ボードゲームレビュー第192回「ワイナリーの四季」

「ワイナリーの四季」
作者:Morten Monrad Pedersen, Jamey Stegmaier, Alan Stone
メーカー:アークライト
プレイ人数:1~6人
対象年齢:13才以上
プレイ時間:45~90分

 


 

みなさん、おなじみまして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
私の担当したレビューも今回で十一回目を数え、ぼちぼち「おなじみ」と言ってもいい頃合い。
……ですよね?
なんか異論も聞こえてきそうですが、とにかく。
今回私がご紹介するアナログゲームは、こちら!

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『ワイナリーの四季』。
見て絵の如く、読んで字の如く「ワイン農家を経営するゲーム」です。
……うん、元バーテンダーの私には興味深い題材。
実はこのゲーム、すでに海外では「ワーカープレイスメント」タイプの秀作として知られている『ヴィチカルチャー』の日本語版です。
ただ、そのまま翻訳されたものではなく、拡張セット『トスカーナ』をプラスして、おいしいとこ取りをした内容。これはお買い得!
では、この安定と信頼の一作、さっそくその内容をご紹介してまいりましょう。
……要チェックや!

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【ゲーム概要&目的】
プレイヤーたちは、亡き両親からワイン畑を託された、ワイン農家の経営者です。
だがしかし、畑は目下、荒れ放題。前途多難とはこのことか。
……母さん、事件です。
プレイヤーは四季を通じて、労働者を雇ったり施設を建設したりしつつ、ブドウの木を植樹。
また、ときにはブドウを売ったり観光客を呼んでお金を稼いだりなんかもしつつ、収穫、熟成を経てワインを出荷。
最終的には、ワイン農家としての名声獲得を目指します。
……ワイナリーを制する者は、名誉を制す!

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ゲームは「春夏秋冬」と「年末」の5つのフェイズに分かれています。
春は、手番順とボーナスの決定・獲得。
夏は、ワーカーの派遣と、それに応じた行動。
秋は、イベントカードの獲得。
冬は、残っているワーカーの派遣と行動。
そして年末は、ラウンドの終了処理。
こうして1年間=1ラウンドを過ごしていきます。
名声=勝利点が20点(VP)を越えるプレイヤーが現われたら、そのラウンドでゲームは終了。
ラウンド終了時に一番多くの勝利点を獲得していたプレイヤーが優勝=一級ワイナリーの仲間入り、となります。
……歴史に名を刻め~~お前等!!

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【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
まず、両親を決めます。……って、コレすごい言葉(爆)
〈ママカード〉と〈パパカード〉をそれぞれ山札にして、各プレイヤーに1枚ずつ配ります。
……年の差夫婦ができたり、国際結婚夫婦になったり、ここちょっとオモシロ。
配られなかった分の「親カード」は、もう箱に仕舞っちゃいます。使いません。
次に、引いたカードの内容に応じた財産を相続します。
写真の「テルヨ」と「トレバー」を例に見ていきましょう。
テルヨは「〈労働者駒〉×2、〈緑カード〉×2、〈青カード〉×1」。……色カードについては後ほど詳しく説明しますね。
トレバーは「金貨1リラ、〈親方駒〉×1」と、「5リラ」または、〈試飲室〉という施設、が手に入ります。
……〈試飲室〉は普通に建設すると6リラ掛かるので、この場合、施設をもらったほうが得かも。

ちなみに、上級者向けの選択ルールでは、親カードは父母それぞれ2枚ずつ引きます。
そして内容を見て「どちらが本当の親かを決める」……アメイジング(゜□゜;

とにかく――相続が済んだら次は、各種カードを用意していきましょう。

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まず〈畑カード〉。各プレイヤー3種を1枚ずつ持ちます。
3種はそれぞれ、植えられる〈ブドウの樹カード〉の価値の合計値が、5以下、6以下、7以下、と決まっています。
ちなみにプレイ中、「畑を売り払ってお金に変える」なんてことも可能。
売ったときはその〈畑カード〉を裏返して、売価分のお金を得ます。

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……なんと寂しい眺め。
今回のプレイでは、最初のラウンドから3つ全部の畑を手放す、やんちゃなプレイヤーもいました(汗)
まあ、後から売価と同額で買い戻すことができますんで、金策に困ったらとりあえず売っちゃうのもアリです。
……せやかて工藤、さすがに全部はやりすぎやで。

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さて次は、緑黄青紫4色の、色カードを紹介していきます。

・緑=〈ブドウの樹カード〉
カードの上部に「メルロー」や「シャルドネ」などのブドウ品種名。
下部には、赤白どちらのどれくらいの価値の品種かが、丸いアイコンと数字で書かれています。
中には、品種名の横に「施設」のアイコンが描かれているものがあります。
〈ブドウ棚〉か〈貯水塔〉、または、その両方、という具合ですね。
これは、その〈ブドウの樹カード〉を植樹するためには、該当施設が建設済みじゃないといけない、ということ。
価値の高い品種ほど、植えるために必要な施設も多かったりする。
……う~ん、いいもん造るにゃ~、設備投資が大変じゃ~。

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・黄=〈夏季訪問者カード〉
いわゆる「イベントカード」です。使うことで、様々な特殊効果を発揮します。
「施設建設」「各種カードのドロー」「お金GET」など、ゲームの下準備促進的な効果のものが多いかな。序盤戦に有用性が高い。
使うためには、ゲームボード上の該当マスに〈労働者〉を派遣する必要があり、基本的に「夏季フェイズ」にしか使用できません。

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・青=〈冬季訪問者カード〉
こちらも、いわゆる「イベントカード」。
ワインやセラー、出荷に関わる効果や、他プレイヤーに関わるアクロバティックな効果のものが主。ゲーム後半で、特に有用になります。
使うためには、ゲームボード上の該当マスに〈労働者〉を派遣する必要があり、基本的に「冬季フェイズ」にしか使用できません。

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・紫=〈注文カード〉
勝利点を得るための基本手段となるカード。左上に書かれているワインを造ることが、目標になります。
「価値5の白ワイン」や「価値6のロゼワイン」、「価値7のスパークリングワイン」など。
このカードを持って〈冬季フェイズ〉にゲームボード上の〈出荷マス〉に〈労働者〉を派遣することで、該当ワインの出荷が行えます。
ちなみに、生産する難易度は、赤白 < ロゼ < スパークリング、といった感じ。
左下に書かれた「注文を達成した際に得られる勝利点」も、基本的に生産難易度の高いワインのほうが高得点になっています。
……やっぱ目指すはシャンパン。スパークリングワインの醸造でしょう!

右下は、達成後にアップできる〈付加価値〉のレベル。いわば、出荷実績ですね。
〈付加価値〉には1~5までのレベルがあり、毎ラウンド終了時の〈年末フェイズ〉に、レベルに応じた金貨が得られます。
出荷すればするほど、毎年自動的に金貨がGETできるようになる、ということ。
「安価な注文を早めに出荷納品して、収入ベースを上げる」という戦術が成り立つわけですね。
……今回のプレイでは、結果的にそんなコツコツ勤勉なプレイヤーは見かけませんでしたが(汗)

これら4色のカードは、ゲームボード上の置き場に、各色ごとに山札にしておきます。

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というわけで、ご紹介が遅くなりましたが、こちらがその〈ゲームボード〉。
ざっと6つのゾーンに分かれていて、春から年末へのフェイズ進行に伴い、左から右へとボード上を進行していく形になっています。
それとは別に、上部が、今しがた話題にした各カードの山札・捨て札置き場。
下部が、勝利点表。各プレイヤー、初めは自分のカラーの勝利点マーカー(円柱型)を「0」の位置に置いておきます。
右下にある1~5の数字が書かれた円が〈付加価値表〉。各自ボトル型のマーカーを置いて、各自の現在の「付加価値レベル」を表します。

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ではここから、フェイズごとに使う中段のゾーンを見ていきましょう。
まず左端にあるのが〈春季フェイズ〉を行う〈起床計画表〉。
ジャンケンなどで決めた親プレイヤーから、時計回りの順に、自色のニワトリ型マーカーを置いていきます。
ちなみに、親番とそれを示すブドウ型マーカーは、ラウンドごとに反時計回りにプレイヤーを移動していきます。
――と、話は戻って。
〈起床計画表〉に書かれている1~7の数字はこのラウンドでの手番順で、横のアイコンは、得られるボーナスを表しています。
例えば。
1=ボーナスなし、2=〈緑カード〉×1、……6=1勝利点、7=〈季節労働者駒〉×1。
という具合に、手番順が後になるほど、強力なボーナスが得られるようになっています。
〈季節労働者駒〉っていうのは、このラウンドだけ一時的に使える労働者駒。手数が一つ増えるので、かなり強力です。
なお、マスは早い者勝ちなので、すでに他のプレイヤーが置いたマスには、もう自分のマーカーを置けません。

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さて次に、中段左サイドが〈夏季アクションゾーン〉。
「植樹」や「建設」、「〈夏季訪問者カード〉使用」などのアクションマスがあります。
そこへ、〈春季フェイズ〉で決まった手番順に、各プレイヤー1体ずつ〈労働者〉を派遣していく、と。
なお、基本的に同じアクションマスには3体までしか〈労働者〉が置けません(5人プレイの場合。3~4人なら、2体まで)。
ただし、各自1体だけ持っている〈親方駒〉だけは、マスが満杯になっていても、そこに置くことができます。
……親方、さすがでやんすっ!
ちなみに、マスのうち1つにはボーナスが描かれています。「効果+1」だったり「1勝利点」だったり。
他の人より先にそのアクションマスに〈労働者〉を置けるときは、迷わずボーナスつきのマスを狙いましょう。

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さあ続いて、中段右サイドが〈冬季アクションゾーン〉。
〈夏季フェイズ〉に使わずに温存しておいた〈労働者〉を、各アクションマスに派遣します。
夏に全員使っちゃってたら、何も出来ません(泣)
マスの種類は、〈注文カード〉をドローする「受注」や、「収穫」「醸造」「出荷」。
あとは「〈労働者〉雇用」や「〈冬季訪問者カード〉の使用」などなど。

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では最後になりましたが、〈ワイナリーボード〉こと「個人ボード」をご紹介。
上部の畑のところには、3種の〈畑カード〉を設置。
各施設の絵が描かれているところには、その施設を建設したら対応するマーカーを置きます。
なお、主な施設は以下の通り。
・試飲室:アクション「観光客誘致」の際、セラーにワインがあれば「1勝利点」得る(1ラウンドに最大1点)。
・風車小屋:アクション「植樹」したら、「1勝利点」得る(1ラウンドに最大1点)。
・宿泊施設:〈秋フェイズ〉に、追加で〈青カード〉か〈黄カード〉を1枚得る。

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さて、話は戻りまして。
左下が、赤白のブドウの圧搾場。
収穫で得たブドウの欄に透明なマーカーを置いて、所持を示します。
右下が、ワインセラー。同様にマーカーを置いて、所持を示します。
セラーは、最初は「小規模」で、「価値3」までの赤白ワインしか造れません。
アクションの「建設」で、「中規模」「大規模」などのセラーを建設することにより、ロゼやスパークリングワインも造れるようになります。
……こりゃあ、長い道のりだなぁ(汗)

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【ゲームの流れ】
さて、ここまで細かくコンポーネントを紹介してきましたが、ゲーム自体は簡単です。

●春季フェイズ
・このラウンドの手番順を決める。
・手番順に応じたボーナスを得る。

●夏季フェイズ
・各〈夏季アクションマス〉に〈労働者〉を派遣する。
・派遣に応じたアクションを実行する。
・任意のタイミングで「パス」し、行動を終了する(未使用で残した〈労働者〉は〈冬季フェイズ〉に持ち越し)。

●秋季フェイズ
・各自、〈黄カード〉か〈紫カード〉を1枚得る。
・〈宿泊施設〉を持っていれば、さらに〈黄カード〉か〈青カード〉を1枚GET。

●冬季フェイズ
・各〈冬季アクションマス〉に〈労働者〉を派遣する。
・派遣に応じたアクションを実行する。

●年末フェイズ
・「個人ボード」上に所有している全ブドウと全ワインの価値(熟成)を、1ずつアップさせる。
・〈ゲームボード〉上に配置していた全〈労働者〉を回収する(〈親方〉も)。
・〈付加価値表〉のレベルの分だけ、銀行から金貨を得る。
・〈起床計画表〉のニワトリ型マーカーを回収する。
・〈親マーカー〉を、右隣のプレイヤー(反時計回り)に移動する。

プレイの流れは、ざっとこんな具合です。
誰かが勝利点20に到達したら、そのラウンドでゲーム終了。それまでは、これらの工程を繰り返していきます。
優勝者は、ゲーム終了時に最高勝利ポイントのプレイヤー。最初に20点達成した人、とは限りません。
もし同点のときは、所持金の多いほうが勝ち。それでも同じなら、セラーにあるワインの合計価値が高いほうが勝ち、となっています。

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【まとめ】
勝負の仕掛けどころが肝心なゲームです。
序盤はじっくり、施設の建設や資源の確保に費やして、準備が整った後半は、いっきにワインを醸造・出荷する。
今回のプレイ、当初こそ「1点入っては1点なくす」とか「ラウンド中に1点」といったスローペースでしたが、後半は瞬く間の展開でした。
みんな準備の整った後半戦は、1ラウンドで、5点10点入るのが当たり前。
結果的になんとか私が優勝できたのですが、明暗を分けたのは、まさにラストスパートを掛けるタイミングでした。
あと1ラウンドあれば全員が20点越え。最高値の25点に到達する人も現われていたところ。
タッチの差での勝利。
……僥倖っ! なんという僥倖……!

今回は5人でプレイしたのですが、経営プラン=プレイスタイルは、見事にバラバラ。
十人十色ならぬ、五人五色でした。
基本的には「序盤で何の施設を優先的に建設するか」あるいは「何の施設を相続するか」が戦略を分けます。
ある人は、素早く〈宿泊施設〉を建てて、得られる〈訪問者カード〉を増やし、それを多用したテクニカルなプレイで。
ある人は〈試飲室〉による観光客誘致のボーナスで、ある人は〈風車小屋〉による植樹ボーナスで、といった具合。
ちなみにスタートと同時に畑を3つ全部売り払った男は、手に入れたお金で施設を片っ端から建築しまくっておりました(汗)
かくいう自分は、相続で〈中規模セラー〉を得ていたので、真面目にブドウを育ててワインを出荷して、堅実に点を稼ぎました。
……現実と違って、ゲームでは勤勉なワタクシ。
また、中には、デタラメに行動しているとしか思えないような人もいたのですが、最終的には接戦になっていたのがミラクルでした(笑)
すでに海外でも定評のある作品だけに、ゲームバランスは見事な模様です。

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一方、勝敗とは別に、プレイ感ですが。
個人ボード上に、ブドウやワインがたくさん出来上がってくると、どんどん楽しくなってきます。
ただ、それと同時に、ブドウをどう使ってどのワインを造るのか、あるいは売ってお金にするのかなどなど、考えることが増える増える。
バチバチに火花を散らすというより、じっくり計画的にプレイする、といったゲームです。
それこそ、ワインでも飲みながらプレイすると、いい感じかもしれません。
妨害に類する行為はほとんどないので、マイペースに建設的思考でプレイできるのもいいですね。
……う~ん、ミーの好みザマスっ♪

さて、今回の『ワイナリーの四季』、いかがだったでしょうか。
11月の「ボジョレー・ヌーボー解禁」に向けて、皆さんも今からゲームでワイン造りを体験してみては?
普段何気なく飲んでいるお酒の味も、一風変わって感じられるようになるかもしれませんよ?
といったところで、今回はここまで。
以上、新井淳平がお送りしました。ではではまた……るねっさ~んすッ★

ライター紹介

新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
最近はゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。

著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)