ボードゲームレビュー第211回「ノーリア」

キウイゲームズレビュー「ノーリア」(担当:新井)
制作:ソフィア・ワグナー
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約70~110分

 


 

みなさんおなじみまして! もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当18回目となる今回ご紹介するのは、SFチックな世界観が魅力の、こちらのゲーム。

『ノーリア』。ドン!
パッケージには、爽快な青空に浮かぶ工業都市と飛空船のイラストが描かれています。
また、題字のアルファベット「O(オー)」の部分が、巨大な金属ホイール(歯車)になっているところがポイント。
この〈ホイール〉こそが、当ゲーム最大の特徴になっているわけなのです。
なお今回は、ヘビーとはいかないまでもミディアム級のゲームなので、ルール解説は簡潔に。
では、まずは世界観から見ていきましょう。
……ここは何なんだ!!! 冒険のにおいがプンプンすんぞ!!!

【世界観&コンポーネント紹介】
天空に浮かぶ貿易都市「ノーリア」。その新時代を築くべく、プレイヤーたちは都市の実権掌握を目指します。
空島を発見して大使を派遣。飛空船を入手、工場を建設して商品を開発。また、資源を集めて有望なプロジェクトに投資。
政治的暗躍によって政治家に議席を獲得させ、プロジェクトの価値を高めていく――というわけ。
ゲーム的に解説していくと――。
まず、勝利に繋がる得点は「各プロジェクトへの投資レベル」×「各プロジェクトの政治的価値」となっております。
なので、やることは以下の感じ。

円柱型をしたプレイヤーカラー駒5個のうち、〈代理人〉4人を4つあるコース=〈プロジェクト〉に配置。
〈資源〉や〈商品〉をコストとして支払い、そのレベルを上げていく。
なお、初期位置の「洞窟」は「レベル0」の扱いなので、「プロジェクトの価値」がいくつでも「×0点」になってしまいます。
一方「プロジェクトの価値」は、政治活動によって変動させます。
自分が力を入れるプロジェクトの価値を高めると同時に、別のプロジェクトの価値を貶める。
ちなみに写真で言うと、数字の書かれた「議席」と、そこに並んでいるグレーの立方体〈政治家〉が関わる要素です。

政治活動を行うために必要なのが、小さな歯車型の〈知識トークン〉。それを得るためには〈工場〉を建設することが必要(最大7つ)。
また、工場を建てると、正方形をした各種商品の〈倉庫トークン〉が手に入ります。
〈倉庫トークン〉は、アクション「生産」を行い、材料の〈資源〉をコストとして支払うことで裏面〈商品〉にすることができます。

〈工場〉建設のために必要なのは、〈大使〉=プレイヤー駒の残り1個を〈空島〉のパネルに派遣すること。
「派遣」では、〈工場〉を建てる代わりに〈飛空船トークン〉を1つ得ることもできます。
〈飛空船〉には、各資源〈黒曜石〉〈菌糸体〉〈エネルギー〉に対応した3種類があり、1台ごとに得られる対応〈資源〉が1個増加。
「プロジェクトレベル」を上げたり、「商品生産」に必要な資源をいっきにたくさん獲得できるようになります。

……説明が早すぎて、何言ってるかわからない?……ですよね(笑)
のちほどおさらいしますので、ひとまずは「ざっと認識」程度でOKです。
というわけで、コンポーネント紹介の最後に、このゲームの肝となる〈ホイール〉をご覧ください。

……コレ、かっこいい(惚)
大中小3つの〈リング〉で構成されるこの〈ホイール〉が何なのかというと、プレイヤーがそのターンに選択できる行動=「アクション」を左右するものです。
ところどころに小さな丸い穴が開いてますよね?
ここに〈ディスク〉というものを嵌め込んで、カスタマイズしていきます。

〈ディスク〉は全7種。種類ごとに行えるアクションが決まっています。
例えば、先ほど話に出た「派遣」とか「生産」ですね。
なので、〈ホイール〉のどこに何の〈ディスク〉を嵌めるのかが、重要になってきます。
ちなみに〈早見表〉の付いた下半円が、選択可能範囲。上半分が無効範囲=そのターン選べない行動。
……なんか『FF7』の「マテリア」みたいだな。……あ、剣勇伝説の龍神のた……ごほっ、ごほんッ!

主なコンポーネントは以上です。
ここからは具体的なプレイ手順を見ていきましょう。いざ、空の冒険スタートです。
……ヤハハハハ!!! ここは空!!! 神の領域だ!!!!

【ゲームの流れ】
ラウンド数はプレイ人数によって決まっています。今回は4人プレイなので14ラウンド(マニュアル参照)。
4つある手持ちの〈代理人〉の1つを「洞窟」から任意のコース〈プロジェクト〉のレベル1に動かします。
なお、〈プロジェクト〉は「精錬」「殖民」「探検」「研究」の4種あり、どこでもOK。
――ここでどのコースに1歩目を踏み出すかが、どこを優先的に育てて高得点を狙うか、を左右します。
ゲームは「ストレスが溜まってガス抜きが必要」なプレイヤーから手番スタート。
各プレイヤーの初期装備は以下の通りです。
・ディスク×6個(都市/航行/工具/黒曜石/菌糸体/エネルギー×各1個)――ホイールの指定位置に配置。
・工場トークン×7個 ――工場ボード(個別ボード)に配置。
・飛空船トークン×3個(黒曜石/菌糸体/エネルギー×各1個)――工場ボード(個別ボード)に配置。
・知識トークン×1個
・資源トークン×1個(黒曜石/菌糸体/エネルギーのうち任意で1個)

――1ターンは、4つのフェイズで構成されます。
■調整フェイズ
任意で〈知識トークン〉を支払うことで、自分の〈ホイール〉のリング位置を調整できます。
・知識×1個=〈大リング〉or〈中リング〉を1マス分、時計回りに回転させる。
・知識×2個=任意の〈ディスク〉1個を、別の位置に嵌めなおす(嵌める先にすでにディスクが嵌まっている場合は、それと位置交換)。
※コスト支払い可能な限り、1ターン中に何回でも調整可能。しかし同パターンの調整は2回目は2倍、3回目は4倍と、倍々のコストになる。
※9ラウンド目(4人プレイの場合)から、基本コストが「+1」される。

■アクションフェイズ
任意のディスク(最大3個)を起動して、1つずつアクション(最大4つ)を実行する。
※選べるのは、有効半円のもの。大中小リングの各1個ずつ。隣接位置になければならない。
――〈ディスク〉と対応アクションの種類は、以下の通り。

●都市ディスク(AorB)
A)市場
ゲームボード上「市場」にある〈ディスク〉から任意の1個を取り、対応コストを任意の資源で支払う。
※購入した〈ディスク〉は〈ホイール〉中央に置き、のちの「管理フェイズ」で任意の位置に嵌める。
B)投資
自分の〈代理人〉1つをプロジェクトの1レベル上に移動させ、対応コストを支払う。コストの種類はおよそ下記の通りで、数は盤面に記載。
「精錬コース」=資源〈黒曜石〉
「殖民コース」=資源〈菌糸体〉&〈エネルギー〉
「探検コース」=商品〈プロペラ〉&〈セイル〉&〈コンパス〉
「研究コース」=商品〈ランプ〉&〈ピストン〉
※複数種類のコストがあるコースでは、レベルの段階によって支払いが、単一種or二種以上混合の指定がある。
※自駒より上位レベルにいる他駒1個につき、追加コスト「任意の資源×1」が掛かる。

●航行ディスク(派遣→AorB)
自分の〈大使〉駒を、任意の〈空島〉に移動させる。
※新規〈空島パネル〉をオープンした際は、必ずそこに移動しなければならない。
※現在地の〈空島〉には留まれず、必ず別の〈空島〉に移動しなければならない。
※移動先の〈空島〉に他プレイヤーの〈大使〉が配置されている場合、1個につきコストとして「任意の資源×1」が掛かる。
A)飛空船の獲得
移動先の〈空島〉にある〈飛空船〉1個を得る。
※該当〈空島〉にすでに〈飛空船〉がない場合は、実行不可。
B)工場の建設
移動先の〈空島〉にある「建物スペース」に、自分の個別ボード上の〈工場トークン〉1個を配置する。
「建物スペース」に描かれた種類と個数の〈倉庫トークン〉を得る。
※空き「建物スペース」がない場合や、自分の個別ボード上に〈工場トークン〉がない場合は、実行不可。

●工具ディスク(AorB)
A)ディスクの強化
〈ホイール〉に装着済みのディスク(この工具ディスク以外)1個を、裏面にする。
※裏面=1ディスクで2回アクションを実行できる。ただし、1ターン中に実行できるアクションの合計は、最大で4つ。
※このアクションで裏返したディスクは、このターン中は起動できない。
B)商品の生産
所有〈倉庫トークン〉の指定コストを支払い、トークンを裏返して〈商品〉にする。
※1アクションで生産できるのは「1種を∞個」or「∞種を1個ずつ」。

●黒曜石ディスク
資源〈黒曜石〉を、対応〈飛空挺〉の所有個数分GETする。
●菌糸体ディスク
資源〈菌糸体〉を、対応〈飛空挺〉の所有個数分GETする。
●エネルギーディスク
資源〈エネルギー〉を、対応〈飛空挺〉の所有個数分GETする。

●ボーナスディスク(他のどのディスクよりも先でないと起動できない)
指定した任意の〈ディスク〉1個の、このターン中のアクション回数を「+1」する(このプラス分はアクション回数に数えない)。
※プラスした〈ディスク〉が強化面だった場合は、その〈ディスク〉1個で都合3回アクションを実行できることになる。

〈ディスク〉によるアクションは以上です。なお、他に〈ディスク〉を使わない行動が2つあります。
○代替アクション:調査
起動可能な〈ディスク〉1個を起動しないことで、代わりに〈知識トークン〉1個を得る。
※大中小の〈リング〉上の起動制約や隣接の制約などは順守のうえでのこと。
○交換アクション:闇市場
所有リソースを別種のリソースに交換する。
・〈プロペラ〉or〈セイル〉or〈コンパス〉×1 → 〈知識トークン〉×2
・〈ランプ〉or〈ピストン〉 → 〈知識トークン〉×3
・〈知識トークン〉×3 →資源〈黒曜石〉or〈菌糸体〉or〈エネルギー〉×1
※1フェイズ中に何回でも実行可能。ただし、他のアクションの処理解決中は実行不能。

■政治フェイズ(任意で下記の行動=「陰謀」を実行)
コストの〈知識トークン〉を支払うことで、任意の「議会」にある〈政治家〉1個を「議席」へ移動できる=選んだ「議会」に対応する「コース」の価値(得点)を上げられる。
その後、任意の「議会」にある〈政治家〉1個をゲームから取り除く=選んだ「議会」に対応する「コース」の価値(得点)の上限を下げる。
――以下、わかりやすく解説します。
「議会」と「議席」はワンセットで、各コースに対応した4箇所と、あと2箇所あります。
残りの2箇所は、4個ある〈代理人〉の最高レベル値に対応する「専門化議会」と、最低レベル値に対応する「分散化議会」。
この2箇所についても、ゲーム終了時に得点計算されます。
まあとにかく、自分が全力でレベル上げる予定のコースの〈政治家〉を「議席」に就かせ、あまり上げない予定のコースの〈政治家〉を抹殺するわけですよ。
……なんと真っ黒な政治劇。しかしこの「陰謀」こそが大きく勝敗を左右するという……アメイジング(汗)
※必要コストの〈知識トークン〉は、当初は1個。数ラウンド進むごとに、2個、3個、と増えていく。
※1ターン中に何回も実行できるが、コストは倍々になっていく。2回目は2倍、3回目は4倍、4回目は8倍……以下略。

■管理フェイズ(ターンの終了)
1)個別ボード上に見えている〈知識〉マークの数だけ〈知識トークン〉を得る。
※基本的に〈工場〉を2個建設するごとに、ここで獲得できる〈知識トークン〉の数が1個増える。
2)〈ホイール〉の大中小の〈リング〉を各1マスずつ時計回りに動かす。
※大は6ターンで1巡、中は4ターンで1巡、小は2ターンで1巡する計算。
3)未装着の〈ディスク〉を任意の箇所に嵌める。
※すでに別の〈ディスク〉が嵌っている場所も選択可能。ただしその場合、元々嵌っていた〈ディスク〉はゲームから取り除く。

【ゲームの終了】
規定のラウンドが終わったら、得点計算に入ります。
具体的な計算方法を、写真の黄色プレイヤーを例に見ていきましょう。なお、得点は各コース(議会)ごとに算出し、最後に合計します。
・精錬コース:レベル3×価値6=18点
・殖民コース:レベル5×価値2=10点
・探検コース:レベル4×価値9=36点
・研究コース:レベル0×価値4=0点
・専門化議会:最高レベル5×価値2=10点
・分散化議会:最低レベル0×価値0=0点
――で、全部を足した結果の74点が最終得点となります。
ちなみに、同点の場合は「飛空船の数」+「倉庫&商品の数」が、少ないプレイヤーの勝利。効率よく立ち回ったほうの勝ち、ということです。
もしその数も同じなら……はい、皆さんご一緒に……「ポジピースっ☆」勝利を分かち合いましょうっ!

【まとめ】
――はい、ルール解説終了!
ここまで読んでくださった方、お疲れさまです。そして、ありがとうございますっ!……あんさんは天使のような御人や(涙)
坦々とガチガチな解説ですみません。
ここからはいよいよレビューの肝となる、プレイポイントと楽しさ、です。
出色なのは、なんといっても〈ホイール〉のカスタマイズ。
どこになんのマテリ……じゃなかった。どの〈ディスク〉を嵌めるのか。
小リングには、使用頻度の高いものを、大リングには頻度の低いものを配置して……。
出来上がる〈ホイール〉は、十人十色。
『ダイスフォージ』(レビュー第180回掲載)なんかもそうですが、アクションを左右するギミックをカスタマイズできるのは、やっぱおもろい。
そこが『ノーリア』の……い~い~と~こ~♪
プレイヤーごとのスタイルが、まー如実に現れます。……性格出るよっ☆

なお、どの〈ディスク〉を優先的に使うかは、戦術的に何から行うかで分かれるところ。
こまめに資源を稼ぐなら「資源系ディスク」3種が優先。あとからいっきに稼ぐなら、先に〈飛空船〉を多く獲得するため〈航行〉優先。
また、資源複数個で生産する〈商品〉をコストとする高得点のコース(探検/研究)狙いも、まず〈航行〉。〈工場〉を建てて〈倉庫〉GETが重要です。
あ、ちなみに。
一度GETした〈倉庫〉は決して失いません。〈商品〉にして使用しても、裏面の〈倉庫〉に戻るだけです。だから早い者勝ち。
そして、〈工場〉を早めに建てておくと〈知識〉の入りも良くなります。
〈知識〉は政治戦に欠かせません。
陰謀コストの安上がりな序盤は「議会」が主戦場になること間違いなしです。
後半戦では、〈知識〉は主に〈ホイール〉調整に使います。
……終盤になるほど、〈リング〉が1巡するのをのんびり待ってはいられなくなるんだな、これが。
〈知識〉をバンバン使って、起動したい〈ディスク〉をすぐ使えるようにしないと。
そうそう、〈都市〉で〈ディスク〉購入も忘れちゃいけない。
〈ホイール〉がスカスカじゃあ、勝負にならないからね。
……腹が減っては戦はできぬ、って……あれ?ちょっと違う?

バチバチにやり合うというより、着実に計画を練って進めるゲームです。
とはいえ、他の人がどう動いているかを把握するのも、勝つためには重要……なんだけど、これがどうしてどうして。
ついつい自分の〈ホイール〉カスタマイズに気を取られて、うっかり見落としちゃうんだな~、これが。
ま、楽しいから勝ち負けにはそんなにこだわらないんだけどねっ(テヘッ☆)
……黄金郷も空島も!!! 過去誰一人「無い」と証明できた奴ァいねエ!!! ……それでこそ!! ロマンだ!!!!
といったところで、今回はここまで(……って、なんかバタバタやな)。
以上、ゴム人間には敵わない「ヤハ!ヤハ!」なゴッド新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)