ボードゲームレビュー第178回「ダンジョンヒーローマネージャー」

「ダンジョンヒーローマネージャー」
作者:アンドレア・チャリヴェジオ/ピエルカ・ジッチ
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~6人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約60~90分

 


 

毎度どーもこんにちは、ライターの松風です。

季節は段々と夏っぽくなってきましたが、季節の変わり目には色々と体調を崩したりするものですよね。
かくいう自分も、現在少し風邪気味なのです。

しかーし! ダンジョンの中には季節など関係ありません。
そうだ、ダンジョンに行こう。上手く行けばお宝もゲットできて一攫千金!
でも自分で行くと危ないし、人を雇うとなるとお金がかかるよなぁ……。

はい、今回ご紹介するゲームは、まさしくそんな悩みをシミュレートするかのようなゲームなのです。
タイトルは『ダンジョンヒーローマネージャー』!!

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プレイヤーはダンジョンに潜る冒険者……ではなくそのスポンサーとなって勇者志願のおバカな冒険者を募り、彼らの装備を整えたり訓練を施してやったりしつつ、ダンジョンに眠る財宝を取ってこさせるのです。
ところが、この世界には『貧弱英雄全国組合』という組織があり、冒険者の権利を守るための規則が色々と設けられています。
せっかく投資して取ってこさせた財宝を、わざわざ分配してやらねばならないのは面白くありません。
という事は、例えば冒険者たちに支給した装備に何らかの不具合があって、何人かが不運な死に見舞われる……なんて事も、そう悪い話じゃないわけで……。

てな感じで、少々ブラックな雰囲気を漂わせつつ、プレイヤーは自分の冒険者パーティをプロデュースしていくことになります。
冒険者を強くしすぎて毎回報酬をふんだくられるのも業腹ですが、かといって弱っちいのを危険な場所に赴かせて全滅されてはそもそも投資した金がおじゃんです。
このへんのさじ加減を見極めるのがこのゲームの醍醐味と言っても過言ではありません。

ではゲームボードを見てみましょう。

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ゲームボードには3つの段が描かれてまして、上段が『酒場エリア』中段が『街エリア』、そして下段が『ダンジョンエリア』となっています。
最初に『酒場エリア』で冒険者を雇用し、『街エリア』で装備や訓練を施した後、『ダンジョンエリア』で実戦、そして収入&支払いを行うというのがこのゲームの流れになります。
各プレイヤーは自分の担当する色を決め、その色の『ダイス』と『コマ』、10枚の『ゴールド』を受け取ったらゲーム開始です。

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まずは『雇用フェイズ』から。
各プレイヤーは、それぞれの酒場にいる英雄たちを見て、雇いたい英雄がいる酒場に『入札』を行います。
やり方は簡単。
各プレイヤーはダイス1個を、入札したい酒場の番号の面を上にして、手で隠しながらテーブル上に置きます。
全員が揃った所で一斉にオープン!
かぶりがなければ、選んだ酒場にいる英雄全員を一気に雇えます。
この時、『賃金マーカー』に示された金額分の『ゴールド』を銀行に支払います。(賃金マーカーの初期配置は3ゴールドです)

数字がかぶった酒場は一旦保留となり、「複数人が選んだ酒場の賃金マーカーを1増やす」「選ばれなかった酒場の賃金マーカーを1減らす」という処理を行ったあと、再度残ったプレイヤーで入札を行います。
無事に雇用できたら、その分のゴールドを払って雇用は完了です。
なお、時間の節約のため、2回目以降の入札では談合やゴールドの取引で決めてもいいとルールに書かれています(笑)

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ちなみに6つある各酒場にはそれぞれ特徴がありまして、例えば1の酒場『くたびれ狼亭』では英雄が一気に3人も雇えます!(通常は各酒場2人)
2の『マヌケな仲良し巨人亭』では通常よりも安い2ゴールドから雇えますし、3の『装備試しの店』では追加で1ゴールド払って装備カードを買うこともできます。
各酒場にいる英雄たちの職業だけでなく、店のメリットまで考えて入札しなければなりませんので、ここは結構悩みどころですよ!

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そう、このゲーム、1パーティにつき同じ職業は1つまでという風に『貧弱英雄全国組合』で決まってまして、パーティメンバーを補充しようって時にちょっとした制限になるでしょう。
職種がかぶって、万が一活躍できないメンバーが出たら可哀想じゃないか! というのがその理由らしいんですが、なんともはや面倒な話ですよね(笑)
もう一つ、人数が多すぎて個々人の英雄的行動が目立たなくなっちゃう! なんて状況を防ぐため、これまた組合によってパーティメンバーの上限は5人と定められています。
職業がかぶったり上限を超えてしまった場合、溢れた分の英雄カードは破棄され、その枚数分のゴールドがプレイヤーに還元されるのですが、酒場に払った分より多くの金額は補償されませんのでご注意を。
なんていうか世知辛いファンタジーですな!

全員がなんとか英雄を雇用できたら次は『街フェイズ』に入りましょう。
さきほどの『雇用フェイズ』と同じようにダイスを使って、利用したい街の施設に入札を行います。
ただし今回は1の建物『闇の店』だけは何人かぶってもOKです!
その他の建物でかぶったら、先ほどと同様に再入札をすることになります。

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さて、酒場と同様に街の建物もそれぞれ独自の効果を持っています。
1の『闇の店』ではゴールドを支払って装備品を売り買いできますし、2の『老公爵の城』ではゴールドを払って英雄を『新米』から『熟練』にアップグレードできます。
3の『臨時雇いの広場』では臨時のバイトに精を出し2ゴールド貰えますし、もしパーティに『バード』がいれば3ゴールドも稼げます。
4の『質素な供物の神殿』ではパーティに『魔術師』『幻術師』『魔女』のどれかがいれば特殊な効果を受けられます。
基本的には、ちょっとした小遣い稼ぎをするか、英雄の身支度を整えるフェイズだと思ってもらえればいいでしょう。

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準備が整ったら次は『ダンジョンフェイズ』に進みます。
フェイズ開始時に、これまたダイスによる入札で挑戦したいダンジョンを決めていきます。
1つのダンジョンに挑戦できるのは1パーティだけです。
ですが、ここではかぶっても再入札は行われず、以下のルールに従って挑む先が決められます。

まず同じ場所にコマを配置したプレイヤーの中で「最も所持金の少ないプレイヤー」が最優先権をもらえます。(所持金が同じならパーティ内の英雄が少ない方が優先)
『最優先プレイヤー』は、自分がそのダンジョンに留まるか、他所に移るかを選択できます。
もし『最優先プレイヤー』がそこに留まった場合、他のプレイヤーはその他の空きがあるダンジョンにコマを移さねばなりません。
ここでも先ほどの優先順に従って移動先を決めていくことになります。
もし『最優先プレイヤー』が他所に移った場合、残ったプレイヤーで優先順に従ってまたコマを移すかどうかを決めていきます。

全プレイヤーが探索するダンジョンを決めたら、いよいよダンジョン攻略の始まりです。
各ダンジョンは2枚~3枚の『モンスター/罠カード』から成り立ってまして、各カードを一部屋とカウントします。
ボード上に描かれたダンジョンの枠は6つありますが、おおむね3段階の難易度に分かれていまして、当然、数字が大きいほど殺意の高いダンジョンになっています。
しかし、得られる財宝もその分多くなっていますので、挑戦するならそれなりの英雄と装備を揃えましょう。

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コマの置いてあるダンジョンを1番から順に、パーティが脱出するか全滅するまで、そのダンジョンを選んだプレイヤーの手番を行っていきます。
手番になったプレイヤーは、一番上の部屋から順に、ダンジョンを『探索』するか『脱出』するかを部屋ごとに選択します。
『探索』する場合、『モンスター/罠カード』をめくってそこに書かれたアクションを解決していきます。
『脱出』するならそこで今回の冒険は終了となります。

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さて、カードをめくって出てきたのはモンスターでしょうか? はたまた罠でしょうか?
モンスターの場合は即座に『戦闘ステップ』が発生しますが、罠だった場合『罠の解除ステップ』を行います。
中には「罠が発動した後モンスターとも戦闘になる」場合なんかもありますので、まずは『罠の解除ステップ』から解決していきましょう。

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『英雄カード』にはいくつかの種類のアイコンが描かれています。
その中で罠の解除に使うのは、電球マークの『アイデアアイコン』です。
このアイコンは、盗賊系の職業の英雄が主に持っています。
ダイスを1個振って、『アイデアアイコン』の横に書かれた数字と出目が一致すれば、見事解除成功です!
一致しなかった場合、『ダンジョンマスター』役の他のプレイヤーがダイスを振ってダメージを決定してあげてください。
続いて手番プレイヤーがダメージを受ける英雄を指定して、その英雄が『防御アイコン』を使えたかどうか、ダイスを振って判定します。
ダメージを全て打ち消せなかった場合、もちろんその英雄は死亡します。
ただし、英雄が持っていた『装備カード』や『マジックアイテムカード』は残るので、生き残った他の英雄に装備させることが出来ます。

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無事に罠を切り抜け、他に何も出てこなかったらその部屋の探索は終了です。
カード枠の横に書かれた報酬をゲットしてダンジョンを脱出するか、次の部屋に挑戦するかを選択してください。
まだ敵が残っている、あるいはカードをめくったら敵だったという場合は『戦闘ステップ』に突入です!

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まずダンジョンマスター側は「そこにいるモンスターの数」だけダイスを振り、それぞれに当てはめます。
次にプレイヤー側も「生き残っている英雄の数」だけダイスを振って、それぞれに当てはめます。
出目によって、使うアイコンを選択するわけですね。
ダイスの出目と合致するアイコンの種類と数が、この時点で決まります。

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ではここからが本番です。
戦闘は『遠距離攻撃』『魔法攻撃』『近距離攻撃』『必殺技攻撃』の順に行われます。
まずは『遠距離攻撃』ですので、赤地に矢のシンボルマーク(これが『遠距離攻撃アイコン』です)の数を数えます。
1つでもあれば遠距離攻撃が発生します。
攻撃されたら、緑地に矢のシンボルマーク(これが『遠距離防御アイコン』です)を数えましょう。
攻撃数が防御数を超えたら、超えた分の攻撃数1個につき1ダメージがパーティあるいはモンスター全員(ここ重要!)に適用されます。

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えー、大体の英雄及びモンスターは1ダメージ食らうと死にます。
ヒットポイントなどという概念はこの世界に存在しません。
どちらか一方が全滅したら戦闘は終わりますが、そうでないなら次の『魔法攻撃』に移行します。
しかし『魔法攻撃』も『近距離攻撃』も処理は『遠距離攻撃』と同様ですので、詰まる箇所はないでしょう。
『必殺攻撃』だけはダメージの処理が違いますが、まぁ通れば一撃死すると思っていただければ構わないかと。

戦闘や罠によってパーティが全滅したら、そのダンジョンでの探索は失敗となり、英雄たちが持っていた『装備カード』や『マジックアイテムカード』は死んだ部屋にドロップします。
これは次のラウンドでダンジョンに新たなモンスターカードが補充されても、誰かが拾うまで残り続けます。

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最後に『支払い&補充フェイズ』がやってきます。
このフェイズでは、妥協という言葉を知らない『貧弱英雄全国組合』の規則によって、生き残った英雄一人につき1ゴールドを銀行に支払わなくてはなりません。
ダンジョンから持ち帰った財宝でまかなえれば御の字ですが、英雄がなかなか死ななくてフルメンバーがぞろぞろ帰ってきたら赤字になるかもしれませんよね。
やはり何人かは探索中に死んでもらわなければ……。

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この適度に死なせて適度に生き残らせる、というのが意外と難しく、ついつい強くなったご贔屓パーティにダンジョンを任せっきりにしてしまいがちですが、毎回それでは儲けが少ないんですよねー。
やはり勝負をかけるには、ここ一番で賭けに出る必要が出てくるでしょう。

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支払いが済んだら酒場とダンジョンにカードを補充し、『ラウンドマーカー』を1つ進めて次のラウンドの開始です。
最終的に、プレイ人数に応じたラウンド数をプレイし、終了時点で最も多くのゴールドを獲得していたプレイヤーの勝利となります。

初期の新米英雄は数を集めてもあっさり死にますが、意外と装備をきっちり固めた熟練英雄はなかなか死ななくなります。
なので、英雄は一人か二人に絞って強化し、あとは新米を使い捨てにするのがセオリー……と言いたいところですが、職業によって微妙に得意分野が違っているので、誰を育てるかで悩むことでしょう。
罠解除ができる盗賊系は一人くらいいないと詰む場面もなきにしもあらず、ですが全滅もまたこのゲームの風物詩ですので、諦めてひたすら脳筋パーティで突っ込むのもアリっちゃアリですね。

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ともあれ、ダンジョン攻略がテーマのゲームは数あれど、冒険者ではなくスポンサー役をプレイするのは珍しいのではないでしょうか?
経営者視点になると労働組合って結構面倒くさいものなんだなーと、ほのかに社会勉強になったりもする……かもしれません。
ドラフトゲーとしてもなかなかいいジレンマが仕込まれていて、さらにダンジョンでいざダイスを振るぞって時には盛り上がること請け合いです。
是非とも一度は、ほんのり黒いファンタジー世界をご堪能あれ。

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
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