ボードゲームレビュー第158回「ヴィアネビュラ」

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「ヴィアネビュラ」(原題:VIA NEBULA)
ゲームデザイン:MARTIN WALLACE/VINCENT JOUBERT
発売元:SPACECowboys/ジーピー
2016年9月発売
店頭販売価格 7800円
プレイ時間 約60分
プレイ人数 2人~4人
12才以上推奨

 


 

 

皆様、初めまして。もしくはお久しぶりです。
ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
今回もよろしくお願い致します。

今回ご紹介するのは、「ヴィアネビュラ」です。
本作は中世ファンタジー世界の「ネビュラの谷」で、資源を開発して建物の建設を競う開拓競争のゲームです。
ランダムに配置された土地の資源を開拓し、いち早く5つの建物を建設して、獲得した得点を競います。
こう聞くと、名作「カタンの開拓者たち」を思い出す方もおられるかと存じます。
最初は私も同じ印象を覚えましたが、本作はさらにゲーム進行が洗練され、多彩な手段で得点を得て、最後まで勝敗を競える独自の楽しみを備えています。
マーティン・ウォレス氏は2003年に「蒸気の時代」で、国際ゲーマーズ賞を受賞し、数々のゲームを発表されておられる熟練のゲームデザイナー。
常に新しい楽しみを、私たちにプレゼントしてくれるのです。

それではゲームの準備から、4人用のルールで説明させて頂きますね。
ヴィンセント・ジュベール氏が描かれた、ユーモラスでノスタルジックなヴィジュアルアートもお楽しみ下さい。

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まずはメインボードを広げましょう。カード置き場や地形が描かれたボードで、初心者用と熟練者用が表と裏に描かれています。

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資源を開拓できる「草原マス」、建物を建設できる「遺跡マス」、行く手を阻む「霧マス」や「化石の森マス」、魔物が潜む「立ち入り禁止マス」など、ネビュラの谷は人跡未踏の冒険の地です。

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次に資源コマを、ストックとしてメインボードの側に置きます。
資源は「木」「食料」「石」「粘土」「小麦」の5種類です。

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スタートプレイヤーをランダムに決め、「個人契約書カード」を良く混ぜ、各プレイヤーに2枚ずつ配ります。
「中立契約者カード」も良く混ぜて、メインボードの山札置き場に置き、上から4枚を表向きにして「契約者カード」置き場に置きます。
これらの「契約書カード」は条件を満たすと建物を建てて得点が得て、さらに描かれた効果も使用できる、まさに本作のキーカードです。どんどん獲得して達成しましょう。
そして「ゲーム終了カード」も、所定の置き場に配置します。終了条件である「5つの建物の建設」を最初に達成したプレイヤーが、この「ゲーム終了カード」の得点を獲得します。

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5枚の「特殊開拓コマ」からランダムに1つを箱に戻し、残り4つを通常の「開拓コマ」全てと一緒に良く混ぜて、裏向きにしてボード上の「草原マス」に1つずつ配置し、その後に表にします。
そして「特殊開拓コマ」のみ、描かれた「資源コマ」5つと交換して、中立の「開拓地」になります。

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この「開拓コマ」には資源と共に得点が描かれていて、獲得したプレイヤーは得点も得ます。うまく「開拓コマ」を取っていくのも、戦術の一つです。

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基本的に「開拓地」に置かれた「資源コマ」は誰でも得ることができ、「資源コマ」のない「開拓地」は「空いている草原マス」となり、誰でも「資源コマ」を運べます。

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各プレイヤーは好きな色を選んで、その色のギルドボードを取ってその上に同じ色の「建設地コマ」と「職人コマ」「建物コマ」を置きます。

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「建設地コマ」は2人プレイ時には六角形、3~4人プレイ時には半六角形を使用します。2人プレイ時には六角形のコマで「遺跡マス」を独占し、3~4人プレイ時には「遺跡マス」を半分ずつ2人で分け合えるのです。
そして3~4人プレイ時には、「職人コマ」1つを、箱に戻します。
最後に3つ重ねた「草原タイル」を、「探検家」の描かれた4箇所に配置して「タイル山」を作ります。残った「草原タイル」は、メインボードの側にストックとして置いておきましょう。この「草原タイル」は「霧マス」「化石の森マス」を探検し、「開拓地」を広げるために使用します。また「草原タイル」を使用すると現れる「探検家」は、プレイヤーのギルドに得点をもたらします。「ネビュラの谷」を探検した功績は、やはり重要な得点になるのでバリバリ探検していきましょう。
なおギルドボードには、余った「資源コマ」を置く「倉庫」も描かれています。「倉庫」に入った「資源コマ」は取り出すことができず、減点対象になります。なのできちんと資源を管理し、減点を防ぐのも大切です。

以上で準備完了です。
4人プレイ時以外のプレイ人数のルールが説明書の後半「ゲームの終了」の項目に描かれているのが、少し分かりにくいのですが、説明通りに準備すればさくさくと手早く進むのはうれしいですね。

ではゲームの流れを説明します。

スタートプレイヤーから時計回りに、自分の手番で6つのアクションから2つを実行します。
同じアクションを複数回、実行できますが2回分と数えるアクションもあるので、気をつけましょう。

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A:職人の配置
自分のギルドボードから「職人コマ」1つを、好きな「開拓コマ」に配置して取ります。
獲得した「開拓コマ」に描かれた種類と数の「資源コマ」を、そのマスに置きます。
「職人コマ」が置かれたマスは、そのプレイヤーの「開拓地」になります。
そして「開拓コマ」は裏向きで非公開にして、自分のギルドボードの側に置きます。
なお「職人コマ」がギルドボード上に無い場合、このアクションは行えません。
また「開拓コマ」のないマスに、「職人コマ」を配置することもできません。

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B:建設地の配置
自分のギルドボードから「建設地コマ」1つを、空いている「遺跡マス」に配置します。
3~4人プレイ時には「遺跡マス」1つに、「建設地コマ」か「建物コマ」を2つまで置けます。
同じプレイヤーが2つ配置しても良いですし、他のプレイヤーと1つずつ配置するしても大丈夫です。
2人プレイ時には「遺跡マス」1つに、「建設地コマ」か「建物コマ」は1つしか置けません。
なお建設可能な「建設地コマ」がギルドボード上に無い場合、このアクションは行えません。
またキルドボード上にある「建物コマ」より多くの「建設地コマ」を、配置することもできません。

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C:霧マスの探検
自分のギルドボードの最も左の「タイル山」の上から、「草原タイル」を1枚取り「霧マス」に置きます。
探検できる「霧マス」は、自分の「職人コマ」「建設地コマ」「建物コマ」と隣接している。
あるいは「資源コマ」「建設地コマ」がない「草原マス」と隣接している「霧マス」に限られます。
また自分のギルドボードに「草原タイル」が残ってない時、
ストックの「草原タイル」が残っていれば使用できます。

D:化石の森の探検(アクション2回分のコスト)
自分のギルドボードの最も左の「タイル山」の上から、
「草原タイル」を1枚取り「化石の森マス」に置きます。
探検できる「化石の森マス」は、自分の「職人コマ」「建設地コマ」「建物コマ」と隣接している。
あるいは「資源コマ」「建設地コマ」がない「草原マス」と隣接している「霧マス」に限られます。
また自分のギルドボードに「草原タイル」が残ってない時、
全体のストックの「草原タイル」が残っていれば使用できます。
なお、このアクションは2回分と数えます。なので通常はこのアクションのみで、手番が終了します。

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E:資源を1つを自分の建設地に運ぶ
いずれかの「開拓地」から「資源コマ」を1つ取り、自分の「建設地コマ」に運びます。
「開拓地」にある「資源コマ」の最後の1個が取られた場合、そこにある「職人コマ」は、
そのプレイヤーのギルドボードに戻されます。
そして「資源コマ」が無くなった「開拓地」は、「空いている草原マス」と見なされます。
「資源コマ」が取る「開拓地」は、誰かの「職人コマ」があっても無くても制限はありません。
他のプレイヤーの「建設地コマ」に「資源コマ」を運ぶ事もできませんし、
「建設地コマ」にある「資源コマ」を、他の「建設地コマ」に運べません。
また「建設地コマ」には、どの方向からでも「資源コマ」を運べます。

要するに、自由に選んだ「開拓地」から、「空いている草原マス」か「草原タイル」でつながる
自分の「建設地コマ」に、「資源コマ」1つを運べるのです。

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F:建物の建設
自分の手元かメインボードの「契約書カード」から1枚を選び、建物1つの建設を達成します。
「契約書カード」に描かれた「資源コマ」が全てある、「建設地コマ」1つが対象です。
メインボードの「契約書カード」を選んだ場合は、山札から「契約書カード」置き場に補充します。
建設したい「建設地コマ」を自分のギルドボードに戻し、代わりに「建物コマ」1つを置きます。

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「契約書カード」に描かれた分の「資源コマ」は、ストックに戻します。
余った「資源コマ」は、自分のギルドボードの「倉庫」に置きます。
望むなら、建設を達成した「契約書カード」の効果を使用します。

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「契約書カード」の効果は建設を達成した瞬間のみ、使用可能です。
「契約書カード」の内容とルールが矛盾する場合は、「契約書カード」の効果を優先します。
例えば「ゲーム終了時に」と描かれた効果は、ゲーム終了時にその効果のみ使用できます。
建設を達成した「契約書カード」は、自分のギルドボードの側に裏向きで置きます。

以上、上記の手番を時計回りに繰り返し、誰かが5つめの建物を建設した後、ゲームは終了します。
最初に5つめの建物を建設したプレイヤーは、「ゲーム終了カード」を受け取って手番を直ちに終えます。
その後、他のプレイヤーは時計回りに、最後の1手番を行います。
全員が最後の手番を終えたら、自分の「建設地コマ」または「開拓地」にある「資源コマ」を、
全て自分のギルドボードの「倉庫」に置きます。

そして最終得点計算を行います。

・「開拓コマ」の得点。
・建設を達成した「契約書カード」の得点。未達成の「契約書カード」は、数えません。
・探検家の得点。ギルドボードに現れた、探検家1人につき2点。
・「ゲーム終了カード」の2点。「ゲーム終了カード」を獲得したプレイヤーのみ。
・自分の「倉庫」にある「資源コマ」1つにつき、マイナス1点。

最終得点計算を終え、最も点数の高いプレイヤーが勝者です。
同点の場合は、「倉庫」内の「資源コマ」が少ないプレイヤーが勝利します。

「ヴィアネビュラ」を紹介させて頂きましたが、いかがだったでしょうか?
資源の移動ルートを確保し合う、変則的な陣取り合戦が特徴的に感じました。
またルールはシンプルながら、駆け引きの手段がたくさんあるのも面白いです。
資源を取るか取らないか、これだけでも自分や他のプレイヤーの有利不利につながるジレンマがあります。
一方で探検はルート確保のみならず、探検家の点数が大きいのも絶妙なバランスですね。
あらゆるリソースが有限なのに、活用できないと逆に減点なので、うまくやりくりしないと勝てない。
そして「契約書カード」の効果を、どう使うか。あるいは建設のみを優先するか。
これほど多彩な要素を、けして重いゲームにせずにワイワイと楽しく遊べる、優れた作品だと思います。
「本格的」なゲームを遊びたいときに、オススメの逸品です。

それではまた、次の楽しいゲームでお会いしましょう!

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
ゲーム制作/シナリオライティングチーム「Team・Birth-tale」代表。
ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
専門学校講師「ゲームシナリオ」「ゲーム企画」など。
アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
テーブルトークロールプレイングゲームリプレイ小説
「神我狩リプレイ 四神凶歌譚」
歴史シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」
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