ボードゲームレビュー第20回「ブルーマックス」

ブルーマックス(Blue Max) 
発売元:ホビージャパン/Stratelibri
作者:フィリップ・ホール
プレイ人数:2~6人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約90分


 

 はい、皆さんこんにちは。
毎度おなじみ、松風志郎でございます。
初めましての方は、以後お見知り置きを。

 唐突ですが、皆さんは飛行機はお好きですか?
飛行機の世界は、今も日進月歩で技術刷新が続いておりまして、その開発過程には数多くのドラマと共にロマンもあります。
 特に、はじめて飛行機が戦場に導入された第一次世界大戦には、そんなヒコーキ野郎たちのドラマとロマンが詰まっているような気も致します。
 というわけで、今回は空戦シミュレーションゲームの傑作『ブルーマックス』をご紹介いたしましょう。

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 舞台は第一次世界大戦のヨーロッパ。
 プレイヤーは複葉機のパイロットとなって、孤高の戦場に身を投じます。
 ちなみにタイトルのブルーマックスとは、当時のドイツ軍の最高名誉勲章だったプール・ル・メリット勲章の俗称です。
 これを授与されたのはエースの中のエースだけでした。

 さてこのゲーム、かつてはアメリカのGDW社が出していまして、世界中に根強いファンがいるゲームでもあります。
 それを近年イタリアの会社がリメイクして、このほどそちらのバージョンが日本語訳されたという少々複雑な経緯を持っています。
 とはいえ、ルールの方は単純かつ奥深いものとなっていますよ!

 登場する機体はもちろん、当時最先端だった複葉機です!
「フォッカーDr.Ⅰ」や「ハルバーシュタットCL.Ⅱ」、「ソッピース トライプレーン」、「ブリストルF.2B」など、実在した名機が再現されています。
 チーム戦の場合、だいたいドイツ対イギリス・フランスという構図で戦うことになるでしょう。
 もちろん、バトルロイヤル形式でプレイすることも可能です。
 可能ですが……ドッグファイトの性質上、バトルロイヤルはすごく難しいと申し添えて置きます(笑)

 偶数人でプレイする場合、それぞれの陣営にチーム分けした後に機体を選択します。
 まぁ、複葉機にあまり馴染みのない場合、名前がカッコイイからという理由で選んでも全然問題ありません。
 おおまかに言うと、武装が貧弱だけど機動性に優れているものか、機動性はそこそこだけど後部にも銃座がついてるものの二択になります。
 どっちが使えるかは、ある程度やり込んでいかないとその差がわからないと思いますので、最初は好みで選んでしまいましょう。
 (実はドイツ機の方がほんの少しデータ的に強いみたいですが、あまりそれで有利不利がハッキリするレベルでもないです)

 機体を選んだら、機体カードと飛行マニュアル、ゲームシート、機体タイル、準備完了!マーカー、パイロットスクリーンなどを受け取ります。
 機体カードは、その機体の詳細なデータが書かれたカードで、プレイ中には使いませんが、データはゲームシートに記入することになります。
 飛行マニュアルは、自分の機体がどういう機動(マニューバ)を取れるかを描いたもので、機体ごとに若干マニューバの種類が違います。
 これはゲーム中頻繁に見ることになるので、手元に置いておきましょう。
 ゲームシートは、右半分には機体の耐久度や弾薬、燃料の残量を書き込むスペースが有ります。
 左半分の○が並んでる箇所は、ゲーム中に取った行動を書き残す部分です。

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 機体タイルには、機体を上面から見た図と、フチに沿ってA~Dのアルファベットが描かれ、いくつかは黒く記されています。
 この黒い部分が機銃の向いている、射撃可能な方向になります。
 もちろん、後部に銃座のある機体は後ろの三方向に黒い印がついています。
 裏側には機体を側面から見た絵が描かれていますが、ゲームで使うのはあくまで表面だけです。

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 準備完了!マーカーは、ターン開始時に機体が「どの位置にいて」「どっちを向いていたか」を示すためのマーカーです。
 このゲーム、位置確認は割りと重要なので、こういうマーカーがあると分かりやすいですね。

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 パイロットスクリーンには、ゲームの基本情報が色々書かれています。
 ターンの流れや、射撃時の各種の修正値、そして特殊なダメージの効果など、参照する情報が数多く盛り込まれています。
 しかし、このスクリーンの一番の使い道は、ゲームシートの記入時に他のプレイヤーから手元を隠すためでしょう。
 あとはダメージカードをアルファベットごとに山札にしてマップの横に置いておきます。

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 さて、自分の機体タイルを戦場であるヘクスマップの端に置いたらゲームスタートです。
 まずはゲームシートに、起点となる開始位置のヘクスの番号を記入しましょう。
 左上の方の六角マークです。

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 続いて、飛行マニュアルを見て、自分が次に取りたい行動を他のプレイヤーから見えないようにシートに記入します。
 こうしてプロットしたマニューバを同時に公開することで、自機の移動が解決されるのです。
 ちなみに、同じ陣営の仲間といえど、プロット公開前に示し合わせてマニューバを選ぶことは出来ません。
 無線機などない時代ですから、一度空に上がったらすべてはパイロット自身が判断しなければならないのです!

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 マニュアルを一見すると、どういった動きをするかを描いたヘックスの他に「3S3」だとか「10L2」といった謎の数字が書かれていますが、これも意味が分かれば簡単です。
 まず最初の数字はマニューバの番号です。
 必ずしも続き番号が振られているわけではありませんが、番号ごとにほぼ左右対称になっているはずです。
 次のアルファベットは方向を示しています。
 Rならライトで右、Lならレフトで左、Sはストレート、つまり直進です。
 最後に末尾の数字は速度を表しています。
選択ルールで燃料を数える場合、速度と同じ数だけ燃料を減らすことになります。
 気をつけなくてはいけないのは、速度は段階的に加減速しないといけない点です。
 いきなり速度3から速度1のマニューバには移行出来ません。
 もし速度3から速度1のマニューバを取りたければ、一度速度2のマニューバを挟まなければならないのです。
 トップスピードから急旋回をしたり、急旋回の後でいきなりトップスピードを出したりといった無茶な飛行は出来ないというわけですね。
 中にはヘックスが赤く囲まれたマニューバもありますが、これはアクロバット飛行のマニューバになります。
 一瞬で方向転換できたり、強力な効果がありますが、必ず直前の行動は直進(3S3か2S3)でなくてはいけません。
 一つだけ黄色で囲まれたヘックスはきりもみ状態を表しています。
 この状態に陥ると、コントロール不能となり墜落の可能性もあるので、かなり危険です!

 移動の次は戦闘の解決です。
 機銃がある方向、つまりヘックスの黒いマークが有る方向の3マス以内に敵機がいる場合、攻撃のチャンスです。
 複数の機銃を搭載した機体でも、1ターンに攻撃できるのは1回だけです。
 基本的に攻撃にはダイスを使いますが、この時に見るのはダイスの数字ではなく、出目に赤か青のマークがあるかどうかです。
 距離や機銃の連射タイプ、その他の修正を加えて残ったダイスを振り、赤か青の目が出れば命中です!

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 見事命中弾が出れば、次に相手の機体にどの方向から命中したかを見て、対応したダメージカードを引きます。
 これは、先ほど機体タイルで説明したA~Dまでのアルファベットで示されています。
 例えば、自分の機銃が相手のBの側面から命中した場合、ダメージカードのBの山から、命中した数だけカードを引きます。
 もし赤と青の目が両方ある場合、どのカードが赤の目で、どのカードが青の目なのか、あらかじめ割り振ります。

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 ダメージカードは赤と青に半分に分かれていて、命中箇所とダメージの数値が描かれています。
 もし主翼の絵に3と書いてあれば、主翼に3点のダメージという事です。
 場合によっては、特殊なダメージアイコンが一緒に描かれてあるカードもあります。
 これらの効果はパイロットスクリーンを参照して、適用します。
 中にはエンジンから出火したり、燃料が漏れたり、主翼が破れたり、パイロットに命中して即死なんて効果もありますから、ダメージ値が低くても油断はできません。
 ダメージを受けた結果、機体の該当箇所の耐久力がゼロになったら撃墜された事になります。
 こうして相手チームを全て撃墜すれば勝利です。

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 とまぁ、一見複雑そうに見えますが、基本的にはプロット制で移動して、敵を補足したら撃つというだけのシンプルなルールです。
 そしてゲームに慣れた上級者のためには、もっと細かい選択ルールも用意されています。
 前述した燃料のルールもそうですが、高度の概念を導入するルールや、偵察員を同乗させるルール、機銃の弾薬を細かく管理するルール等など。
 その日のレギュレーションに合わせて導入してみてはいかがでしょうか?

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 現代における戦闘機は、相手の射程外から一方的にミサイルを打ち込んで終わり、なワンサイドゲームの戦術を主眼にしていますが、この時代の空戦はドッグファイトが基本です。
 プレイしてみれば分かるのですが、相手の思考の先を読んで背後に回るのって、すっごく難しいんですよ!
 それだけに、選んだマニューバがバッチリ嵌って、敵の真後ろを取った時の高揚感は、ドッグファイトならではの醍醐味と言えるでしょう!
 個人的には「ソッピース トライプレーン」などの機動性重視の機体が好みですねぇ。
 武装が弱い機体はその分敵を倒しにくいんですけど、機動力で相手を追い込んだりもできるので、パイロットの腕次第で活躍の度合いが大きく変わってきます。
 このゲームの機銃は、長時間連射することでプラス修正がもらえる代わりに弾づまりの危険が増えるルールになっていまして。
 どれだけ相手に接近するか、どれだけ機銃をぶっ放すかの選択を常に考えていると、パイロットに最も必要なのは「度胸」だと実感できます(笑)
 いざという時の思い切りの良さはとっても大事!

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 本作は非常に手堅い作りながら、長年に渡ってファンがいるのも頷ける完成度を誇るゲームです。
 ヘックスマップを使った空戦シミュレーションとしては、ほぼ完成形と言ってもいいんじゃないでしょうか。
 さらに現代風にリメイクされる事によって、プレイアビリティも格段に上がっていると思います。
 かつて大空を翔けた騎士たちの戦いを、あなたも体験してみませんか?
 できれば追加セットが出て、もっと機体が増えたらいいなー、なんて思うんですがどうなんでしょうね。

 さて、今回のゲームはいかがだったでしょう?
 それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
 アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
 世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 その他多数。