ボードゲームレビュー第206回「ババンク」

「ババンク」
作者:レオ・コロヴィーニ/ブルーノ・フェイドゥッティ
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:3~6人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約30分

 みなさんおなじみまして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当16回目となる今回ご紹介するのは、相手の心理を読むことが重要となる、こちらのゲーム。

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 『ババンク』。
かの有名ゲーム『ベガス』を彷彿とさせるパッケージですね。題材が同じ「カジノ」だからかな?
でもゲーム内容は『ベガス』というより『ワインと毒とゴブレット』(レビュー第154回掲載)に近いかも。
では世界観から見ていきましょう。

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【ゲーム概要】
プレイヤーは、国際的な腕利きギャンブラーとなり、賭場でタイ米……いや「大枚」を獲得することを目指します。
1ラウンドは、定額をベットして、イカサマをしかけて、賭ける場所を変えて、イカサマの結果をオープン。そして精算、という流れ。
4ラウンドを通じて、持ち金が最も多い人が勝者。……「坊や哲」ばりのギャンブラー伝説の誕生です、ハイ(雀聖ではない)。

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【コンポーネント紹介&ゲームの準備】
まず画像左、緑色の〈テーブルタイル〉を卓上に円状に並べて、ゲームボードの代わりとなる「賭場」を作ります。
タイルは全部で12枚ありますが、使う枚数はプレイ人数によって変わります(マニュアル参照)。
今回は4人プレイだったので9枚。これは、賭ける場所が9ヶ所ある、ということです。
 画像右は〈手番順カード〉。人数分を伏せてシャッフル。ランダムに引いて、手番順を決定します。

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 こちらは勝利点となる〈紙幣〉。ゲームを通じて、コレをより多く獲得することを目指します。
種類は「5千」「1万」「5万」「10万」「50万」の5種類。まずは、みんな0からスタートです。
ちなみにコレは「掛け金」とは違っていて、増える一方で減ることはありません。……本物のギャンブルもそうだったらいいのにね。
とにかく、種類ごとにまとめて卓に置き、いわゆる「銀行」としておきましょう。

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 こちらは〈プレイヤーポーン〉。プレイヤーカラーを決めて、1人1つ取ります。
「ポーン」はスタートプレイヤーがまず、好きなタイルの上に設置。
2番プレイヤーは、そこから時計回りに1タイル空けて、その次のタイルに設置。3番手はそこからまた1タイル空けて、という具合。
円状に並んだタイルに、1マスごとに「ポーン」が配置されている形になったら、セットOKです。

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 次に、「ポーン」と同じ色の〈所持金ボード〉と〈プレイヤーカード〉3種を受け取ります。
「ボード」は上に〈紙幣〉を重ねておくだけ。お財布って感じかな。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 〈プレイヤーカード〉は、「ダミー」「×2」「イカサマ」の3種類。ゲーム中、タイル脇に裏面で設置して使用します。
「ダミー」はただのフェイクで、効果なし。
「×2」は設置場所となるタイルの収入金額を倍化します。
1枚設置されていたら2倍、2枚で3倍、3枚で4倍、といった形で金額が上がっていきます。そして、このゲームの肝となるカード「イカサマ」。
置いたタイル上に他プレイヤーのポーンがあった場合、その人が得るはずだった収入を横取りします。
自分の収入を増やすと同時に他者の収入をなくす、究極の一撃。
ゲームに勝つためには、この「イカサマ」の活用が必要不可欠です。
詳しい活用術はのちほど、ご紹介しますね☆ ……まだあわてるような時間じゃない。

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 最後に、タイル上に設置して使う〈チップマーカー〉4種類。
この「チップ」がいくつ乗っているかによって、そのタイルにポーンを置いたとき=賭けたときの収入が決まります。
ちなみに、チップの額に「×1000」した数字が、獲得できる紙幣の金額になります。
なので、最低収入額は「5チップ×1個×1000=5000」。だから紙幣の最低単位が「5千」なんですね。
 各自、5チップ×4個、10チップ×3個、20チップ×2個、50チップ×1個、を持ってスタート。
1ラウンド目は「5チップ」を設置、2ラウンド目は「10チップ」を設置、という形で、小額のものから使っていくことになります。コンポーネントは以上で全部です。
では、ここから実際にゲームを始めていきましょう。

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【ゲームの流れ】
1ラウンドは5つのフェイズで形成されます。
 ●チップの配置
スタートプレイヤーから手番順に〈チップマーカー〉を1枚ずつ、任意の〈テーブルタイル〉上に置いていきます。
使用する「チップ」は、1ラウンド目は「5チップ」なので4周、2ラウンド目は「10チップ」で3周、する形ですね。
最後の4ラウンド目は「50チップ」なので、1周となります。
ラウンドごとに使用する「チップ」の設置が全員終わったら、次のフェイズに移ります。
 ●カードの配置
スタートプレイヤーから手番順に〈プレイヤーカード〉を1枚ずつ、任意の〈テーブルタイル〉脇に、伏せて置いていきます。
3種あるので必ず3周するわけですね。ちなみに、どの種類から置いていっても構いません。
ただ、「チップ」の置かれていない「タイル」に置いても何の意味もないので、必ず「チップ」のある場所に設置しましょう。
全員が3種類全部の設置を終えたら、次のフェイズに移ります。

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 ●ポーンの移動
スタートプレイヤーから手番順に1回ずつだけ、〈プレイヤーポーン〉を0~4歩「タイル」上を時計回りに移動させます。
基本的に、止まった「タイル」上の「チップ」の合計数が収入金額になるので、「チップ」の多い位置に止めるのが定石。
ただ、カードの効果によって、収入が0になったり倍になったりするので、そこが考えどころ。
誰がどこに何のカードを設置したかを読むことで、高収入を狙います。
全員が1回ずつ移動を終えたら、いよいよ雌雄を決する次のフェイズへ。
 ●ショーダウン(カードオープン&精算)
まずは、設置された「カード」をオープンしていきます。
ただし「ポーン」の置かれていない「タイル」に設置されたものは、オープンしません。
この時点で「ポーン」がいない場所は、もはやゲームに関係なくなっているのです。
さて、このカードオープンによって、状況が一辺に変わります。

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  ――例えば。「チップ」の配置が、5チップ×4個=20点で、自分(赤)と他プレイヤー(青)のポーンがいた場合。
そこに、青プレイヤーの「カード」が1枚だけ設置されていたとします。
オープンされたとき、このカードの種類が何かによって変わる収入額の差を検証してみましょう。・「ダミー」の場合
→赤青の両プレイヤーとも「20点×1000=2万」GET
(収入は必ず、頭割りではなく満額です)

・「×2」の場合
→両プレイヤーとも「20点×1000×2=4万」GET

  ここまでは、いわば単純計算ですね。
さて、お待たせしました。ここからが……だ~いじな大事な〈イカサマカード〉!
  ・「イカサマ」の場合
→青の収入は「20点×1000」+「20点×1000」=「4万」。青自身の分に、イカサマで横取りした赤の分が加わるわけです。
それに対して、赤の収入は横取りされて「0」。
  このように、「2万」か「4万」か「0」か。たった1枚のカードの種類が何かによって、結果収入はこんなにも変動するのです。
相手の心理を読むことが、勝つためにいかに重要かがわかりますねぇ……まさにアメイジング!
  カード計算の結果が出たら、あとはその分の〈紙幣〉を各自「銀行」から受け取って、このフェイズは終了です。

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 ●手番順の更新(次ラウンドの準備)
最後のフェイズ。ここでは、次ラウンドに向けての準備をします。
まずは、設置した「カード」を各自全部回収。それが終わったら〈手番順カード〉の持ち替えをしましょう。
2ラウンド目からは、所持金の多い人から順番に行動します。一番高額の人が一番手。……あとから動くほうが有利なのでね。
  ちなみに、ポーンの位置はそのままです。そして――チップも。
つまり、設置済みのチップはそのまま蓄積されていくので、ラウンドが進むほどに得られる点数も積み上がっていくのです。
負けていても逆転の目は消えない。
逆に言うと、トップを走っていても一瞬の油断が命取り。
……それが『ババンク』の……い~い~と~こ~☆
 この5フェイズによる1ラウンドを4回プレイしたら、ゲームは終了。
終了時に最も所持金の多かった人が、トップ・オブ・ギャンブラー!
……坊や、おめぇこそ真の玄人だ。

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【まとめ】
ガッチガチに勝ちに行くというより、緊張感も持ちつつ、楽しくやる感じの軽めなゲームです。
何本か遊ぶときには、重ゲー前のワンステップにオススメ。ほどよく脳のウォーミングアップができます。
つまるところ考えるのは「誰がどこに何のカードを設置するか」ですが、勝つためにはいろいろ考慮することになります。
四歩ある止まれる位置候補のうち、どこに止まるか。
「チップ」は多く、けれど「イカサマ」のない場所に移動させなければいけません。
また、自分の「イカサマ」は、より多くの他プレイヤーが止まる場所に設置しないといけません。
「チップ」が一番多いところに当然「ポーン」も固まりやすいけど、敵は「そこにイカサマが来る」と感じて、二番目に多い場所に行くかも。
……敵のウラのウラをかくんだ。
 あとは「イカサマだったら収入0だけど、違ったらデカイ」というときに、バシッと「ポーン」を賭けられる決断力ですね。
……やっぱりカジノゲーだけあって、博才は必要なのですよ。

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盛り上がりどころは、なんといっても、カードオープンの瞬間ですね。
今回ミラクルだったのは、私が「ポーン」を止めた位置にあった4枚の「カード」が、全部「×2」だったとき。
……僥倖! まさに僥倖っ!!
一緒に止まっていたプレイヤーと2人で、思わずハイタッチしました(笑)
「チップ」の点数はそれほど高くなかったのですが、それでも「5倍」となると、大勝です。
このおかげもあって、今回は見事、優勝することができました♪

サクサク進んで楽しいプレイ感。水面下で進む緊張の心理戦。
みなさんも『ババンク』で、めざせ「一日外出券」……じゃなかった。めざせ、ギャンブラーの星!
――といったところで、今回はここまで。
以上、「唯一やるギャンブルは自分の人生」な新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

ライター紹介
 新井 淳平(あらい じゅんぺい)
【小説家】兼【フリーライター】。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
 著書
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)