ボードゲームレビュー第21回「プロスペリティ」

プロスペリティ(PROSPERITY) 
発売元:Ystari games(フランス)/日本語翻訳:ホビージャパン
作者:ライナー・クニツィア&セバスチャン・ブレアスデール
プレイ人数:2~4人
対象年齢:13才以上
プレイ時間:約60分


 

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 どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回はエネルギー開発とそれに伴うリスクなどを管理する、お手軽だけど戦略性も高い国家繁栄ゲーム「プロスベリティ」を紹介したいと思います。

 プレイヤーは現在成長しつつある偉大な国家の指導者となり、インフラ基盤や産業に投資して国土にエネルギーを供給、活発な研究活動の助成をしなければなりません。
 上は説明書から引用したこのゲームの概要ですが、一見難しそうに見えるこのゲーム、実はやることはとても簡単なので誰でも楽しめるようになっています。
 デザイナーに「京都」でも紹介したライナー・クニツィア氏の名前が見えるので、一瞬「またケレン味のあるゲームではなかろうか」と警戒する方もいるでしょうが、それは杞憂です。
 いざ遊んでみると、堅実なゲームの作りとバランスに、驚きを隠せないことでしょう。
 ――ただ、やはりというか、血を抑えられなかったというか、所々に「ゲームシステムを優先するあまり設定がすごいことになる」クニツィアイズムが見え隠れしているのですが。
 それはほど良いスパイスになっていて、ゲームの面白さを助長しているとも言えます。

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 このゲームでプレイヤーが行うことはいたって簡単。
 タイルをめくって描かれているシンボルにそった内容(「エネルギー」が出たら紙幣を増減する、「繁栄」が出たら得点トラックで駒を進めるなど)を処理してから、能動的にアクションを行う。これだけです。
 ゲームはそれだけで、ほぼオート進行に進んでいきます。
 タイルはめくるごとに、場に置かれた研究ボードに配置され、アクションで購入することが可能です。
 このタイルの購入がゲームの肝で、タイルを買えば描かれている施設やオブジェの効果で、リソースの値が増減します。リソースの値が一定以上や以下になると、プレイヤーに対するメリットデメリットが発生し、タイルをめくった時に処理する内容も、微妙に変化するのです。
 例えば、プレイヤーは「エネルギー」「環境」「紙幣」「研究トラック」「繁栄点」の5つのリソースを管理するのですが、このうち「エネルギー」が増えるタイルばかりを購入すると、「環境」が悪化する可能性が高くなります。 
 かといって「環境」に気をつけて低エネルギーなタイルばかり購入していると、今度は「資本」が減っていく羽目になります。
 これらリソースの管理を上手にこなしながら、適切なタイルを購入、そして「繁栄点」を集めていくことがプレイヤーの目的となります。
 タイルのリソース管理が抜群なバランスを持っているため、上手く購入することで各リソースを最適化できることが、このゲームの戦略性に拍車をかけています。
 

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 ゲームは1970年~2030年の70年間を、5枚ずつのタイル(2030年だけ6枚)で区切り、それをめくることで進んでいきます。
 年代が進むにつれ、姿を現す施設が「太陽熱発電所」→「ガス火力発電所」→「原子力発電所」とパワーアップしていくところに、技術躍進のロマンを感じます。
 が、2020年にすでに「無人自動車」が普及すると考えるのは、少しロマンに溢れすぎではないでしょうか?
 また、2030年には「軌道エレベータ」や「若返り医療」が完成されているようで、今(2014年)から15年後がとても楽しみな、クニツィアイズム溢れる世界観になっています。
 ちなみにこのゲーム、「研究レベル」というものが設定されていて、それぞれの年代でめくったタイルの「研究レベル」に対しては、プレイヤーの「研究トラック」を上昇させることで差を埋めることができ、適切な値段でタイルを購入が可能となります。
 言い換えれば、「技術のレベルが追いついてなくても、無理矢理金を捻出すれば何とか施設は購入できる」わけで、1980年代の技術力しかない国が「核融合発電所」を所持できるなど、ドッキドキな展開も可能です。
 というか、年代が進めば進むほどゲームに有利な施設が出てくる以上、「金に物を言わせて新しいタイルを購入する」は割と有効な手段で、この辺にゲームをゲームと割り切るクニツィアセンスがきらりと光るような気がしてなりません。

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 この他にも、「プレイヤーが所持できるタイルの数には限りがある」「研究トラックには『エネルギー』と『環境』の2種類があるため、どちらに投資するのか決めるのも重要」など、このゲームには色々な要素があります。
 しかし実際にやってみると、これらの要素も決して複雑なものではなく、タイルをめくった時のオートメント処理も手伝ってゲームはすいすいと進んでいきます。
 国を育てていく育成SLGみたいなもので、手軽に遊ぶゲームとしては最適と思われます。
 最後の「繁栄点」計算を終えて、「得点トラック」上の自分の点数を見てみると「我が国もかなり栄えたよなぁ」と感慨に浸れること間違いなしです。
 あなたも指導者となって、70年越しの国家繁栄計画に着手してみませんか?
 自分の国が技術力を高めて繁栄していくさまは、見ていてとても楽しいですよ~。
 ただし、くれぐれも環境汚染には気をつけてください。あまり酷すぎると「繁栄点」がもらえなくなります!
 時代はエコ。皆さんも環境に気を遣った、素敵な国家を築き上げましょう。

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)