ボードゲームレビュー第182回「パパ・パオロ」

「パパ・パオロ」(原題:Papa Paolo)
作者:ファブリス・ヴァンデンボーゲルデ
メーカー:QUINEDGAMES/日本語翻訳:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:人数×20分

 


みなさん八度目まして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
さて早速ですが、今回私がご紹介するアナログゲームは、こちら!

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『パパ・パオロ』です。
早口言葉みたいな名前やなぁ~、なんて思ったりしますが、実はこのタイトルは、ピザ屋さんの名前。
というわけで、パッケージではわかりづらいですが「宅配ピザ屋を経営するゲーム」です。
――で、これが相当アタマを使う戦略ゲーム。
ルールは一見複雑に見えて、プレイを始めれば、するっと理解できるんです。
しかし1ラウンドが7フェイズ構成で、1フェイズごとに考える要素がけっこう多い。
やるのは簡単、勝つのは難しい。そんな感じでしょうか?
……やっぱ経営って、いろいろ考えないといけませんからね~。

ちなみに、雰囲気を掴んでいただくために先出しすると、プレイ風景はこんな感じです。

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ではでは、ここから具体的に解説していきま~す。

【ゲーム概要&目的】
ナポリ・ピッツァの名店「パパ・パオロ」。
その御主人は老齢のため、跡継ぎに相応しい人間を探しています。
そこで名乗りを上げたのが、ピザ職人のプレイヤーたち。
名店パパ・パオロを継ぐために、奮闘します!
店舗を作って顧客を増やし、経営投資。そして肝心の、ピザを焼いてデリバリー、といった具合です。
ゲームは5ラウンド回して最終的に、より多くのお客さまにピザをお届けした人、が優勝。
晴れて、名店の看板を背負うことができるのです。
……う~ん、後継者争いだなんて「どこかの拳」を連想しますね~、ワクワク。一子相伝かな?

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【コンポーネント紹介】
まずプレイヤーは、自分の色の〈ピザ(×36)〉〈アクションミープル(×4)〉〈プレイ順ミープル(×1)〉を持ちます。

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次にお金。各自10リラずつ持ってスタートします。ちなみに、プレイ中いくら持っているかは非公開情報。

あと〈初期タイル〉。自分の店舗と近隣家屋の描かれた長方形のタイルです。
4種類あるので、ランダムに配ります。このタイルに書かれた番号のもっとも小さい人が、スタートプレイヤー。
店舗の上にはスタート時に〈ピザ〉3枚を乗せておきます。……もう焼き上がってる分ね。

この〈初期タイル〉に、獲得した正方形の〈都市タイル〉を繋げていくことで、宅配対象となる家を増やしていくことになります。
ただ、タイルに描かれている道路がちゃんと繋がる形にしないといけないので、これがパズル要素。
しかも、全体が4×5ブロックのサイズに収まらないとダメとか、店舗と店舗が隣接してはダメなどの制約あり。
……この辺、けっこう頭使います。

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ゲームを進めるに従い、こういう具合になっていきます。
なお、〈都市タイル〉は全部で84枚あって、山札にしておき、1ラウンドに16枚ずつ中央のゲームボードに設置。
手番順の早い者勝ちで、1つずつ入手権を得ていくことになります。
……とまあ、詳しくは後にして、コンポーネントの続き。

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最後は、自分の色の〈経験ボード〉。各パラメータの一番左の位置に〈マーカー〉をセットします。
なおパラメータは、黄=財務、青=市場、赤=特急、緑=配達となっていて、成長させることで各能力がアップします。
一番右までアップさせると、1項目につき勝利点ボーナス2点GET。
また、ゲーム終了時に一番レベルの低かった項目の下に描かれている点も、GETできます(トロフィーの数字)。
平均的にスキルアップしていくか、特化型に育てるか。
どちらからも勝利を狙っていけるので、好みの育て方で遊びましょ~う♪ ……て、言わずもがなか(汗)

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さて、こちらはゲームボード。ナポリの街が鳥瞰で描かれています。

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左側の広場(ピアッツァ)が、競売のスペース。
第3フェイズで、ピザの販売権を得るために競りを行います。
右側の街並みが、〈都市タイル〉を並べるスペース。
第1フェイズで、欲しいタイルor実行したいアクションの位置に〈アクションミープル〉を置くことに。

【ゲームの流れ】
ルールを細かく説明するとゴミゴミするので、今回は多少なりともザックリ目で解説します。
……筆者の性格上、なんだかんだで細かくはなるんだけどね(爆)

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●第1フェイズ‐ご近所の拡張orアクションの実行
手番順に、ゲームボードに並べられた16個の〈都市タイル〉の上に〈アクションミープル〉を1つずつ置いていく。
全員4つ置き終わったら、処理していきます。手番順に、任意のものから1つずつ。
ここで「都市タイルをGETして初期タイルに繋げる(ご近所の拡張)」か「アクション1つを実行する」か選びます。
なお、アクションは全4種類ありますが、実行できるのは縦横軸に描かれた絵のもの(1~2種)のみ、です。

・スポンサー:経験ボードの黄レベルに応じた金銭をGET

・市場:一定金額を払い、その金額と経験ボードの青レベルに応じた枚数のピザをGET(任意の店舗上に置く)

・特急配達:2リラ払い、経験ボードの赤レベルに応じた枚数のピザを、任意の家に即配達。
道路さえ繋がっていれば、店舗からの距離は無視。
配達して条件を満たせれば、即経験点GETしてパラメータアップ。

・新店舗建設:〈ピッツェリア(店舗)タイル〉を1枚買って、ご近所に繋げる。
繋げる際は、店舗が縦横で隣接してはダメ。斜めは可能。
繋げたら、新店の上にピザを2個乗せる(建設と同時に、宅配できるピザを2つGET、ということ)。
〈店舗タイル〉は3種類あり、建設価格、ストックできるピザの枚数、はタイルに明記されている。

アクション4種と、都市タイルの入手。〈アクションピープル〉を設置する際、考慮する選択肢はこれで5種類です。
――さらに。
〈都市タイル〉には道路の他に、1~3軒の「家」が描かれています。これが宅配先になるわけですが……。

タイル全部の家に配達を完了すると、屋根の色(黄青赤緑)に応じたパラメータを1レベル、アップできます。
なので、1軒しかないタイルを入手したほうが、スキルアップしやすい。
しかし、配達先が少ないということは、勝利点を得にくい、ということでもある。
さらに、今の自分のご近所とちゃんと道路が繋がるか、どこにどう繋げるか。
「アクション」ではなく「都市タイル入手」にしよう、と決めたところで、これだけのことを考えなければなりません。

……考えることが多すぎて、も~っ、アメイジング!
ちょっと悲鳴を上げそうになりますが、戦略好きは腕の見せ所です。

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●第2フェイズ‐手数料の獲得
ここでは、ピザを宅配する手数料をGETできます。……が。
いくらGETできるかは、第1フェイズで〈アクションミープル〉を置いた位置、で決まります。

ラウンドの始めに、ボード上の都市タイル設置場所の端、縦横にランダム(ほぼ)で、コインが設置されています。
これが手数料なのですが、「各コインの軸線上に、より多くのミープルがあるプレイヤー」が、これを入手できる。

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写真一番手前の横軸なら、ターコイズ色のプレイヤーが2つミープルを置いているので、この1リラコインをGETです。
もしミープル数が一緒の場合は、「コインに最も近い位置にミープルが置いてあるプレイヤー」が、コインGET。
なので、写真右の縦軸のように、パープルとオレンジが2個ずつなら、コインに近いパープルのプレイヤーがGETとなります。

というわけで。
先ほどの第1フェイズ、〈アクションミープル〉を置く際には、この第2フェイズのことも考えておかないといけないのです。
……マジか~!?
戦略的なのが苦手な方は、たぶんこの辺でオーバーフローするのではないかと。
……え? なめすぎだろ、って?
いや、私は得意なほうのつもりですが、4、5ラウンド目あたりは危うく「そのうちカーズは考えるのをやめた」しそうになりましたよ(汗)
皆さん、思考停止せずに考え抜いて、最良のミープル設置場所を見出しましょう!

――さて。
手数料の獲得が済んだら、設置していた〈アクションミープル〉は全て回収。
ここからゲームの舞台は、ボードの左側、広場に移ります。

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●第3フェイズ‐競り
ここで使うのは、〈アクションミープル〉1つのみ。
ですが、この競りの結果によって、以下の3つが決まります。

・どの〈投資タイル〉をGETするか=どのパラメータを1レベルアップするかor前述のどのアクションを1つ実行するか
・どの〈配達タイル〉をGETするか=配達可能な距離(店舗からのブロック数)と枚数
・次のラウンドの手番順

手番順に、広場に描かれた階段部分のマスに〈アクションミープル〉を設置していきます。これが入札に相当。
なお、マスにはそれぞれ金額が書いてあって、その金額が払えない場合、そのマスには設置できません。

競りによる勝敗は、まず段の高さ。それが同じなら、金額の上下、で決まります。
横軸によって値段はまちまちですが、基本的に、縦軸で上(上段)にいくに従い、高値になっています。
同じマスには設置できず、縦軸が同じなら、より上の段にしか置けません。=値を吊り上げるしかない、ということ。

もし、同じ横軸の上段を別のプレイヤーに取られたら、即設置し直し。
同じ段の別軸に移るか、同軸の上段に移るか、しなければいけません(今より下段には、もう置けない)。

4つの横軸それぞれに1ミープルしか置かれていない状態になったら、入札は終了。
より上段で、より高額のプレイヤーから、処理を始めます。

1、支払い
2、残っている〈投資タイル〉から、欲しい1つをGET
3、設置した軸の〈配達タイル〉をGET(このラウンドでの配達可能距離と枚数の確定)

なお、次ラウンドの手番は、一番左の軸に設置した人がスタートプレイヤー。あとはその人から時計回り、となります。
軸ごとに置かれている〈配達タイル〉は、一番右が一番好条件。
なので、このラウンドで配達が不利な人が、次ラウンドでは手番順的に有利になる、という図式ですね。

1つの設置で3つのことが決まるので、このフェイズも考えることが多いです。
皆さん、集中して頭を働かせましょう!(……え? おまえが言うな?)

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●第4フェイズ‐投資
ここでは、先ほどGETした〈投資タイル〉の処理をします。選択肢は2つ。
・タイルの色に対応したパラメータを1レベルアップさせる
・タイルの絵に対応したアクションを実行する
アクション(絵柄)は、前述の「スポンサー/市場/特急配達/新店舗建設」の4種類です。

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●第5フェイズ‐ピザの配達
店舗にあるピザを、ご近所の家に宅配します。
基本的に、一筆書きの要領で道路を進んでいく形で、タイル1枚が1ブロック。
何ブロックまで届けられるかと、何枚まで届けられるかは、第3フェイズでGETした〈配達タイル〉に準じます。

ちなみに、経験ボードの緑パラメータがある程度レベルアップしていると、2便、3便と分けて宅配ができます。
この場合、宅配可能なピザの枚数は〈配達タイル〉に書かれた数を分割。距離数は分割せず、各便変わらず。

――例えば。
〈配達タイル〉が「距離3」「枚数6」で、緑パラメータの便数が「3便」の場合。
1便目、初期店舗からスタートするルートで、2ブロック目の家に1枚、3ブロック目の家に1枚。
2便目、2店舗目からスタートする北へのルートで、3ブロック目の家2軒に1枚ずつの計2枚。
3便目、2店舗目からスタートする南へのルートで、3ブロック目の家2軒に1枚ずつの計2枚。
といったことが可能です。
これなら各便「距離3」を守りつつ、合計配達ピザ「枚数6」なので。
ちなみに、1軒に宅配できるピザは1枚のみ=1勝利点のみ。
だから、ご近所の軒数がないと、そもそも勝利点が稼げません。……て、さっきも書いたけど、まあ念のため。

このフェイズでは、「どこから出発して、どこを通って、どの家にピザを届けるか」、が考えどころです。
またガッツリ頭を使う、というわけですねぇ~(汗)

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●第6フェイズ‐経験の獲得
先ほどのフェイズで宅配した結果、「描かれた全部の家に配達を終えたタイル」が、新たにある――。
そんな場合は、経験ボードのパラメータ、レベルアップです。
そのタイルに描かれた、家の屋根の色に応じたパラメータ、を1レベルアップしましょう。
条件を満たしたタイルが複数ある場合は、その分、いっきにパラメータアップです。

●第7フェイズ‐次ラウンドの準備
まあ、ここはザックリと。
〈都市タイル〉を山札から新たに16枚配置。このラウンドで残ってたやつは捨て札にします。
新たな手数料コインの配置(1リラ×2、2リラ×3、3リラ×3)。
〈配達タイル〉も、2ラウンド目用の4枚を配置。〈投資タイル〉も、同じ4種を新たに配置。
――とまあ、こんな感じです。

この7フェイズを5ラウンド行って、ゲームは終了。得点計算に入ります。

【ゲームの終了‐得点計算】
まずは、配達の終わっているピザ1枚ごとに1勝利点。
次に経験ボードのパラメータ、一番右までレベルアップしてあるパラメータ1つにつき2点。
同、一番左にある(一番成長してない)パラメータの下のトロフィに描かれた点(-1~8)。
以上を足した点数から、最後に、店舗にあるピザの枚数を減点します。
つまりこれは、「焼いたはいいけど、デリバリーできずに残っちゃった不良在庫」、ですね。
……この減点がきくんだなぁ。やっぱ食品の廃棄は罪ですね。

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【まとめ】
冒頭でも前置きしましたが、かなり頭を使うゲームです。
ただ、考えないと遊べないわけじゃないので、プレイする分には人を選びません。
でもこのゲームの真価が発揮されるのは「考えるのが得意な4人」での対戦、じゃないかなぁ。
まあ、フレーバーはカジュアルですし、ピザをデリバリーってのがおもしろいので、別に真価発揮しなくてもいいんですけどね(笑)

ちなみに今回のプレイで、私は2位でした。
得点は1位タイだったんですが、「残った金額」というタイブレイクの条件で負けました。……惜しい!
無念、名店パパ・パオロの後継者は別のプレイヤーに……。
……でもゲームはおもしろかったので「我が生涯に一片の悔いなし!」

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というわけで、今回の「ナポリの拳」……じゃなかった!
今回の『パパ・パオロ』、いかがだったでしょうか?
戦略脳に自信のある皆さま、ぜひぜひこのゲームで対決してみてください。
なかなか常勝とはいきませんよ~☆

以上、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
最近はゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)