ボードゲームレビュー第155回「盗賊市場」

「盗賊市場」
作者:Dave Chalker
メーカー:アークライト
プレイ人数:3~5人
対象年齢:14才以上
プレイ時間:約30~50分

 


 

毎度どうもこんにちは。ライターの松風でございます。
もうぼちぼち本格的に防寒対策が必要な季節になってまいりました。
考えてみればもう12月ですもんね。
12月といえば何かとイベントなんかも多い季節です。
年の瀬に向けて皆さんのフトコロは暖まっているでしょうか?

え? いつも素寒貧ですって?
それじゃあ、周りから奪ってホクホクしちゃいましょう!
というわけで今回ご紹介するのは、盗賊の盗賊による盗賊のためのカードゲーム『盗賊市場』です。
前フリが強引なのはいつもの仕様です。

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さて、盗賊市場がどんなゲームかと云いますと、一言で言うとダイスを使ったオークション型のゲームに分類されるでしょう。
親になったプレイヤーが『盗品ダイス』と呼ばれる特殊なダイスを振り、出た目を使って各プレイヤーが場にある『市場カード』を獲得していきます。
様々な効果のある市場カードを駆使し、最も多くの悪名ポイントを稼いだプレイヤーの勝利となるのです。
これだけですと非常にシンプルなゲームに思えますが、実際はもうちょっと駆け引きの要素が加わって、盗賊らしい「奪って奪われて」の展開が繰り広げられる事となります。

ではまずセットアップから。
と言ってもこのゲーム、準備だけなら極シンプルになっています。
最初はまず『市場カード』で山札を作りましょう。
カードの裏面にはA~Cまでのアルファベットが書かれていますので、これら3種類のカードそれぞれをシャッフルして並べます。
その後、それぞれの山から決められた枚数だけカードを抜き取ってください。
抜かれたカードはその回のゲームでは使用しません。
このゲーム、一部にぶっ壊れ性能じゃないかってくらい強いカードがあったりもするのですが、それが毎回出てくるとは必ずしも決まっていない仕様になっているワケですね。
プレイに幅があっていいことだと思います。

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残った山札のうち、まずはAの山を5枚をめくって横に並べていきます。
これがプレイ開始時の『市場』になるというワケです。

適当な方法で親プレイヤーを決めたら、ゲームで使う分の『盗品ダイス』と『親マーカー』を親が受け取ります。
ちなみにダイスの数はプレイ人数によって変動します。

二種類ある『金貨トークン』と『悪評トークン』は、それぞれひとまとめにして手に取りやすい場所にでも置いておきましょう。
各プレイヤーが『金貨トークン』1枚と早見表を受け取ったらゲーム開始です。
ね? 簡単でしょう?

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さて、このゲームの各ラウンドは『盗品分配フェイズ』と『購入フェイズ』の2つのフェイズから成り立っています。
まず最初は『盗品分配フェイズ』です。
このフェイズでは、まず親プレイヤーが盗品ダイスを振り、その中に親マーカーを加えます。
これらの出目とマーカーが今回の『盗品』というわけですね。

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ではここで盗品ダイスの出目をご説明いたしましょう。
まずは赤(ルビー)、青(サファイヤ)、緑(エメラルド)、白(ダイヤモンド)の4種類の宝石。
これらは市場カードを獲得する時のコストになります。
黄色い袋の出目は『金貨袋』を表します。
獲得したこの出目の数だけ、ラウンド終了時に『金貨トークン』を受け取ることができます。
最後に紫の『仮面』。
これは『悪評』を表していて、金貨と同じくラウンド終了時に『悪評トークン』を出目の数だけ受け取ることができます。
悪評トークンは1枚につき、ゲーム終了時に『悪名ポイント』1点として換算します。
このゲームの目的はお金を稼ぐことではなく、『悪名ポイント』を最も多く集めることですので、紫は勝利に直結する出目だと言えるでしょう。

次に親から順に時計回りで自分の手番を実行していきます。
親は盗品の中から欲しい出目(と親マーカー)を『自分の分け前』としてゲットしてください。
何もかも全部いっぺんに取っても、もちろん構いません。

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次のプレイヤーは、場に残っている盗品から選んで取るか、他のプレイヤー(この場合親だけですが)から根こそぎ奪うかを選択します。
どっちにしろ、他のプレイヤーはこれに抵抗することはできません。
ただし、他のプレイヤーから根こそぎ奪った場合、最低でもダイス1個は場に返さなくてはいけません。
場に返されたダイスは振り直しになって、出目の内容が変わる可能性があります。
もう一つ、最低でも1個は自分が獲得できる盗品がなければ、相手から奪う事はできません。
つまり1個しかダイスを持っていないプレイヤーからはそれ以上奪えないというワケですね。
まぁ、1個だけ奪ったとしても、旨味もほぼないんですが。

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以降のプレイヤーも同じように場から取るか他人から奪うかの選択をしていきます。
これを『全員がなんらかの盗品を持っている状態』になるまで繰り返します。
ちなみに既に盗品を獲得しているプレイヤーの手番は飛ばされますのであしからず。

みんなが分け前にあずかる事ができたら、次の『購入フェイズ』に入ります。
ここでは「現在、親マーカーを持っているプレイヤー」から順に時計回りで市場カードを獲得していく事になります。
さきほど獲得したダイスの出目をコストにして、獲得できるカードを購入していきましょう。
カードの左端に描かれているアイコンの種類と数が、購入に必要なダイス目になります。
ちなみにフェイズ中に購入できるカードは1枚だけです。

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もしダイス目だけでコストが払いきれなかったら、金貨トークンを使ってコストを代用する事もできます。
つまり金貨は全ての出目として扱えるワケですので、かなり強いリソースだと言えるでしょう。
支払った金貨トークンは場にあるトークンの山に返します。

全員が1回ずつカードを購入したらこのフェイズも終了となり、最後にラウンド終了処理を行います。
コストが足りなくて何も購入できない時は容赦なくパスになってしまいますので、分配フェイズはよーく考えてダイスを取りましょう!

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さて、ラウンド終了処理では、黄色と紫の出目を獲得していたプレイヤーにそれぞれ金貨と悪評のトークンが与えられます。
そして全てのダイスを集めたら、市場カードを5枚になるよう補充してください。
もし、Aの山がなくなって市場カードが5枚に満たない場合は、Bの山から新たに5枚めくって市場を作ります。
この時、市場には5枚以上のカードが並ぶことになりますが、Aのカードは廃棄せず残り続けます。
同様にBが無くなったらCの山から市場を作りましょう。
Cの山が枯渇して、なおかつ市場が5枚に満たなかった場合、そこでゲーム終了です。

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ゲームがまだ終わらない場合、親マーカーを持つプレイヤーを親として新しいラウンドが始まります。

ゲーム終了条件が満たされたら、悪名の得点計算に入ります。
悪名ポイントが最も多かったプレイヤーの勝利です。
基本的には保有する『悪評トークン』の合計値だと思ってください。
この他にも、獲得した市場カードのうち左上に描かれた『子分アイコン』を最も多く持っていたプレイヤーに3ポイント、2番めに多かったプレイヤーに1ポイントの悪名が与えられます。

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さらに、保有する金貨が最も多かったプレイヤーにも3ポイント与えられます。

全部合計した結果、もし首位のプレイヤーが複数いた場合、悪評トークンの最も多い者が勝者となります。
それでも同位がいれば、親マーカーを持っている方の勝ちとなります。
なにげに重要ですね、親マーカー。

とまぁ、ルールとその運用は至極簡単なものになっているのですが、欲しいカードを確実にゲットする為に「どこまで欲張るか」の見極めが非常に重要なゲームになっています。
親はまず根こそぎ奪うのもアリですが、確実に後のプレイヤーに奪われてしまいます。
そこで欲しいダイス目だけを慎ましく獲得したとしても、同じくその出目を狙っている他のプレイヤーは見逃してくれません。
結果的に、奪い奪われしていく内に、気づけば場に返されたダイスのほうが美味しくなっている事もあり……。

「それじゃあ、今回はおとなしくこんだけで」(ごっそり)
「おいおい、それは見逃せんなぁ」(強奪)

といったやり取りが毎回生まれていく事でしょう。
人間の欲って際限がありませんね……。

テクニカルな話になりますが、市場カードは組み合わせによってかなり無茶苦茶なリソースを生み出すコンボを作り上げることもできます。
前述した「ぶっ壊れカード」はこうしたコンボを完成させたプレイヤーの勢いを加速させ、盤面の流れを決めてしまう事もありえます。
カードの効果をきちんと把握した上で始めるか、あるいは不慣れなうちはあらかじめ抜いてしまってもいいかもしれません。
個人的には『イカサマの秤』と『邪悪なサイフ(ブランド物)』あたりは壊れカードの双璧ではないかと思います。
とはいえ、カード効果によってコンボを生み出すのもこのゲームの醍醐味の一つですので、この辺りの判断は難しい所ですが。

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盗賊をモチーフに、人間の持つ「強欲」そのものをテーマにしたなかなか「イイ」ゲームに仕上がっていると思います。
やはりダイス目に一喜一憂しつつ、自分の利益を追求するためにどこまで突っ走れるか、といった要素はテッパンで面白いですね。
シャレの分かる仲間と、ちょっとイジワルな盛り上がりを楽しみたい時にはピッタリなゲームではないでしょうか。
ただまぁ、カードによってコンボ効果を組めてこそ面白いといった側面も強いので、右も左もわからない初心者に押し付けてはいけません(笑)
余裕と節度を保って、大いに悪辣なプレイに興じてみましょう!

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。