ボードゲームレビュー第139回「エルグランデ ビッグボックス」

「エルグランデ ビッグボックス」(原題:El Grande BigBox)
発売元:HansimGruck/日本語翻訳:メビウスゲームズ
作者:Wolfgang=Kramer&Richard=Ulrich
プレイ人数:2~5人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:90分以上

 


 

毎週木曜日はキウイの日っ♪
いやー、それにしても八月の夏真っ盛りな暑さですねー。
こういう日は、無理に外には出ずに、涼しい部屋でのほほんと遊ぶのが一番なのです。

ってなわけで、本日ご紹介するのは 様より発売中の「エルグランデビッグボックス」なのですー

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でっかい! 圧倒にでっかい!
いやー、豪華とは聞いてましたけど、まさかここまで大きいとは思わなかったのです(汗)

ふふふ、ご存じの方は「なぜに今?」と思われるかもしれませんね。なんたって、このゲームは1996年に発売された作品なのですよ!

なぜそんな古いゲームを紹介するのかですって?

ふふふ……それは、この「エルグランデ」がリリースされてちょうど二十年。その二十周年を記念して、それまでリリースされた拡張版やコンポーネントが新しくなった記念版、このビッグボックスが発売されたからなのですよー!

15世紀のスペイン。
ここには15の王国があり、1つの国家があり、1つの公国があり、バスク地方があります。
スペイン、バスク、ガリシア、カタルー二ャ、ムーアの5つの民族が混在しています。
貴族、とりわけ「大公」と呼ばれる高位の貴族が、スペインの歴史に大きな影響を与えてきました。
しかし、「騎士」と呼ばれる中位の貴族も、非常に重要な特権を保有していました。
すべての領土は、それぞれに独立した発展を望んでいました。
また「城塞(=塔)」も重要な役割を果たしていました。
プレーヤーは、領土で覇権を得るために騎士を派遣します。これは得点計算時に得点になります。
ゲーム終了時にもっとも多くの得点を獲得したプレーヤーが勝者になります。
(エルグランデ ビッグボックスの説明書より)

デザイナー様は、ドイツのヴォルフガング・クラマー様とリヒャルト・ウルリッヒ様のお二人!

ヴォルフガング・クラマー様は、ドイツで初めての専業ゲームデザイナーとして活躍された方で、自身が手がけた「アンダーカバー」という作品では、今では当たり前のように使われているゲームボードの外周に表記されている得点トラック、「クラマー・ライステ(クラマー・フレーム)」を発明されたのですよ!

その他にも、ボードゲームを始めた人が一度は遊んでいるであろう「ニムト」であったり、「放課後さいころ倶楽部」の中道祐大先生が猛プッシュされてた「アサラ」などなど、今回ご紹介する「エルグランデ」を含め、ドイツ年間ゲーム大賞を五回も受賞している、まさにベテランデザイナー様。

リヒャルト・ウルリッヒ様は、クラマー様とよくコンビを組んで重量級ゲームをリリースされているデザイナー様で、様々なタイトルにお名前をお見かけするのですよ。

今回のコンポーネントには、拡張ルールがたくさん入っていますが、今回は基本ルールの説明と、少しだけ拡張版に触れた内容で進めたいと思っているのですよ。
あと、基本ルールで遊んでいるはずなのに、写真が拡張版のゲームボードになっているのは、こちらのうっかりさんだったのですよ……でも、普通に遊べましたね(汗)

①ゲームの準備

各プレーヤーは、好きな一色を選び、大公一人、騎士九人、得点マーカーを受け取り、自分の前に置きます。
ここに置かれた騎士は、ゲーム中は「手元の騎士」と呼ばれます。

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大きいのが大公、小さいのが騎士。

また、残った騎士(各色21個ずつ)は「ストック」と呼ばれる全体のストックにまとめておきます。

得点変更ボードをゲームボードのとなりに配置し、各プレーヤーは自分の色の得点マーカーを、得点チャートの「0」の位置に置きましょう。

次に領土カードを9枚をよくシャッフルしたら、カードを1枚めくり、その領土に国王コマをおきます。

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この国王が配置された領土を「国王の領土」と呼びます。

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その後、各プレーヤーは領土カードを1枚ずつ引き、その領土に自分の手元から大公1人、騎士2人を配置します。この大公が置かれた領土を「本拠地」と呼ばれます。

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この処理が終わったら、領土カードはもう不要ですので、すべて箱の中に戻しちゃいましょう。

各プレーヤーは秘密のディスクを1枚、自分の色と同じパワーカード13枚を受け取ります。

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このカードには1~13の番号が書かれているので、それ以外に書かれているカードが混じっていたら、外しておきましょう。

こうして準備が整ったら、最後にもっとも若いプレーヤーが、スタートプレーヤーマーカーを取ることで、全ての準備は完了となります。

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②ゲームの手順

「エルグランデ」は、各ラウンドごとに自分の騎士をボード上の領土への配置し、3ラウンドが終了する度に得点計算をして、計3回(全9ラウンド)計算が終わると、ゲーム終了となります。

各ラウンドは、以下のフェイズの順番でプレイしていく事になります。

1.アクションカードをめくる
5つあるアクションカードの山札の、一番の上をめくります。
このアクションカードには、ゲームボード上に配置できる騎士の数と、特殊アクションが記載されています。

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2.パワーカードをプレイする
スタートプレーヤーマーカーを持っているプレーヤーから、手札に持っているパワーカードを1枚、表向き出します(プレイ)。

その後は、時計回りの順番で他のプレーヤーも1枚ずつ表向きにしていくのですが、この時に注意しないといけないのが、他のプレーヤーと同じパワーカード出すことが出来ないのです。
つまり、このフェイズでは先手になれると、有利なのですよ。

 

3.各プレーヤーの手番を行う
先程のフェイズで、もっとも数字の高いパワーカードをプレイした人から、手番が始まります。

3-1 騎士をストックから手元に移動する
自分の手番が回って来たら、まずパワーカードに示されている分だけ、騎士をストックから手元に補充します。

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1なら6人、そこから徐々に減って、12~13だと追加なしになってしまうのですよ。

この時、示された騎士の数よりも少なく補充する事も可能ですし、万が一ストックが無かった場合は、塔以外の既に配置された騎士を回収する事が出来ます。

 

3-2 アクションカードを解決する
表向きになっているアクションカードのうち、1枚を選択して、そこに表記されている数の騎士を配置したり、特殊アクションを実行する事が出来ます。

※騎士の配置
この配置は、自分の手元にある騎士のみしか出来ません。
また通常であれば、騎士の配置は“国王の領土に隣接する領土”にしか出来ないので、注意なのですよ。
そう、国王の領土は神聖不可侵の場なので、騎士は入れないという仕様なのです(笑)

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ただし、騎士の配置には、ちゃんと手元の騎士がなかったら配置出来ずに終わってしまいます。
つまり、頑張って良い数字を出しても、騎士がいなければ満足に配備出来ずに終わってしまうのですよ……。

また、国王の隣接するのが嫌だった場合、「塔」というもう一つの選択肢があります。
「塔」は領土とは無縁の存在なので、王様がどこにいようと、お構いなしに配置する事が出来ます。

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ただし、「塔」に入れる際は、プレーヤー全員に幾つ入れるかを宣言しましょう。
絶対に、嘘なんてついちゃダメですよ?
また一度入れてしまったら、一定期間まで本人を含め、全員が中身の確認や取り出しが出来ないので、入れるかどうかは慎重に!

※特殊アクション
手に入れたアクションカードには、様々な効果のある「特殊アクション」が記載されています。
効果の発動タイミングは任意で行えますが、一度発動させた場合、完全に実行しないといけませんので、使うタイミングを見計らわないと、空振りに終わってしまうこともあるのでご注意なのですよ。

今がそのタイミングじゃないと思ったら、そのまま実行せずに手に持つのも戦略の一つとして有効なのですよ。
また、特殊アクションを使用したら、速やかにアクションカードは元あった山札の一番下に入れておきましょう。

上記の二つは、どちらを先に行っても構いません。
ただし、分割して実行する事は出来ませんので、どちらかを選択したら、全て終了してから、次の行動に移るようにしてください。

騎士を先に配置して嵐を呼ぶのか、嵐が過ぎ去ってから騎士を配置するのか、選択はプレイヤーに委ねられているのですよ。

こうして、プレーヤーの手番が終了したら、パワーカードの数字の順番に次のプレーヤーの手番に行動が移ります。

 

4.ラウンド終了

全員の手番が終われば、そのラウンドは終了になります。
現在のラウンドを示す、ラウンドマーカーを一つ進めましょう。

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その後、各プレーヤーはプレイしたパワーカードを捨て札して、このラウンドで使用されなかった山札のアクションカードは裏向きにして、その山札の下に置かれます。

そうそう、パワーカードは基本的に減っていく一方なので、最初から飛ばしていると後々困ったことになりますから気をつけて使いましょう!

 

5.得点計算(第3ラウンド、第6ラウンド、第9ラウンド終了時のみ)

ラウンドマーカーがユリの描かれているマスに移動したら、全体の得点計算が始まるのですよー!

1.秘密ディスクを使用する。
得点計算の際、塔の中に配置した騎士を移動させる事が出来ます。
ただし、騎士を複数の領土に分割して移動させることはできませんので、どこに配置したいかは、他のプレーヤーに分からないようこの秘密ディスクの針を回して選び、裏向きにして置きましょう。

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2.塔の得点計算
全員が秘密ディスクの使用を終えたら、塔の得点計算を行います。塔を持ち上げ、どのプレーヤーの騎士が一番多いか確認しましょう。

その結果、得点表に書いてあるとおり、もっとも多くの騎士を置いているプレーヤーに5ポイント、二番目に3ポイント、三番目に1ポイントが手に入ります。

ただし、複数のプレーヤーが同点だった場合、全プレーヤーに一つ下の順位の得点……一位が複数だった場合、二位。二位なら三位の得点……になってしまうので、そうならないように騎士をどんどん投入した方が有利になるのですよ。

 

3.塔の騎士を領土に移動させる
得点計算が終わったら、それまで裏向きにしていた秘密ディスクをオープンしましょう。
オープンしたら、各プレーヤーは塔の中にいた自分の騎士を、ディスクで指示した領土に置いていくのですが、もしも国王の領土を指定してた場合、騎士は配置されずに自分の手元に戻っていきます。
逆に考えれば、手元に戻したい場合、わざと国王の領土に指示するのも一つの手ですね。

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塔の騎士が放出されて、一層ワラワラ感が増していくのですよ。

 

4.各領土の得点計算をひとつずつ行う
移動が完了したら、各領土の得点計算を行います。
判定方法は塔の時と同じように、その領土の騎士(大公は含まない)の数を比較し、一位、二位、三位の順に領土の得点表に従って得点が与えられます。

また「国王の領地」もしくは「本拠地」で一位となった場合、そのプレーヤーに追加で2ポイント。
もしも両方重なっていた場合は、4ポイントが追加されるのですよ。

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この場合だと、黄色が追加4点になりますね。

全て計算が終わったら、得点計算は終わりです
この得点計算は3ラウンド毎に行われるので、ゲーム中だと第3、第6、第9ラウンドの計三回行われ、得点計算のあとは、ラウンドマーカーをもう1マス移動させ、次のラウンドが始まります。

 

③ゲームの終了

三回目の得点計算を行ったら、このゲームは終了!
計算後、得点がもっとも多いプレーヤーが勝者、すなわち"ElGrande(最も偉大な)”となるのです!

……ただし、同点の場合には、引き分けとなるので、どうして決着を付けたい場合は……えっと、もう一戦するとかどうでしょう?(まて)

 

④総評(と拡張の話)

ってなわけで、これが「エルグランデビッグボス」の基本的な遊び方なのですよー。

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ドイツゲーム特有の派手さより、堅実なゲーム運びが重要になってくる一方。
油断しているとブラックボックス的存在の塔に足元をすくわれたり、カードによってどっかんどっかんと盤面が変わってしまったりするので、本当にその辺をどう読んで行動するのかが重要になってきますね。

遊んでみた感じとしては、ボードゲームレビュー第33回でご紹介した「王と枢機卿」にどことなく似ている感じがしましたけど、ちょうどリリースされた時期もほぼ同じですし、この時期はこういうゲームが一種のブームだったのか、主流だったのかな?

あと、ちょっと面白いなーっと思ったのは、マニュアルに通常だと9ラウンドのところを6ラウンドで遊ぶ、ショートゲームが設定されている点ですね。
今まで色々なボードゲームで遊んで来ましたけど、そういうのを設定しているゲームってあんまり見かけなかった(単に私が気づいて無いだけ?)気がするので、珍しいなーっと思ったのですよ。
ルールがよく分からない内は、ショートルールでサクッとやって、そのあと本番! みたいな選択できるのがいいですー。

一応、基本ルールの後、拡張版「国王と陰謀」を遊んでみたんですが、これをやるといきなりゲームの雰囲気が変わりましたね。

何よりも一番変わったのは、パワーカードの存在。
基本では、数字の大きい順にアクションカードを入手して効果を発揮していったのですが、この拡張版だと、パワーカードとアクションカードが合体したような状態となってます。

つまり、そのアクションを起こしたかったら、それまではパワーカードの大きな数字を出してアクションカードを先取りすればよかったのが、行動順番に直結するようになったので、予想外のゲーム展開が連続するのですよ(汗)
でも、全体の流れは基本ルールと同じですし、これくらい変化した方が「拡張!」という気はしますねー。

拡張の種類につきましては、「王と参謀拡張」「王と参謀:プレーヤーズエディション拡張」「王と参謀:特別カード」「異端審問官と新領土」「グランデッシモ 」「20周年記念新拡張」など、今までの拡張や、豪華版用の拡張があったりと、これから長くたっぷりと遊びたい人には、ちょうどいいんじゃないかなーっと思ったり。

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ご興味のある方は、ぜひぜひ一度遊んでみてくださいね~♪

……あ、でも冗談抜きでかなり大きくて重いので、高いところに収納する時はご注意ご注意なのですよ(汗)

 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
長編ホラー映画「腐女子」。
その他多数。