ボードゲームレビュー第13回「炭鉱賛歌」

「炭鉱讃歌」(原題:Glück Auf)
発売元:Pegasus Spiele /日本語翻訳:ホビージャパン
作者:ヴォルフガング・クラマー&ミヒャエル・キースリング(代表作:勝利への道)
対象年齢:10歳以上  
プレイ人数:2~4人
プレイ時間:60~75分

 


 

どうも、お久しぶりです。
お目にかかるのは二度目となります。松風でございます。
寒さも厳しくなってきた昨今、やはりインドアな遊びを求めてしまいますね。
お家で人が集まったら……そうボードゲームです!(キリッ

というわけで、早速ですがゲームの紹介と参りましょう。
今回はこれ、「炭鉱讃歌」です。
原題はドイツ語で「Glück Auf」(グリュック・オウフ)と言い、英語に直せば「グッドラック」ですね。
本国でもつい最近発売されたばかりの新作ゲームです。

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舞台となるのは20世紀初頭のドイツ、エッセンの街。
かつてそこでは石炭を掘る炭鉱が数多くあり、大勢の炭鉱夫で賑わっていました。
「Gluck Auf!」というのは、危険な坑道に挑む彼らの、お決まりの挨拶だったようです。

もちろんこのゲームもそんな炭鉱夫たちの活躍を味わうゲーム……かと思いきや、ちょっと趣きが違います。
どちらかと言えば、労働者たる炭鉱夫をどういった仕事に従事させるか、といった雇用者側の目線で進めていく事になります。
そうは言っても、そんなにルールは難しくありません。
ゲームの目的は石炭を掘って市場の注文通りに出荷しよう、というものなのですが、そこには様々な手順があります。

プレイヤーはまず準備として自分の色を選び、その色の労働者ゴマと立杭ボード、初期資金を受け取ります。
(労働者ゴマの数と資金の額はプレイ人数によって変わります)
立杭ボードにシャフトとケージをセットし、ボードに描かれたトロッコに石炭コマを配置すればあなたの炭坑はセット完了。
これに、初期手札として注文カード3枚を順番に取っていけばプレイ準備も完了です。

一方、ゲームボードの方にはシャッフルしたトンネルタイルや注文カード、マーカーなどを並べます。
これらのカードを置くスペースにも、人数によってはロックされて使えないスペースがあったりもします。
あとはボード中央下にあるシフトクロックにポインターを、自分の色の勝利点マーカーをゼロの所に置いておきましょう。
ここからいよいよゲームが始まります。

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さてこのゲーム、お金のやりとりはありますが、実はお金を稼ぐゲームではありません。
勝敗は、3シフト(ラウンド)終了時に最も勝利点の多かった人が勝ちになります。

おおまかに言って、プレイヤーがやることは
①銀行でお金を融資してもらう
②お金を払って炭坑を拡張する
③市場で注文を得る
④炭坑から石炭を採掘する
⑤注文の内容にそって出荷する
という5つのステップに分けられます。

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各行動には労働者ゴマを、取りたい行動の描かれたスペースに置いていきます。
ここで重要になってくるのは、すでに労働者ゴマが置かれたスペースに改めて自分も労働者を派遣したい場合、置かれた労働者の数+1の労働者ゴマが必要になるという事です。
例えば、銀行で6マルク貰いたくても、先にそのスペースに他のプレイヤーが1個の労働者ゴマを派遣していたら、自分は2個派遣しないといけません。
当然、2個置かれていれば3個、3個置かれていれば4個……と、必要な数の労働者は多くなって行きます。
これは自分が労働者ゴマを置いたスペースに、改めてもう一度置きたいときにも適用されるので注意が必要です。
ここが思案のしどころで、往々にして『銀行で一番大きい額のお金が欲しい』だとか、『出荷するための輸送手段にコレが必要』とか思った時、その権利を得るスペースにはだいたい先人が労働者を派遣しているものです。
1ラウンドに動かせる労働者ゴマは手持ちの分だけですので、ボードの盤面と注文カード、立杭ボードにある石炭の状況などをよく見て、最善と思われる手を打っていきましょう。

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ちなみにより多くの労働者ゴマが置かれて、スペースから弾かれた労働者は、ボードの中央右側にある食堂スペースに集まってきます。
一仕事終えた彼らで食堂がにぎわっている様子を想像すると、なんだかヴルスト(ソーセージ)をつまみにビールが飲みたくなってきますね。

さて、このゲームでも一際目を引く立杭ボードですが、これの動きを少し見てみましょう。
シャフトとケージのついた立杭ボードは、要するに貨物用のエレベーターだと思ってください。
深さは4階分まであって、それぞれの階層からは色の違う石炭が採れます。

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この色の違う石炭を、注文カードに描かれた通りの数だけ掘り出さなくてはならないのですが、初期配置の石炭だけでは注文はほとんどまかなえません。
なぜなら、一度採掘された石炭コマは使いきりで、回復することがないからです。
そこで、お金を払ってトンネルタイルを買う事で、タイルに書かれたトロッコの数だけ石炭コマを得ることになります。

各階層にはランタンの灯りが点いた明るいサイドと、ランタンのない暗いサイドがあります。
買ったトンネルタイルは、立杭ボードにつなげるように置かれるので横方向に伸びていきますが、階層と明暗サイドによって置く場所が変わってきます。
実は、最後の勝利点計算の時、明暗サイドのタイルの数が偏っていたらペナルティを受けるというルールが存在しているので、なるべく両サイド均等に掘って行きたい所なのですが、ゲームボード上のトロッコ工場(トンネルタイル置き場)に丁度欲しいタイルがあるかどうかは運次第……。

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そしていよいよ採掘ですが、コレを採掘するのにはまず労働者ゴマを採掘スペースに置いて労働ステップ(行動回数)を得なければなりません。
当然ここも回数によって10回、8回、6回、4回などと分かれていますので、多くのステップを得られるスペースほど熾烈な奪い合いになります。
労働ステップは、ケージを(何階分でも)上下に動かすのに1ステップ、ケージに石炭を1個積み下ろしするのに1ステップ消費されます。
このケージを上げ下げしながら石炭を積み下ろしするという手順と、炭坑トンネルがどんどん伸びていく様子が視覚化されているおかげで、単なる数値のやり取りではない「炭鉱掘りのゲームをやっている」という実感を得られるでしょう。

無事に注文通りの石炭が揃ったら、次は配送です。
注文カードには、必要な石炭の色と数の他に、荷車とか馬車などの輸送手段まで指定されています。
これまた運悪く出荷のタイミングで他の人と被ってしまうと、余分な労働者を送りこむことになってしまいますので、悩ましいポイントの一つです。
無事に出荷することができたら、カードに書かれた勝利点を得る事ができます。

こういった手順を繰り返し、全員が労働者ゴマを使い切ったら1シフト終了です。
さて、各ラウンド終了時に勝利点の計算フェイズが入ってくるのですが、これが実は結構クセモノです。
基本的に、勝利点は出荷できた注文カードから得るのですが、このラウンド終了時にボーナス点が付加されます。
各色の石炭をそれぞれ一番多く出荷した人、各輸送手段をそれぞれ一番多く利用した人、などのボーナス項目があり、ここで入ってくる勝利点が意外と大きいのです。
あんまり出荷回数が伸びなくても、各項目でトップ目を出していたら勝利点はガンガン加算されます。
シフトが進む度にこの項目は増えて行きますので、早いシフトの間にどれだけ布石を打てるか、どれだけ市場の動向を読み切れるか、という戦略眼も必要になってくるのかもしれません。

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炭鉱掘りが題材という事で、多くの現代人にはあまり馴染みが無く地味に思えるかもしれませんが、内容は非常にかっちりとまとまったゲームです。
今、自分がまずしなければならないのはどのアクションなのか、どの仕事を何人にやらせるのか、などを見極めるのにとっても頭を使うことでしょう。
つまり効率よくリソース配分を考えるマネージメントゲームと言うわけですね。
ぜひ、ちょっとした会社の社長になった気分でプレイを楽しんでみてください。

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)  
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。  
 ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。  
 アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。  
 世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 その他多数。