ボードゲームレビュー第186回「ジャンクアート」

「ジャンクアート」

作者:ジャイ・コーミア セン=フォン・リム作
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~6人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約60分

 


毎度どーもこんにちは。ライターの松風でございます。
昨今だいぶ涼しくなってきましたが、まだまだ残暑の厳しい日が続いていますね。
秋の気配はまだ少し遠そうです。

さて、月並みですが秋といえば芸術の秋などと申します。
今回はそんな芸術の秋を先取りするような、いやむしろ今すぐ芸術の秋気分を満喫したいジャストナーゥ!!
そういうちょっとせっかちな貴方に最適なゲームをご紹介いたしましょう。
タイトルは『ジャンクアート』!

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世の中にはゴミやガラクタを組み合わせてアート作品を作り出す芸術、ジャンクアートというものがありまして。
今や世界中でこのアートは大人気! どこの都市でも展覧会は大盛況……らしいです。
プレイヤーはこのジャンクアーティストとなって、同じようなライバルたちと腕を競い合うことになります。
当然、アーティストの魂にかけて、誰が一番人気のあるジャンクアーティストか決着をつけねばなりません。
というわけで、数々のゴミを引っさげてワールドツアーに出発です!

まずはセットアップから……と言いたいところですが、このゲームのセットアップは至極単純です。
最初に『ジャンクアートカード』と『都市カード』をそれぞれシャッフルして山札にします。
他の内容物をそれぞれまとめて置き、各プレイヤーに黒いプラスチック製の『土台』を配ればもうほぼ終了です!
なんという分かりやすさでしょう。

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一応、注意点としては『都市カード』から、使わないカードを抜いておきましょう。
各『都市カード』に書かれたプレイ人数が合わないものや、拡張セットありきのカードなんかが対象です。

ではガラクタをアートにするにはどうするのかと言いますと、ほとんどの都市では、色とりどりなプラ製のブロック『ジャンクピース』を積み上げていく事になります。
並べてみると形も大きさも不揃いで、まさしくジャンクとしか言いようのないピースたちですが……。

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よく見てみると微妙にカーブしていたり、角が取れていたり、穴が空いてたり、球かと思ったらまっ平らな面があったりと、どれも一筋縄ではいかない形をしています。
また、この穴にはこの棒がハマりそうだ、と思っても微妙に穴の大きさが合わなかったり、凹型のへこみ部分に他のピースがハマりそうと思ってもゆるゆるだったり……。
これらのピース全部が他のピースとカッチリ組み合わさらないおかげで、逆にもう「適当に組むしか無い」という緊張感が生まれる仕組みになっているのです!
すべてがゆるく、すべてがファジー。
ああ、まさしく芸術と言い張る以外に使いみちのないゴミたちよ……。(遠い目)

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さて、ピースを積み上げていくのには、『大原則』となるルールがいくつか存在します。
ざっくり言いますと以下のような感じです。

「『土台』の上に積み上げたピースがあなたの作品です」
「それ以外のテーブル面に触れたピースは『落下したピース』と見なします」
「自分の手番にチョイスしたピースを『アクティブなピース』と呼びます」
「『アクティブなピース』は落としても『落下したピース』にはカウントせず、何度置き直してもかまいません」
「『アクティブなピース』を使って作品を動かしてもOKですが、一度置かれたピースを作品から切り離してはいけません」

あとはそう、当然のマナーとして他のプレイヤーの作品を意図的に崩そうとしてはいけません。
それはゴミかもしれませんが、あちらにとっては芸術なのです!
マナーを守って楽しくアート!

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それでは早速ゲームの方に入っていきましょうか。

まず最初のスタートプレイヤーを決め、『開始プレイヤーカード』をその人に渡します。
ちなみに『開始プレイヤーカード』のひん曲がった矢印はターンが渡る方向を表しています。

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次に『都市カード』の山札から3枚めくって、表向きに並べます。
これが今回のツアーで訪れる展覧会の会場であり、ゲームのステージとなるわけですね。
ちなみに左端から順にステージをプレイしていきます。

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各『都市カード』には、各都市で行われる展覧会の独自ルールが設定されていまして、これによってゲームの方法や勝利条件/クリア条件が大きく変わってきます。
ゲームの目的は、各都市のルールに従っていい成績を収め、より多くのファンを獲得することにあります。

ちなみに『大原則』と各都市のルールと食い違うときは都市のルールを優先します。
この特別ルールを読み上げたらいよいよゲーム開始です!

まずは例として『生まれ故郷』のカードを見てみましょう。
どんな偉大なアーチストでも、地元で実績を作らなきゃ世界からお呼びはかかりませんしね。

『生まれ故郷』では、準備として『ジャンクアートカード』を各4枚ずつ配り、残りは裏向きで山札とします。

この『生まれ故郷』での手番は5つのフェイズで構成されています。

1.プレイヤーは手札の中から2枚の『ジャンクアートカード』を選んで次のプレイヤーに渡します。
カードを渡されたプレイヤーは、その2枚のうち1枚を選び、もう1枚を返します。
2.手番プレイヤーとカードを受け取ったプレイヤーは同時にカードを公開し、そこに描かれたピースを自分の作品に置きます。
3.アクティブなピースに触れている色か形が一致するピース1つにつき、そのプレイヤーはファン1人を獲得します。
4.手番プレイヤーはカードを2枚引いて手札を4枚に戻します。
5.次のプレイヤーに手番を渡します。

なんかいい感じのピースを自分の作品に置きたいのと、相手に変なピースを押し付けたい衝動の狭間で葛藤しますが、選んだカードのうちどっちを置けるかは相手次第、というこのジレンマ。
しかも色か形のどちらかが一致していればボーナスも入ってくるとあって、そこでもちょっとした読み合いが生まれることでしょう。

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いずれかのプレイヤーの『落下ピース』が5個以上になった時点で、展覧会は終了です!
各々、『落下ピース』1個ごとに1人ファンを減らしてください。
その後、『作品の高さ』で上位3名までが決まった数のファンを獲得できます。
ファンの数は『ファントークン』というトークンでカウントしていきますので、数え間違いのないようにしましょう。
ちなみに白がファン1人、黒がファン5人を表しています。

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ポイントはピースの数ではなく高さですので、なるべく細長かったり積みやすい形のピースが欲しいところですね!
高さを測るために、このゲームには紙のメジャーも抜かりなく付属していますので、曖昧な目測に頼る必要もありません!

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とまぁ、『生まれ故郷』も十分に熱い展開が繰り広げられるわけですが、これだけだとこのゲームの遊びの幅が分からないかもしれません。
ですので、もう1つ都市を紹介しておきましょう。
次の例は『モントリオール』です。

この都市での目的は「最後まで勝ち残ること」!

まず各プレイヤーには『ジャンクアートカード』3枚が配られ、残りは山札になります。

『モントリオール』での手番フェイズも5つ。

1.各プレイヤーは自分の手札からカードを1枚選び、進行方向のプレイヤーに渡します。
2.その後、各プレイヤーは同時に渡されたカードに対応するピースを見つけて自分の作品に置きます。
この時、渡されたカードは作品の近くに公開状態で置き、何枚目のカードなのか分かるようにしておきます。
3.全員がピースを置き終わったら、全員の手札を3枚に補充します。
4.プレイヤーの前にある公開カードが3枚になったら、各プレイヤーは(自分の『ファントークン』を持って)進行方向へ席を一つ移動します。
新たに目の前にある作品が自分の作品となります。
5.展覧会が終わるまで、以上を繰り返します。

自分の「現在の作品」から2個以上のピースが落ちたら、あなたは脱落者となります。
「最後まで勝ち残る」という条件の意味がお分かりいただけたでしょうか?

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はい、言うまでもなく仁義なきアートバトルが繰り広げられることになります。
しかし、相手を早く脱落させようと変なピースばっかり送り込んでいると、次にその作品を担当するのは自分なのです!
崩れやすいように適当に組み上げつつ、自分の手番では崩れないように祈るしかない、というこれもまたジレンマ!
「これはテッパンで安定する組み合わせだろう」と思って送り込んだピースがメチャクチャ不安定な積み方をされて、しかもすぐ自分に回ってくるなんて悪夢を味わうことも……。

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他の展覧会の勝利条件も変なのばっかり。
いつ警官に見つかって強制終了するか分からないゲリラライブだったり、全員で協力して一つの作品を作り上げたりと、各都市ごとにホントに創意工夫に溢れたゲームが展開されていきます。
『都市カード』は(基本セットだけでは遊べない1枚を含めて)全部で12枚ありますので、毎回違ったプレイフィールを味わえるでしょう。

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最初に山札からめくった3つの都市をクリアした時点でゲーム終了。
持っている『ファントークン』の最も多いプレイヤーの勝利です。

単にピースを積み上げる際の手先の器用さだけでなく、どうやって崩れないようにピースを組むか、相手にどんなピースを押し付けるかといった要素が複雑に絡み合う、なかなか熱いゲームです。
変なオブジェが出来上がった瞬間や、それが一気に崩落する瞬間、きっとみんなが爆笑していることでしょう。

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かつて積み木遊びに熱中した子供時代を過ごした大人の方に、ぜひ童心に帰ってプレイしていただきたい作品です!
はたまた現代アートとは何なのかを、ゲームで問い直してみるのも一興ではありませんか。

といったところで、今回の作品はいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。