。

 続いてゲームの進め方を、紹介いたしますね。

「偉大な行為は、たいてい大きな危険を冒して成就する。――ヘロドトス」

 本作では、プレイヤーが交互に1手番ずつ行います。七不思議の建造や進歩トークンの使用で、手番が増える場合もあります。
 連続して手番を行えるのは、本作ではとても有利ですので、きっちり警戒しつつ、狙っていきましょう。

 第Ⅰ世代は、スタートプレイヤーから開始します。第Ⅱ、第Ⅲ世代の開始時は、紛争コマが自分の側にあるプレイヤーからです。紛争コマが中央にある場合は、先の世代で最後の手番を行ったプレイヤーから開始します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 手番で行える行動は、3つの中から1つです。いずれもカードディスプレイから、「利用可能なカード」を1枚選んで使います。
 「利用可能なカード」とは、その一部が他のカードによって隠されていない、上に重ねられていないカードの事を指します。

 「建造物の建造」は選んだカードのコストを支払い、自分の都市に所属させて手元に置く行動です。
 効果が見えるようにして、色別に並べると良いでしょう。
 この「建造物の建造」が、本作の中心となります。
 この時、コストをコインで代用する「交易」も行えますが、この「交易」が中々のくせ者です。
 なぜなら交易では1資源につき基本2コインに加え、さらに代用したい資源を相手プレイヤーが原材料カードと製造物カードに持っていれば、そのカードの資源のシンボルの合計分、銀行にコインを払わなければならないのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 例えば粘土が2つ足りず交易をする場合、相手が粘土を持っていなければ基本2コインで2個購入して合計4コイン。
 (基本2コイン+相手0シンボル=2コイン)×2個=4コイン
 もし相手が粘土を原材料カードに3シンボル持っていたら、基本2コインに3粘土分を合わせて5コインを2個購入して、合計10コインを支払わなければならないのです!
 (基本2コイン+相手3シンボル=5コイン)×2個=10コイン
 なので資源を生み出す建造物の建造は、急務と言えます。コストが払えなければ建造物を建造できず、交易もままならないのですから。コインで交易は、分の悪い取引なのです。
 ただし「商業建造物」の中には、相手の資源のシンボル数に関わらず、この交易で支払うコインを1資源につき1コインへと変更してくれるものがあります。
 また一部のカードには「無料建造条件」があり、コストに連鎖シンボルが描かれたカードは、同じシンボルを効果に描かれた建造物をすでに建造していれば、無料で建造できます。
 これが(連鎖)です。
 そして軍事建造物を建造すると、盾シンボル1つにつき紛争コマを相手の首都に向けて1マス移動できます。相手の首都までコマが達したら、即座に軍事的優位による勝利です。
 科学建造物は、同じ科学シンボルを2枚1組で集めるごとに、進歩トークン1枚を選んで獲得します。即座に効果を発揮するものもあります。
 また科学建造物は、科学シンボル7種類中6種類まで建造すると、科学的優位により即座に勝利します。

 次の行動は「カードを捨て札にしてコインを獲得」です。
 選んだカードを捨て札にして、裏向きに捨て札置き場に置き、2コインと自分が建造した「商業建造物」の数だけコインを銀行から獲得します。
 例えば「商業建造物」を3つ建てていた場合、2コインに加えて商業建造物3つで合計5コインです。
 基本2コイン+商業建造物3つ=5コイン
 この行動でコインを稼ぐことができますので、いざという時に活用するのも良いでしょう。「利用可能なカード」は、必要ではなかったり、それを取ることで相手に有利なカードが「利用可能なカード」になる事もあり得ますので、「捨て札にしてコインを獲得」は、重要な選択になります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 三つ目の行動が「七不思議の建造」です。
 プレイヤーはまだ建造していない自分の七不思議一つの下に、選んだカードを裏向きに差し込み、その七不思議のコストを支払って建造します。
 この時、選んだカードはコストも効果も発生せず、差し入れた七不思議が建造済みであることを示します。
 また先にも書きましたが、七不思議は世界に7つまでなので、7つ目が建造されたとき、まだ建造されていない七不思議は箱に戻します。
 七不思議は、本シリーズのタイトルにふさわしい歴史的建造物で、その威容に劣らぬ絶大な効果を持っています。
 勝利条件に直接関係ないのが不思議なほどですが、競争を意識しすぎないのも肝要かと。
 しかし決定打になり得るのが七不思議ですので、競争に負けても効果狙いで建造する価値は十分すぎるほどです。
 活用できるなら、チャンスを活かしましょう!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 こうして交互に手番を行い、カードディスプレイからカードがなくなったら、その世代の終了です。
 次の世代のカードをカードディスプレイに並べ、またプレイを行います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 軍事的優位や科学的優位による勝利が発生せず、第Ⅲ世代が終了すれば、ゲーム終了です。

「逆境には、人間のなかの強さや資質を引き出す力がある。逆境がなければ、それらはいつまでも眠ったままだ。――ヘロドトス」

 ゲーム終了後、勝利ポイントを数えて市民勝利の勝者を決定します。
・自分から見てボード上の紛争コマの位置に応じた、0/2/5/10の軍事勝利ポイント。
・自分の市民建造物、科学建造物、商業建造物、ギルドの効果に描かれた勝利ポイント。
・自分の七不思議と進歩トークンに描かれた、勝利ポイント。
・自分の国庫にあるコイン3枚につき、1勝利ポイント。
同点の場合は、市民建造物から得た勝利ポイントの多い方が勝者で、それも同点なら引き分けです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 さて「世界の七不思議 デュエル」は、いかがでしたか?
 2人用ながらがっつりと頭を使って方針を組み立てつつ、カードや七不思議の奪い合いや資源の獲得による経済戦争、軍事力による攻防、科学技術の奪い合いなど、まさに文明のぶつかり合いによる覇権主義を戦える傑作だと思います。
 勝利条件が複数あり、逆転や一点突破なども常に狙えて、さらに最後まで勝負をあきらめずに遊ぶこともできる。
 あらゆる要素が高水準にまとめられていて、それでいてビジュアル面でも華やかな作品だと感心しました。
 カードディスプレイをうまく並べれば、場所もあまり選ばないでしょう。
 ゲームを覚えれば覚えるほど、自分の戦略が立てやすく、また臨機応変に戦うこともできるので、長く遊べるゲームではないかと、大変オススメの逸品です。

「人間の運命は、自分の魂の中にある。――ヘロドトス」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作/シナリオライティングチーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ」「ゲーム企画」など。
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」「天極姫」シリーズ
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。