ボードゲームレビュー第137回「ダーダオチェン」

「ダーダオチェン」(原題:Dadaocheng)
発売元:SOSOGAMES/日本語翻訳:すごろくや
作者:EASON KAO&TSAI HUEI CHIANG
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:45分以上

 


<ご挨拶>
どうも、はじめての方、はじめまして。
おひさしぶりの方、おひさしぶりです、高円寺です。

またまたキウイゲームズ様のアナログゲームレビューを担当させていただくことになりました。

本日ご紹介するゲームはこちら、その名も『ダーダオチェン』になります!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

――あれ、読めない。

このゲーム、まったく先の展開が見えてこない。

結構、非電源系ゲームこなしてきたのに。

「あの、店長……」

「なんです?」

「これ、どこのゲームなんです?」

「台湾です」

「えっ?」

「台湾です」

このゲームレビュー初の台湾ゲーだとぅ!!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ということではやる心を抑えつつ、パッケージを開けるとこんなタイルが。

えーと、ふむふむ、お花にサトウキビにお米にオリーブと。

そして次は説明書を……――いや、ちょっと待て!

もういっぺんタイルを見直す。

「あの店長?」

「はい、なんです?」

「これって……ケシの花(阿片の原材料)ですよね!?」

「ああ、このゲーム、舞台は19世紀末から20世紀初頭なんで、台湾では合法だったのでは?」

うわぁ、私の引き当てるゲームはやはりどこか引っかかるゲームだ。

 

<概要>

ダーダオチェンとは日本語で大稻テイ(だいとうてい)と書きます。
台湾台北市の地名であり、清時代末期から日本統治時代にかけて、経済・社会・文化の中心として栄えた街のことです。

貴方は19世紀末から20世紀初頭にかけてのこのダーダオチェンの貿易商となりボード上のマス目のタイルを移動させたり、ひっくり返したりして、米や砂糖などの産物を手に入れます。
手に入れた産物を世界各国に運んだり、さまざまな建物を建築することに使えます。

貴方は大稲テイで最も栄誉ある商人になることができるでしょうか?

 

<スタートアップ>

この『ダーダオチェン』をプレイするに当たって行う準備はシンプルです。

まずゲームボードをテーブルの中央に広げてください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

次に産物タイルをボード上の中央、丸いシルエットの縦横マス目に置きます。
最初はすべて太陽が描かれている面を上にします。
アヘンタイル4枚だけは四隅に、他は適当に並べます。
(※注 ただし、縦か横かに同色のタイルを3枚以上連続させないでください)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

次に貨物船カードを船の等級によって3組に分け、それぞれの組みをよく混ぜた上でボードの河の隣に配置します。
なおそれぞれの山札の一番上の一枚だけはめくってください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

建物カード5種類(洋館・商館・市場・工房・アヘン館)をボードの反対側の辺に、表向きで種類ごとに並べてください。

歴史事件カードの「1851 林藍田定居大稻?」を取り出して、1ラウンド目の事件カードとします。
(※注 それ以外の歴史事件カードは裏向きのままよく混ぜてボードの「歴史事件/EVENT CARD」に配置しますが、初めてこのゲームをプレイする場合は年代順に並べたほうがダーダオチェンの歴史をなぞることができるでしょう)

最後に各自プレイヤーの貿易会社の倉庫を決定し、貿易会社カードを受け取って手元に置きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最後に赤いダイスを3つをボード右上に。
黒いコマをラウンドトラックの「1」のところにおいてください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

<ゲームの進行>

――ようこそ大稲テイへ――

このゲームのラウンドは各プレイヤーによる『計画』『産物収集と入荷』『満杯ボーナス』『購入とアクション』によって構成されます。

<計画フェイズ>
プレイヤーはボード上の任意の2枚のタイルを交換するか、任意の1枚の産物タイルを裏返すことができます。
プレイヤーはこれを2回分”必ず”行います。

交換→裏返し
裏返し→交換
交換→交換
裏返し→裏返し

の4パターンがあります。

<産物収集と入荷フェイズ>

◆産物収集
計画フェイズの交換や裏返しの結果、ボード上に同じ産物を表すタイルが一直線に3枚~4枚並んだら、対応する産物コマをストックから獲得します。並んだのが3枚なら1個、4枚なら2個獲得します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

◆入荷
さらに、この直列した産物タイルが四方を囲む倉庫に隣接していた場合、そのプレイヤーの倉庫のマスに産物コマが入荷されます。
これも直列3枚の場合は隣接する倉庫に産物コマ1つ、直列4枚なら両側の倉庫に産物コマが2つ入荷されます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

<満杯ボーナスフェイズ>

各プレイヤーの倉庫はタイルに合わせて4マスありますが、この4マス全てが産物コマで埋まった状態を『満杯』と呼びます。
この時、その倉庫を担当しているプレイヤーは4マスのいずれかのうち1マスの産物コマを自分のものにすることができます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

写真左側のプレイヤーの倉庫が『満杯』状態をさします。

 

<購入とアクションフェイズ>

各プレイヤーはこれらによって入手した産物コマを用い、さまざまなものを購入できます。

◆貨物船カードの購入
所有している産物コマで、今見えている貨物船カードを購入できます。
しかし、貨物船カードの中には記載してある『信用状』が必要なので、この場合、先に『信用状』を得るための建物カードの購入が必要となるでしょう。

◆建物カードの購入

所有している産物コマで建物カードを購入できます。
商店/市場/工房/アヘン館は1手番中にそれぞれ一枚ずつしか購入できません。
ただし、洋館の購入枚数には制限はありません。
建物カードにはそれぞれ『建物の効果』が存在しますので、これを利用することができます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

◆廟の効果を使う
廟、とは先祖や偉人の霊を祀る場所のことであり、言わば運試しの場所です。
対応する産物コマを支払うことでサイコロ2~3個を1回ふり、それぞれの対応する産物を獲得できます。
なお、白い産物コマ、すなわちお米は1個支払うことでサイコロ2個を、2個支払うことでサイコロ3個をふることが可能です。

ただし、運に自信がなければ『2対1交換』と言って、任意の産物コマ2つを任意産物コマ1つのレートで交換できますので、こちらを利用するのも良いでしょう。

この『ダーダオチェン』はこうして購入していった貨物船カードや建物カードの点数の合計が勝利点となり、最も勝利点が高いプレイヤーが最も栄誉ある商人となるのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

<最後に>

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この『ダーダオチェン』、実際にご覧になって見ていかがでしたか?

実はこのゲームには既存のアイデアと既存のアイデアの融合によって構成されています。
すなわち『パズルゲーム』と『経営戦略ゲーム』の二つです。

実際にプレイしていて「なるほど、二つのアイデアが上手く絡み合ってる」と感心しました。

最後のこの『ダーダオチェン』の肝をご紹介しましょう。

<計画フェイズ>でボード上のタイルを交換か裏返すアクションを2回行うことで同じ絵柄のタイルを3つ以上、直列させる――とありましたよね?
3つ以上直列してしまったタイルは、もう一度裏返す作業を必ず行わなかればなりません。

では、このタイルよく見てください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

背景に一部分だけ別の色が塗られているのがおわかりでしょうか?

―――そう、『裏返す』。

実はタイルを裏返すと、表のタイルの一部分の色の産物が裏には描かれているのです。

ここまで言えばもうお気づきの方もいることでしょう。

はい、全てのタイルは、裏になにが描かれているのか、プレイヤーは推測することができます。
つまり『どの場所を直列させれば、次の直列を誘発させることができるのか』計画を立てられるのです。

これを『コンボ』と言います。

では実際にご覧頂きましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

<計画フェイズ>の段階でオリーブの直列が発生します。
プレイヤーはオリーブの産物コマを入手した後、直列したオリーブのコマを裏返します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

すると今度はサトウキビのコンボが発生しました。
プレイヤーはサトウキビの産物コマを入手した後、直列したサトウキビのコマを裏返します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さらにコンボ発生、裏返します♪
すると……。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんとさらに連鎖しました。

上手くやればこうして多くの産物コマをプレイヤーは入手できるのです。

はじめはこの『パズルゲーム』の要素の出来の良さに皆感心して、より多くの産物コマを得ようとコンボを狙って長考したものです……。

―――ええ、”はじめだけは”ね!

「……ちょっと待て、コンボが発生しないのになぜ今、タイルを交換したし」
「ふふふふ……」
「あああああ、今ので考えてたコンボがおじゃんになったあぁぁぁ!!!!」(次の番手プレイヤー)
「フハハハハハハ! ハーッハッハッハッハッ!!!!」

トップ争いが絡んでくると、こうやって相手のコンボを阻止するための商人同士の汚い大人の戦いが、皆さんを待ち受けていることでしょう!

移民を迎えて発展し、茶の商いで19世紀の東洋を代表する国際都市となったダーダオチェン。
その異国情緒と才気活気があふれる「東方美人」の魅力を、存分に堪能して下さいませ!

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
シュミレーションRPG「ベルウィックサーガ」
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
その他多数。