ボードゲームレビュー第168回「ハイタイド」

「ハイタイド」(原題:HIGH TIDE)
作者:ディルク・ヘン
メーカー:クイーンゲームズ/日本語翻訳:メビウスゲームズ
プレイ人数:3~6人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約25分

 


 

どうも皆さまこんにちは。ライターの松風でございます。
3月になってぼちぼち暖かくなってくる頃合いですが、体感的にはまだまだ寒い日が続いてますね。
それよりも自分にとっては、花粉症で目がツラい時期です。

とまぁ、そんなどんよりした春先をすっ飛ばし、今回はゴキゲンな夏を先取りするゲームをご紹介。
タイトルは『ハイタイド』でございます。

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夏のビーチは海水浴客で大賑わい。
みんな少しでもいい場所にデッキチェアを設営しようと、こぞって波打ち際に陣取ります。
何と言っても、目の前に誰もいない方が、いい眺めを独り占めできるわけですからね!
しかしあんまり前に出すぎると、大きな波が来た時に飲み込まれてしまうかも……!?

眺めのいい場所は確保したいけれど、波をかぶってずぶ濡れになっちゃあ気分は台無しってモンです。
というわけで、このゲームは他人を出し抜いて、出来る限り海に近い場所へとチェアを置きに行くゲームとなっております。
つまり、やってることはプライドを賭けた波打ち際のチキンレース!

……今「ああ、バカゲーだ」って思いましたね?
まぁ、確かにテイストだけなら本当にバカゲーなんですが、プレイしてみるとこれが意外と熱いゲームなんですよ。

本作のデザイナー、ディルク・ヘンといえば『アルハンブラ』や『グラナダ』、『ローゼンケーニッヒ』あたりが有名でしょうか。
なんとなく歴史に題材を求めたゲームを作る作家のイメージがありましたが、こういったライトなノリのゲームも作るんですねー。

では早速セットアップから見ていきましょう。

まずゲームボードを広げたら、『デッキチェアレンタルタイル』を『ダイストラック』上の指定されたマスに置きます。
丁度チェアの看板が立ってるマスですね。

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次に各色のダイスをすべて付属の袋に入れます。(プレイ人数によってダイスの数は多少変動します)
そして『波タイル』をサイズ別に分けて、ボード脇に置いておきましょう。

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各プレイヤーは自分の色を選び、その色の『デッキチェア』コマ6つと『タオル』タイル、『日除け』マーカー、サンダル型の『得点マーカー』を各1つずつ受け取ります。
この内、『日除け』は自分の色を明示するためのマーカーですので、ゲーム中のギミックには特に使いません。

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『デッキチェア』コマをボード上に6色ある『海の家』マスに一つずつ置き、『得点マーカー』を『得点トラック』の最初のマスに配置しましょう。
それからプレイヤー全員の『タオル』タイルを裏向きによくシャッフルし、重ねたまま表向きにしてボード上の『タオル置き場』に置きます。
これにて準備は完了!
ライトなゲームらしく、セットアップもかなりシンプルですね。
ちなみに付属物は他にも色々ありますが、それらはオプションルール用のコマ類となってますので、基本ルールでは使いません。

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ここからが実際のプレイ手順です。

まずは先ほど配置した『タオル』の山を見ましょう。
一番上に置かれた色のプレイヤーが、スタートプレイヤーです。
以下、『タオル』が積まれた順に手番を行っていきます。

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手番になったプレイヤーは、『ダイストラック』の状況を見て自分の行動を決めます。
とはいえ一番最初は、ダイストラックにダイスはありません。
なので、まずは袋からダイスを2つ引いて、それを振ることになります。

さて、引いてきたダイスの出目を受け入れる場合。
ダイスの色に対応した海の家から、出目の数だけ自分の『デッキチェア』を海に向かって進めます。
両方のダイスが同じ色だったら、単純に出目を足した数だけ進める事ができます。

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進めたチェアは、移動先のマスのなるべく左端に置きましょう。
後続のプレイヤーが同じマスに進んだ場合、先に置いてあったチェアの右隣に置いていくことになります。
後で説明しますが、この位置取りにも充分意味があるのです。

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チェアを進めたら、プレイヤーは自分のタオルをダイストラックの手前から順に空いているマスに置き、使用したダイスは『ダイス置き場』に置かれます。

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もし、振ったダイスの出目が気に入らなかった場合。
まずはその2つのダイスを『ダイストラック』の上から順に、空いているマスに置いてください。
この時、ダイスは必ず「出目が大きい方が左」に置かれます。
出目が同じだった場合、ビーチの色順(黒から白へ)に並べましょう。

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それから新たに、袋からダイスを引き直すことができます。
ただし、もちろん無制限に振り直せるわけじゃありません。
『ダイストラック』の空きマスが『デッキチェアレンタルタイル』の手前かトラック最後のマスだった場合、振り直しは出来なくなります。
つまり初手だと2回までしか、振り直せないということですね。

振り直した結果を受け入れるかもう振り直せなくなったら、チェアを動かしタオルをトラックに置いて、次のプレイヤーに手番が移ります。

次のプレイヤーは、まず『デッキチェアレンタルタイル』を1マス分、下に移動させます。
もしトラックの一番下にマーカーが置かれていたら、それを取り除きボード脇に置いておきましょう。

それから『ダイストラック』に置かれたダイスのペアを使うか、自分で袋から引くかを選択することになります。
この時、トラックの一番最初のマスなら2つ、二番目のマスなら1つ、ダイスを振り直す事ができます!

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ただし、ダイストラックが全部埋まっていた場合、引き直しても置く場所がありませんので、必ずトラック上からどれか1組のダイスを選ばなくてはなりません。

全てのプレイヤーが手番を終了したら、『ダイストラック』上には全員分のタオルが並び、ダイスペア1組または空きマスが1つあるはずです。

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ではここからがお楽しみのラウンド終了フェイズ。
波が押し寄せ、海が段々と近づいてきます!

この時点で『ダイストラック』にダイスのペアがある場合、大きい『波タイル』を左側のダイスと同じ色のビーチに、小さい『波タイル』を右側のダイスと同じ色のビーチに置きましょう。
ダイスの色が同じだったら、もちろん両方のタイルをそのビーチに置く事になりますね!
もちろん、これらの『波タイル』は海側から順につなげていってください。

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『ダイストラック』にダイスが置かれてない場合は、最後に手番を行ったプレイヤーが袋からダイス2個を振って、沈むビーチを決める事になります。

それから次ラウンドの準備として全てのダイスを袋に戻し、『ダイストラック』上のタオルを最初のマスから順に『タオル置き場』に重ねていきます。
つまり手番が、さっきのラウンドとは逆順になるということですね。
そして『デッキチェアレンタルタイル』を、所定の場所に戻したら完了です。
あとは同様にラウンドを回していきましょう!

ゲームの終了条件は『6ラウンド経過』か、『誰かのチェアが波に飲まれる』ことです。
この「波に飲まれる」のは、ダイス目でチェアを移動させた時と『波タイル』が置かれる時、両方のタイミングで起こり得ます。
これが本当にシビアで、ルール上「選ばざるを得なかったダイスによって、うっかり波間に突撃死」があり得るのですよ!

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ゲームが終わると得点計算です。
勝利点配分はと言いますと、主に以下の3つの要素をカウントしていきます。

●デッキチェアが最も海に近いプレイヤーに4点
●二番目に海に近いプレイヤーに2点
●デッキチェアが海の家にあると1点

当然ながら最も走ったプレイヤーに高得点が与えられるのですが、走りすぎるとドボンするのがまさしくチキンレース!
ついでにここで注意が一つ。
実は同じマスに複数のチェアがある場合、より優位になるのは「右側に置かれたチェア」の方なのです!
つまり同じマスに止まったなら、後から追い上げたほうが有利なんですよね。
先行逃げ切りできるか後から刺すか、この辺の読み合いにダイス目が絡んで、毎回ハラハラドキドキできるって寸法ですよ!
おまけに中途半端に前に出るよりは、いっそ海の家から動かない方が得点になったりするので、どの色のビーチで走るか、どの色を切るかの判断まで迫られます。

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この他、5~6人でのプレイ時のみ、三番手のプレイヤーにも1点が入ります。

各色のビーチごとに得点を出し、それを合計したものが最終勝利点になります。
当然ながら最も勝利点の多かったプレイヤーの勝ちになりますが、同点だった場合は引き分けになるあたりは潔いですよね。

目の前に波が迫ってくるのが分かっていながら、「右側優先」のルールによって一歩でも前に出なければ勝てない……と思わされるあたり、なかなか人間心理を鋭く突いてくれます。
ダイス目によって展開がダイナミックに左右されるので、運の要素が若干強いのですが、ダイストラック周りのルールによって読み合いと戦術の入る余地が生まれているのが面白いですね。
どのダイスを最後に残すかはラウンド最後のプレイヤーが決められるので、ある程度は意図的に潰すビーチを操れるというのも何げにヒドいルールです(笑)。

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ちなみにオプションルールを使えば、サメが出たりもします!
これは『サメタイル』というものをめくっていって、そこに記された色のビーチで最も海に近いチェアが『警報タイル』の数字分だけバックさせられるというもの。
他にもいくつかオプションルールがありますので、慣れてきたらこういったルールで変化をつけていく事ができます。
個人的には、ゲームがガラッと変わるサーファー(ランダムで配られたタイルに記された色のビーチで真っ先に波に入れたら得点になる)なんかがオススメかも。

チキンレースと言いつつ、勝負するか降りるかの単純な二択で収まらないあたりは、さすがベテランデザイナーの作だなぁと思わされます。
ゲーム自体がサクサク進むのでプレイ時間も短く、おまけに突然終わってしまう可能性もありますので、プレイにはかなりの大胆さと、わずかな慎重さが必要になるでしょう。
手軽にプレイできて、なおかつ熱く盛り上がれること請け合いですよ!
さあ、あなたも暑い夏に想いを馳せながら、波打ち際まで突っ走ってみませんか!?

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。