ボードゲームレビュー第187回「センチュリー:スパイスロード」

「センチュリー:スパイスロード」
作者:エマーソン・マツウチ
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約30分

 


 

みなさん十度目まして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
さて、今回私がご紹介するアナログゲームは、こちら!

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『センチュリー:スパイスロード』。
パッケージからお察しいただける通り、「香辛料の交易」を題材にしたゲームです。
今では当たり前に手に入るスパイスですが、何世紀も昔には、金にも負けないほど価値のある貴重なものだったといいます。
そのスパイスを求め、数多の商人たちが長く険しい道のりを旅したのです。
……ネット通販全盛の現代からは、想像するに余りありますよね、どれほどの苦労か。
しかし!
それで巨万の富や名声を築き上げることができれば、苦労してシルクロードを旅してきたのさえ報われようというもの。
というわけで今回は。
……スパイス王に、俺はなる!

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【ゲーム概要&目的】
テーマは硬派ですが、ルールは簡潔でライト。
マニュアルはペラ1枚と、手軽に遊びやすい作品となっております、ハイ。

プレイヤーは、キャラバン=商隊のリーダーです。
商隊員を拡充して、交易路で各種スパイスを獲得交換、それらを都で商い、富を築くことを目指します。
ゲーム的に言い換えると――
手札となる〈商人カード〉を増やし、資源となる〈スパイスキューブ〉を獲得、変換。
指定の〈スパイスキューブ〉を支払って〈勝利点カード〉を獲得する、という流れ。
誰かが〈勝利点カード〉を5枚獲得したら、そのラウンドでゲーム終了となります。(2~3人プレイなら6枚)
終了時に最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが優勝=スパイス貿易の勝利者となります。

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【ゲームの準備】
まずは、コンポーネントを見ていきましょう。

・金貨/銀貨(左上):勝利点カードを獲得する際、付随してGETできることがあります。
ゲーム終了時に、金貨=勝利点3点、銀貨=勝利点1点、と置き換えられます。

・スパイスキューブ(右上):4色あり、ランクが高い順に、茶=シナモン、緑=カルダモン、赤=サフラン、黄色=ターメリック、を表します。
これらを集めたり変換したりしていき、条件を満たして〈勝利点カード〉獲得を目指します。

・初期商人カード(下):いわゆる初期手札です。各自この2種類を1枚ずつ持って、ゲームを開始します。
効果は左上にアイコンで描かれていて、詳しくは以下の通り。
・スパイス2(右):黄キューブを2個GETする。
・アップグレード2(左):手持ちのキューブ2個までを、1ランク上のキューブに交換できる。
例えば、「黄×2→赤×2」とか「黄×1&緑×1→赤×1&茶×1」という具合。

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こちらは〈キャラバンカード〉。人数分をシャッフルして、各プレイヤーに1枚ずつ配ります。
1枚だけ右下にアイコンのついたカードがあるので、これを手にした人がスタートプレイヤー。
〈キャラバンカード〉は、アイコンとイラストの内容以外、差異はありません。
いわゆる「個人ボード」として使うもので、獲得したスパイスのキューブをこの上に並べていきます。
なお、スパイスは最大10個まで所持可能。
溢れた分はストックに返すはめになるので、どんどん変換したり使用して〈勝利点カード〉を獲得したりしていきましょう。

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各自〈キャラバンカード〉を手にしたら、スタートプレイヤーは「黄×3」を持ってスタート。
2番手と3番手の人は「黄×4」を、4番手と5番手の人は「黄×4&赤×1」を持って、ゲームを開始することとなります。

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これが〈勝利点カード〉です。書かれている数字が、カードを獲得することで得られる勝利点。
入手するために必要なスパイスが、下の部分にアイコンで描かれています。
例えば、写真一番左のカードなら、「緑×2&茶×3」を支払って獲得することで「18点」GET、となります。

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では、場をセットアップしていきましょう。

たった今ご紹介した、裏面がオレンジ色の〈勝利点カード〉を山札にして、上から5枚をオープン。横並べにします。
次に、裏面が紫色の〈商人カード〉も山札にして、こちらは上から6枚をオープンして並べます。

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【ゲームの流れ】
さて、準備が整ったところで、実際にプレイしていきましょう。
手番プレイヤーが選べる行動は、以下の4つ。そのうちの1つを、必ず実行することになります。

●手札をプレイする
手持ちから〈商人カード〉を1枚選び、効果を使用。効果を解決したら使ったカードは捨て札となり、自分の前に置いておきます。
ちなみに〈商人カード〉には以下の3パターンの効果があります。
1「スパイスカード」:描かれているスパイスキューブをGET。
2「アップグレードカード」:前述の初期手札の1枚。手持ちのスパイスを1ランク上のスパイスと同数交換できます。
3「トレードカード」:手持ちのスパイスを別種のスパイスと交換する効果があります。
例えば「黄×2→緑×1」といった感じ。具体的に何を何に交換できるかは、アイコンで描かれています。
ちなみに上記の場合、黄色4個を緑2個に、といったように、同レートで上限なく交換できます。

●商人カードを獲得する
場に並んでいる〈商人カード〉のうち、欲しい1枚をGETします。手札をカスタマイズして、行動パターンを増やしていくわけですね。
GETする際、山札から1番遠いカードはコストなしで入手できますが、2番目以降の場合はコストが掛かります。
2番目のカードを得るためには、1枚目の上に〈スパイスキューブ〉を1個置かないといけません。種類はなんでもOK。
以下、3番目なら1番目と2番目の上に1個ずつ、4番目なら1・2・3番目の上に1個ずつ、となっていきます。
つまり、山札に近いカードほど高コスト=得るために支払うスパイスが多い、ということですね。
でも、場のカードが減ったら間を詰めてすぐ山札から補充されていくので、同じカードでも待っているとだんだんコストが安くなっていきます。
……うん、この手のゲームでは常套の、安心設計。
ただ、早くしないと他のプレイヤーに取られちゃったりするから、どこまでコストかけて取りにいくかは考えどころですね。

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ちなみに、自分がGETするカードの上にすでにキューブが乗っている場合、そのキューブも一緒にGETできます。
なので、上に溜まっているキューブが欲しいがために、いらない効果の〈商人カード〉を取る、ということも。
実際、今回のプレイで私も何回かそうしました。
いらないカードが手札に入ってもノーリスク……使わなければどうということはない!

●休息をとる
使用済みで捨て札となった自分の〈商人カード〉を、全部手札に戻します。まだ手札が残っているときでも行えます。
これで、さっき使った〈商人カード〉の効果がまた使える!

●勝利点カードを獲得する
条件コストとなる〈スパイスキューブ〉を支払って、場に並んでいる〈勝利点カード〉1枚をGETします。
このとき、山札から1番遠いカードには金貨が、2番目に遠いカードには銀貨が、1枚おまけに付いてきます。
つまり、カードに表記されている勝利点に、実質「+3」または「+1」GETできるということですね。……アメイジング!

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【ゲームの終了】
序盤でも記しましたが、誰かが〈勝利点カード〉を5枚獲得したら、そのラウンドでゲーム終了です。(2~3人プレイなら6枚)
ちなみに、同点だった場合は手番順の遅いほうのプレイヤーが勝者。

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【まとめ】
今回あんまりボケる隙がなかったなぁ……はッ!つい心の声が!
いや、それはまあいいとして。

手札の拡充が基本のゲームです。手札をどう育てていくかで、だいぶ行動が変わってきます。
私は今回、手に入りやすい黄や赤を自在に変換していく、というスタイルを目指して手札をカスタマイズしました。
「黄×5→茶×1」「黄×5→緑×3」といったように、同じ素材を状況に応じて多様に変換させる。
結果的にこれが功を奏して、戦績は1位でした。
勝てたことはもちろん嬉しかったですが、それもより、プレイしている際の楽しさが印象に残っています。

「あの勝利点カードを目指して、まずこのスパイスを集めるでしょ。で、この商人カードで変換して、それをさらにこう変換して……」
といった具合に、行動指針を立てて計画的に立ち回っていく。
人の邪魔をする、という概念がほとんどないゲームなので、目標に向けて自分のペースで着実に進めていける。
おおげさに言うと、自分との戦いだったり、建設的指向が問われる、だったりな感じでしょうか。
とにかく、そういうところが私の性に合ったゲームでした。
また、各自が持っているスパイスが公開情報なので、誰がどの〈勝利点カード〉を目指しているのかも、だいたいわかる。
ゲームに慣れてくると、誰があと何手であのカードをGETするか、というのも察しがつくようになったりします。

プレイヤー同士でバチバチ火花を散らすのが好みな方は物足りなく感じるかもしれませんが「目標に向けて着実プレイ」な方はぜひ。
見た目やフレーバーはちょっと地味ですが、きっと充実したプレイ体験が得られますよ!

というわけで、今回の『センチュリー:スパイスロード』、いかがだったでしょうか?
以上、筋肉痛で腹筋が痛い新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

 

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
最近はゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)