ボードゲームレビュー第156回「トゥーリアの踊る塔」

「トゥーリアの踊る塔」(原題:TOURIA)
作者:インカ&マルクス=ブラント、ミヒャエル=リーネック
メーカー:HUCH/日本語翻訳:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約60分

 


 

 

みなさん、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平と申します。
ボードゲームのプレイ経験は10作未満とビギナーですが、どうぞよろしくお願いします。

さて、クリスマスが目前に迫る今日この頃。寒さも厳しくなって、人肌恋しい季節ですよね~。
……あ、そこの人、「別に」とか言わないで(汗)
まあ、それはともかく、私が今回ご紹介するゲームは、『トゥーリアの踊る塔』です。

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【世界観】
このゲーム、王道ファンタジーな外装に反して、コンセプトが、なんと「婚活」です。
ちょっと前に『婚活刑事』なんてドラマもありましたが、このゲームの場合は「婚活騎士」といったところでしょうか?
花婿(花嫁)候補のプレイヤーたちは、王女(王子)と結婚するために各地を駆け回り、必要な「愛情」と「お金」を集めて、ゴールのお城へ向かいます。
でも呪われていると、お城には入れてもらえません。
……結婚って、なかなか大変ですね~。

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【ゲーム概要&目的】

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システムは、スゴロク系で、コマは1つ。つまり、婚活騎士たちは団体行動です。
あちこち移動してマスに止まり、そのマスのアクションをします。で、次の人の番、という流れ。
ちなみに、大枠はスゴロクでも、移動にはダイスもルーレットも使いません。
ここが、このゲームの独自ポイントなんですが、詳しくは後ほど。

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ゴール条件は通常、〈金貨×7以上〉〈ハート×7以上〉〈黒宝石×0〉の状態になること。
これを満たして宣言すれば、ゴールであるお城に移動できます。
なお、今回は短縮版ルールを適用して、金貨とハートは、5個ずつでOKにしました。

【トークン】
なかなか種類豊富です。ざっと、ご紹介します。

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・ハート:愛の証、です。

・金貨:マネーです。王への持参金になったりするそうで。

・剣
自分のターン開始時に使うと、塔1つの向きを1コマ分変えられます。……便利!
……よくわからない? では、のちほど詳しく。
他にも〈ドラゴン〉のマスで、ダイスを振りなおしたりできます。……これまた便利!

・宝石
赤青黄緑紫黒の6種類あります。
紫は特別で、使うと、自分が止まったマスのアクションを二回実行できます。
黒は呪われた宝石で、持っているとゴールできません。
なるべく取らないように移動しましょう。
取っちゃったときは、〈泉の妖精〉に浄化してもらうことになります。

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・秘薬
他プレイヤーがマスに止まった際、その人にあげることで、そのマスのアクションを自分も実行できます。
「宝石1つ出して金貨1枚もらう」といったアクションのときに、自分もそれほしい、といった具合で使います。

・兜飾り
ゴール条件を満たしたら、宣言と同時に、教会に掲げます。
手元を隠すスクリーンの柄と、同じ紋章のものを各自1つ持っておきます。

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・魔法アイテム
〈森の妖精〉のところでもらえる、特殊効果を持ったアイテムです。
「続けて2ターン行動できる」や「紫宝石として使用できる」などなど、ラッキーな効果がさまざまです。

【ゲームスタート】
「一番、結婚願望の強い人」が、スタートプレイヤーになります。
ホントにそういうルールです。
で、初期の手持ちトークンは〈金貨×3〉〈秘薬×1〉。
それと、スタートボーナスとして〈金貨×1〉or〈剣×1〉or〈宝石×1(紫以外)〉がもらえるんです……が。
一番手の人だけは、このスタートボーナスがもらえません。
ガッツクと良くないってことですかね。
結婚に前のめり過ぎるのも考えものだ、と。

ちなみに、私は幸い二番手だったので、便利そうな〈剣×1〉を選んでスタートしました。

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【ゲームの流れ1-踊る塔】
――さて、どう行動しようかな?
手番が回ってきたら、まず、マップの四方にそびえる塔を眺めます。
ここが例の、このゲーム独自のポイント。

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この塔、各面に目的地を表すイラストが描かれているんですが、自分から見える面にある4つだけが選択できる、という次第です。

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行動を選ぶと、塔を反時計回りに90°回転。タイトルにもあるように、塔が踊るわけですね。
これによって、次に自分が選択できる目的地が変わります。
そして同時に、他のプレイヤーが選べる目的地も変わる、という事実。……アメイジング!

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この写真の状態だと、選べる目的地は〈商人〉左上、〈泉の妖精〉右上、〈魔法使いの天文台〉左下、〈森の妖精〉右下、の4つです。
ちなみに、絵柄が被っていて3ヶ所しか選べない、なんて、ツいてないこともあります(汗)
行きたいマスの面がないときは……そうです、ここで剣が使えるわけです。
塔1つを90°動かして、行きたい面を自分に向けましょう。……やっぱり便利!

あと、ノーリスクで移動できるのは、3マスまで。それ以降は、1マスにつき金貨1枚、を払わないといけません。
何歩でも自由に移動できたら、どこへでも行けちゃいますからね。当然のリスクです。

【ゲームの流れ2-道中の宝石】

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マップ上には、目的地となる丸いマスの他に、六角形のマスがあります。
これは一歩に換算されますが、止まることのできない通過専用のマスです。
ここには、主に宝石が置いてあります。初期状態では2つずつ。

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「2つとも黒宝石」という状態は、設置しなおしになるので、ありませんが、「1つ黒宝石」という状態があります。
その場合は、通過する際「2個とも手元に」。
黒以外が2つのときは「どちらか1個を手元に」拾います。
マスに置いてある宝石が0になったら、すぐにストックから2個補充しましょう。

【ゲームの流れ3-マス目いろいろ】

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●刀鍛冶
剣を2個、手に入れる。

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●商人
表になっている〈商人の買取表〉3種のうちの1つを選択し、内容に応じて宝石を金貨に取り替えられる。

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●森の妖精
表になっている〈魔法のアイテム〉2種のうち、1つを手に入れられる。

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●泉の妖精
手持ちの黒宝石1つを、ゲームから取り除くことができる。

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●盗賊
ストックから黒以外の宝石をランダムに3つ引き、そのうち1つを手に入れる。

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●ドラゴン
ドラゴンとのバトル。色ダイスを振り、出た色の宝石を捨て札にできれば、ハートを1つGET。
黒が出れば、手持ちの黒宝石をドラゴンが持っていってくれる形になる。これがラッキーパターン。
出目が思わしくなければ、手持ちの剣1つを消費して、ダイスを振りなおすことができる。
剣がある限り何度でも可能。

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●金細工職人
宝石(黒以外)1つと、金貨1枚を交換できる。
同色の宝石(黒以外)2つを、ハート1つと交換できる。
同色の宝石(黒以外)3つを、ハート2つと交換できる。
(このとき、ある条件を満たせば、ハート3つGETの可能性も)

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●魔法使いの天文台
金貨1枚を消費して、どこでも好きなマスへ移動できる。
このマスでしか行けないマス〈魔法トーナメント会場〉というのもある。

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●魔法トーナメント会場
剣1つを消費して、ハート1つか金貨3枚を手に入れられる。

塔の面に描かれている目的地のマスは、だいたいこんな感じです。
要は、何を手に入れて何に変えるか、という点が戦い方の幅で、そのプランニングによって、プレイヤーごとに動きがまったく変わってきます。
私は主に、〈金細工職人〉と〈魔法トーナメント会場〉を使って動きました。
剣と宝石を、ハートと金貨に、変えるプランですね。

ちなみに今回のプレイで、私が最初に〈魔法トーナメント会場〉に行ったときは、他のプレイヤーがこぞって秘薬をくれて驚きました。
でもなるほど、〈魔法使いの天文台〉の金貨1枚のリスクなしで、素敵な効果を得られるわけですから、確かにここは秘薬の使いどころ。
でも私はそんなこと全然わかってなかったので、突然の秘薬インフレに戸惑ってしまいました。

【ゲームの流れ4-ゴール……かな?】

さて、めでたくゴール条件の〈ハート×5〉〈金貨×5〉〈黒宝石×0〉を満たしたら、それを宣言します。
スクリーンをはずして、それを証明し、ハートと金貨5枚は、ストックに戻します。
そして、教会に自分の紋章が入った兜飾りを掲げます。

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さあ、いよいよ結婚だ! ……と思いきや。
なんとまだ関門があるんです。

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宣言した人はここから「お城の扉を開けて王女(王子)を探す」、という行動に移ります。
扉は全部で9個なので、確率は1/9。
当たればめでたく、ご成婚。ゲーム勝利です。
一方はずれると、宝石を取られたり金貨をとられたり、いろいろ取られます。
でもこれ、別に払えなくてもいいんです。
ただ、払えれば、続けてもう一つ扉を開けることができる。
払えないときは、フィアンセに想いを馳せながら、静かに次の手番を待ちましょう。

他のプレイヤーは、これまでどおりの流れを繰り返して、お城を目指していきます。
もし一人目同様に条件を満たしたら、その人も扉開け作業に加わります。
最後の最後は、勘の勝負。……赤い糸の有無が試される、って感じでしょうか。

ちなみに、勘なんて嫌! っていう場合は、この扉開け作業なしでゲーム終了、という「電撃結婚」なんてルールもあります。

【まとめ】
さてさて、今回のプレイの結果ですが……。

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最初にお城へ入った人が、扉で何度もハズレを引いているうちに、二人目が追いついてきて、一発で王女の扉を開ける、という逆転劇。
まさに運命、って感じの引きでした。
恋愛は早い者勝ちとは限らない、と言わんばかりの結果です。
ちなみに、私は黒宝石の処理に手間取って、結局お城にも入れませんでした。無念です~。

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いかがだったでしょうか、今回の『トゥーリアの踊る塔』。
私としては、簡単なルールのわりに、行動を考える幅が広く、とても楽しめました。
プレイのキーポイントは、「黒宝石や移動超過の金貨払い、などのリスクをどこまで背負い込むか」かな、と個人的には感じました。

何種類かゲームをやるときには、場を温めるために、最初か二番目あたりにやるのが向いてそうです。
人の行動で塔の向きが変わっちゃって、「あ~、ちょっと~」なんてのもありますが、意図的に人の邪魔をするゲームではありませんし、短縮ルールなら1ゲーム1時間くらいで終わります。
『トゥーリアの踊る塔』、ぜひ皆さんもプレイしてみてください。

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
最近はゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、ビギナーらしく破天荒。
企みで一発逆転を狙うが、仕掛けるタイミングを逃して負けるのが基本。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説&映画)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)