ボードゲームレビュー第166回「パフューマー」

「パフューマー」(原題:The Perfumer)
作者:高竹嵐(CHU-LAN KAO)
メーカー:BigFun
プレイ人数 2~5人
推奨年齢 10才以上
プレイ時間 約60-90分

 


 

 

みなさん三度目まして! 作家でフリーライターの新井淳平です。
冬も終わりに近づく昨今、いかがお過ごしでしょうか?
寒がりの私は、暖かい春の日の到来を、今か今かと心待ちにしていたりするんですが……花粉症でもあるため、今から花粉の到来に怯えてたりもして(汗)
……この気持ち、わかってくださる方もきっと多いはず。

さて、そんな今回は〈花粉がやってくる前にやらなければいけないゲーム〉をご紹介。善は急げ!

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その名も『The Perfumer(ザ・パフューマー)』。
パフューマーとは――某・女性3人組テクノユニットのオタクのこと……ではなくって、香りを作る人=「調香師」のことを言います。
パッケージタイトルの下に〈 A GAME OF REAL FREGRANCE 〉とあるとおり、このゲーム、実際に匂いを嗅いで香りを当てるゲームなんです。
だから当然、鼻が詰まってしまう花粉症の期間は遊べなくなってしまうので、ぜひ今のうちにプレイせねば!
……というわけで。

【ゲーム概要&目的】
調香師見習いのプレイヤーたちは、香水の原材料となる植物を求め、世界中の産地を旅して回ります。
そして、その材料を使って注文された香水を調合したり、その香水を並べてショップを開店したり。
はたまた、代々受け継がれる秘伝のレシピ通りの香水を調合したりして、得点=名声を獲得するのです。
なお、この秘伝香水の生成が「実際に匂いを嗅いで、何の香りか当てる」というポイントで、勝負の鍵を握っています。
目指すは、トップ・オブ・パフューマー! 業界NO.1調香師!

ちなみに遊び方には、1ラウンドで終わる〈見習いルール〉と、全2ラウンドの〈調香師ルール〉の2種類があります。
基本的なルールは同じなので、プレイの予定時間によって、どちらにするか決めましょう。

【コンポーネント紹介‐〈香りカード〉】
まずはなんといっても、このゲームの肝となるコンポーネント――〈香りカード〉。

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オモテ面には、植物の名前とイラストが描かれていて、裏の黄色い面には、実際に匂いのする「匂いチップ」が埋め込まれています。
カードの種類は、全部で7種。ゲームに使うのは1種につき2枚ずつの14枚ですが、箱には予備を含めて各種3枚ずつの、計21枚が封入されています。
ビニールパックには乾燥剤が入っていて、保存態勢ばっちり。およそ2年間もつそうです。一応、サポートとして「補充用パック」てのも販売されてるとか。
ちなみに、もし匂いが弱っているときは、黄色面を指の腹でやさしく撫でてあげると、香りが立ちます。……あんまり強くしちゃダメよ。

さて、実際に香りを嗅げる7種類の植物が、どんなものかというと。
オーソドックスなところでは【薔薇】や【ラベンダー】に【シナモン】。
微妙にわかりそうな気もする【ライム】と【蘭】と【杉】。
そしてトドメは、絶対なじみないだろ、って感じの【ラベンサラ】。
……ラベンサラって、私は完全に初耳だったんですが、調べてみたらアロマオイルとかによく使われる植物のようです。女性なら聞いたことあるかな?

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セッティングは、まず、この〈香りカード〉を各種1枚ずつビニールパックから取り出します。
次に、匂いのする黄色い面を上にして、7色のカードケースにランダムにセットします。黄色面が小窓から覗く形。
このとき、答えの描かれたオモテ面を見てしまわないよう、注意しましょう。
ちなみに、1種2枚ずつ使うとお伝えしたもう1枚ずつのほうは、後述する盤上の〈産地ボード〉というところにセットします。
これらと目隠しされたケースのカードとを嗅ぎ比べしつつ、 ゲームを通して「何色のケースに何のカードが入っているか」を当てる、という仕組みです。

【コンポーネント紹介‐その他もろもろ】
引き続き、コンポーネントをご紹介してまいります。……が。
……けっこう量が多いので、読むのが面倒臭いときは、この項は読み飛ばしちゃってください(笑)
伝えたいことの大半は、のちほど出てくる「ゲームの流れ‐筆者実践編」前後に詰まっております。

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こちらが盤面。中央の丸い〈メインボード〉に〈産地ボード〉をくっつけることで、うまいこと花状になってます。
〈メインボード〉にはマス目があって、真ん中が〈中央エリア〉。その周りをぐるっと囲む形で、アメリカ、スペイン、などの各産地に対応したマスが並んでいます。

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特殊効果を持つ〈助手タイル〉各種。一人1枚持ってスタートし、ラウンド中ずっと変わりません。
手番の逆順で選択していきます。つまり、スタートプレイヤーが最後に選択する形。
〈見習いルール〉で使う「レベル1」と、〈調香師ルール〉の2ラウンド目で使う「レベル2」が、それぞれ7種類ずつあります。

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香水の〈注文タイル〉。香水を作るのに必要な原材料(上部)と、達成時の得点(下部)が描かれています。
中には「もう一歩移動できる」などの達成ボーナス(中央帯部)が、付属しているものもあります。
難易度に応じてランク分けされていて、A=7点、B=5点、C=3点、となっております。
〈見習いルール〉ではBとCのタイル、〈調香師ルール〉では1ラウンド目はBC、2ラウンド目はAB、のタイルを使用します。

プレイ人数と選択したルールに応じた枚数のタイルを、裏向きで混ぜて山札にしておき、上から順に使っていきます。例えば、見習いルールで5人なら20枚。
山札から7枚を〈産地ボード〉の〈オーダーマス〉に、ランダムに1枚ずつ、オモテ向きで設置。達成・獲得されたら、その都度、新しく山札から補充します。
……〈注文タイル〉の山札がなくなったら、そこでゲーム終了ですよ。

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秘伝の〈レシピタイル〉。ランダムで1枚ずつ持ちます。こちらは、みんなで取り合う〈注文タイル〉と違って、プレイヤーごとの固有レシピです。
達成の難易度に応じた、5点、10点、15点、の3種類のレシピが描かれています。

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〈ラボボード〉と、7色の〈ピペット〉。〈ラボボード〉は一人1枚ずつ持って、真ん中に〈レシピタイル〉を設置して使用します。
〈ピペット〉は、7色1個ずつ持って、「何色のケースに何のカードが入っているか」の予想を示すのに使用します。
レシピに対応した位置に、コレと思う〈ピペット〉を設置しおえたら、瓶詰め=予想確定、させます。

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例えば、この写真。
レシピ表の5点の香水は、ラベンダーで作ることができます。
このプレイヤーは、カードとケースの匂いを嗅いでいった結果、紫ケースがラベンダーだ、と予想したわけですね。
そこで、紫のピペットを5点レシピの横に置いた、という次第です。
こうやって〈ラボボード〉に〈ピペット〉をセットしていきましょう。

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・プレイヤー駒&点数チップ(写真左上):それぞれ〈メインボード〉のマス目と得点トラックに置き、現在地と所有得点を示す。
・瓶詰めチップ(左下):秘伝レシピの香水を、瓶詰め=完成させる際に、〈レシピタイル〉の上に置く。一人3個ずつ持つ。
・原料チップ(右):各産地マスでGETできる。注文タイルの香水を完成させるため、各地を回ってコレを集める(プレイ人数+2個ずつ使用)。

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〈香水ショップトークン〉と〈研究トークン〉。説明は省略(爆)……いや、のちほどちゃんと説明します。

【ゲームの流れ‐基本編】
さあ、ここからが大事なゲームの流れです。
スタートプレイヤーについてはマニュアルに言及がないので、今回私たちはジャンケンで決めました。

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1、手番が来たら、まず持っている〈香りカード〉を〈産地ボード〉へ、〈カードケース〉を〈中央エリア〉へ、返します。
最初のターンは関係ありませんが、以降は上記を持って前ターンを終わっているはずなので、リセットするわけですね。

2、5AP(アクションポイント)を消費して、各種行動を行います。
ちなみに、APの次ターン持越しはできませんが、かといって、無理に5AP全部を使いきらなくてOKです。
……で、APを使ってできる行動は以下の6種類。順不同で、どれも1APを消費して行います。

・【駒の移動】……プレイヤー駒を、隣接するマスに移動させます。

・【原料の獲得】……現在いるマスに対応した産地の〈原料チップ〉を1つGET。〈ラボボード〉にストックします。
ストックは5つまでしかできないので、6個目を入手したらどれか1つは産地に返します。

・【注文の達成】……現在いるマスに対応した産地の〈注文タイル〉を達成します。必要とした〈原料チップ〉は、産地に返却。
達成したタイルは手元に置き、書かれた得点をGET。山札から、新しい〈注文タイル〉を場にセットします。

・【香水ショップの開店】……〈中央エリア〉にいるとき、〈香水ショップトークン〉を取って、ショップを開店します。
すでに誰かが開店済みのときは、その人から〈香水ショップトークン〉を奪い取る形になります。
開店=「所持している達成済み〈注文タイル〉を〈中央エリア〉に置く」ので、最低1枚は達成済みのタイルが必要です。
何枚置くかは任意で、5枚持っていても、置くのは4枚、という選択もあり。
なお、他の人の後に開店するときは、その人が中央エリアに置いている〈注文タイル〉の枚数を上回る枚数を置く必要があります。
ただし、この際、タイルの左下に描かれた「香水瓶」の絵が被っていてはいけません。
例えば、「赤・青・紫」の香水瓶が描かれたタイル3種で、誰かが開店していたとします。
ショップを奪うためには、色は問いませんが「赤・青・緑・黄」など、4種香水瓶のタイルを設置できなければダメ、ということ。
開店状態=〈香水ショップトークン〉を所持している人は、自分の手番終了時に、毎回2点をGETできます。
毎ターン2点は大きいので、がんばってショップ維持を心掛けましょう。

・【秘伝香水の瓶詰め】……〈ラボボード〉の上、秘伝の〈レシピタイル〉の横に、予想して置いた〈ピペット〉を確定させます。
例えば、「5点レシピ=ラベンダー」で「ラベンダー=紫ケース」と予想し、紫ピペットがそこに置いてあったとします。
コレで間違いない、と思えたら、そのレシピ上に〈瓶詰めチップ〉を置く。これで予想確定になるわけです。
瓶詰めしたら、もうそこの〈ピペット〉は動かせません。あとは、ゲームの最後の答え合わせを待つばかりナリ。
逆に言うと、瓶詰めしてない状態のものは、ゲーム終了時にピペットの予想が合っていても、得点にはならないので要注意。
ちなみに、早めに瓶詰めしたら、ボーナスで原料チップを1個GETできたりもします。

・【研究トークンを取る】……中央エリアにいるとき、そこにある〈研究トークン〉をGETします。
ターン終了時に返すのですが、その際、任意の〈香りカード〉か〈カードケース〉を1つGETできます。
このときの任意には、誰かが持っているものも含まれるので、「あれ嗅ぎたい」と思っていたものを絶対に嗅げます(笑)
しかもコレ、この後の手順で1枚ずつGETできる〈香りカード〉と〈カードケース〉の他に、もう1つGETできるわけで。
都合「3個を嗅ぎ比べできる」という状況を生み出します。香りの予想を推し進める際には、ぜひ活用を。

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3、ターン終了時、産地マスに止まっている場合、そこにある〈香りカード〉を取ります。
先に他のプレイヤーがその産地の〈香りカード〉を持っていっているときは、何も入手できません。

4、中央エリアにある〈カードケース〉のうち、1枚を取ります。
他のプレイヤーが先に持っていっているものは選択できません。〈研究トークン〉の効果以外では。

5、ターン終了後、他のプレイヤーが手順を行っている間に、手元の〈香りカード〉と〈カードケース〉の匂いを嗅ぎます。
これ、必須かつ必死です。手元の2つがぴったり同じ香りならさすがにわかると思いますが、なかなかそううまくはいかないもので(汗)
例えばここで、「ああ、紫ケースはラベンダーだな」と思ったら。
自分の〈ラボボード〉上の〈レシピタイル〉の、「ラベンダー」の横に「紫ピペット」を置いておく、というわけです。

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……このプレイ風景が、はたから見ると怪しいのなんのって。
いやまあ、みんなただ真剣に「くんくん」してるだけなんですけどね(笑)
しかし、マジに嗅ぎすぎて、だんだん鼻がバカになってくるんですよね~。あと、ラベンダーと薔薇が、どっちも芳香剤の匂いで、判別しづらい(泣)

ちなみに今回、若干1名、不運にも風邪をひいているプレイヤーがいました。
強制ハンデプレイ状態ではあるんですが、それでも戦いようはあるようで。
他プレイヤーの〈ラボボード〉の〈ピペット〉を見れば、あの人は紫がラベンダーと予想してて、こっちの人は紫は薔薇と予想してる、とか、情報が得られる。
自分の鼻で足りない部分は、その辺の情報を加味することで、なんとかなったりならなかったり……。

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【ゲームの流れ‐筆者実践編】
さてさて、基本はここまでに書いた通りなんですが、コレ、読むとけっこう複雑に感じますよね?
だからこの辺で、簡潔にまとめてみたいと思います。

■プレイヤーがやることは、大きく分けて2通り。
1、移動 → 原料チップ収集 → 注文タイル達成・獲得( → ショップ開店 )
2、各カードと各ケースを嗅ぐ → 予想してピペットを設置 → 瓶詰めして予想確定

■基本的には、「移動して素材を集め」、「注文を達成する」というオーソドックスなゲーム。

■ゲームの最中に得点を得る方法は、「注文達成(3点or5点or7点)」、「ショップ開店(毎ターン2点)」、のわずか2パターン。

■ゲームの最後に、全ケースをオープンにして、瓶詰めされた各自の予想の答え合わせをする。正解していれば、レシピに応じた得点をGET。
秘伝レシピは、5点、10点、15点、の3レシピがあるので、全部的中させれば、30点得られることになる。

まあ、ざっとこんな感じですね。う~ん、我ながら見事に簡潔(自画自賛おつ)
要は、行動して得点を稼ぎつつ、最後に備えて匂いの予想を進めていく、という流れですね。

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行動で得られる得点は、当然重要なんですが、さすが調香師がテーマのゲームだけあって、香りの嗅ぎ分けこそが肝です。
最後に物を言うのは嗅覚――勝つためには、鋭敏な嗅覚が欠かせません。

実際、今回の私たちのプレイでも、それが如実に現われました。
ゲームの最中では、私は5人中3位という負けっぷりだったのですが、最後の「香りの答え合わせ」で、まさかの全予想的中!!
いっきに30点をGETして、まさかの優勝となりました……ア、アメイジング!
ちなみに、この最後の答え合わせが盛り上がりの最高潮で、「自信があった人が全ハズレ」なんて、おいしい展開もあったりしました(笑)

なお、〈調香師ルール〉でプレイしている場合は、ここからさらに、もう1ラウンド。
山札、レシピ、助手、ケース、をリセットして、2ラウンド目に突入する、という具合です。

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【まとめ】
リアルフレグランスゲーム『 The Perfumer(ザ・パフューマー)』、いかがだったでしょうか?
私は今回プレイしてみて、「自分の舌はけっこうバカでも、鼻は案外信用できるんだなぁ」、ということがわかりました(笑)
そもそも普通に生活していても、自分の鼻が鋭いのか鈍いのかなんて、全然わからないもんなんですよね~。
匂いについて、ここまで真剣に考えたのなんて、人生初のことじゃないかなぁ……なかなか貴重な体験でした。

――みなさんもこの機会に、「腕試し」ならぬ「鼻試し」をしてみては?

といったところで、今回はここまで。
以上、新井淳平がお送りしました~。

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
別名義にて、ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ただしダイス運は、見事なまでにない。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)