ボードゲームレビュー第216回「イマジナリウム」

「イマジナリウム」
作者:ブルーノ・カタラ / フローリアン・シリアイックス
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~5人
対象年齢:14才以上
プレイ時間:約90分

 


 

毎度どうも、ライターの松風です。
さて「労働は尊いもの」とは言いますが、しっかりと休息も取らなければ体が持ちませんよね。
でも、寝ても疲れが取れないなんていう時は、案外あなたは夢の中でも働かされているのかもしれません……?

というわけで、今回は夢の中の工場で働くゲーム、『イマジナリウム』をご紹介いたしましょう。
夢の中の工場……すなわち夢工場!?
一体どんなドキドキパニックが待っているんでしょうか!?
そしてこのネタはファミコン世代以外にも通じるのでしょうか!?(どうでもいい)

デザイナーは『キングドミノ』や『アビス』、『キャメロットを覆う影』などの名作ゲームを作り続けているブルーノ・カタラ。
割りとギミックのカッチリしたゲームを作られるデザイナーさんという印象がありますね。
他のデザイナーとの共同作品も多く、今回は新鋭デザイナーのフローリアン・シリアイックスとの連名です。

今作は夢がテーマとは言え、フワフワしたファンタジックなものとは違い、スチームパンクがモチーフと思われます。
スチームパンク自体がファンタジーとよく掛け合わされるジャンルなんですが、そこは夢の中という事で普通のスチームパンクよりも、かなりシュールなビジュアルが繰り広げられます!

プレイヤーは工場で働く雑用係となり、ベルトコンベアで流れてくる壊れたガラクタを修理しながら、他の雑用係より成果を出すのが目的となります。
いま一つ設定がはっきりしないのですが、どうもこのガラクタは人々が見る夢を作る機械(の一部)で、それの大元になる修理工場が舞台らしいですね。

ゲームのジャンルとしては「ドラフト要素のある拡大再生産ゲーム」ってところでしょうか。
勝利条件の話をしますと、20点以上の勝利ポイントを稼ぎ、なおかつ他のプレイヤーよりも高いポイントを持ってると思ったらゲーム終了の宣言ができます。
その後、手持ちのトークン類を勝利ポイントに換算して、最終的に最も勝利ポイントが多かったプレイヤーの勝ちとなります。
拡大再生産ゲームって、ともすれば早上がりを目指すのが正解になりがちなんですが、このゲームは「急がば回れ」的に高めのポイントを狙うのも重要になってきます。
早上がりボーナスが無いのもそれを意図してのデザインなのでしょう。

ではここからはセットアップです。
まずボードを卓の中央に広げましょう。

なにやら中央右側にある歯並びのいい口が異様に気になりますが、ここは不要なガラクタが置かれる場所、要するに捨て札置き場になります。
修理もされず廃棄処分になったガラクタは、ここでバリバリと噛み砕かれる運命……!

まずは各種『資源』と『黒炭素(チャコリウム)』を格納箱に入れて、口の横にある長方形のスペースに置きます。
こういった細々としたキューブ類をまとめられる箱があらかじめ付いてるのは嬉しい配慮ですよね。

『黒炭素』はゲーム中ではお金として扱われるものになります。
『資源』は『木材』『銅』『クリスタル』の三種類。
どういう基準で材質が選ばれてるのかはよく分かりません!
結構ゲーム中では大量にやり取りしますので、それぞれキューブだけでなく5個分を表すトークンも付いてます。
数字の書かれた『勝利ポイントトークン』は、まとめてボード脇に置いておきましょう。

各プレイヤーは『スクリーン』とそれに対応する『フィギュア』、そして『作業場』と呼ばれるプレイヤーボードを受け取ります。
『スクリーン』は裏にターンの流れなどが書かれていて便利ですが、主な用途は獲得したトークン類を隠しておくのに使用します。
これによって、誰が今何点の『勝利ポイント』を持っているのか、どれだけの『資源』や『黒炭素』を確保してるのかがわからなくなるわけですね。
『スクリーン』の表には個性的なビジュアルのキャラクターが描かれていて、キャラクター名まで書かれている凝りよう。
『フィギュア』もかなり精巧に出来ているだけに、彼らのバックグラウンドが気になるところですが、特にキャラクター設定などは付いていません。

『作業場』には初期所持品(資源、黒炭素、機械カード)や最初のターンのイニシアチブが書かれていますので、ランダムで配るようにしましょう。
初期所持品としてもらえる『機械カード』はすでに修理済みとして扱います。(修理の扱いに関しては後述)
受け取った『資源』と『黒炭素』は自分の『スクリーン』の裏側に、そして『フィギュア』は『作業場』に書かれた順番通りに、ボード上の『イニシアチブトラック』に並べます。

残った『機械カード』は全てシャッフルして、山札としてゲームボードの下段、ロボットが描かれているスペースに配置します。
そして若干のルールに従い、ベルトコンベア上にカードを7枚並べていきます。

次に『助手』カードをシャッフルしてゲームボードの右上、会議テーブルが描かれたスペース『会議室』に裏向きで置きます。
どいつもこいつも胡散臭い顔してますね!
彼らは『助手』という名前ですが、アシスタントではなくアドバイザーなので、プレイヤーを直接手伝ってはくれませんが、様々な特殊能力で有利をもたらしてくれます。
中には超強力な効果もありますので、雇う際にはよく能力を見極めなければいけません。

それから『プロジェクトタイル』をシャッフルし、『会議室』の横、『設計室』に示された枚数だけ並べて公開します。(プレイ人数によって変動します)
『プロジェクトタイル』は勝利ポイントと、それを得るための条件が書かれています。
どうすれば効率よく勝利ポイントを稼げるのか、よーく確認しておきましょう!

これでセットアップは完了。
そんなに工程は多くなく、覚えてしまえばサクッとゲームが始められるレベルでしょう。

さて、このゲームの1ターンは『計画』『実装』『チェックとリセット』の3つのフェイズで成り立っています。
まずは『計画』フェイズから順に行っていきましょう。

このフェイズでは、『イニシアチブトラック』に置かれた『フィギュア』の順に、プレイヤーは自分の『フィギュア』をベルトコンベアの『機械カード』の前か『黒炭素』抽出機の前に配置します。
これはつまり、『機械カード』を取るか『黒炭素』を補充するか、の二択を選ぶというわけです。
まだこの段階ではカードや炭素のスペースを確保しただけですので、実際にカードなどを受け取るのは次の『実装』フェイズになります。
気をつけなければいけないのは、ベルトコンベアのロボット側(山札側)に近いほど、『実装』フェイズの手番が早くなるという事です。
全員が『フィギュア』を置き終わったら次のフェイズへ進みます。

次はこのゲームのメインとなる『実装』フェイズです。
各プレイヤーは手番順に5つのステップを解決していきます。

1.『作業場』の機械の使用……『作業場』で修理済みになっている機械の効果を使用します。
『資源』や『黒炭素』、『勝利ポイント』を生産するメインの手段ですので、こまめな修理や分解、合成によってカードの効果を高めるのが重要です。

2.確保した機械の入手や黒炭素の獲得……ベルトコンベア上の『機械カード』や『黒炭素』の獲得
『黒炭素』抽出機からはそこの数字分の『黒炭素』がそのまま貰えますが、『機械カード』はその場所の基本コストとカードのレベルを合わせたコストが支払えないとカードを獲得できません。
つまり、『フィギュア』を置いた場所に4、『機械カード』の左上に3と書かれていたら、合計7つの『黒炭素』を支払わなければならないのです。
イニシアチブを優先すると必然的に高いコストを払わなければならないのが良いジレンマですね。

手持ちの『黒炭素』が合計額に足りない場合、任意の『資源』2個を『黒炭素』1個分として補填することもできます。
しかし、それでも足りない場合は手持ちの『黒炭素』と『資源』全てを支払った上で『機械カード』は破棄されてしまうので注意が必要です!

無事に『機械カード』を購入できたら、『作業場』の脇に横向きに寝かせて置いておきます。
これはまだその機械が壊れていて、使用できないことを示しています。

3.アクション2つの実行……『作業場』の針を動かしてアクションを2つ選択して任意の順番で実行します。
ただし、前のターンと同じ組み合わせを続けて選ぶことは出来ません。
アクションは『修理』『分解』『整理』『取引』『抽出』『雇用』の6種類。
ざっと説明しますと――

『修理』・・・・・・『機械カード』に示された『資源』をコストとして支払うことで利用可能な状態にする。修理した機械は『作業場』に4つまでしか置けない。
『分解』・・・・・・手持ちの機械を分解して『資源』などを手に入れる。合成済みの機械は分解できない。
『整理』・・・・・・『作業場』の機械を合成したり分離したりしてスペースを入れ替える。同じ機械を合成すると効果がアップしていく。
『取引』・・・・・・1アクションで3回、『資源』と『黒炭素』を変換する。直接『黒炭素』を『勝利ポイント』に変換もできる。
『抽出』・・・・・・『黒炭素』3個を入手する。
『雇用』・・・・・・コストを支払って『助手』を手に入れる。雇える『助手』は最大3人まで。

同じアクションの組み合わせは連続して行えない、というのがミソですね。
また、『整理』で合成した機械は、いらなくなっても直接『分解』できないのももどかしいところ。
分離させたくても『作業場』に空きがない! なんて事もありますのでご注意を。
さらにカードの中には独特な効果を持つ代わりに分解できない『特殊機械』なんてのも存在しますので、4つしかない作業場の枠をどう使うか、かなり戦略的な思考が要求されるでしょう。

『助手』はどれも便利な能力を持っているのですが、中にはゲームバランスを壊しかねないほどブッ飛んだ奴もいますので、そういう奴が場に出てきた時にイニシアチブを取るかカードを取るかも悩ましいポイントになるでしょう!

4.プロジェクトの完成……条件を満たしているプロジェクトがあるか確認します。
『プロジェクトタイル』の中に条件を達成できている物があれば、その上に自分の色の『プロジェクト完成トークン』を乗せて『勝利ポイントトークン』をゲットします。
ただし、ここが早い者勝ちな部分でして、二番目以降に達成したプレイヤーは、タイルに表示されたポイントから-1されてしまうのです。
また、既に自分の完成トークンが置かれたタイルから再びポイントを得ることはありません。

5.手番の終了……手番終了を宣言し、『フィギュア』を『イニシアチブトラック』の空いている中で最も低い数字に置きます。

色々やることは多いように見えますが、複雑なのはアクションの部分だけですので、流れが理解できればすんなりスムーズに進行できるでしょう。
あとやっぱり、何をするにも『黒炭素』は大事ですので、どれだけ貯め込むか、いつ使うかの判断が大事ですね。

最後に『チェックとリセット』フェイズです。
全プレイヤーの手番が終わった時、20点以上の勝利ポイントを持っていれば、ここでゲーム終了の宣言をします。
誰もいなければ、ベルトコンベアにカードを並べ直し、『会議室』に空きがあれば新たな『助手』が補充されます。
あとはまた次のターンに移って以下繰り返し。

すべてのゲームメカニクスが有機的に繋がっていて「次に何をすればいいか」が分かりやすい、いいゲームだと思います。
パッケージの象さんでなんとなく牧歌的なゲームかな、と思わせておいてその実、ランダム要素が少なくリソース管理が熱いガチゲーでもあります。
『プロジェクトタイル』の組み合わせも毎回変わるので、違う感覚で繰り返し遊べるのも嬉しいですね。

あとは何といってもアートワークが素晴らしい!
一歩間違えれば悪夢の中に迷い込んだかのようでもあり、グロテスクかと思えばキュートだったり・・・・・・。
人を選ぶかもしれませんが、このなんともシュールな世界観は、まさに夢の産物のよう。
ちなみに筆者はかなり好きです、こういうの。

プレイしてみるとかなり骨太なゲームですので、見た目で敬遠せずにトライしてみてください。
最近の拡大再生産ゲームの中ではかなりオススメです!

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか。
それではまた次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。