ボードゲームレビュー第126回「ハルイチバン」

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「ハルイチバン」(原題:HARUICHIBAN)
発売元:BlackrockGames/日本語翻訳:ホビージャパン
作者:ブルーノ・カタラ
プレイ人数:2人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:20分

 


 

 

皆様、初めまして。もしくはお久しぶりです。
ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
今回もよろしくお願い致します。

ご紹介するのは「ハルイチバン」というゲームです。
和風にも中華風とも感じられる、清流をイメージした爽やかなパッケージが印象的ですね。

奇しくも本作は、綺月が前回にレビューさせて頂きました「AYA(アヤ):河巡る旅」と同じ、ブラックロックゲームズ様の作品でして。
デザイナー様はブルーノ・カタラ氏。フランスで活躍中の方で、本レビューですと「アビス」の共同デザイナーですね。

目を楽しませてくれるビジュアルと、なかなか奥深い対戦性が醍醐味のゲームです。
対戦する二人のプレイヤーは見習いの庭師で、宮廷の庭園を任される名誉を得るべく春一番の風を操り、池に浮かぶ蓮の葉より咲く花を、美しく並べるのです。

ね、オリエンタルな雰囲気でしょう?

ゲームの内容はというと、獲得した得点を競う、対戦型のパズルゲームです。
先手、後手を決め、ゲームボードに描かれた配置通りに蓮の花を並べると点数が得られる、五目並べが一番近いでしょうか。
しかし本作は春一番、コマを置くだけではなく、風雅に水面を流れる蓮の葉とその上に咲く花が、より深い戦略性をもたらしているのです。

それではゲームの準備から、説明してまいりましょう。
まずはゲームの内容物です。

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まずはゲームボード。縦5スペース横5スペースに区切られた青い水面をはさんで、プレイヤーである庭師が向き合います。自分の側の左隅の表がゲームの進行早見表。右側が蓮の葉を並べ方と点数一覧です。

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池に置く蓮の葉のタイルが16枚。上の明るい緑が表で、下の濃い緑が裏で、陰の葉と呼びます。1枚だけは、両面が陰になっています。この裏表には意味がありますのでご注意を。

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ちょっとカワイイ、カエルのタイル。庭師に合わせた色になっていて、1枚ずつ。葉の上に置きます。
カエルは特殊なケースでのみ、重要な役割を果たすのですが、意外と油断できない要素だったりします。
なおカエルですが、ラウンド中、池に花のない葉が2枚だけになったときは、池の外に出します。

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庭師の色に合わせた蓮の花のタイルが、それぞれ8輪。裏には1から8までの数字が書いてあります。この花を咲かせるかが、本作の勝負です。
なお、本作では葉の上に花を置くことを、開花と言います。開花の際は、数字を見せずに表向きに置くようです。このように数字の記憶や読み合いも、勝敗の行方を左右します。

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得点表示板と庭師ゴマ。得点が入る度に庭師ゴマを自分の側から順に動かして、先に5点目を取った庭師が勝者です。

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基本の準備状態は、説明書に書かれたこのようになります。
ゲームボードの水面の上に、15枚の表向きの葉と、1枚の両面が陰の葉を並べます。
表向きの葉の上に、それぞれのカエルを乗せて。
得点表には、まだ庭師ゴマは乗せません。
最後に自分の花8輪を伏せて混ぜ、その中から花を3輪取って裏の数字を確認し、自分の前に伏せておきます。残りは伏せたまま、自分のストックにしておきます。
これで準備完了です。

ゲームに慣れれば、この葉と蛙の配置を変更して遊んでも良いでしょう。この自由さが、本作の奥深さの一因なのです。

次はいよいよ、ゲームの流れです。
1ゲームは、数回のラウンドに区切られます。

1ラウンドは通常、花の数と同じ8ターンまで。
どちらか点を獲得したらそのラウンドを終了し、得点表示板の庭師ゴマを点数分進めて、ボード上を初期状態に戻し、次のラウンドを始めます。
また二人の庭師が同時に5点を獲得した場合、より多い点数を得た庭師が勝者ですが、それも同じ点数の場合はサドンデス。
追加のラウンドを行い、先に点を獲得した方が勝者となります。

そして1ターンは、2フェイズに分かれます。フェイズ1は同時に行いますが、フェイズ2はAからCに1つ加えた4手番を行います。

フェイズ1では、先に取って伏せた花3輪から1輪を選び、同時に公開します。
このターンが終わるまで、数字の大きい方が先輩庭師、小さい方が後輩庭師となります。
先輩と後輩では、次のフェイズ2で行える事が変わります。なので、先々の展開や今のチャンスを考えた数字の選び方が、重要になってくるのです。

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また特別なケースですが、双方が同じ数字を公開した場合、フェイズ2を行わずにそれぞれが庭師と同じ色のカエルがいる葉に、花を開花させます。
この時、先にカエルの鳴きまねした庭師は、先に自分のカエルを動かす権利を得ます。
双方が開花させた後、カエルを花やカエルのない葉に移動させるのですが、その順番は先に鳴きまねをした庭師からです。ちょっと面白く、とっさの遊び心が楽しいルールですね。

さて、フェイズ2はまず手番Aで後輩から、フェイズ1で公開した花1輪を、陰の葉に開花させます。他の葉は選べません。

次の手番Bで先輩が、まだ開花していない葉を自由に選び、フェイズ1で公開した花を開花させます。この時、色に関係なくカエルが乗っている葉を選んだ場合、その庭師は花もカエルもない葉にカエルを移動させます。

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そして手番Cで後輩は春一番を吹かせ、葉を1枚選んで縦か横に1スペース動かします。動かした方向に他の葉がある場合、それらの葉も押されて1スペース移動します。ただし葉を池の外に押し出してしまう移動はできません。これにより、葉と花の位置がターン毎に変わっていくのです。この移動を活用して、咲かせた花の位置を変え、得点を狙っていくのが本作の醍醐味となります。

この後、手番Dと言うべき先輩の手番があります。先輩は花の咲いていない葉を1枚選び、新たな陰の葉とします。次に後輩となった庭師は、この陰の葉に開花させることになるのです。またこの時、カエルが乗った葉を選べますし、やはりそのカエルは、花もカエルもない葉に移動させます。

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ターンの最後まで、双方の庭師が点数を得られなかったら、次のターンを始めます。庭師は自分のストックから1輪を取り、自分の手前に3輪あるように補充します。
そして次のターンのフェイズ1を始めるのです。

そして、ここまでのファイズ1からフェイズ2ですが、点数が獲得された瞬間にラウンドが終わるのも要注意です。
また同じ手番で双方に庭師が同時に点数を得られるようになった場合、どちらも点数を獲得します。
そして庭師が5点以上を獲得したら、ゲーム終了です。
どちらの庭師も5点未満の場合は、新たなラウンドを開始してゲームを続行します。
あるいはどちらも5点以上で同じ点数の場合は、追加ラウンドを行って下さい。

以上、ゲームの流れの説明でした。

綺月の感想としては、いくつもの読み合いが熱い対戦パズルゲームだと思います。
ゲームの内容はシンプルですが、冒頭の競りで順番だけでなく手番の内容まで獲得しなければならないのが、大いに洞察力と勝負勘を試されるところです。
競りに使われた数字の記憶と読み合いも重要ですし、競りに勝って良い手番を得るのではなく、自分の思い通りの手を打ちたければ、競りの勝ち負けを読まねばならない。
でも使った数字は帰ってこないジレンマも強く、同じ数字を出してしまったときの、突発的なアクシデントも緊張感を高めてくれます。
点数を取ったら盤上を初期状態にリセットされるのも、一方的な展開を防いでますので、ちょっと注意事項の多い手順に慣れてしまえば、じっくりと何度も対戦が楽しめる良いゲームではないでしょうか?
また手順も1ターンを終えればほとんど飲み込める簡単さですので、なかなかに本格的ながら、敷居は低いと思います。

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何より雰囲気が良く、お洒落です。
ちょっと和菓子とお茶を楽しみながら、風流を愛でつつ楽しみたい。二人の対戦を外野で眺めるのもいいでしょう。
お手軽に一局指してみる、そんなオススメのゲームです。

それではまた、次の楽しいゲームでお会いしましょう!

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
ゲーム制作/シナリオライティングチーム「Team・Birth-tale」代表。
ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
専門学校講師「ゲームシナリオ」「ゲーム企画」など。
アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
テーブルトークロールプレイングゲームリプレイ小説
「神我狩リプレイ 四神凶歌譚」
歴史シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」
「三極姫」「出撃! 乙女たちの戦場」各シリーズ
新人声優育成ゲーム「コエスタ2」
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
対戦立体パズル「コンボる?」
対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
その他、多数。