ボードゲームレビュー第217回「ロールプレイヤー」

「ロールプレイヤー」
作者:キース・マテイカ
メーカー:アークライトゲームズ
プレイ人数:1~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:60~90分

 


 

毎度どうも、ライターの松風です。
ところで皆さん、RPGはお好きですか?
運命だとか、人生の目標だとか様々な理由から果てしない冒険の旅に出る、なんてストーリーはワクワクしますよね。
でもせっかくの旅に出るなら、自分の分身であるキャラクターはそれなりに強く、魅力的な人物であって欲しいもの。
てなわけで、キャラクターメイキングにはたっぷり時間を掛けてしまう……そんな経験、ありませんか?
筆者にはあります。
種族と職業を選んで、性格とか得意な武器とか設定して、二つ名とかを考えて……ああもうキャラクター作るのたーのしー!!
もうゲーム始めずにキャラだけずっと作っていたい!!
はい、そんなボクらの期待に応えてくれるのが今回のゲーム、その名も『ロールプレイヤー』です!

このゲームの目的はズバリ「魅力的なキャラクターを作る」こと!
なので面倒くさい冒険とか一切ナシ!
実際に活躍するシーンは各自イメージで補ってください!
つまりこれはキャラメイク「だけ」に特化したゲームなんですねー。

何がどう「魅力的なキャラ」なのか、というのは『名誉の星』と呼ばれる得点で示されます。
最終的に、この『名誉の星』が最も多かったキャラがゲームの勝者となります。

とはいえ、「キャラメイクでランダム要素入るのって能力値決める時くらいでしょ? それでゲームになるの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
大丈夫です! これがちゃんとボードゲームならではの遊びになっているんですよ!

ではまずセットアップから。
プレイヤーは、人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリング、オーガ鬼、竜人(ドラゴンキン)、蛙人(フロッグキン)の中から、作りたい種族のボードを選びます。
これが『キャラクター・シート』です。

各プレイヤーはダイスを1個づつ振り合い、出目の最も大きかった人(スタートプレイヤー)から時計回りで『キャラクター・シート』を選びます。
裏表で男女が描かれていますが、イラスト以外に違いはないのでお好きな方を選びましょう。
中には「どっちが男か女かわからん!!」なんて種族もいたりしますが、そこはまぁ雰囲気で。
種族によって『特性値』にボーナスやペナルティがあって、それで『職業』の向き不向きが出てくるあたりは「キャラメイクあるある」ですよね。

『特性値』は全部で6つあり、それぞれダイスを3個置くことが出来る『特性値グリッド』が空いています。
ゲーム中、獲得したダイスはこの『特性値グリッド』に当てはめていくことになるのです。
また、各『特性値』の右端には特殊ルールにまつわるアイコンが描かれていますが、これについては後述します。

『キャラクター・シート』の右側には『職業カード』と『設定カード』を置くための枠が描かれています。
両方とも、『名誉の星』を獲得するための条件に関わってきますので、内容をよーくチェックしましょう。

『職業カード』には文字通りキャラクターの職業名が書かれていて、『職業』ごとに異なった能力もついてきます。
このカードで最も重要なのは『特性値の目標』が描かれていることでしょう。
ゲーム終了時に、各『特性値』ごとの条件を満たしていないと、もらえる『名誉の星』が減ってしまいます。
しかしそうは言っても、全部の条件を満たすのは至難の業なので、どの『特性値』を優先するか、あらかじめ考えておくのもいいでしょう。

一方、『設定カード』にはキャラクターがどんな理由で冒険に出るのか、というフレーバーテキストと共に、『特性値グリッド』に置くべきダイスの色が指定されています。
当然、この色の条件を満たした数が多いほど、ゲーム終了時に『名誉の星』がたくさん貰えます。

『職業』で要求される『特性値』の合計値と、『設定』で要求されるダイスの色。
プレイヤーはこの二つを同時に満たしていく事を目指さねばなりません。
これが、このゲームの主な目的となるでしょう。

また、種族イラストの下には『属性』と書かれた枠がありまして、ここには『属性カード』が置かれます。
『属性カード』は大まかな性格を表す『属性の名称』と、善と悪、秩序と混沌の軸で分かれた9つの『属性グリッド』が描かれています。
筆者は思わず昔プレイしてた某ゲームの記憶がフラッシュバックして、テンションが上ってしまいました。
ゲーム開始時には『属性』の偏りのない中央に『表示トークン』が置かれます。

『属性グリッド』内に描かれた『名誉の星』は、性格によってそれぞれ違う場所に配置されています。
ゲーム終了時に『表示トークン』があった場所のポイントが得られるというわけですね。
そしてこの『属性』はゲーム中、結構頻繁に変動します。
善人プレイをしようと思ってたのに気づいたら「混沌-悪」になってた、なんて事も……。
もちろん性格にそぐわない属性になっていたら『名誉の星』はマイナスされてしまいます!

『職業カード』『設定カード』『属性カード』はそれぞれランダムで1枚受け取ることになります。
これによって毎回違ったキャラクターを作成できるというわけですね。
かなり変テコな組み合わせになることもありますが、そこはそれ。
味のあるキャラクターに仕上がる可能性があると思ってがんばりましょう(笑)

次に決まったルールに従って『市場カード』の山札を作り、以後この山札は『市場在庫』と呼ばれます。
『市場カード』には『武器』『甲冑』『特徴』『技能』の4種類があり、これを購入することでキャラクターは強化されていくのです。
それぞれのカテゴリには別々の効果があり、例えば『甲冑カード』は装備できる3ヶ所全てを同じ種類の装備で固めると『名誉の星』がもらえますし、『技能カード』は『属性』を変動させることで特殊能力を発揮します。
『武器カード』にはちゃんと片手用と両手用の武器があり、片手用は2枚まで装備できるといった制限もあります。

テーブル中央に『市場在庫』の上からプレイ人数+1枚のカードを取って表向きに並べ、『市場』を作ります。
この『市場』には『市場カード』と同じ枚数の『順番カード』が横に並べられるのですが、そのうち「最大でも最小でもないカード」にはゲーム内通貨である『金貨』が1枚乗せられます。
例えば、3人プレイのときは「2,3」のカードに、4人プレイの時は「2,3,4」のカードに『金貨』が置かれるわけですね。

ちなみに各プレイヤーにも初期所持金として『金貨』5枚が配られます。(プレイ順で3人目、4人目の人にはボーナスあり)

それからダイスを全て『ダイス袋』に入れ、スタートプレイヤーから順に、決まった数のダイスをランダムで引いて自キャラの『特性値グリッド』に配置します。
この時、ダイスはグリッドの左側から詰めて置いていきましょう。
ここまで終わればセットアップは完了です!

ではここからが実際のプレイです。
このゲームの1ラウンドは『開始』『行動』『購入』『管理』の4つのフェイズで区切られています。

まずは『開始フェイズ』から。
このフェイズでは、スタートプレイヤーが最初に『市場』の『順番カード』と同じ数のダイスを袋から取り出して振り、それらを出目の小さい順に『順番カード』の上に置いていきます。
同じ数字が出た場合は、スタートプレイヤーが好きな順で置いて構いません。
これでこのフェイズは終了です。

次は『行動フェイズ』。
スタートプレイヤーから順に時計回りで『順番カード』と、その上のダイス(と、あれば金貨も)を獲得します。
各プレイヤーは獲得したダイスを『特性値グリッド』の空いているマスに左詰めで配置してください。
この時、ダイスの出目は変えてはいけません。
さらに獲得したダイスの色が黄色だったら、銀行(金貨の共通置き場)から『金貨』2枚をもらえます。
それから各『特性値』に対応したアクションを行います。(任意)
前述した『特性値』の右端に描かれたアイコンの行動ですね。

例えば『筋力』のマスにダイスが置かれたら、『キャラクター・シート』上のいずれか1個のダイス目を裏返せます。
1の目なら6に、2の目なら5にできるチャンス!
基本的に特性値は高い方が有利ですから、この効果は大事に使いたいところ。
『敏捷』に置かれたなら、シート上にあるダイスを2個選んで位置を入れ替えることが出来ます。
『特性値』による行動はどれも強い効果なので、できれば温存したいところですが、そうは行きません。
いつのタイミングで効果を使うか、と「この出目(あるいはダイスの色)はこの特性値に欲しい!」という欲望のせめぎあいが、ここで生まれます。

そして3つめが『購入フェイズ』。
『行動フェイズ』で取った『順番カード』の数字にしたがって、『市場』にある『市場カード』を購入できます。
もちろん、コストとして相応の『金貨』が必要です。
購入できた『市場カード』は『キャラクター・シート』の適切な場所に配置しておきましょう。
『特徴カード』を購入したら、即座に指示されたとおりに『属性』を動かし、『技能カード』を購入したらすぐさま使用しても構いません。

ちなみに『武器カード』以外に所持枚数に制限はありませんし、『武器カード』も即座に付け替えが可能です。
あるいは、「カードを購入しない」と宣言した場合は『市場』からカードを1枚捨て札にすることで、銀行から『金貨』2枚を受け取れます。
手持ちの資金が乏しいけど他人に取られたくない良いカードがあるなんて場合には、積極的にそれを捨て札にしていく、という戦術もアリでしょうね。
そして手番の終わったプレイヤーは『順番カード』を元の場所に返します。

最後に『管理フェイズ』です。
次のラウンドの準備を行って、スタートプレイヤーは左隣のプレイヤーにダイス袋を渡します。
そして新たにダイス袋を渡されたプレイヤーをスタートプレイヤーとして次のラウンドが始まるのです。
流れは簡単ですね!

全プレイヤーの『特性値グリッド』がダイスで埋まれば、そのラウンド終了時にゲームは終了です!
最終得点計算を行って、『名誉の星』が最も多かったプレイヤーの勝利となります。

ゲームの雰囲気として一番近いのはテーブルトークRPGのキャラメイクでしょうか。
TRPGをボードゲーム的に再現するというコンセプトのタイトルは過去にもいくつかありましたが、キャラメイクのみに焦点を当てたのは初めてではないでしょうか。
純粋に勝敗を競うよりも、出来上がったキャラクターに満足行くかどうかの方が主眼になりがちですが、このゲームの楽しみ方はそれでいいと思います。
むしろ「どこまで自分の思い描いたキャラを演出できるか」にこだわってプレイした方がいい縛りになるでしょう。

ちなみに筆者がプレイした時のキャラクターは……
「秩序-善」の人間の女性で、疫病で全滅した村の唯一の生き残り。
そのつらい経験からか弱者を助ける保護者となり、嫉妬深いのが玉に瑕ですが、勇敢で誠実な性格で、著名な聖騎士(パラディン)となりました。
博学スキルは疫病について学ぶ事で得たものでしょうし、登攀スキルは高い山に生える薬草などを取るために覚えたのでしょう。
おお、なんかそれらしいキャラクター設定が出来上がったんじゃないですかー?
『特性値』もまずまずと言ったところですが、『魅力』が低いのは残念です。
ちなみに武器を取ってる暇がなかったので手には何も持っていません(笑)
ゲームには負けましたが、概ね気に入ったキャラが出来たと思います。

ゲームには勝ちたいが、さりとてキャラクターにも整合性を持たせたい、といったゲーマーの美意識に切り込んでくるこの『ロールプレイヤー』。
なかなかいい着眼点のゲームだと思います。
『特徴カード』や『技能カード』によって変動する『属性』に気を配りつつ、ダイスの出目と色をいかに揃えるか等、意外と見るべきポイントが多く、しっかりとボードゲームらしいゲームをしてる感覚になれます。
単なる言葉遊びやフレーバーだけのゲームではないと実感いたしました。
勝ちだけにこだわった結果、一見支離滅裂なキャラになったとしても、その背景や設定の辻褄を合わせる作業はなかなか面白いものになるんじゃないでしょうか。
なんなら、ここで作ったキャラをTRPGに落とし込んで、実際に冒険に出るのも一興でしょう。
そういう意味では、いろんな切り口で楽しめるゲームかもしれませんね。

ぜひ、プレイの度に自分が作ったキャラクターについて語り合ってみてください。
きっとすぐに次の冒険者を作ってみたくなるはずです!

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか。
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。