ボードゲームレビュー第177回「マジックメイズ」

「マジックメイズ」
作者:Kasper Lapp
メーカー:ヘムズユニバーサルゲームズ
プレイ人数:1~8人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:約15分

 


 

みなさん七度目まして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
さて早速ですが、今回私がご紹介するアナログゲームは、こちら!

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『マジックメイズ』。
かの有名な「ドイツ年間ゲーム大賞」、今年の選考にノミネートされている作品のひとつです。
あちこちから好評の声が上がっているようなので、もう存在は皆さんのお耳にも届いているかもしれませんね。
でも――具体的にどんなゲームなんだろう?
まだそう思ってらっしゃる方も多いはず。
そこで、私の出番です、ハイ。
ではでは、その内容についてお話してまいりましょう。

【ゲーム概要&目的】
プレイヤーたちは、全装備品を奪われてしまったヒーロー(冒険者)です。……って、何があったよオイ(゜□゜;
とにかく、このままでは次の冒険に出ることができません。
そこで彼らが思い立ったのが、近くのショッピングモールでアイテムを盗むことです。
……待て待てぃ! しょっぴんぐもーる、て現代的やなぁ。……いや、そっちちゃう。ヒーローが盗みてアカンやろっ!
と、まぁ、そこはゲームなんで(汗)
とにかく。
力を合わせてアイテムを盗み、警備を掻い潜って、時間内にショッピングモールから脱出する。
これがゲームの目的になります。
プレイヤーはみんな仲間。全員勝つか、全員負けるか、という平和的でポジピースな内容。
……よし、Let’s 協力プレイ!

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【ゲーム準備&コンポーネント紹介】

コンポーネント、まずはこちら〈砂時計〉。砂が落ちきるまで3分間あります。
ゲーム開始時にひっくり返してカウントをスタート。モール脱出前に砂が落ちきってしまったら、ミッション失敗です。
ただし、モール内には「砂時計マーク」の床があり、そこに乗ることで砂時計をひっくり返すことができます。
1箇所につき1回だけ、ではありますが(汗)
これをうまく使って、砂が落ちきる前にアイテムをゲットし、全員脱出できたらミッション成功。
……俺たちは人生の勝利者だ~。

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続いて〈モールタイル〉。これがショッピングモールの店内、ゲームの盤面になります。
全部で24枚あり、スタート時点の1枚は決まっています。真ん中の4マスに駒を置いてスタート。
残りのタイルは、裏向きで山札にしておきます。

ちなみに、このゲームにはプレイルールが複数レベル「〈シナリオ1〉~〈シナリオ17〉」用意されています。
どれで遊ぶかによって、使うタイルの種類と枚数が変わります。……詳しくはマニュアルを見てね。
今回、私たち4人は一番オーソドックスなルールの「シナリオ2」でプレイしました。

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こちらは〈ヒーロー駒〉。
4種類あって、緑:エルフ、紫:魔法使い、橙:ドワーフ、黄:バーバリアン、です。
ただ、ここで注意したいのは「プレイヤーに割り振られるのは駒ではない」ということ。
どの駒も、全プレイヤーが動かすことができます。
このゲームでプレイヤーに割り振られるのは、駒ではなく「アクション」のほうなんです。

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これがプレイヤーに割り振られる〈アクションタイル〉。
ゲーム開始時にランダムに配り、担当するアクションを決めます。

写真左上:北へ移動。何マスでも移動させられます。ただし壁を擦り抜けたり、駒と駒がすれ違うことはできません。

同右上:西へ移動&ワープ。移動のルールは、方角が違うだけで「北」と同じです。
ワープは、駒をいつでも、モール上にある「駒と同色の〈ワープマス〉」に移動させることができます。

同左下:南へ移動&探索。移動は同様。
探索は、駒がモール上の「駒と同色の〈探索マス〉」にいるとき、その先に新しい〈モールタイル〉を継ぎ足すことができます。
いわば、山札を引いて次に進むマップを広げる担当。これは重要かつ必要不可欠なアクションです。

同右下:東へ移動&エスカレーター。移動は同様。
エスカレーターは、駒が〈エスカレーターマス〉にいるとき、その先に移動させることができます。

この4枚が基本。アクションタイルは他にもいろいろあって、プレイ人数やシナリオによって、どれを使うかが決まっています。
なお、タイルに割り振られたアクションは、ゲーム中いつでも実行できます。
つまり、このゲームにターンはなく、プレイヤー全員が同時進行でプレイしていく、ということ。

あ、ちなみに「アイテムを盗む」はアクションではありません。
駒を同色のアイテムマスに乗せることで、自動的にアイテムを盗んだことになります。
4つの駒を同時に各アイテムマスに乗せる。これが、まず目指す状況。
これを達成したら、今度は脱出。
……一目散に逃げろ! 脱兎の如く! 一陣の風のように!

とまぁ、それはよしとして。
「同時進行」の他に、このゲームにはもうひとつ、重要なポイントがあります。
ゲーム中、プレイヤーたちは会話ができません。身振り手振りでの意思疎通もダメ。
ただし、砂時計をひっくり返してから何かアクションを行うまでの間だけは、会話とジェスチャーが可能です。
まあ時間は常に進むんで、のんびり相談してないで早く動き出さないといけないんですけどね(汗)
(体験版ルールの「シナリオ1」は、常時会話&ジェスチャーOK、になっています)

さて、意思相通ができないで、どうプレイすればいいのかというと。

じゃあ、例えばこんなとき。
自分が北移動のアクション担当で、黄駒を北へ4歩動かした。でも次に1歩西に移動しないとこれ以上進めない。
もちろん自分にできるのは北移動だけなので、このままでは黄駒を動かせません。
なのに、西移動を担当しているプレイヤーが、黄駒を動かすべき場面だと気づいてくれない。
砂時計の砂は刻一刻と落ちていく。
そんなときは……コレ!

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〈「気づいて!」トークン〉の登場です。
これは、ゲーム開始時に卓の中央に置いておきます。
そして「今こそキミの出番だ!気づいて!」というとき、気づいてほしいプレイヤーの前に置く。
置く行為自体は、いつ誰が行っても構いません。

さて、先ほどの例えで言うと。
北移動アクションの自分は、このトークンを取り、西移動担当のプレイヤーの前に置きます。
すると相手は「えっ、今オレなんかやらなきゃいけないことがあるの!?」と、盤面を注意深く見つめ直してくれます。
そして「あ、そうか、黄駒が西へ動かせる!」と気づき、動かしてくれる。
そこで自分は、さらに黄駒を北に動かす、という感じ。
これで膠着状態を解消できます。

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あと、残るコンポーネントは〈使用済みトークン〉。
〈モールタイル〉上の「砂時計マス」は、先ほど説明したとおり、1箇所につき1回しか使えません。
なので、使った後はこの〈使用済みトークン〉をマスの上に置いておきます。

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最後に〈盗み/脱出トークン〉。裏表になっています。
卓上に置いて、今プレイヤーたちが盗むことを目指しているのか、脱出を目指しているのか、を示します。
まずは「盗む面」で置いておき、全駒がアイテムマスに乗ったところで、「脱出面」に裏返す。
無事に脱出した駒は、このトークン上に乗せていきます。4人そろったら脱出完了。
なお、脱出ミッション中は、ワープができなくなるので注意しましょう。
……いまどきの警備システムを侮ってはいけないのだ。

 

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【ゲームの流れ】
さて、ここまで細かくコンポーネントを紹介してきましたが、ゲーム自体は簡単です。

・砂時計をひっくり返してゲームスタート。
・各自、自分の担当アクションで動かせる駒を、どんどん動かしていく。
・「探索マス」へ駒を動かして、盤面のモールタイルを増やしていく。
・モールタイル上に「アイテムマス」が4色出揃ったら、各色の駒を全部、対応する色の「アイテムマス」に移動させる。
・全駒が対応するアイテムマスに乗ったら、盗み完了。〈盗み/脱出トークン〉を裏返して、ここから脱出ミッションスタート。
・全駒を、モールタイル上の対応する色の「出口マス」に移動させる(これは同時でなくてOK)。

砂時計の砂が落ちきるまでに全駒を「出口マス」に移動できたらクリアです。
これがけっこう、いや、かなり難しい。
夢中になっていて、気づいたらもう砂が落ちきっていた、なんてことも。
私たちも実際アワアワなっていて、ふと横で見ていた店長から「砂、落ちきってるよ」の一言が。
――「なに!? うぉぉっ、しまったぁぁぁ! いつの間にぃぃぃっ!?」
てなことになりました(爆死)

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【まとめ】
とにかく焦ります(汗)
砂時計の具合を気にしつつ、盤面全体を見渡し続けなければいけないので、相当集中します。
さらに、意思疎通ができないという、無言の中での緊張感。
そして全駒脱出できたときの達成感。これは得も言われません。この喜びこそ……アメイジング!
ちなみに、失敗に終わったときでも、悔しさこそあれ、緊張からの開放感がヤバイです。
みんな張り詰めていた息を「は~っ」と吐き出し、「くそ~」「あそこがなぁ」「ここはうまくいったんだけど」などなど。
一気に「おさらいトーク」に花が咲きます。

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といったところで、リアルタイム協力脱出ゲーム『マジックメイズ』、いかがだったでしょうか?
アクション・時間・会話、この3つの制限が作り出す、緊張のおもしろさ。
対戦要素がないにも関わらず、プレイ感は見事に充実しています。
「協力ゲー」でここまで盛り上がったのは、私としては初めてのことでした。
本作のゲームデザイナーの方はこれが初作らしいですが、なんとも大満足の仕上がりです。
……「ドイツ年間ゲーム大賞」ノミネートも納得の出来。

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また、今回ご紹介したのは基本ルール「シナリオ2」ですが、上級編になると、さらにいろいろな要素が加わります。
ドワーフしか通れない壁が出てきたり、プレイ中に担当のアクションタイルを交換することになったり。
あとは、砂時計マスが使えなくなる「監視カメラ」の登場。それを壊せるのはバーバリアンだけ、などなど。
……こいつぁ何回でも遊べる奥深さだ。

ぜひ皆さんも、この緊張感溢れるゲームを体験してみてください。
『マジックメイズ』で、Let’s 協力プレイ!

以上、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

 

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
最近はゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)