ボードゲームレビュー第146回「クレイジー・カート」

「クレイジー・カート」(原題:crazy KARTS)
作者:Charles=Amir Perret
発売元:Portal Games/日本語翻訳:ホビージャパン
プレイ人数:3~8人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:約45~60分

 


<ご挨拶>
どうも、はじめての方、はじめまして。
おひさしぶりの方、おひさしぶりです、高円寺です。

またまたキウイゲームズ様のアナログゲームレビューを担当させていただくことになりました。

本日ご紹介するゲームはこちら、その名も『クレイジーレース』になります!

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「……店長?」

「はいはい、なんでしょう」

「いや、レースゲームって趣旨は理解できました。でも……」

「でも?」

「なんで一つのトロッコに”二人”乗ってるんですか?」

「そりゃ現実のラリーだって、ドライバーとナビゲーターの二人が乗るでしょ?」

「ええ、そうですね。それじゃあ……」

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「どうして手札隠すブラインドが二つあるんですか! 同じチームなら隠す必要ないでしょ!!」

「ふははははははははははは!!!!!」

うん、この辺りで理解しました、これはレースゲームじゃないって。

どう考えてもプレイヤーを事故らすゲームだって!!

<概要>
『クレイジー・カート』は各チーム2人ずつのプレイヤーがレーシングカートのドライバーとなり、カートレースのトップを目指して競争するゲームです。

チームは1人が前方ドライバー、もう一人が後方ドライバーになります。
各ドライバーは、加速、減速、方向転換など、カートの別々の機能を操作します。

勝利のためにはチームは息を合わせて運転する必要がありますが、
それを――相談なしでやらなくてはならないのです!

<スタートアップ>

1.まずスタートセレクションをテーブルに置きます。
(黄色のトロッコが乗っているスタート地点が描かれたボードがそれです)

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2.次にランダムにコースセレクションを2枚選び、それをスタートセレクションに接続してコースを作ります。

3.プレイヤーは2人ずつチームに分かれ、勢力を選択し、自陣のカートをスタートセレクションのスタートスペースに置きます。

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4.障害物をコースの上に指定されたスペースに置きます。

5.各プレイヤーに自陣の勢力カードのデッキを1つ、操縦パネルを1枚、プレイヤースクリーンを渡します。

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6.自分の操縦パネルに加速リアクションのあるプレイヤーは、スピードメーターとマーカーを受け取り、操作パネルの近くに置きます。

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7.自分の操縦パネルにチャージアクションのあるプレイヤーはパワーアップメーターとマーカーと受け取り、操縦パネルの近くに置きます。

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なおスピードメーター、パワーアップメーターは全てのプレイヤーに見えるように配置します。

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(※左がパワーアップメーター、右がスピードメーター)

9.パワーアップトークン、改造トークン、ダメージカードはそれぞれシャッフルし、裏向きの山にしてコースの近くに置き、ダメージ

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(※パワーアップトークン)

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(※改造トークン)

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(※ダメージカード)

セットアップは以上です。
全ての配置が完了した場合、下記のようになるはずです。

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<ゲームの進行>

――クレイジーなレースへようこそ――

このゲームは予選と本戦の2レースによって構成されるゲームです。

【予選レース】

・チームはポールポジションとスポンサーからの改造を目指して戦います。

【本戦レース】

・チームの優勝を目指して戦います。

おおまかに説明すると、各ラウンドで各プレイヤーは一斉にスクリーンの後ろでパネルにコストを割り振り、実行するアクションを選びます。

その後のレースは、スクリーンを外して全員の操縦パネルを公開し、より多くの数値を主導権に割り振ったチームから優先的にアクションを解決していくことになります。

非電源系のゲームに慣れた方では、これだけでもうおおよそのイメージが理解できたのではないでしょうか?

このレビューではもう少し詳しく説明します。

<計画フェイズ>

計画フェイズでは全てのプレイヤーが同時に実行します。

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各プレイヤーは現在のカートのスピードに合わせたコストカードを指定された枚数だけデッキから引きます。
初めはスピード0なので6枚全てになるはずです。

そしてスクリーンによって隠された操縦パネルのアクションの上にコストカードを好きに割り振ります。

1つのアクションに複数を割り振ってもいいですし、空のアクションがあっても構いません。

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そしてコストカードの割り振りが『最も早く終了したプレイヤー』が5からカウントダウンを開始。
カウントダウンが終了したら、各プレイヤーは全てのコストカードの割り振りを終了します。
もし、配置できなかったコストカードはそのフェイズでは破棄してください。

※ただ、実際にプレイした場合、カウント終了ギリギリの割り振りで「カウント終わったから有効、無効」の水かけ論が発生しがちです。なので初期はこのルールは適用しないほうがいいかもしれませんね。

<実行フェイズ>

スクリーンを取り除き、全てのプレイヤーの操縦パネルが公開されます。
そして最も主導権にコストを割り振っていたチームから以下の手順でアクションが消化されていきます。

【(1)主導権】実行の先攻と後攻を決定します。
【(2)特殊能力】各チームが選んだ陣営の、それぞれ特殊能力の発動。
【(3)パワーアップ】チャージによって獲得したパワーアップトークンを発動できます。
【(4)特殊装備】上級ゲームのみで使用するので今回は省略。
【(5)ブレーキ】カートのスピードを割り振ったコスト分だけ下げます。
【(6)アクセル】カートのスピードを割り振ったコスト分だけ上げます。

【移動】カートが向いている方向に向けて、現在のスピード分だけ自陣カートを進めます。

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※なおカートの方向はコースタイルに書かれているヘックスの辺の部分、
すなわち六角形のいずれかにだけ方向転換できませんので、ご注意を。

【(7)方向転換】カートの方向を一辺だけ転換させます。ただし、割り振ったコストカードの合計が
現在のカートのスピード値よりも大きくなければ方向転換できません。

【(8)射撃】  割り振ったコストカードの数値分の射程で相手チームのカートを砲撃できます。
ただし射撃が成功するかどうかはダメージカードのデッキの内容次第です。

【(9)チャージ】割り振ったコストカードの数値だけパワーアップに必要な力をチャージします。
【(10)修理】 割り振ったコストカードの数値だけ自陣カートのダメージを回復させます。

各チームはこれらの操作を行いながら障害物や壁に激突しながらゴールを目指してレースを繰り広げていくことになるのです!

<最後に>

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この『クレイジー・カート』、実際にご覧になって見ていかがでしたか?

ではここでこの『クレイジー・カート』の肝をお教えしましょう!

先ほどのアクション解決手順をよく見返してみてください。

『アクセル』や『ブレーキ』そして『移動』アクションよりも、『方向転換』が後発に処理されるでしょう? ここで『主導権』がものを言ってくるわけです。

相手チームよりも先に移動できた場合、自陣カートを――相手のカートにぶつけることができます。
すると相手チームのカートはぶつけてきたカートの方向へ、1マス強制的に移動させられることになります。

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もしそこに壁や障害物のカードがあったりしたら……?
壁はもちろんカートにダメージが入りますし、何より予定していた方向転換が狂わされます。
障害物に至っては、障害物の裏に悲惨なペナルティが記しているわけです。

「死ねやあああああああああああ!!!!」
「あああああ、岩の中に突っ込んだ! しかもペナルティ、結構デケェ!!」
「フフフ、ハハハ、ハーッハッハッハッ!!」

はい、もうお分かりですね?
このゲームのタイトルがなぜ『クレイジー』カートである理由を。

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レースに卑怯もへったくれもありません、結果が全てなのです。
貴方はレースの鬼となって、勝利のためにあらゆる手段を駆使し、障害を排除しなければ、
このゲームに勝利できないでしょう!

―――あ、ただし。

最初にちょこっとだけ書きましたが、このゲーム、チーム内での相談はできません。

ひょっとして最大の障害物は意外と身近なところにいるのかも……?

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
シュミレーションRPG「ベルウィックサーガ」
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
その他多数。