ボードゲームレビュー第142回「ワールドモニュメント」

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「ワールドモニュメント」(原題:WORLD MONUMENTS)
ゲームデザイン:ピエロ・チョーニ
発売元:Queengames/日本語翻訳:メビウスゲームズ
プレイ人数:2人~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約45分

 


皆様、初めまして。もしくはお久しぶりです。
ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
今回もよろしくお願い致します。

それでは「ワールドモニュメント」を、ご紹介しましょう。
本作に登場するのはその名にふさわしい、世界に名だたる4つの建築物です。

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「ノートルダム・ド・パリ」
セーヌ河のほとりにたたずみし我らが貴婦人、聖母マリアを指す大聖堂です。高い双塔が特徴的で、かのナポレオンが戴冠した地でもあります。

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「サン・ピエトロ大聖堂」
こちらはバチカン市国にある、カトリック教会の総本山。聖ペトロの眠る静かな聖堂です。ミケランジェロの聖母子像を始め、膨大な芸術作品が収められた荘厳な聖堂です。

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「タージ・マハル」
親しみを込めてビービー・カー・ラウザとも呼ばれる、インド・イスラーム文化を代表する白亜の霊廟です。愛する妻のために建てられた、追慕の証しですね。

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「キャピトル」
ワシントンDCに鎮座する、アメリカ合衆国議会議事堂。初代大統領ジョージ・ワシントンを讃える天井画を擁する巨大なドーム屋根が特徴的です。

この世界に名だたる4つの建築物から1つを選び、参加者全員で建築していきます。
しかし協力ゲームではありません。いかにして他のプレイヤーよりも高い点数を稼ぐか、知恵を尽くして競い合うのです!

でも安心して下さい。
本作のプレイは、とてもシンプルです。シンプルゆえに、駆け引きに集中して楽しめます。
そして偉大なモニュメントを建てる喜びも同時に実感できるのが、この「ワールドモニュメント」のオススメな点です。

それではゲームの流れを、解説していきましょう。

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まずは用具と準備から。
4枚のモニュメントボードから1枚を選び、残りの3枚を片付けます。
どのモニュメントを遊ぶかは、最初は好みで決めて良いと思います。ただし4つとも戦略の方向性が違いますので、1つを遊べば次はこっちで、と色々楽しめるでしょう。

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次に石切場を、モニュメントボードの隣に置きます。

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そして4色に色分けされた建築素材と、青い宝石、黒いスタートプレイヤーマーカーを、色ごとにストックにして置いておきます。

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各プレイヤーは自分の色のついたてを自分の前に置き、同じ色の得点マーカーをモニュメントボードの得点チャートのスタートマス(10のマス)に置きます。

なんと、これでゲーム前の準備は完了です。
さくさくと進むでしょう?
それでいて手元を隠すついたてや、特徴的な石切場と建設資材が、興味をそそりますね。

わくわくしながら、ゲームの手順に参りましょう。
本作は3ラウンドを、2つのフェイズでプレイします。

第1ラウンドのみ、スタートプレイヤーを適当な方法で決めます。スタートプレイヤーは、労働者マーカーを取ります。

 

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そして第1フェイズの手順【A】、石切場に建築資材を配置します。
モニュメントボードに描かれた資材表の通りに、ストックから取った資材を袋に入れて混ぜて、スタートプレイヤーが1つずつ取り出し、石切場に置いていくのです。
その時、以下のルールに従って下さい。
外側マスは資材を1個ずつ置きます。中間マスは資材を2つです。中央マスには、残り全てを置きます。タージ・マハルとキャピタルには例外がありますので、注意してください。

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置き終えたら手順【B】で、プレイヤーが資材を獲得していきます。
とは言え、今は何を取ればいいか分からないと思います。
なので、その説明もしておきましょう。モニュメントボードを見て下さい。設計図が描かれています。

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高い位置の色の資材を、その通りに置ければ、得点が高くなります。置けなかった資材は、1個1点の減点です。
そして青い宝石コマは、持っておくとゲーム終了に1個3点になります。
黒のスタートプレイヤーマーカーを取ると、第二フェイズと次のラウンドのスタートプレイヤーになれます。また2点も獲得します。
以上を踏まえて、資材をどう取るか考えましょう。
ではスタートプレイヤーは労働者ゴマを、石切場の外側の好きなマスに置いて、そのマスの資材1つを取り、ついたてで隠します。2番目のプレイヤーは2マス動かして2個、3番目のプレイヤーは3マスで3個取ります。4番目以降のプレイヤーは、4マスで4個です。
マスに止まるごとに、資材1つを選んで取ります。マスに資材がなければ取れませんが、必ず1手番で資材を1つ取るように労働者コマを動かして下さい。
労働者コマを動かす時は、隣接する中間マスや中央マスを通っても構いませんが、同じ手番で通過したマスには移動できません。
そして労働者コマは、必ず外側マスで移動を終了させて下さい。
全ての資材が石切場からプレイヤーに取られたら、第1フェイズの最後の手順を行いましょう。スタートプレイヤーマーカーを持つプレイヤーは2点を獲得してス労働者コマを受け取り、タートプレイヤーマーカーをストックに戻します。

では、いよいよモニュメントを建設する第2フェイズです。労働者コマを持つスタートプレイヤーから、時計回りで1つずつ、手持ちの資材を配置していきます。

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設計図通りの色になるように、資材を置きます。様々な形で資材がずれている部分もありますが、その資材の下の段には、必要な資材が全て置かれていないといけません。
資材を置いたプレイヤーは、高さに応じて得点を得ます。例えば1段目は1点ですが、2段目だと3点、5段目だと9点と、より高得点になるのです。
ただし高得点を狙うには、自分の手番の時に積む条件が満たされるか否か、というリスクがあるわけです。そしてこのリスクこそ、本作の醍醐味なのです。
自分の手番が回ってきた時に、手持ちの資材がなくなったり、色や下の段が足りず資材が置けない場合は、パスになります。ただしパスをすると、このフェイズが終わるまで何もできなくなります。そしてついたてに隠した資材を全て公開し、青い宝石以外の資材1個につき1減点します。

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そう! 減点です!
せっかく手に入れた高得点の資材ほど積みにくく、パスの可能性を、減点の危険性を引き上げるのです。
となると本作は、自分が高得点を狙うだけでなく、他のプレイヤーの建設の邪魔をして減点させる駆け引きもあると言うこと。
シンプルだからこそ誰の手に何があって、どうすれば得点を稼ぎつつ他者を妨害できるか。この駆け引きに、専念できるのです!
全てのプレイヤーがパスをしたら、第2フェイズを終了します。建設できなかった資材は全てストックに戻さず、そのまま次のラウンドに持ち越して使用します。青い宝石も持ち越します。そして労働者コマを持ったプレイヤーがスタートプレイヤーになり、次のラウンドの第1フェイズを開始します。

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こうして3ラウンドが終わるか、その前にモニュメントが完成したらゲーム終了です。まれにモニュメントが完成できない場合もありますが、その時も終了です。
ついたてに隠した青い宝石を公開し、1つにつき3点を得点に加えましょう。
なお最後に残っていた資材は、得点にも減点にもなりません。
最終得点を計算して、最も高いプレイヤーが勝者です!

この「ワールドモニュメント」は、選ぶモニュメントボードで、戦略が変わります。特に顕著なのは、妨害しやすいかどうか。

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妨害しやすければ、リスクを考慮した資材集めと建設が重要ですし、妨害しにくければ逆に、リスクを冒してでも高得点の資材獲得が激しくなるでしょう。
またついたてに隠された宝石や資材が、思わぬ計算違いを引き起こしたり、逆に狙い通りの達成感を生み出してくれます。
視覚的にも石切場での争奪戦、次々と積み上がっていくモニュメントが、楽しくて分かりやすい。
ボードゲームの美味しさが、ぎゅっと詰まった良作。
私は「ワールドモニュメント」を、そう感じたのです。

それではまた、次の楽しいゲームでお会いしましょう!

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
ゲーム制作/シナリオライティングチーム「Team・Birth-tale」代表。
ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
専門学校講師「ゲームシナリオ」「ゲーム企画」など。
アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
テーブルトークロールプレイングゲームリプレイ小説
「神我狩リプレイ 四神凶歌譚」
歴史シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」
「三極姫」「出撃! 乙女たちの戦場」各シリーズ
新人声優育成ゲーム「コエスタ2」
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
対戦立体パズル「コンボる?」
対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
その他、多数。