ボードゲームレビュー第165回「神奈川沖浪裏」

「神奈川沖浪裏」(原題:KANAGAWA)
作者:Bruno Cathala/Charles Chevallier
メーカー:iello/日本語翻訳:ホビージャパン
プレイ人数 2~4人
推奨年齢 10才以上
プレイ時間 約45分

 


 

<ご挨拶>
どうも、はじめての方、はじめまして。
おひさしぶりの方、おひさしぶりです、高円寺です。

またまたキウイゲームズ様のアナログゲームレビューを、担当させていただくことになりました。

本日ご紹介するゲームはこちら、その名も『神奈川沖浪裏』になります!

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「……あれ、クニツィア先生?」

「残念、違います」

「違うんだ!?」

「たしかに『前例』はありますね」

「『パッチワーク京都』とか『お坊さん徳パワーで略奪』とか、お前は日本をなんだと思ってるの系」

「でもそれ言いだしたら確実に『お前が言うな』言われる国なんだよなぁ、日本……(遠い目)」

<概要>
時は1840年。江戸の大きな入り江の側にある神奈川で、葛飾北斎は弟子に絵画の技術を伝える学校を開くことにしました。
プレイヤーはこの”画狂老人”の賞賛に値することを証明したいと、他の誰よりも強く望んでいます。

自らの工房を拡大し、好みの主題(木、動物、人物、建物)の絵を書くために、師の教えに従いましょう!

さあ、神奈川沖浪漫の始まりです!!

<まずは学校で勉学に励みましょう>

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これは学校ボードと呼ばれるものです。

プレイヤーはプレイ人数に等しい枚数の授業カードを山札から引き、学校ボードの一段目に置きます。

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なお、色が赤く染められている場所は授業カードを裏向きに配置します。

さらにここでプレイヤーには二つの選択肢が与えられます。

それは【さらに知識を深めるか】【学んだことを実践するか】です。

【知識を深める場合】

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プレイヤーはさらなる授業カードが学校ボードに追加されるまで待つので、さらなるカードを得ることができるでしょう。
しかし、ふたたび自分の手番が来るまでに他のプレイヤーに欲しいカードを取られる危険があります。

【学んだことを実践する場合】

作業を行うにために十分なことを学んだと考え、プレイヤーは自分の工房に戻ります。

プレイヤーは希望の縦列を1つ選び、その列にある全ての授業カードを得ます。

こうして授業カードを取ったらプレイヤーは次の手番まで授業カードを得ることはありません。

さて、獲得した知識を元にプレイヤーは作業に移ります。
行える作業は【工房の改良】と【版画の作成】です。

【工房の改良】

さて、獲得した授業カードをよく見てください。

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左端に茶色い部分と、イラストによって構成されているのがおかわりでしょうか。

この左端の茶色い部分が工房パートになります。

工房を改良する場合、プレイヤーは授業カードを上下逆にして工房パートが正位置になるようにし、初期タイルの下半分の右側に差し込みます。

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こうして工房が改良されると、工房パートの効果はその場で発揮され、絵筆コマを増やしたりすることで、自分の希望する版画に取り組めるよう環境を整えるのです。

【版画の拡大】

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これが初期タイルと呼ばれるものですが、タイルの工房パートに『木』『海』『太陽』『山』が描かれた地形アイコンがあります。

プレイヤーは最初、この地形アイコンに沿った版画しか描く事ができません。

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しかし、このように工房を改良し、絵筆コマと地形アイコンの数と種類を増やすと―――。

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このように自分の希望する授業カードを、版画パートに配置することができ、版画を拡大することで更なる得点を狙えます。

<版画パートを拡大する意味>

上記のように版画パートを拡大するのは、このゲームに勝利するための大きな役割を果たします。

それが【同一の季節の並び】と【免状タイル】による勝利点の獲得です。

【同一の季節の並び】

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このプレイヤーの拡大された版画パートの、右上のアイコンに注目してください。

降雪、すなわち冬の季節のアイコンで統一されていますね。

このように版画パートが拡大された時、隣接する季節が同一のものだった場合、カード1枚につき勝利点が1点追加されます。

【免状タイル】

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このプレイヤーの拡大された版画パートを見てください。

建物の版画が2つ並んでいるのが見えます。
実はこれも勝利点を獲得するための手段なのです。

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これを免状タイルと呼びます。

つまり版画を拡大した時、建物や人物、動物など同一の主題を隣接して描き続きたプレイヤーは免状タイルを獲得することができます。

むろん、さらに高得点を狙うために希望の主題の授業カードを狙ってもいいのですが―――はい、当然ながら他のプレイヤーも同じことを狙ってきます。

ええ、どこで免状タイルを獲得するかは、他のプレイヤーとのチキンレースになります!

<最後に>

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この『神奈川沖浪裏』、実際にご覧になって見ていかがでしたか?

ではここで葛飾北斎の、あるエピソードをご紹介したいと思います。

――時は江戸時代。

11代将軍、徳川家斉は北斎の画力を聞きつけ、鷹狩の帰りに滞在した浅草伝法院に北斎他を呼び、画を描かせようとしたそうです。

これに応じた葛飾北斎は御前に進み出て、まず普通に山水花鳥を描きます。

次に長く繋いだ紙を横にして、刷毛で藍色を引きました。

そして持参した籠から鶏を取り出し、その足の裏に朱を塗って紙の上に放ち、鶏がつけた赤い足跡を紅葉に見立て

「竜田川でございます」

と言って拝礼して退出しました。

一同はこの斬新な趣向に驚嘆したと伝わっています。

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「ほう、そんなエピソードがあったとはな―――で、この無軌道で無駄に横にクッソ長いこれはなんだね?」

「KANAGAWAでございます」

 

おあとがよろしいようで――。

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
シュミレーションRPG「ベルウィックサーガ」
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
その他多数。