ボードゲームレビュー第14回「京都」

 

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「京都(KYOTO)」
発売元:メビウスゲームズ
作者:ライナー・クニツィア(代表作:モダンアート)
対象年齢:8歳以上  
プレイ人数:1~4人
プレイ時間:20~30分


 

 初めましての方も、毎度おなじみの方も、こんにちは!
 ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は「KYOTO」をレビューしたいと思います!

 ドイツボードゲーム界において、数多くの良作、傑作を世に送り出してきたデザイナー、ライナー・クニツィア氏。
 その氏が、日本の「京都」を舞台に作り上げたゲームが「KYOTO」です。
 京都、情緒溢れる古き良き町。
 その「庭園」が舞台になるという、これまた情緒溢れるモチーフのチョイスに、ゲームのパッケージを前に厳かな気持ちにならざるを得ません。
 箱を空けて、いざゲームとご対面。
 中から多数のタイルが出てきました。
 このタイル、「田」の字型に区切られ、それぞれの面に「池」「苔」「砂利」「紅葉」の絵が描かれています。
 これでどうやって庭を作るのかしらん、と首を傾げつつ説明書を読んでみると――

「日本庭園が改修されることになり、日本中から腕の立つ庭師が京都に集められました(中略)プレーヤーは庭師となり、お互い協力して美しい庭を作るだけでなく、自分ではできるだけ自分が得意とする分野の庭をつくろうとします」(説明書より)

 そこは協力して美しい庭を作るべきじゃないでしょうか!
 早くも「わび」や「さび」を置いてけぼりにして、カオティックぶっちぎりな「日本庭園魔改造チキンレース」の様相を呈しているのが、何ともボードゲームらしい一作です。

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 さて、この「KYOTO」、ゲーム自体はいたってシンプルです。
 スタートプレイヤーから順番に、「池」「苔」「砂利」「紅葉」の四種類の絵柄が描かれたタイルを、隣接するように置いていきます。
 この時、置いたタイルと隣接したタイルを調べ、同じ分野の絵柄が接していたら得点をもらえます。
 得点の計算方法は、「連続して接している絵柄の数×1」で、絵柄が繋がっている限り他のタイルからも得点を獲得できることになります。
 つまりは一種の陣取りゲームで、いかに上手に絵柄を繋げるようにタイルを置いていくかがポイントとなります。
 しかもタイルの絵柄は、複数種類接していればそのぶんの点数を得られるので、タイルの配置場所や向きには細心の注意を払わなければなりません。
「池」が2つ、「苔」が3つ隣接しているから、合計5点をゲット!
 などと美味しい配置を決めることができれば、気分は爽快になること請け合いです。

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 さらにこのゲームにはもう一つ特徴がありまして。
 各プレイヤーには「自分の得意分野の絵柄が決まっている」ということです。
 得意分野の絵柄で点数を得ると、絵柄1つにつき1点ではなく2点もらえます。
 つまり、普通に点数を得るより純粋に2倍の得点が入るわけで。
 このシステムにより、プレイヤーにはさらなる戦略が要求されるのです。
 例えば、自分の得意分野の絵柄は繋げておきたい。
 しかし、相手も得意分野の絵柄を繋げている。
 こんな時、

・自分の得意分野の絵柄をひたすら繋げる
・相手の得意分野の絵柄を違う絵柄でブロックしてしまう

 この2つの選択肢が頭を悩ませることになります。
 また、自分の得意分野の絵柄だけに目が向きがちですが、タイルの置き方によっては違う絵柄を繋げた方が高得点になるケースも多々あります。
 なので、いかに上手にタイルを置いて、相手を妨害しながら自分の点数を稼ぐのかが、このゲームの肝となってくるのです。
 シンプルなルールの奥に光るこの戦略性に気づいた時、「KYOTO」は上質のタクティカルゲームとして、改めてプレイヤーの前に姿を現すのです。

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 そして夢中になって点数を稼いでいき、タイルが尽きてゲームが終了すると。
 卓の上に広がるのは、「池のすぐそばに紅葉、その隣に沢山の砂利、さらにその近くに散乱する苔」といった、予想通りのカオスな光景。
「パッチワーク日本庭園」が、新境地のわびさびを持って誕生します。
 でも、大丈夫。ゲーム終了時にはそんな些細なことは、プレイヤーの皆さんは気にしなくなっているはずです。
 それよりも得点の合計が気になって仕方なく、爛々と目を光らせているはずですから。
 プレイヤーの点数にかける欲望が、時には日本の文化すら破壊してしまう。
 このゲームは、そんなメッセージ性を持って作られたのかもしれませんね(たぶん気のせい)。
 ともあれ、ルールはイージーでも戦略性は抜群。
 さらにプレイヤー人数も1~4人(1人で遊べるのは凄いです)と汎用性が高いこのゲーム。
 ボードゲーム初心者から熟練者まで幅広く遊ぶことができますので、ぜひともプレイすることをオススメします!

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他 (集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」 (角川つばさ文庫より)