ボードゲームレビュー第169回「リッチモンド貴婦人」

「リッチモンド貴婦人」(原題:Lady Richmond)
作者:ティム・ロガシュ
メーカー:HABA/日本語翻訳:すごろくや
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約30分

 


「給料日はまだかーっ!!」
……はっ! スミマセン、取り乱しました。
うぉっほん。……改めまして。
みなさん四度目まして! 作家でフリーライターの新井淳平です。

各地の桜も咲きはじめた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
気候もだいぶ暖かくなってきましたね~。
だがしかし。
お財布はまだ冬なんだよな~、なんてことないですか?
私はあります!(……声張るとこじゃない)

というわけで今回は、お金の使い方が大切なゲーム、をご紹介したいと思います。

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その名も「リッチモンド貴婦人」。
……いやぁ、パッケージには、懐の心配とは無縁そうな人々が描かれてますねぇ。
さて、我ながら先ほどからゲスいくらいに、金、金、と言ってきましたが、このゲーム、実際は「競売」のゲームです。
このタイトルでなぜ、競売ゲームになるのかと言うと――。

【世界観&ゲームの目的】
老年だったリッチモンド貴婦人が、莫大な遺産を残して亡くなった。ところが、遺言書は存在しない。
そこで、彼女に身近だった人物たちは、互いに遺産相続の権利を主張。でもどっこい、それで折り合いがつくはずもない。
そんなわけで、顧問弁護士で遺産管理人のハームズワース氏は、彼女の遺品の数々を近縁者の中でオークションにかけることにしたのだった。
……と、あらすじはこんなところ(なるほど、そういうことだったのね)。

みんな仲良く話し合いでポジピース! ……ってなればいいのに、遺産相続となるとやっぱりそうはいかないもんなんですね~。
いやまあ、そうなったら、ゲームにならないんですけどね(汗)。

おっと早くも脱線、失礼。では話を戻しまして。

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遺品は、高価な物からガラクタまで、さまざま。
「宝石」や「車」から、「飼い犬」や「入れ歯」に至るまで、実に多種多様です。
ちなみに、これらの描かれたカードは〈物品カード〉と呼び、裏面には封筒が描かれています。

プレイヤーはもちろん、亡き貴婦人の近縁者の一人となって、オークションに参加する形。
そして、なるべく価値のある物は自分で落札し、ガラクタは人に落札させる、というのが目的。
落札した遺品たち=GETした〈物品カード〉、に書かれた得点=価値、の合計が、最も高いプレイヤーが優勝となります。
なお、カードの中には、〈物品カード〉と裏面は同じだけれど、得点ではなく、特殊なイベントが描かれている〈競売人カード〉も存在します。
ゲームは、〈物品カード〉37枚+〈競売人カード〉12枚=全49枚の山札が尽き、場のカードもすべてなくなったとき、終了となります。

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【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
まずは、こちらの青い円形のボードが、盤面となるオークション台。
この上に、山札から引いたカード7枚を、裏向きのまま並べた状態で、ゲームはスタートします。
真ん中に置いた赤いのは〈オークションブロック〉。これを取った人から、入札が始まります。

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プレイヤーは各自、コインを10枚ずつと、使用するキャラクターの〈イカサマタイル〉3種、を持ちます。
〈イカサマタイル〉の詳細は、のちほど説明しますね。
ちなみにゲーム中、手持ちのコインの枚数は、非公開推奨。
……自分の懐事情を人に知られていいことはないですからね(苦笑)。

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落札した際にお金を入れる〈金庫〉を用意したら、準備は完了。
さっそくプレイしていきましょう。

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【ゲームの流れ‐1】
スタートプレイヤーは「一番年上の人」です。場のカードのうち、1枚好きなカードをめくってください。
なお、各プレイヤーは手番が来たらカードを1枚ずつめくっていくのですが、めくるカードはこの1枚目から時計回りと決まっています。

さて、カードをめくって〈物品カード〉が出たら、プレイヤーは各自、要るか要らないかを考えます。
欲しい! と思った人は、素早く〈オークションブロック〉を取りましょう。
ただし、ここで重要なのが、「オークションの落札対象になるのは、表向きのカードすべて」ということ。
つまり最高で、7枚同時に落札ができるわけです。

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だから、例え1枚目に最高点の「6」が出たとしても、その1枚だけにお金を払うのは、ちょっと気が早いかも。
誰かがブロックを取れば入札が始まりますが、もし、誰も取らなかった場合、手番は次のプレイヤーに。
そして、また1枚カードがオープンされます。
ここでブロックを取れば、2枚いっきにGETのチャンス、というわけ。
2枚目が仮に「3」だったなら、落札すれば「6+3=9点」も、いっきにGETできます。
ただ、カードの中には、マイナスの点数があることもお忘れなく。
2枚目が「-3」だったら、落札しても「6-3=3点」となってしまいます。
こうなるくらいなら、1枚目の6点だけで落札したほうが良かった、なんてことも。
……どこまで待ってブロックを取りにいくか。プレイヤーごとに考えが分かれるところですね。

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どんどんカードをめくっていき、誰かが〈オークションブロック〉を取ったら、いよいよ入札開始です。
まずは取った人が、競売のスタート額を決めます。
つまり、現在オープンになっているカードをGETするために、自分は何枚コインを払うか。
手元から、提示額の枚数コインを前に出して、宣言しましょう。
次の番の人は、更に上の額を提示するか、もしくは落札を諦め、「パス」と宣言しましょう。
こうして、順番に次々入札を行っていき、誰も値段を上げなくなったら、競売終了。
最高額をつけた人は、落札額分のコインを金庫に支払って、オープンになっていたカードをすべて手に入れます。
GETしたカードは、得点が見えないように隠しておきましょう。
ちなみに、落札できなかった人たちは、提示したコインは支払わず、手元に戻します。
……ペニーとは違うのだよ、ペニーとは。

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落札が終わったら〈オークションブロック〉を中央に戻して、また元通り、カードをめくっていく流れに戻ります。
このとき、場にまだ裏向きのカードがあれば、山札からカードの補充は行いません。
カードの補充は、「場のカードがなくなる」か「場のカードが全部オープンになっても誰もブロックを取らないとき」のみです。
ちなみにコインも、もちろん補充はしませんよ。

【ゲームの流れ‐2】
こうして、めくったり競売したりを続けていくわけですが、ときには、めくったカードが〈競売人カード〉の場合があります。
……オーソドックスなゲームの流れに、緩急をつけてくれる〈競売人カード〉。
その内容が、こちらの5種類!

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左上から右下に向かって、順にご説明します。

●表向きのカード一掃……オープンされているカードをすべて捨て札にする。

●用足し……なんの意味も効果もないカード。いわばフェイクですね。

●全カード一掃……裏表関係なく、場のカードをすべて捨て札にする。

●大売出し……裏表関係なく、場のカードすべてが落札対象になる。
これが出たら、大量得点GETのチャンス。絶対に誰かが〈オークションブロック〉を取る流れです。

●給料日……全員、手持ちのコインを10枚にする。例外的に11枚持っていた人も、10枚に。

この中でも、特に重要なのが〈給料日〉。
こいつが出た瞬間が「悲喜交々」というか、悲喜それぞれで、まー盛り上がります!
……人それぞれ、給料日に喜んだりヘコんだりする……なんとリアルな……(唖然)。
あ、いやまあ、それはいいとして。

落札を繰り返すうちに手持ちのコインは減っていくわけですが、コインの補充ができるのは、このカードが出たときだけ。
調子に乗ってどんどん落札していると、手持ちコインが尽きて、「給料はまだかーっ!!」なんて事態に陥るわけです(汗)。
ただ、ケチりすぎても、それはそれで問題。
手持ちコインが「9」だと、せっかくの給料日に「1」しか増えないわけですから。
なるべく給料日の直前に、手持ち「0」にしておくのがベストです。
……落札は計画的に。
いや、まあ、いつ〈給料日〉が出るかわからないので、なかなか計画も立てられないんですけどね(爆)。

さあ、そして。
ここへきて、さらにゲームをおもしろくするのが〈イカサマタイル〉です。

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3種類あり、内容は左から順に以下の通り。

●拝借……他のプレイヤーの手持ちのコイン1枚を取って、自分のものにする。
もし相手に手持ちがなければ、失敗。

●盗み見る……場の裏向きになっているカードのうち、好きな2枚の内容を、自分だけ確認できる。

●取替え……すでに持っているカードのうち、任意の1枚を、場のカード1枚と交換する。
場に置くカードは、場のカードが表向きなら表向きに、裏向きなら裏向きに、置く。

〈イカサマタイル〉を使えるのは、オークション中の自分の手番――入札やパスをする前のタイミングです。
ちなみにどのタイルも、使えるのはゲーム中に一回ずつで、使ったらタイルを裏向きにします。

活用としては、例えば〈拝借〉を使えば、手持ちコインを最大11枚にすることができます。
今回、私たちがプレイしたときには、〈大売出し〉で場の全カードが落札対象になった際に、これを使って、11枚入札をした人がいました。
そうなるともう誰も値を上げられないので、確実に落札できます。
……私がやろうとした矢先に、私の手持ちから1枚拝借されたので、悔しかったです(泣)。

〈盗み見る〉は、これで〈給料日〉の位置を把握できると、特に有効です。
〈給料日〉までに、きっかり手持ちコインを使いきって、いっきに10枚コインを補充できるわけですから。

〈取替え〉は、自分の落札が絶望的なとき、「場の高得点カード」を「手持ちのマイナス点カード」と替えるのが有用です。
そうすれば、高い金出して「6」をGETしようとしていた人に「-3」を食らわせることもできる。
自分のマイナスを無くせるうえに、人にマイナスを押しつけられるなんて……アメイジング!
……実は、この〈取替え〉には、もうひとつすごい活用法があるのですが、それはぜひ皆さんで実際にプレイして考えてみてください♪

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【ゲームの終了&まとめ】
山札も場のカードもなくなったら、ゲームは終了。点数計算に入ります。
もし、合計点が同点のプレイヤーがいた場合は、同じ数字のカードを何枚持っているかで、勝敗を決します。
GETしたカードに、かたや「3点が3枚」、かたや「2点が4枚」含まれているとしたら、後者が勝ち、というわけです。
ちなみに、カード全体では「1点×10枚」「2点×8枚」といった具合に、得点の低いカードほど枚数が多く存在しています。
なので、低い点数でコツコツ集めた人が、実は勝てたりもするのです。
……ま、私は高得点のカードだけ狙って落札して、見事に負けた口なんですがね……ふっ。

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さて、今回の「リッチモンド貴婦人」、いかがだったでしょうか?
ルールはシンプルですが、鋭い読みや思考が求められる奥深さがあり、やり応え抜群です。
また、〈給料日〉を始めとする〈競売人カード〉の出るタイミングによって、だいぶゲームの流れが変化します。
今回、私たちは時間がなくて何回もプレイはできませんでしたが、これはぜひ繰り返しプレイしたいゲームです。
――皆さんも「リッチモンド貴婦人」をやりこんで、上手なお金の使い方をマスターしちゃいませんか?

と、いったところで、今回はここまで。
以上、新井淳平がお送りしました。ではまた~。

 

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
別名義にて、ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ただしダイス運は、見事なまでにない。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)