ボードゲームレビュー第131回「アイスカルト」

「アイスカルト」(原題:ICE CULT)
発売元:Zoch/日本語翻訳:メビウスゲームズ
作者:Joe=Wetherell
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約30分

 


毎度どうも、ライターの松風です。初めての方は初めまして! よろしくお見知り置きを。
さて、最近ようやく春らしい気温になってきましたが、夜なんかはまだまだ寒いですよね。
あやふやな寒暖の差には、気をつけないと風邪を引いてしまいそうです。

ところが、今回ご紹介するゲームの舞台は、曖昧な気温差など関係なし! 見渡す限り極寒の地! 氷! 氷! 氷の世界! であります。
そのゲームの名は『アイスカルト』。いかにも寒そうな名前ですね。

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でもアイスカルトって何? フード被った狂信的な暗殺者集団が氷河の向こうからやってくるの?
オールドゲーマーな筆者はそんな風な事を思ったのですが、もちろんそんなおっかないモノが出てくるゲームではありません。

舞台となるのは北極圏。
視界を塞ぐブリザード、容赦なく奪われてゆく体温。
プレイヤーはこの地から早いところ脱出しなくてはなりません。
そのためには、4つの主要な方角にコンパスを向けて、戦略的にルートを探って行くことになります。
他のプレイヤーの集団を出し抜いて、あなたは自分の率いる集団を真っ先に脱出させることができるでしょうか?

まず準備するのはゲームボード。
ですが、このゲームのボードは四角い箱のような『基地』と十字型の『通路』から成り立っている少々変わった形をしてますね。

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この二つを組み合わせたら、基地の上に4つの大きなダイス『氷キューブ』を置きます。

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透明度の高いダイスは本当に氷のキューブみたい。
そこに色々な記号がプリントされていますが、初期状態では『黒いカーブ』の面が綺麗に円を描くように並べてください。

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あとは自分の担当するコマの色を決めて、適当にボードそばに置いておけば、セットアップは完了です。

コマはそれぞれ5つありまして、これを通路の先の赤くなっている方へと移動させていき、真っ先に全部脱出させることができたプレイヤーの勝利です。
ちなみに、4人以下でのプレイ時、担当するプレイヤーがいない色のコマも『中立のコマ』としてゲームに参加させます。

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適当な方法でスタートプレイヤーを決めたら、あとは時計回りに手番を行っていきます。
手番中に行えるのは以下の2アクションのみ。

1.氷キューブを傾ける
2.キューブの指示に従ってコマを移動させる

とっても簡単でシンプルですね!
この分かりやすさも、このゲームの魅力の一つです。

では、もうちょっと詳しくルールを見ていきましょう。
まずはアクション1の『氷キューブを傾ける』です。

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プレイヤーは、隣り合う2つのキューブを選んで持ち上げ、その中心軸から90度傾けます。
その後、もう一度2つの氷キューブを選んで、同じく90度傾けます。
つまり、同じ動作を必ず2回行う、ということですね。
傾ける方向は左右どちらでもOKです。
ただし、2度めのキューブは1度目と同じものを選んでも構いませんが、自分の手番開始時と同じ状態にしてはいけません。
また、一度持ち上げたキューブを戻してやり直し、ということもできません。
これはマナーではなく明確にルールで禁止されています。

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2つ選んでひっくり返し、2つ選んでひっくり返す。
ホントやる事はたったこれだけです。

キューブは透明になっていますので、どの面にどんなマークが描かれているか、だいたい分かります。
なので、ある程度ここで戦略を立てることも出来るでしょう。
先々の事を考えたり、次のプレイヤーに有利にならないようにするには……等など考え始めると、果てしない思考の迷宮にハマり込んでしまうかも?

さて、キューブを動かしたら、上の面に描かれたマークによって次のアクション『コマの移動』が決まります。
というわけで、それぞれのマークの意味をご説明いたしましょう。

まずは『矢印』のマーク。
この矢印はコマの色に対応していまして、矢印が指す方向の通路にある同じ色のコマを一歩進める事ができます。
あるいは、まだその通路に同じ色のコマが出ていない場合は、ストックから1個、基地の側のマスに配置することになります。
また、既に同じ色のコマが通路にあったとしても、追加でコマを配置する事も可能です。
その色のコマが全て通路に配置されている、あるいは既に脱出している時に矢印が空の通路を指しても、それは無視されます。

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コマは必ず基地の側(内側)から通路の先の赤い方(外側)へ向かって移動します。
もし、コマを動かした先に別のコマがあったら、すでに置かれていたコマの上にそのコマを重ねます。
こうして積み重なったコマは、下側のコマを動かす時、上に乗ったコマも一緒に動くことになります。
他人のコマにおんぶに抱っこ。
ズバリこれがこのゲームの基本戦術と言っても過言ではありません!

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ちなみにスペシャルルールとして、同じ一つのマスに自分の担当するコマ5つ全部を積み重ねる事ができたら、脱出させるまでもなく即勝利となります!
この時、他の色のコマが混じっていても構いません。とにかく5つ全部重ねればいいのです。
ですが、自分のコマを動かせるのは自分だけではありませんので、狙うのはなかなか難しいでしょうね。

そう、他のプレイヤーの手番であっても自分の担当カラーの矢印が出たら、それを手番プレイヤーが動かすことになるのです!
ここがまた絶妙な悩みどころでして、他人のコマは出来るだけ動かしたくないのですが、出た矢印には従わなくてはなりません。
ですが、先ほどのスペシャル勝利条件を達成させないようにマスを移動させたり、自分のコマを上に乗っけたまま一緒に移動させてもらったりと、利用できる状況は色々出てきます。
なるべく自分の色の矢印を優先させつつ、時には他人の色も考慮して……と、悩むポイントは充分あることでしょう。

次に『紫の円』のマーク。
これは、キューブの上面に出ている矢印1つを選択し、追加でもう一度その移動を行います。
紫の円マークが複数ある時、同じ矢印を選択しても別々の矢印を選択しても構いません。
ですが、他に矢印が一つもない場合、紫の円も無効になります。

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そして『黒のカーブ』のマーク。
初期状態で4つのキューブに大きな円を描いていたアレですね。
これは、『任意のキューブを水平に90度回転させる事ができる』という効果を持っています。
アクション1でのキューブ操作は面そのものを変更しますが、黒のカーブは既に出ている『矢印の方向』を変える効果だと思ってください。
当然ながら、紫の円に対しては使えません。
そしてこの回転は、矢印でコマを移動させる効果の前と後、どちらのタイミングで使用してもOKです。

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キューブのマークとコマの動かし方はこれで以上です。
コマが通路の最後のマスからもう一歩進んだら、そのコマは『ゴール』したことになり、通路の先に置いておきます。
誰かが自分の担当するコマを5つ全部ゴールさせたら、そのプレイヤーの勝利です。

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実にシンプルなルールながら頭をひねる展開が多く、かといって手が止まってしまうような露骨な妨害要素もないので、誰でもストレスなくプレイすることが出来るでしょう。
キューブの全ての面を使うため、少人数の場合、プレイヤーのいない中立コマが参加するのもユニークですね。
運が絡む要素もありませんので、純粋に他のプレイヤーとの知恵比べになります。
透明なキューブは全ての面が視認できるとはいえ、それで先を読んだと思っても他のプレイヤーにそれを覆されたりして、なかなか一筋縄ではいかないゲームになることでしょう。
ルールがシンプルなので小学生くらいのお子さんでも楽しめる、ってのもいいですね。

極寒の地で白熱するパズルのような頭脳バトル、是非味わってみてください。

といったところで今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。