ボードゲームレビュー第190回「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」

「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」
作者:Flaminia Brasini, Virginio Gigli, Simone Luciani
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約120分

 


 

 

皆さまどうもこんにちは。ライターの松風です。
さてさて、今回は前置き抜きで早速ゲームの紹介に行っちゃいましょう!
タイトルは『ロレンツォ・イル・マニーフィコ』です。

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「ロレンツォって誰?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
パッケージの真ん中に人物のイラストが描かれていますが、この人がズバリ、タイトルにもなっているロレンツォさんです。
世界史の中でもルネッサンス期のイタリア史には必ずと言っていいほど出てくるこの御方。
そう、かの有名なメディチ家の最盛期を作った「ロレンツォ・デ・メディチ」の別名なのです。
薬問屋から両替商(銀行家)と幅広く事業を展開し、当時のイタリアで大いに権勢を奮った一族の中興の祖、といったところでしょうか。
メディチ家には他にもロレンツォさんがいらっしゃったので、区別するためにイル・マニーフィコ、つまり「偉大なロレンツォ」と呼ばれているわけですね。

おっと、史実がテーマのゲームだからといって重厚な歴史シミュレーションゲームかな、と尻込みする必要はありません。
まぁ、そこそこヘビーゲームなのは否定できませんが……。

ゲームの設定は、ざっくり言いますと「ルネサンス期のフィレンツェで、ロレンツォ・デ・メディチのように名声を高めて自分の領地を発展させよう!」といった感じ。
ジャンルとしてはワーカープレイスメントゲームになります。

ゲームは3つの『ピリオド』から成り立っていて、1ピリオドは2ラウンドで構成されています。
つまり合計6ラウンドプレイしたらゲームは終了というわけですね。
ゲーム終了までに最も多くの勝利点を稼いでいたプレイヤーの勝利です。

それではセットアップに参りましょう。

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まずは一際大きい『ゲームボード』をテーブル中央に広げます。
なかなか情報量が多いボードですが、あまり難しく考えなくても大丈夫。
ボードの上半分には4色の『塔』が描かれていますよね。
この塔の先にあたるボード脇に、それぞれの色に対応した『発展カード』の山札を作ります。
『発展カード』の裏面にはピリオドごとに分かれて数字が書かれていますので、それぞれシャッフルした後、第3ピリオドから順に重ねていきます。
こうする事で、ゲーム中は山札の上から順にカードがめくられ、対応した色の『塔』へと並べられていくのです。

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次に『破門タイル』を各ピリオドごとに分け、個別によく混ぜたら1枚ずつ取り出して、ボード上の対応するスペースに置きます。
残りのタイルはこのゲームではもう使いませんので片付けてOKです。
この『破門タイル』は各ピリオドの終わり、つまり偶数ラウンドの終了時にチェックする項目の一つになります。
何から破門されるのかは、また後でご説明いたしますのでお楽しみに。

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それから『木材』『石材』『使用人』の3種類の『資源コマ』と『コイントークン』をボード脇にストックとしてまとめておきます。
パッと見では少し分かりにくいですが、『資源コマ』には大きいものと小さいものがありまして、大きい方は小さいコマ5個分としてカウントします。
あとついでに3色ある『ダイス』もボード脇に置いておきましょう。

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各プレイヤーは自分の色を決めて、その色の『一族コマ』3個と無色の『一族コマ』1個(これにも一応色分けがありまして、上面のシールで見分けます)、『破門コマ』3個、『マーカー』4個を受け取ります。
『マーカー』はそれぞれゲームボード上にある『勝利点トラック』『軍事トラック』『信仰トラック』の0のスペースに置き、残り1個は『手番順トラック』の横に置きます。
『手番順トラック』とは、そのラウンドの手番を決めるためのトラックで、プレイヤーの行動次第で毎ラウンド変動します。
その他のトラックは獲得したリソースによって上がっていくものですので、特に説明は不要でしょう。

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さらに各プレイヤーは『個人ボード』を1枚と『個人ボーナスタイル』を1枚、『木材』『石材』のコマを2個ずつ、『使用人』コマを3個受け取ります。
ゲーム中に獲得した『発展カード』や『資源コマ』などは、この『個人ボード』上に置いていくことになります。
今回ご紹介する基本ルールでは『個人ボーナスタイル』は全員共通のものを使いますが、上級ルールになるとそれぞれ違った効果のタイルを持つ事になります。

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これでセットアップは終了。
意外とすんなりしたもんですよね。

ではここからゲーム内容に入っていきましょう。

最初の手番順はランダムで決め、それに応じて『手番順トラック』上に各プレイヤーの『マーカー』を配置します。
スタートプレイヤーに5コイン、二番手プレイヤーに6コイン、三番手に7コイン、四番手に8コインの『コイントークン』が与えられます。

各ラウンドは大きく分けて4つのフェイズに分かれています。

A,ラウンドの準備
B,アクション
C,ヴァチカンでの評判(各ピリオドが終わる偶数ラウンドのみ)
D,ラウンドの終了

準備と終了を除けば、実際考えるのはアクションフェイズのみ、というのが分かりやすくていいですよね。

ではまずAの準備フェイズから。
といっても、やる事は至極単純。
『発展カード』を各山から4枚ずつ引いてボード上の塔のスペースに並べていく事と、スタートプレイヤーが3色のダイスを振る事。
これだけです。
振ったダイスは、これまたボード上のダイススペースに置いておきましょう。
実はここで出たダイス目が、このラウンドのパワーソースになるのです!

というわけでゲームのメインとなるBのアクションフェイズに入ります。
各プレイヤーは手番順に、1アクションずつ実行していきます。
プレイヤーは自分が持っている『一族コマ』のうち1個をボード上の『アクションスペース』に置き、そこに描かれたアクションを実行します。
ここで重要なのが、さっきスタートプレイヤーが振ったダイスの出目です!
3個ある『一族コマ』の上面にはそれぞれダイスの色に対応したシールが貼ってあるはずです。
つまり、全員共通でダイスの出目イコールそのコマの『アクション値』となるのです!

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ボードにある『アクションスペース』には、それぞれ下部にダイス目が描かれています。(最低値は1)
そのスペースにコマを置きたければ、『アクション値』が描かれたダイス目以上でなければいけません。
『アクション値』とはその一族の有能さ、スペースのダイス目はその仕事の難しさを表していると思っていただければ分かりやすいでしょう。
出目が低いと当然、より効果の高いスペースには置けなくなってしまうというわけですね!

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各プレイヤーは、無色の『一族コマ』も含めて最低4回は行動するチャンスがあります。
どのコマから使うかはプレイヤーの自由です。

ちなみに無色のコマは常に『アクション値』が0と見なします。
どんな一族にも一人くらいは役立たずのボンクラ、あるいは経験の浅い若輩者がいるもの。
とはいえ、貴族同士がしのぎを削り、生き馬の目を抜く激動のフィレンツェにおいて、遊ばせておくだけの人材などいません。
では『アクション値』0の人材を働かせるにはどうするのか?
そう、『使用人』をつけてやるのです!

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『使用人』コマは使い切りのリソースですが、派遣した『一族コマ』の『アクション値』を1体につき+1してくれます。
『アクションスペース』の最大値は7ですので、『使用人』を使うことが前提のマスもあります。
このように『使用人』はめちゃくちゃ有能ですが、使い切ってしまうと補充しづらいリソースでもありますので、注意が必要です。

さてさて、実際のボード上にはどんな『アクションスペース』があるのでしょうか?
それを見ていきましょう。

まず大きく目を引くのは『発展カード』の置かれた4つの『塔』でしょう。
カードの種類ごとに色分けされたこの『塔』は、それぞれ『領土』『建物』『人物』『事業』のカードが並べられます。
『発展カード』は上段左にコスト、中段に即時効果、下段に永続効果が描かれています。(『領土カード』にだけは必要コストがありません)
コストにはコインや資源の他に『軍事点』ポイントなどが使われたりします。

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即時効果には勝利点や各種リソースの獲得が、永続効果には特定のアクションを実行する時に『アクション値』を底上げしてくれたりする効果などがあります。
これらの効果を駆使して、有利にゲームを進めていきましょう。

また、『塔』にある『アクションスペース』は、要求される『アクション値』が大きいほど即時効果でボーナス資源が入ってきます。
なので、この辺も考えて『一族コマ』を効果的に配置しなければなりませんね。

獲得した『発展カード』は自分の『個人ボード』に配置していきます。
『領土』なら置かれた枚数に応じて勝利点が増えていきますし、『木材』や『石材』を確保するための重要な手段でもあります。
『建物』にはリソースを他のリソースに変換する効果が多く、『人物』にはコマを消費せずアクションを(特定の数値で)実行できる効果などが。
そして『事業』には最終得点計算時に勝利点が入るという効果がありますので、自分の戦略に合わせたカードを集めていくのが重要です。
同じ種類の『発展カード』は最大で6枚までしか獲得できない、という制限もありますので、カード効果は厳選していきましょう。

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しかし、せっかく厳選したはずの欲しいカードの『アクションスペース』に他の一族のコマが置かれていたら……残念ですよね。
でもご安心を。『塔』では3コイン支払うことによって、前にいた奴を蹴り出すことができるのです!
この時、使用するのは手持ちのコイントークンでないといけません。
つまりコインボーナスがあるスペースで入ってくる予定のコインを、この「蹴り出し」に使用することは出来ないというわけですね。
蹴り出した結果、そのカードに払う予定だったコストのコインが不足した、なんてことの無いようにご注意を!
それと、蹴り出されたコマは改めて自分の手番で置き直すことができますので、行動回数のムダにはなりません。

ボードの下の方に移ると『収穫/生産エリア』と呼ばれるスペースがあります。
ここにコマを置くと、『収穫』なら『領土』カードに描かれた永続効果が、『生産』なら『建物』カードの永続効果を得ることができます。
同時に、『個人ボード』横についている『個人ボーナスタイル』に示された同じマークの効果も得ることができます。
つまり、コインや資源といったリソースを回復させるメインの手段となっているわけです。

大小2つのスペースがありますが、小さい方には当然ながら一つしかコマを置けません。
大きい方になら何人でも『一族コマ』をおけるのですが、このマスに置こうと思ったら『アクション値』が-3されてしまいます。
『アクション値』は最低1がないと置けませんので、ここに置くには実質4以上の『アクション値』が必要になってくるわけです。

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また、それぞれの『塔』と『収穫/生産エリア』には1ラウンド中に同じ色の『一族コマ』を複数置くことは出来ない、というルールがあります。
欲しい効果を一気に得ることは難しいのですね……。
ちなみに無色のコマは文字通り「色を持っていない」と見なされますので、ノーカウントです!
やったぜ、ボンクラにだって活躍の場があるんだ!

そしてボード下部の右の方には、建物が立ち並んだ『市場』があります。
順に、「コイン5枚獲得」「使用人5つ獲得」「軍事点3とコイン2枚獲得」「異なる『評議会の恩恵』を2つ得る」といったもの。
どれも『アクション値』1で置ける上に強力な効果が多いので、早い者勝ちの戦場になりやすいスペースですね。
特にめちゃくちゃ有能な『使用人』を大量に獲得できるのはここだけですよ!

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その少し上にはだだっ広いスペースの『評議会の宮殿』があります。
ここには『一族コマ』を、誰でも何人でも『アクション値』1で配置することができます。
置いただけで『評議会の恩恵』1つとコイン1枚がもらえる大変ありがたいスペースでもあります。
『評議会の恩恵』とは、様々なリソースをもらえるボーナスのことです。
ちまっとした数ではありますが、自分では生み出せないリソースを確保するには重宝するでしょう。

しかし、評議会の一番の効果は「次のラウンドの行動順を決定する」事にあります!
最初にコマを置いたプレイヤーから順に、次のラウンドの行動順が変更されることになります。
基本、早い者勝ちのスペース奪い合いなこのゲームにおいて、行動順は何よりも重要です。
が、真っ先にここにコマを置いたために他のおいしいカードや効果を取られては本末転倒になってしまうでしょう。

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と言った感じで、ボード上で行うアクションに関するフェイズは以上です。

3つめのフェイズは『信仰点』にまつわる『ヴァチカンでの評判』でしょう。
このフェイズはピリオドの終わり、つまり偶数ラウンドの終了時にしか行われません。
各ピリオドごとに決まった数の『信仰点』を稼いでいれば、ヴァチカンから「うんうん、よく頑張っとるな」と見逃してもらえます。
その代わり、稼いでいた『信仰点』はマーカーが置かれたトラック上にある勝利点を得た上で、0に戻されてしまうのです。
『信仰点』は貯めれば貯めるほど高い勝利点へと成長していきますので、ここで勝利点をかせぐという戦略も充分アリでしょう。

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しかし、『信仰点』を0に戻さない、あるいはそもそも要求値に足りない場合、ヴァチカンはお怒りになり、プレイヤーの一族は『破門』されてしまいます。
『破門』されてしまうと、ゲーム開始時にランダムで置いた『破門タイル』の上に『破門コマ』を1個置かなければいけません。
そしてこれ以降、ゲームが終わるまでずっと『破門タイル』に示されたペナルティをずっと受け続けなければならなくなるのです!
「得られるリソースが1減る」なんてのはまだマシな方で、「市場が使用できなくなる」だの「最初の手番は強制的にパス」だの恐ろしいものも……。
第3ピリオドのペナルティには、特定の勝利点要素をマイナスにするといった、それまでの戦略がひっくり返るものもあったりしますので要注意です!
領土欲や名誉欲にかまけてばかりで信仰をおろそかにすると、とんでもないしっぺ返しが来るぞという教訓なのでしょうか?
当時のイタリアでの教会の影響力の強さを感じますね。

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最後に4つ目のフェイズ『ラウンドの終了』です。
まだ『塔』に残っているカードがあれば全て取り除き、『評議会の宮殿』に置かれた『一族コマ』の順に従って『手番順トラック』のマーカーを並べ替えます。
全ての『一族コマ』を『個人ボード』上に戻し、派遣に使った『使用人』コマを全体ストックに戻したら、このフェイズは終了です。

全6ラウンドが終了した時点で最終得点計算に入ります。
『個人ボード』上にある『領土』『人物』のカード枚数による勝利点、ならびに『事業』カードに書かれた勝利点を合計します。
集めた『資源コマ』は5個ごとに1点に、『軍事点』は高い者から順に1位と2位に勝利点がそれぞれ入ってきます。
最も勝利点が高いプレイヤーの勝利なのは言うまでもないでしょう。

『発展カード』のコストになったり、『領土』を置くスペースを拡張する条件になっていたり、得点源になったりと、なにげに『軍事点』って重要ですよね。

てな感じでまぁ、ワーカープレイスメントゲームとしては実にオーソドックスで手堅い作りのゲームだと思います。
ですが、配分するリソースのパワーがダイス目で変わるというギミックがひと味効いていて、普通の同ジャンルゲームよりも勝ち筋が見えにくいと言えるでしょう。
そのため、プレイの際には勝利点をどこで稼ぐかという大体のビジョンは最初に持っておいた方がいいと思います。

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歴史モノだからお硬い内容なのかな、と敬遠されている方も、ぜひ一度プレイしてみてください。
予備知識なんかも必要なく、ゲームそのものは意外と肩肘張らずにワイワイ楽しめるモノに仕上がっています。
流れが見えて白熱してきた中盤あたりにスタートプレイヤーが1ゾロ出して全員でげっそり、なんて光景は他のゲームではなかなか味わえませんよ!(経験談)

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と言ったところで、長くなってしまいましたが、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それではまた次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。