ボードゲームレビュー第124回「セレスティア」

「セレスティア」(原題:Celestia)
発売元:HeidelbergerSpielverlag/日本語翻訳:ゲームストア・バネスト
作者:Aaron Weissblum
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:約30分

 


<ご挨拶>
どうも、はじめての方、はじめまして。
おひさしぶりの方、おひさしぶりです、高円寺です。

春の足音が聞こえてくる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

またまたキウイゲームズ様のアナログゲームレビューを担当させていただくことになりました。

本日ご紹介するゲームはこちら、その名も『セレスティア』になります。

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「店長、これどんなゲームですか?」

「見てのまんまです、飛空艇に乗って天空の都市を訪れるゲームです」

―――その時、卓に電撃が走る。

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」

テストプレイに揃っているのは言うまでもなく濃い面子。
店長の言葉を聞いて、俄然テンションが上がりまくります。

「ラピ○タだ! ラ○ュタは本当にあったんだ!」
「40秒で支度しな!」(パッケージを開けつつ)
「私はム○カ大佐だ、緊急事態につき私が臨時に指揮をとる!」(リーダーが説明書を取り上げながら)

まだ始める前からノリノリのメンバー達。

今日もキウイゲームズは通常運転です。

さてこのゲーム、パッケージを開けるといきなり巨大な飛空艇が現れます。

「「「「おお……」」」」

その圧倒的存在感にどよめくメンバー達。

んん? ――あれ、これどう使うんだ?

「あ、それ逆さまです」

「店長、これひょっとして帆じゃなくて土台なんですか!?」

「そうそう、その上にプレイヤーコマを乗せて完成」

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この辺りで僕の頭の中では『君をのせて』が流れていました。

<概要>

数奇なる旅の途中、ガリバーはとても不思議な世界セレスティアを発見しました。
長い長い調査の中で、勇敢な冒険者たちは天空の都市に隠された神秘的な財宝に目をつけるようになりました。

冒険をする中で、彼らは嵐に、空賊団に、巨大怪鳥に打ち勝つことができるのでしょうか?

ラピュ○のモデルは名作『ガリバー旅行記」に登場する天空の都市なので、さきほどの小芝居はあながち間違っていなかったりして、びっくりしました。

この『セレスティア』は冒険者達を乗せて、天空の都市から都市へと旅をしていくゲームです。

いずれのプレイヤーも順番に飛行船の船長を務めます。
船長となったプレイヤーは他の乗客であるプレイヤーを安全に連れていかなければなりません。

そして飛行船に乗っている限り、プレイヤー達は数々の困難に挑戦することになるでしょう。

<スタートアップ>

この『セレスティア』をプレイするに当たって行う準備はわりとシンプルです。

まずプレイヤーは自分の分身となる『冒険者タイル』と『冒険者トークン』をそれぞれ1つずつ選びます。

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選んだ後は『冒険者トークン』を先ほどの飛行船に載せます。

次に冒険する舞台を設置。

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9つの『都市タイル』を数字が上昇するように順に配置し、
その都市と対応した『宝物タイル』をシャッフルして隣に置きます。

そして『装備カード』と――

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『加速カード』『能力カード』を合わせてよくシャッフルし、山札として配置。

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上の写真のように配置できたら準備完了です。

ね、シンプルでしょう?

<ゲームの進行>

――ようこそ、『セレスティア』の世界へ――

各プレイヤーは『装備カード』『加速カード』『能力カード』を合わせた山札から、手札を引きます。
(2~3人プレイの場合は8枚、4~6人プレイの場合は6枚だそうです)
この手札は襲いかかる困難をクリアするための、切り札でもあります。

ですが、他のプレイヤーに何を入手したかは、見せることはありません。

全員が手札を引き終わったら、最初の『船長』を選びます。

船長となったプレイヤーはイベントダイスを振って、初めの都市に向かう際に起こるイベントを決めます。

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(写真左から、空賊、積雲、怪鳥、稲妻です。無地の目は何も起こらない事を意味します)

スタートアップで紹介した『装備カード』は全てこれらのイベントに対応しています。

ダイス『空賊』 → 装備カード『黒の大砲』
ダイス『積雲』 → 装備カード『青の羅針盤』
ダイス『怪鳥』 → 装備カード『赤の警笛』
ダイス『稲妻』 → 装備カード『黄の羅針盤』

例)

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ダイスを振って『積雲』の目が出た場合……

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『装備カード』一覧の一番左『青の羅針盤』でクリアできるわけです。

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序盤の都市こそ振るイベントダイスは2つですが、上へ上昇していくと中盤から……

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3つ、4つと振らなければならないイベントダイスの数が増えていきますので、より冒険の難易度が上がります。

そう、この『セレスティア』は船長となったプレイヤーがイベントをクリアできるかどうか、他のプレイヤーが推測しながら都市から都市へと冒険を続けていくゲームです。

――え? イベントに対応しているカードを持っていなかったらどうなるのって?

イベントを全て攻略できなかった場合、その飛行船は墜落して冒険は失敗になります。

なので、船長以外のプレイヤーは”次の都市に向かう間での冒険に失敗する前に”船から降りて、たどり着いた都市での勝利点となる『宝物タイル』を入手したほうが、得策なのです。

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なお、一度飛行船から降りた場合、他のプレイヤーと一緒に再び冒険に旅立つことはできません。
次の冒険まで待ちましょう。

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「え、次の冒険……? いや、無理臭くね? 俺降りるわ」
「俺も」
「ちょっ!?」

ちなみに船長は船から降りることができません、彼はこの後、見事にイベントの攻略に失敗、墜落することに。

「今回の遠征はぁ! なんの成果も!! 得られませんでしたァァア!!」
「アハハハハハハ!」
「よかった、降りといて正解だったわ!」

ようは運と損切りゲームなんですね。

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墜落した場合、その船長は次のプレイヤーに船長の権利を譲渡し、山札から全員1枚カードを引いて、飛行船を最初の都市に戻してから新たな冒険に旅立つことになります。

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『セレスティア』のルールでは上の都市に行けば行くほど、『宝物タイル』の点数は大きくなっていきます。
そして、最終得点が50点を超えたプレイヤーが現れた時点でゲームは終了します。

<最後に>

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この『セレスティア』、実際にご覧になって見ていかがでしたか?

実はこのゲームには損切りゲームの裏に、あるドス黒い手口が用意されています。

ゲーム中において船長を勤めていると、他のプレイヤーが全て降りた状態で、なおかつ船長がイベントの攻略に成功する、という状況が発生します。

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その場合、船長は最後のプレイヤーが下船した都市の1つ上の都市での『宝物タイル』を入手することができます。

では、ここで少し考えて見てください。

もし貴方のライバルである高得点プレイヤーが船長を務めていた場合のことを……。

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船 長「お前らさ、次のイベント攻略失敗するかもしれないじゃん? この辺で降りとかない?(俺が得点できないから降りろ)」
仲間1「いやあ、僕はさ、君の操船技術を信じてるから!」
仲間2「だよねー! ○○君て悪運強そうだし!」

はい、もうおわかりですね?

このゲーム……序盤こそ高得点を得たいがために危ない橋を渡っていたプレイヤー達が、終盤ではライバルを蹴落とすために、飛行船に”居座り続ける”という逆チキンレースゲームが発生します。

このゲームを終了した時、誰かがポツリといった一言が、私は今でも忘れられません。

「信頼って、なんだっけ……?」

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
シュミレーションRPG「ベルウィックサーガ」
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
その他多数。