ボードゲームレビュー第145回「八分帝国:伝説」

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「八分帝国:伝説 日本語版」
作者:Ryan Laukat
発売元:ホビージャパン
人数:2人~4人
対象年齢:12才以上
推奨プレイ時間:約8~20分

 


 

キウイゲームズ様、開店5周年おめでとうございます!
5年というのは大きな節目で、お祝いを書かせて頂けて嬉しいです。
この場をお借りして、心ばかりの応援と感謝をお送りさせて頂きます。

そして皆様、初めまして。もしくはお久しぶりです。
ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
今回もよろしくお願い致します。

それでは「八分帝国:伝説」を、ご紹介しましょう。
この作品はレビュー16回「エイトミニッツエンパイア」の、姉妹版です。
ですが拡張版ではなく、これ一つで遊べる新版と言ったところ。
欧米で大人気の、お手軽戦略ゲームなのです。

そして前作の良さを全て持ちながら、よりダイナミックかつドラマチックな進化を遂げております。
皆様も新たな八分帝国の伝説へと、ご招待いたしましょう!

まずは内容物のご説明から。
今回は基本ルールで、説明していきたいと思います。

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・軍隊コマ:各色18個
各プレイヤーは自分の色を選び、その色の軍隊コマを18個ずつ持ちます。
地域を占領するための、自分の兵隊です。

・都市ゴマ:各色3個
軍隊コマと同じく、その色の都市コマを3個ずつ持ちます。
軍隊コマをボードに置く時の、出発点です。移動はできません。
また支配地域を決定する時、軍隊コマ1個分と数えます。

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・ゲームボード4枚
それぞれに島が描かれていて、その島は線でいくつかの地域に分かれています。
また隣の島に行く海路が、点線で描かれています。この海路を移動する場合、3移動力が必要な「海上移動」になるので要注意です。
ボードの両面に異なる島が描かれていて、特別ルールのアイコンが描かれたボードもあります。

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開始地域マーカーと矢印と島が描かれたアイコンは、この島に必ず開始地域マーカーを置く効果です。
三つの島の間に橋が描かれたアイコンは、そのボードが他の三つの島と橋で繋がっていて、海上移動ではなく通常の移動で良い効果です。
ゲームボードから、伝説級の効果が現れてますね!

・ゲームカード43枚
ゲームで使うカードは、4種類です。ドラゴンと景色が描かれた側が、表向きです。
4枚の指導者カードは、基本ルールでは使用しませんので、後ほど説明します。

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クリーチャー/場所カード34枚
各プレイヤーが自分の手番で場から獲得し、その効果を使います。
参加するプレイヤーによって、使用する枚数が変わりますので注意してください。
本作の特徴である「自分のアクションそのもの」なので、とても重要なカードです。
また今回は、「自分のアクション」への特殊効果もついてきます。
アクションがダイナミックに進化していきますので、追加の勝利点の獲得と並んで重要な選択になるでしょう。

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カードコストカード1枚
プレイヤーがクリーチャー/場所カードを獲得する際の、支払うコインの数を示すカードです。
場に並べられた6枚のカードは、左から順に0、1、2,3とコストが描かれています。
誰かの手番でカードが取られたら、左へと詰めていくので、古いカードほど安くなるのです。
コインを払いたくない、あるいは払えない時は、いちばん左のカードを取る訳ですね。

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勝利得点計算カード4枚
各プレイヤーが、1枚ずつ持ちます。
ゲーム終了時の、得点計算で使います。

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・コイントークン44枚
カードを手に入れるために、支払うコストです。
銅貨と銀貨があり、銀貨は銅貨3枚分です。
各プレイヤーはゲーム開始時に、参加人数によって持っておくコインの数が変わります。
ゲーム中でコインが増える機会はなかなか無いので、使い所が重要です。
コインは勝利点にはならないので、そこも要注意です。

・開始地域マーカー1枚
各プレイヤーの軍隊コマを、最初に置くことのできる地域を示します。
都市コマを置いてなければ、軍隊コマはここからボードに追加し、移動していくのです。

・ルールブック1冊
ルールブックはカードやアイコンの効果を確認する事になるので、全員が見やすい場所に置くと良いでしょう。

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次にゲームの準備をしていきましょう。
本作はゲームの準備もお手軽なのが良いところです。
前作よりは一手間が増えますが、その分、面白くなること請け合います。

まずはゲームボードの配置を行うプレイヤーを、1人選びます。有利不利は無いので、皆で相談しても良いでしょう。
前作は1枚のボードでしたが、今回は表裏のある4枚のボードを自由に組み合わせて遊びます。
覇を競うべき島々の配置を変えて、特別な効果を使うかどうかも変わるわけです。
中心に1枚、そこから三方向に「T」字の形でボードを並べます。どの島も1つは点線の海路が繋がっているはずです。
そして開始地域マーカーを、中央のボードの、他の島1つに海路が1つ繋がっている地域を選んで置きます。

次にカードです。
指導者カードは基本ルールでは使用しないので箱に戻し、勝利得点計算カードを、各プレイヤーに1枚ずつ配ります。
そしてカードコストカードを、ボードの側で、カードを6枚並べられる場所に裏向きで置きます。
最後にクリーチャー/場所カードです。カードの名前が書かれた「巻物」の左下を見て、参加人数より多い数字が書かれたカードを箱に戻します。そして残ったカードを良く混ぜて、ゲームボードの側に表向きの山札として積み、上から6枚をカードコストカードの順に並べます。

各プレイヤーは自分の色を選び、軍隊コマと都市コマを受け取ります。
そして開始地域マーカーの置かれた地域に、全員が4つずつ軍隊コマを置きます。
その後、各プレイヤーはボード配置プレイヤーに、自分の軍隊コマ1つを渡します。
ボード配置プレイヤーは受け取った軍隊コマ1つずつと自分の軍隊コマ1つを、中央以外のボードの好きな地域1つを選び、まとめて置きます。
残りの軍隊コマは、各プレイヤーの予備として、手元に置いておきます。
また2人でプレイする時だけ、3色目の仮想プレイヤーの軍隊コマを、好きな地域に1つずつ計10個になるまで、交互に置いていきます。この仮想プレイヤーのコマも、得点計算時には通常のルール通りに計算します。

各プレイヤーは、コイントークンを受け取ります。
2人なら12枚分、3人なら11枚分、4人なら9枚分です
残ったコインは「サプライ」として、ボードの側にまとめておきます。

これで基本ルールの準備は終わりました。ゲームに慣れてきたら、選択ルールを取り入れるのもいいと思います。
先にゲームの終了条件と勝利条件を、説明しますね。

ゲームの終了条件も、とってもシンプルです。
全プレイヤーが指定されたカード枚数を獲得し、その手番を終えたら終了です。2人なら11枚、3人なら10枚、4人なら8枚。
全員が手番で1枚ずつカードを手に入れるので、枚数はすなわち手番数なのですね。実に公平です。

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そして勝利条件もただ一つ、もっとも勝利点を獲得すること!
そのために軍隊コマや都市コマを地域に配置し、カードを集め、勝利点を得ていくのです。
基本的な点数は、地域に最も多くの軍隊コマ(都市コマも含みます)を配置し、その地域を支配すること。これで1勝利点です。そしてその島で支配した地域が最も多ければ、さらにその支配した島1つごとに1勝利点を得ます。
ただし、最も多く配置したプレイヤーの軍隊コマが同数で複数いる場合は、その地域は誰も支配できず勝利点が得られません。島の勝利点も、支配した地域の数が同数なら、やはり誰も得られないのです。
軍隊コマは18個で、都市コマを合わせても21個。同数では支配できず、軍隊コマの移動には手間がかかります。以下にうまく軍隊コマを配置し、より多くを支配するかが重要な戦略なのです。

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そこに本作では、よりドラマチックな要素がカードに加えられました。
前作では同種の「産物」を集めていたカードの勝利点ですが、今作では勝利点を得る条件が増えたのです。
カードに書かれた条件を満たし、その枚数分の勝利点を得るカードや、「エリクシル」という魔法の妙薬を最も多く集めたプレイヤーが2勝利点を得るなど、本作の幻想的なカードの雰囲気をそのまま勝利に絡めてきたのです! 点数計算の際、ワイワイと盛りあがりますよ!

さあ、この悩ましいジレンマや戦略性を頭に入れつつ、いよいよゲームをプレイしてまいりましょう!

まずは開始プレイヤーを決める、競りを行います。
本作の醍醐味の一つで、シンプルですが特徴的なルールです。
全プレイヤーは自分の持つコインを、好きなだけ手に握りしめ、誰にも枚数が分からないよう、その手を前に出します。0枚でも構いません。
皆がコインを握った手を出し終えたら、一斉に公開して、いちばんコインの多い人が、開始プレイヤーの指名権を得ます。
そう、指名権です。自分でも良いし、他の誰かでも良いのです。もう駆け引きが始まっているのですね。
もし最も高いコインが同数なら、一番若い人が指名権を得ます。
指名権を得たプレイヤーのみ、コインをサプライに支払います。競りに負けたプレイヤーは、コインを自分の手元に戻します。
指名権を得たプレイヤーは、開始プレイヤーを指名します。そして開始プレイヤーから時計回りに、手番は回っていきます。
開始プレイヤーは最初に手番を行える有利を持ちますが、コインの保有枚数や場に並ぶカードによっては不利もあり得ます。
欲しいカードを獲得するコストを、ゲーム終了時まで視野に入れておかないといけない反面、最初のカード次第では大きな優位を得ます。
その駆け引きが、この競りと指名権に集約されているのです。

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開始プレイヤーが決まったら、いよいよ手番を行っていきます。
手番こそ、本作最大の魅力です。するべき事は、たった1つ。カードを1枚獲得し、その効果に従ってコマを動かすこと!
これだけで本格的な戦略ゲームを遊べるのがすごい点で、遊びやすく奥深く楽しいところなのです。
手番プレイヤーは場に並べられた6枚のクリーチャー/場所カードから、1枚を選び、カードコストカードに示されたコスト分のコインをサプライに支払って、そのカードを獲得します。
クリーチャー/場所カードは、上の枠に「名前」と「能力」が、下の枠に「アクション」が書かれています。
カードを獲得したら、その手番から「能力」は効果を発揮します。
そしてそのカードのアクションを直ちに行うのです。
クリーチャー/場所カードのアクションは、以下の4通りです。
複数のアクションが描かれていて、間が「+」なら、両方のアクションが行えます。「/」なら、どちらか片方を選びます。
またカードに描かれたアクションが行えない、あるいは望まない場合はカードを獲得するだけで、アクションを行わなくても大丈夫です。

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・新たな軍隊コマの配置
コマだけが描かれたアイコンで、そのコマの数だけ、開始地域か自分の都市コマのある地域に、好きな配分で軍隊コマを配置できます。

・軍隊コマの移動
コマと矢印が描かれたアイコンで、そのコマの数だけ、移動力を使えます。
好きな配分で軍隊コマを移動できますが、島々の間の「海上移動」では、1つのコマにつき3移動力が必要です。

・都市の建設
都市が描かれたアイコンで、都市1つを自分の軍隊コマがある地域に建設できます。同じ地域にいくつでも、何人でも建設することができます。
都市コマは移動できませんが、軍隊コマ1つと数えるので支配を強めるのにも有効です。

・軍隊コマの破壊
軍隊コマに斜線が引かれたアイコンで、自分の軍隊コマがある地域で、そのコマの数だけ、他のプレイヤーの軍隊コマを取りのぞきます。
自分の軍隊コマが無ければ、このアクションは行えません。都市コマしかない場合も無理です。
そして取りのぞかれたコマは、その持ち主のプレイヤーの予備に戻ります。

カードの上の枠には、「名前」と「能力」が描かれています。
名前は、能力の条件になっている場合があります。
そして能力は、以下の通りです。一度得た能力は獲得した瞬間から効果を発揮し続け、重複します。

・移動+1
「軍隊コマの移動」アクションと同じアイコンで、このアクションを行った時に効果を発揮し、移動力を1コマ分、追加します。

・軍隊+1
「新たな軍隊コマの配置」アクションと同じアイコンで、このアクションを行った時に効果を発揮し、追加で軍隊コマを1コマ配置できます。

・飛行
羽根の描かれたアイコンで、このアイコン1つにつき、海上移動にかかる移動力を、最低1まで1ずつ下げます。

・エリクシル
青い魔法の薬ビンが描かれたアイコンで、得点計算時に最も多くこのアイコンを持っていたプレイヤーが、2勝利点を得ます。最も多く獲得したプレイヤーが同数で複数の場合は、そのプレイヤー全員が1勝利点を得ます。

・コイン
コインが描かれたアイコンで、このアイコンのみ獲得時だけの効果となります。描かれたコインの数だけ、コインを獲得します。

・“○○”カードにつき+1VP
得点計算時に“○○”の文字が名前に含まれるカード1枚につき、1勝利点を得ます。

・カードのセットごとにVP
得点計算時に“○○”の文字が名前に含まれるカードが、指定された枚数1セットにつき、指定の勝利点を得ます。

・3コインにつき+1VP
得点計算時に持っているコイン3個につき、1勝利点を得ます。

・全ての攻撃は無効
この効果を持つプレイヤーは、「軍隊ゴマの破壊」アクションの対象に選べなくなります。

手番プレイヤーがカードを1枚獲得してアクションを実行したら、列のカードを左に詰めて、山札から新たなカードを1枚引き、列のいちばん右に置きます。そして次のプレイヤーの手番になります。
そして最後の手番プレイヤーが終了条件の枚数分、カードを獲得して手番を終えたらゲームは終了し、得点計算を行って勝者を決定するのです。
同点の場合は、持ってるコインが多い方のプレイヤーが勝者となり、それも同数ならゲームボード上の軍隊コマの多い方、それでも同点の場合は、より多くの地域を支配しているプレイヤーが勝者となります。

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本作でプレイヤーは行うのは、カードを1枚選んで獲得すること。
いたってシンプルな手番ですが、いつ、どのカードを選び、その「名前」と「能力」を集めて「アクション」を行うのか。ここに深い戦略性が込められています。
公開された6枚のカードとボード内外のコマの数、他のプレイヤーが持つカードという豊富な情報が、勝利の手がかりとなるでしょう。
新たに加わった「能力」が、前作以上にボード上を激しく変化させ、勝利点を得やすくしているのです。

ですがまだまだ「八分帝国」の「伝説」は、まだ基本ルール。
選択ルールで用いる内容物を、ご紹介します。

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・指導者カード4枚(拡張ルール用)
選択ルールでは、各プレイヤーが1枚ずつ持ちます。
それぞれ異なる効果を発揮し、指導者の得意がはっきりしています。
得意を活かすか、あえて別の狙いを企むか。ドラマチックな展開を生み出すカードです。

・要塞マーカー3個
ゲーム開始時に、ボードを準備するプレイヤーが1枚ずつ順番に、表向きでボード上に置いていきます。
ゲーム終了時、支配していて要塞マーカーがある地域3つごとに、追加の1勝利点を得ます。

・遭遇マーカー4個
ゲーム開始時に、ボードを準備するプレイヤーが1枚ずつ順番に、表向きでボード上に置いていきます。
置く数は任意です。
探検マーカー以上に獲得や活用が困難だが、有利な効果があるもの。あるいは不利をもたらすものがあります。

・探検マーカー5個
ゲーム開始時に、ボードを準備するプレイヤーが1枚ずつ順番に、表向きでボード上に置いていきます。
そして探検マーカーのある地域に、最初に都市を建てたプレイヤーが獲得します。
プレイヤーに有利な効果を与える、有利なマーカーです。

・瘴気の沼マーカー1個
瘴気の沼マーカー選択ルールで使用します。探検マーカーに混ぜて、全ての探検マーカーを裏向きに配置します。
ある地域を支配したプレイヤーは、その地域の探検マーカーの表面を密かに確認できます。
そして最初にその地域に都市を建てたプレイヤーが、探検マーカーを獲得して自分の手元に表向きに置きます。
瘴気の沼マーカーを獲得したプレイヤーは、得点計算時に1勝利点を失います!

他にも開始プレイヤーを決める競りや、ボードの置き方など、よりいっそう楽しめる選択ルールが用意されています。
さすがに8分では終わりそうにないですが、これほどお手軽に何度も遊べて、その度にがっつりと遊べる戦略ボードゲームは、そうそう無いでしょう!
より深くて重いヘビーゲームへの入り口であり、ボードゲームそのものの入門編として、初心者にもお勧めできる逸品。
それが「八分帝国:伝説」なのです!

それではまた、次の楽しいゲームでお会いしましょう!

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
ゲーム制作/シナリオライティングチーム「Team・Birth-tale」代表。
ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
専門学校講師「ゲームシナリオ」「ゲーム企画」など。
アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
テーブルトークロールプレイングゲームリプレイ小説
「神我狩リプレイ 四神凶歌譚」
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