ボードゲームレビュー第220回「グラバー」

「グラバー」
作者:赤瀬よぐ
メーカー:ニューゲームズオーダー
プレイ人数:3~5人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:約60分

 


 

<ご挨拶>
どうも、はじめての方、はじめまして。
おひさしぶりの方、おひさしぶりです、高円寺です。

またまたキウイゲームズ様のアナログゲームレビューを担当させていただくことになりました。

本日ご紹介するゲームはこちら、その名も『グラバー』になります!

ほう……海と島といい、和洋折衷の街の造りといい、どう見ても長崎ですね。

「グラバーって、あのグラバー?」

「っぽいですね」

「ええと…プライヤーは幕末の長崎商人となり、スコットランドから渡来した貿易商トマス・ブレイク・グラバーとの取引に乗り出します……」

「待って待って待って!」

「なんですか?」

「グラバーって、スコットランド人だったの!?」

「みたいですね、しかも死の商人」

「死の商人!?」

なぜ私が担当するゲームはこう毎度毎度不吉な影が見え隠れするのでしょうか…。

ちなみにトーマス・グラバー氏は日本のキリンビールの設立にも関わった一風変わった死の商人だったそうです。

<概要>
『グラバー』はプレイヤーが日本の幕末の商人となり、長崎で様々な取引きを行いながらグラバー氏の信頼を勝ち取り、そして彼との大型取引きを成功させていくゲームです。

激動の幕末において、グラバーと共に最も目覚しい活躍を遂げた商人がこのゲームの勝者となります。

オーケー、概要はわかった。
さあ、日本の夜明けぜよ!!!

<スタートアップ>

まずはゲームボードを中央に広げます。

次に交渉カードをよくシャッフルし、裏向きにして山札とし、ゲームボードのテーブルと椅子が描かれたところに配置。

これはグラバーとの契約書です。
プレイヤーの得点を表すものなので『礼状』『艦船』『大砲』『小銃』と分けてゲームボードの脇に置きます。

このゲームでは18種の施設タイルがありますが、この内8枚を1ゲームでセットとして使用します。
初めてプレイする人は『商人の基本セット(製茶場、乗馬倶楽部、銀取引所、私設電話、生糸工場、洋風商館、麦酒工場、造船所)』で始めてください。

協力者カードも伏せてよくシャッフルしてから、ゲームボードの脇においてから1枚だけめくって、最初のラウンドに現れる協力者を決め、これをボード左上に置きます。

こんな感じです。

こちらは商品キューブになります。
これらは色別に分け、ストックとしてボードの近くに置きます。

最後にラウンドマーカーと信頼度マーカーをボードに配置した後、プレイヤーはそれぞれの各自担当する色を決めます。

さらに担当の色に沿った暖簾(ついたて)を受け取ったら準備完了。このついたてはプレイヤーが各自保有している商品キューブを隠す役割を持ってます。

この形になりましたか?
では、ビジネスをはじめましょう!!

<ゲームの進行>

――幕末の長崎へようこそ――

このゲームは【生産フェイズ】【交渉フェイズ】【グラバーフェイズ】の3つのフェイズを順番に処理することによって進行します。

【生産フェイズ】

ゲーム中、プレイヤーは商人なのですから、売るための商品を作らなければなりません。
なのでプレイヤーは順番に、自分の工作場の生産力に見合った担当する色の商品キューブを獲得します。

これが後の【交渉フェイズ】で生きてくるのです(ニヤリ

【交渉フェイズ】

プレイヤーは各自一回、他のプレイヤーに商品の交換を持ちかける機会を得ます。

その手順を皆さんにご紹介しましょう。

1.山札としてゲームボードに積まれた交渉カードを3枚引き、1枚を捨て、1枚を山札に戻し、1枚を手元に伏せます。
この伏せた1枚こそが今回の商取引の方針です。

2.自分が担当する色の商品キューブを山札の上に乗せます。これは保険料ですね。

3.他のプレイヤーに譲渡する候補の……ええ、『候補』の手持ちの商品キューブを伏せた交渉カードの上に乗せ、商談を開始します。

他プレイヤーは必ずこの取引に対し交換する商品キューブを提示しなければなりませんので、そこは口八丁。

「いや実はさぁ、僕グラバーさんの飲み友なんだよねぇ」
「今回、同じ数だけの青色キューブを交換してれたらさ、受けた恩は忘れないよ」
「そちらにとっても、悪い話じゃないと思うんだけどなぁ」

言葉の売り買いも商品の一つなのです。

4.他プレイヤーの中から交換相手を1人選び、伏せた交渉カードを公開し、効果を適用します。

「いいでしょう、今回は名刺がわりに応じようじゃありませんか」

「よくも騙したなぁぁぁぁぁ!!!!」

HAHAHAHA!!!
皆さん、このゲームの趣旨が理解できましたね?

誠実に交渉し他プレイヤーの信頼を獲得するもよし!
相手を騙して私腹を肥やすのもよし!

それは皆さんの商才次第なのです。

<最後に……>

最後に<グラバーフェイズ>を紹介して今回のレビューを終えようと思います。

この『グラバー』というゲーム。
騙し騙されの交渉ゲームだけかと思いきや、とんでもない。
プレイヤーはかなりしっかりした経営戦略を要求されます。

そうさせているのがこのグラバーフェイズなのです。

<グラバーフェイズ>

グラバーフェイズでは主に手持ちの商品キューブを費やし、グラバーの恩恵を受けます。

●グラバーからの信頼の獲得
好きな商品を規定数支払い、グラバーの信頼度をあげます。
つまりグラバーの信頼度をあげることによって小銃/大砲/艦船といった大型取引きに漕ぎつけるのです。

●本店や工作場の改装
商品キューブを三つ払って、本店タイルや工作場の機能拡張(裏返す)

●商品の引換
同じ色の商品キューブを3個支払い好きな色の商品キューブ1個と引換えます。

●施設カードの借用

それぞれ必要なコストを支払って施設タイルの使用権を獲得します。(商人コマを置く)

●小銃/大砲/艦船などの大型取引

コストを支払い勝ち点を得ます。

●グラバーの礼状
ラウンドに一回、無償で礼状(勝ち点1)を得ます。

――例えばですが。
施設カードの造船所の使用権を獲得したとします。
これはグラバーとの取引きにおける最大の勝ち点9である艦船の購入に必要なコストを減らしてくれます。
そして他プレイヤーとの<交渉フェイズ>によって、必要な色のキューブをしっかりと獲得することができれば……。

このように一気に艦船を3隻も購入することができ、他プレイヤーとの勝ち点差を一気にひっくり返すことが可能なのです。

はじめは騙し騙され口八丁のロールプレイングを楽しみながら、その後は割と本気でビジネスの鎬を削り合う。

この『グラバー』はかなり完成度の高いゲームであり、個人的経営系ゲーム十傑集の中に迎え入るに相応しい実力の持ち主と言えるでしょう!

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
シュミレーションRPG「ベルウィックサーガ」
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
その他多数。