ボードゲームレビュー第203回「マジェスティ」

「マジェスティ」
作者:マーク・アンドレ
メーカー:アークライトゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:7才以上
プレイ時間:約20~30分

 みなさんおなじみまして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
年も明けまして、担当15回目となる今回ご紹介するのは、手軽に遊べる30分ゲー。
かの名作『宝石の煌き』のゲームデザイナーとして知られる「マーク・アンドレ」の新作です。

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 『マジェスティ』。
……サイレントでもマジョリティでもなく、マジェスティ。
「威厳」や「主権」といった意味で、「陛下」という言葉にも通じる単語ですね。

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【世界観&ゲーム概要】
プレイヤーは小国の領主となって、優秀な人材を招くことで国の繁栄を目指します。
最も多くの富を生み出したプレイヤーが、周辺諸国を従えるような、王としての威厳を手に入れる――という内容。
 ゲームは、手番のたびに1枚ずつ任意の〈人物カード〉を獲得していき、プレイヤー全員が12枚の〈人物カード〉を獲得したところで終了。
終了時の計算を経て、最も多くの〈コイン〉を所有していたプレイヤーが優勝。同数なら、仲良くポジピースに、勝利を分かち合います。
 〈コイン〉が得られるタイミングは主に〈人物カード〉を獲得したとき。
また、ゲーム終了時にも、揃えた〈人物カード〉に応じて、ボーナスの〈コイン〉がもらえます。
でも逆に、終了時にペナルティで〈コイン〉を失ったりすることもあったりするので、注意が必要です。
――とまあ、細かい話はさておき。
要は、コマやカードを上手く集めることが勝利に繋がる「セットコレクション」と呼ばれる系統のゲームですね。
ゲームの詳細はここからご紹介していきますので、ご心配めさるなっ☆

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【コンポーネント紹介&ゲームの準備】
●建物カード
まずは、プレイヤーボードの代わりとなる〈建物カード〉のご紹介から。
8種類でワンセットになっていて、1~8のナンバーが振ってある順に、左から自分の前に並べて置きます。
種類は、「製粉所」「醸造所」「魔女の家」「見張り塔」「兵舎」「酒場宿」「城」「施療院」。
効果については【ゲームの流れ】の段落まで、しばしお待ちを。

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 ちなみに、この〈建物カード〉にはA面とB面があって、まずは初級編としてA面でのプレイが推奨されています。
慣れてきたらB面でプレイし、さらに慣れてきたらAB面の混成プレイでより一層楽しめる、といったお得な内容。
何度も繰り返して遊ぶ楽しさがあって……オラ、ワクワクすっぞ!

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●人物カード
こちらが、ゲームを通じて集めていくことになる〈人物カード〉。
裏面が緑色の「1」(33枚)と、赤色の「2」(27枚)の、合計60枚あります。
最初に、プレイ人数に応じて決まっている枚数をランダムに間引き、プレイ終了のタイミングで山札が尽きるよう調整します。
今回は4人プレイでしたので、緑色の「1」を「7枚」間引いて、事前に箱に仕舞いました(マニュアル参照)。
次に「1」と「2」のカードを別々にシャッフルして、「2」の山の上に「1」の山を重ねます。これで山札が完成。
あとは、そこから6枚をオープンにして、山札の横に並べます。
このオープン状態の6枚が〈公開札〉。手番プレイヤーはこの6枚からどれを取るか選ぶことになる、というわけ。
位置に応じて獲得のためにコストがかかるのですが、それはほんのちょっと後で解説します。札の補充についてとかもね。
 オモテ面の人物はそれぞれ〈建物カード〉に対応していて、種類は7つ(「施療院」にだけは対応カードがありません)。
「製粉職人」「ビール職人」「魔女」「見張り」「兵士」「宿屋の主人」「貴族」。
〈人物カード〉自体に効果はないのですが、それを獲得して〈建物カード〉の下に配置する際、〈建物カード〉の効果が発動します。
……そこを考えて選んでいくんだよ~。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 ちなみに〈人物カード〉の中には、2種類の人物が描かれた〈ダブル人物カード〉なるものが存在します。
これは、獲得して建物に配置する際に、「どちらの種類として使うのかを選べる」というもの。
基本的に、一度配置したら種類を切り替えることはできませんが、状況に応じて使い方を変えられるので、オススメの一枚です。

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●コイン
勝利条件となる〈コイン〉。1、2、10、50、100、の5種類があります。効果などはなく、純粋に「得点」の扱い。
スタート時は、プレイヤーみんなゼロからのスタートなので、卓の中央に種類ごとにまとめて「銀行」として置いておきます。
ちなみにコレ、プラスチック製。さらさらとした触り心地と程よい重みが良ディテールで……アメイジーングっヽ(´∀`*)ノ♪

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●ミープル&ミープルカード
こちらは「人物カードを獲得する際に支払うコスト」となる〈ミープル〉。
そして、それをストックしておく場としての〈ミープルカード〉です。
〈ミープルカード〉は1人1枚、〈ミープル〉は1人5個、持ってスタート。余りは「銀行」にまとめておこうね。
なお、プレイヤー1人が所持しておける〈ミープル〉は最大5個まで。
溢れた分は手番終了時に、1個1コインで「銀行」に引き取ってもらいます。
……人身売買(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル。
 ちなみに、〈ミープルカード〉はランダムに配るのですが、中に1枚だけ「騎士」が描かれてているものがあります。
それを引いた人が、スタートプレイヤー。先陣を切って人材確保に乗り出すこととなります。
……きみ、いい目をしているね。ウチで働かないかい?(キラリ)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

【ゲームの流れ】
さて、ここからは具体的なゲームの流れ。今回は、全部A面使用でのプレイでご紹介します。●〈人物カード〉の獲得
まず、手番プレイヤーは〈公開札〉のうち、どの〈人物カード〉を獲得するかを決めます。
〈公開札〉ごとにかかるコストは配置によって決まっていて、山札から一番遠い位置=最も左端がコスト0。
左から二番目がコスト1、三番目がコスト2、といった形で、一番山札に近い位置のカードのコストは最大の5です。

支払いはどうするのかというと、例えば――。
手番プレイヤーが左から三番目=コスト2のカードを得ようとした場合。
そのカードより左に並んでいるカードの上に、1個ずつ手持ちのミープルを置いていく、という具合になります。
ちなみに、こうして置かれた〈ミープル〉ですが。
誰かが〈ミープル〉の乗っているカードをGETしたタイミングで、乗っている〈ミープル〉も全てそのプレイヤーのものになります。
……だ・か・ら、〈人物カード〉の種類だけじゃなく、コスト管理もしっかり考えないとねっ☆

 あ、ちょっと脇道に逸れたので話を戻します(汗)
〈人物カード〉を獲得したら、すぐにその空いたスペースを詰めて、山札の直近に1枚新しく〈公開札〉を補充します。
手番となるプレイヤーは、常に6枚の〈公開札〉から獲得するカードを選べるわけですね。……良心的でござる。
●〈建物カード〉への配置
〈公開札〉の補充が終わったら、次は今GETした〈人物カード〉を、自分の対応する〈建物カード〉の下に並べます。
「ビール職人」なら「醸造所」へ、「貴族」なら「城」へ、という具合。
同じ建物への配置が2枚目3枚目となる場合は、下のカードや合計枚数がみんなに見える形で重ねていきましょうね。●〈建物カード〉の効果発動
〈人物カード〉を配置したら、そこで〈建物カード〉の持つ効果が発動します。

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 例えば、配置した建物が「製粉所」だったとすると → 配置されている「製粉職人」1枚に対して2コインGET。
今しがた配置したのが2枚目なら4コイン、3枚目なら6コイン、GETできる、と。
同じ種類を集めるほどに、一度に得られる収入額が増えていくわけですね~。そりゃ同じ人物を集めるべきだわ。――この辺で、各〈建物カード〉の効果をいっき見せ!

 「醸造所」 → 「ビール職人」の枚数×2コインと、同×〈ミープル〉1個GET
&「ビール職人」を1枚でも持っている全プレイヤーは2コインGET(手番プレイヤー自身も)「魔女の家」→ 「製粉職人」+「ビール職人」+「魔女」の枚数×2コインGET

「見張り塔」→ 「見張り」+「兵士」+「宿屋の主人」の枚数×2コインGET

 「兵舎」  → 「兵士」の枚数×3コインGET
 「酒場宿」 → 「宿屋の主人」の枚数×4コインGET
&「ビール職人」を1枚でも持っている全プレイヤーは3コインGET(手番プレイヤー自身も)
 「城」   → 「貴族」の枚数×5コインと、同×〈ミープル〉1個GET
 ※「施療院」は対応カードがないため直接配置はできず、発動効果もありません。
 およそ上流階級な人物ほど、1枚あたりに得られる得点が高いわけですね~。
でも「貴族」とかは取り合いになりやすいから、「製粉職人」なんかでこまごま稼いでいくほうが最終的にうまくいったりするという。
また、カードの絶対枚数が、最初にランダムで間引いたカードが何かによって変動するので、そこもおもしろポイント。
単純に高得点のカードだけを狙ってても、勝てるとは限らないのです~。
何を集めるかで戦術が変わるのは基本ですが、それだけじゃないのが、さすがのゲームデザインですね。おっと、また脱線気味だったので、ここらで話を戻しまして。
〈建物カード〉の効果を一通りご紹介したわけですが、実は、これらの通常効果の他に、特殊効果というものも存在するんです。
その特殊効果を持っているのは、「兵舎」、「見張り塔」、「魔女の家」の3枚。
効果テキストの上部に、「立て札」が描かれているカードですね。
……あ、画像を細かく見てた人はもうわかってたかな?

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●攻撃と防御・ケガと治療
では特殊効果を順番にご説明していきます。まずは「兵舎」と「見張り塔」から。
なお、特殊効果の発動は通常効果発動より前。基本的に効果の類いは全て、上方に表記されているものから順に処理していきます。

・ 「兵舎」 :攻撃=他プレイヤー全員に攻撃を加える。攻撃力は「兵士」の枚数です。

・「見張り塔」:防御=「見張り」の枚数に応じた防御力で、攻撃を防御します。
効果は、攻撃を受けた際にだけ発動。受身の効果なので〈人物カード〉を配置した際には発動しません。

つまり、誰かが「兵士」をGETして「兵舎」に配置したら、そこにある「兵士」の枚数と、他プレイヤーの「見張り」の枚数を比べる。
兵士のほうが多ければ攻撃成功。少なければ攻撃失敗。また、同数の場合も攻撃失敗となります。
手番ではない他プレイヤー目線で言うと――
見張りのほうが多い、または同数なら、防御成功=何もない。見張りのほうが少なければ、防御失敗=ケガ人発生。……となります。

 「ケガ人発生」とは。
自分の〈建物カード〉に配置されている〈人物カード〉のうち、一番左にあるカードを1枚、裏面にして「施療院」に移動させる。
大敗でも惜敗でも、枚数差に関係なく、ケガをするカードは1枚だけです。
ケガ人=「施療院」に裏面配置された〈人物カード〉は、有効枚数に数えられなくなります。
例えば、ケガして「施療院」に送られたのが1枚だけ持っていた「ビール職人」だったりした場合。
以降、「醸造所」の効果(ビール職人を1枚でも持っている全プレイヤーは2コインGET)などの適用外になってしまう、と。
また、ゲーム終了時、「施療院」にあるカード1枚につき「-1コイン」というペナルティがついてしまいます。――じゃあ、ケガ人が出ちゃったら、どうしたらいいのさ!?
そこで必要になってくるのが「魔女の家」の特殊効果です。

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 ・「魔女の家」:治療=「施療院」に配置されているカードのうち一番上のカードをオモテ面にして、対応建物に配置しなおす。
(「一番上」というのは、「最も後にケガしたカード」ということです)
 この特殊効果を発動させることで、ケガ人を治療できるわけですね。
だから、ケガ人が出てしまったときは〈公開札〉から優先的に「魔女」を獲得するようにしましょう。
そうすることで、ペナルティを回避しつつ、得点の獲得ができます。
具体的には、以下の流れ。
  1、「魔女」をGETして「魔女の家」に配置。
2、「魔女の家」の特殊効果で「施療院」にあった「ビール職人」を「醸造所」に再配置。
3、「魔女の家」の通常効果(「製粉職人」+「ビール職人」+「魔女」の枚数×2コインGET)で、コインGET。
 ケガ人はなくせるし、再配置のおかげでGETできるコインは人物1枚分増えるし、一石二鳥ですよ。
あ、ちなみに〈建物カード〉の効果は再配置では発動しないので、この場合の「醸造所」の効果は発動しません。そこは悪しからず。
 以上が、このゲーム『マジェスティ』の主な流れです。
あとはこれらの処理を行いつつ、順番に各自の手番を回していく、と。
全員が12枚の〈人物カード〉をGETして、その手番を終えたとき、ゲームは終了となります。

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●得点計算
ゲームが終了したら、まずペナルティを計算します。A面プレイの場合は、ケガ人1人につき「-1コイン」。
(B面だと「-2」なうえに、最多ケガ人のプレイヤーはさらに「-10」されます(泣))
次に、種類ボーナス。
何種類の〈人物カード〉をGETしたかに応じてコインが得られます。
計算式は種類数の2乗なので、2種類なら2×2=4コイン、4種類なら4×4=16コインGET。これはかなり大きいっ!
最後に、最多ボーナス。
各種〈人物カード〉ごとに、最も多く持っている人はボーナスを得られます。
得られる点数は、人物に対応する〈建物カード〉の右下に書かれた数字です。「製粉所」なら10、「城」なら16コイン。
以上で計算は終了です。
最終的に最も所有コインの多かった人が、威厳ある領主として周辺諸国を牽引していくこととなるのだった……Fin。

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【まとめ】
一言で言ってしまうと〈人物カード〉を集めて〈コイン〉を稼ぐ簡単なゲームです。
そこに「攻撃」や「ケガ人」といった概念が加わることで、ワビサビが利いている、といった感じ。
丁寧に説明したのでちょっと長くなりましたが、マニュアルは数ページで、実際のインストは10分程度で済みます。
ゲームバランスの安定感は、さすがの「マーク・アンドレ」品質。
代表作の『宝石の煌き』とは趣きの違うゲームですが、繰り返しのプレイに耐えうるおもしろさは間違いなし。
今回はA面プレイでのご紹介でしたが、B面プレイや混成プレイは、さらに盛り上がること請け合いです!
 また、人を選ばない親しみやすさがいいですね。
大抵のゲームは得手不得手が出てしまうところですが、今作で負け続きということはないはずです。
私としては、使い勝手もよく、手元に置いてきたい一作だな、と感じました。
皆さんも、ぜひ一度プレイしてみてください。――いや、一度と言わず、二度、三度。真価はB面プレイからですぞ!
 といったところで、今回の『マジェスティ』、いかがだったでしょうか?
以上、正月はゲームをしまくっていた、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。
ライター紹介
 新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
 著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)