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ボードゲームレビュー第198回「テラミスティカ:ガイアプロジェクト」

「テラミスティカ:ガイアプロジェクト」
作者:Helge Ostertag / Jens Droegemueller
メーカー:テンデイズゲームズ
プレイ人数:1~4人
対象年齢:14才以上
プレイ時間:約60~150分

毎度どうも、ライターの松風です。
最近めっきり寒くなって、世間はもうすっかり冬です。
冬の楽しみといえば、みんなで集まって鍋でもつつき、ワイワイとゲームに興じる、なんてのが最高ですね!
となれば、じっくりと遊ぶゲームが欲しいところではないでしょうか?
……それなら丁度いいゲームがありまっせ!
というわけで、今回ご紹介するのは『テラミスティカ』の宇宙版、『テラミスティカ:ガイアプロジェクト』です!

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『テラミスティカ』といえば、土地開拓ストラテジーの名作との呼び声も高い人気作。
それがこの度、舞台をファンタジーからSFに変えて再登場したわけですね。
今年のエッセンシュピールで行われた、海外のアナログゲームメディア「Fairplay」による会場での人気投票でも見事一位を獲得するなど、話題性もある一作です。
とはいえ、そこはやはりヘビーゲームとしても有名な『テラミスティカ』のこと。
ルールを一から全部解説していると長大な記事になっちゃいますので、今回はさっくり短縮版として、雰囲気を知ってもらう事にいたしましょう。
プレイヤーは14ある宇宙種族の一つを担当し、惑星を開拓して版図を広げ、文明を発展させるのが目的です。
もちろんその中には地球人もいますのでご安心を。

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箱を開けるとタイルやトークン類が山盛り入っていて、まごうことなきヘビーゲームの予感にちょっと目眩が……。
いや、これしきの事で怯んではいられません!
さて、まずは全部で10枚ある『ゲームボード』を並べて行きます。
並べ方はプレイ人数に応じて初級用・上級用とありますので、お好きな方を選んでください。

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『ゲームボード』上にはいくつかの惑星が描かれていますね。
これが征服……もとい、開発していく対象の星々なわけです。
種族によって入植しやすい星、しにくい星が決められていて、住みにくい星ほど開発コストがかかるといった塩梅。
次に『発展ボード』を設置します。

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ボードの上半分には、その文明が持つ技術力を研究によって伸ばしていく『研究エリア』が描かれています。
左から順に『惑星改造』『航法』『人工知能』『ガイア計画』『経済』『科学』となっていて、ゲーム中はこれを発展させていくのが勝利への近道になるのです。
重要な部分ですので、ちょっとそれぞれを解説してみましょう。
・『惑星改造』……目当ての惑星を居住可能にするために改造するコストが安くなっていきます。バリバリ惑星を獲得していくなら必要です。
・『航法』……他の惑星まで到達できる距離が伸びていきます。初期値は1距離ですので、後半はこれを伸ばすのがほぼ必須になってくるでしょう。
・『人工知能』……『Q.I.C.』(量子情報キューブ)が獲得できます。様々な用途に使える資源だけに、ものすごく貴重品です。
・『ガイア計画』……そのままでは入植も開発も不可能な『次元横断惑星』マスを作り変えるための『ガイアフォーマー駒』を獲得できます。詳しくは後述。
・『経済』……これは毎ラウンドごとに収入として入ってくる資源の数が増えていきます。なにげに重要ですね。
・『科学』……毎ラウンド得られる資源の一つ、『知識』の数が増えていきます。『知識』はこの『研究エリア』のレベルを上げていくのに必要です。
さらに各『研究エリア』は、レベルが4以上になると最終得点計算時に勝利点にも変換されますので、できるだけ高レベルを目指したい所です。
どれも欠かせない要素に思えますが、おそらくプレイ中にすべての分野を上げていくのは無理でしょう。
1ゲームは全部で6ラウンドまでしかありませんので、あれもこれもとやっている時間はないのです。
選んだ種族によっては初期ボーナスがついてくる分野もありますので、どれを上げていくかはプレイヤーの戦略次第というわけですね。
ボードの下半分には『技術タイル』が置かれます。
『技術タイル』は持っているだけで永続効果を発揮してくれる便利なタイルです。
さらに『技術タイル』は、獲得した時に『研究エリア』のレベルを1つ上げてくれますが、強力なだけに獲得手段が限られているのがネックですね。

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ちなみに『発展ボード』の外周は『勝利点トラック』になっています。
全員、初期から10点の勝利点を持っているのですが、これはアクションによってマイナスされる場合もあるためです。
そして『得点ボード』を用意します。

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これには、ラウンドの進行を表す『ラウンド得点計算タイル』をランダムに配置します。

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ラウンドが終わる度にこのタイルが1枚ずつ取り除かれ、そこに示された内容を同じラウンド中に達成していれば勝利点が貰えます。

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下半分にある緑色のゲージの横には『最終得点計算タイル』がランダムに置かれ、これがゲームの方向性をゆるく決めてくれます。
いわば勝利点獲得の指標ですね。

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あとはスタートプレイヤーを決めましょう。
スタートプレイヤーから順に自分の種族を決め、『勢力ボード』を受け取ってその上に自分の色のコマ類を置いていきます。

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最初期のボード上は『建物コマ』が並んでいますが、これらを建築することで、その下に描かれた効果を受け取ることが出来るようになっていくのです。

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逆に、建物をアップグレードして強力なものに取り替えたら、元の『建物コマ』はボード上に戻ってきて効果を塞いでしまいます。
資源の獲得と建物の改良、どちらを優先していくかは、かなり計画的に行うべきでしょう。
さて、ゲームは6ラウンドに渡って行われる事は先ほど書きましたが、1ラウンドは4つのフェイズから成り立っています。
Ⅰ.収入
Ⅱ.ガイア
Ⅲ.アクション
Ⅳ.ラウンドの終了
ラウンド中はこれらを順に行っていきます。
Ⅰの収入フェイズでは、自分が管理するボードやタイル上の、手の平マークが描かれた場所から資源をすべて受け取ります。
Ⅱのガイアフェイズでは、前のラウンドに『ガイアフォーマー駒』を置いた『次元横断惑星』に『ガイア惑星タイル』を置いて『ガイア惑星』にします。
『ガイアフォーマー』とは、パッケージにも描かれている六角形のUFOみたいなやつの事。
これを『次元横断惑星』マスに置いておくことで、入植可能な『ガイア惑星』へと変換するわけです。
通常、ボードに描かれているガイア惑星への入植は『QIC』を1個支払う必要があるのですが、こうやって改造した『ガイア惑星』には『QIC』を払わなくて良いという利点があるのです。

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ここまでは自動的に処理されるフェイズです。
そしてⅢのアクションフェイズこそが、このゲームのキモでしょう。
取れるアクションの種類は以下の通り。
1.鉱山の建設……入植可能な空いている惑星に『鉱山』を建てることで、その惑星を自分の領地にできます。
『鉱山』はすべての建造物の基本となりますので、まずはここから増やしていきたいところです。

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2.ガイア計画の開始……前述の『ガイアフォーマー駒』を、空いている『次元横断惑星』に配置します。
ここから計画がはじまって、次ラウンドのガイアフェイズで計画が完了するとイメージしてもらえればいいでしょう。

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3.既存の建造物の改良……すでに建設した建物を、資源を払ってアップグレードします。
建造物は『鉱山』からはじまって、『交易所』『研究所』『惑星首府』『学院』などに順を追って建て替える事ができます。
建物を建てると、『勢力ボード』の該当箇所からコマを取り、その下に描かれた効果を使用できるようになるのは前述の通り。

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4.同盟の構築……自分が入植しているいくつかの惑星をまとめて『同盟』を作ります。
建造物にはそれぞれ『パワー値』が設定されていまして、これの合計が7以上になるように繋げると『同盟』が成立します。
『同盟』が成立すると『同盟タイル』がもらえ、そこに書かれた勝利点と資源を即座に獲得できます。

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一度『同盟』に参加した惑星は、他の『同盟』には参加できませんので、成立した『同盟』には『同盟マーカー』を置いて明示しておきます。
5.研究の進展……『勢力ボード』上の『資源トラック』から『知識』を4点支払うことで、任意の『研究エリア』のレベルを1つ上げることができます。
最高レベルであるレベル5に到達できる勢力は一つだけですので、早い者勝ちのレースですね。

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6.パワー/QICアクション……『発展ボード』の下部にある『アクションスペース』に描かれたアクションを実行します。
その際、『パワートークン』か『QIC』のどちらかが必要になります。
ラウンド中に使用された『アクションスペース』はトークンによって塞がれてしまいますので、これの使用も早い者勝ちです。
7.特別アクション……もし自分ボードやタイル上に対応するアイコンがあれば、そこに描かれたアクションを実行します。
6のパワー/QICアクションと効果は似ていますが、コストを支払わなくていいという利点があります。
8.パス……手番をパスし、以降のラウンド進行を放棄します。
一見不利に見えますが、最初にパスしたプレイヤーが次のラウンドのスタートプレイヤーになりますので、時にはいつ降りるかの判断も大事でしょう。
9.受動アクション:パワーの獲得……他のプレイヤーが建物を建てたかアップグレードした時、近くにいるプレイヤーはちょっとした恩恵を受け取れます。
具体的には、アップグレードされた建造物から2距離以内に自分の建造物がある場合、最も大きい建造物の『パワー値』に応じた『パワー』がもらえます。
しかし、そのためには決まった数の勝利点をマイナスしなければなりません。
勝利点を払うのが嫌なら、『パワー』の獲得を拒否する事もできます。
このアクションは受動的なので、パスを宣言したあとでも受けられます。
10.フリーアクション……手番中、自分の選んだアクションに付随する形で、フリーアクションを実行できます。
『勢力ボード』の右端にはフリーアクションの一覧表がありますが、まぁ概ね『パワー』を資源を変換したりするのがメインです。
注意するポイントとして、フリーアクションは単体では実行できないということです。
必ず他のアクションとセットで行いましょう。
いやー、やれる事が多くて頭がこんがらがりそうですね! これでもだいぶ詳細は省いてるんですが!
アクションは手番ごとに1つを選んで行い、取れるアクションがなくなってパスを宣言するまでは何度でも回ってきます。
全員がパスしたらそのラウンドは終了です。
そして最後にⅣのラウンドの終了フェイズです。
と言っても、次のラウンドの準備をするだけですので、ここでややこしい計算が入ったりはしません。安心!
6ラウンドが終われば最終得点計算に入り、一番多く勝利点を獲得したプレイヤーの勝利です。

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『テラミスティカ』のギミックを活かしつつも、テーマをSFにしたことで、よりテーマに沿った感じに仕上がっているんじゃないでしょうか。
前作では固定マップの地形による分断の影響が大きく、他人のコマに囲まれたら詰んでしまうという展開になりがちでした。
それが宇宙になることでマップが可変になり、解消されているのが目立った改良点ですね。
相手への妨害要素を減らして、自分のプレイに集中できるようになったのは個人的には良いポイントだと思います。
各勢力によって能力がガラッと変わるので、それに応じて戦略も大きく変わってきます。
できれば繰り返しプレイして、色んな種族を使ってみたくなりますね。

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細かいルールはいっぱいあるのですが、基本は土地を開拓して建物を建てて文明レベルを上げていくだけ、と考えればそう難しくはないハズです。
むしろゲーム性はシンプルだけど、考える事が多い、ルールが多い、コンポーネントが多い、と物量で攻めてくるのがこのゲームの本質かもしれません。
確かにこのゲームはそのパッと見の「重さ」ゆえに初心者にはオススメしづらく、ゲーマー向けの超ヘビーゲームに分類されるでしょう。
ですが、それは裏を返せば奥深さや駆け引きなど、ゲーマーが熱くなれる要素の塊みたいなゲームでもあるという事です。
「遊んでくれる人を集められないよー」という場合は、ソロプレイルール制作集団「オートマファクトリー」による一人用ルールもついてますのでご安心を。
あなたがこのゲームに何かを感じたなら、ぜひガッツリとプレイしてみてください。
腰を据えて取り組むに値する面白さがあることは保証します。
実に挑戦しがいのあるゲームですよ!
ライター紹介
松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。
代表作
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