ボードゲームレビュー第222回「ビンジョー×コウジョー」

「ビンジョー×コウジョー」
制作:すまいる120円
メーカー:アークライトゲームズ
プレイ人数:3~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:40~60分

 


みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当24回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『ビンジョー×コウジョー』。
このゲームは、元を正せば「ゲームマーケット大賞2016」を受賞したインディーズ作品。
今回ご紹介するのは、ルールやバランスが微調整され、より洗練された、その製品版です。
……なるほど。おもしろさは折り紙付き、ということか(ニヤリ)

【世界観&ゲーム概要】
プレイヤーは事業主となって、工場の発展拡大を目指します。
まずは、わずかな金と設備を元手に〈職人〉を〈雇用〉。
〈受注〉を行い〈生産〉をして、お金を稼いでいきます。
そのお金で〈生産ライン〉に〈機械〉を導入し、さらに〈受注〉と〈生産〉を繰り返していく。
〈資本金〉の〈増資〉を行うと、一気により多くの〈受注〉ができるようになり〈生産〉も加速。
そうして誰よりも早く大工場主となり、最大資本額になった人が優勝です。
……熾烈な町工場戦争の覇者、といったところかな?

ゲームは、1ラウンド4フェイズ構成。
勝利点=増資額を表す〈資本金ボード〉の誰かのコマが、「60」に到達するとゲームは終了の流れ。
ポイントとなるのは、タイトルにもなっている〈便乗〉という行為です。
これは、誰かが「受注生産」を行った際、自分も同じ製品を〈生産〉できる、というもの。
しかも「便乗生産」は〈工程〉が通常より少なくて済んでしまうという利点付き。
――しかし!
報酬となるお金の身入りも少なくなってしまう。そこが考えどころです。
果たしてあなたは〈便乗〉を使いこなし、見事、工場王となることができるのだろうか――。
……北京ではオーロラ燃える。だがそれは君の人生とは関係ない。だから働け!働け!

【コンポーネント&セットアップ】
まず〈資本金ボード〉を卓上中央に置き、「0億G」のマスに各プレイヤーカラーのコマを置きます。
そう、このゲームのお金の単位は「億G」。
コレ地味なところですが、ハッタリが利いててプレイ中おもしろかったです。
「よし、俺は6億払って機械を導入だ!」なんてセリフが飛び交っておりました(笑)
ちなみに、全員「3億G」持ってのスタート。……ってそれ、すでに金持ちですやんッΣ(・□・;)

さて次に、自分のカラーの〈工場ボード〉を各自受け取ります。
写真の通り、3段になって3つの〈生産ライン〉が描かれているやつですね。
ラインごとに製品の〈生産〉が可能で、最大で同時に3つの製品を〈生産〉できることになります。
なお、板の一番左にある3つの黒い丸が〈搬入口〉。
スタート時はこの上に、ショッキングイエローの〈チャージコマ〉を1つずつ置いておきましょう。
ちなみに、ボードの下には製品のリストが一覧になって描かれています。
――何と何の〈工程〉で何が作れて、いくらの収益になるか。また、それが「便乗生産」の場合はどうか。
この表を参考にして、具体的で計画的な〈生産ライン〉の構築を心がけましょう。
……難しいからこそやる価値があるんだ。どんな難題にも必ず答えがある。

続いては〈職人タイル〉の準備です。
工場の〈生産ライン〉は、そのままでは機能しません。
〈生産〉するためには第一に、この〈職人タイル〉か、または〈機械タイル〉を設置する必要があります。
ゲームに使う〈職人タイル〉は、5色×3枚ずつの全15枚。
種類=〈工程〉は、赤(加熱)、青(切断)、黄(凝固)、緑(組立)、紫(攪拌)、となっています。
初期の手持ちは3枚ずつで、種類はプレイ人数と手番順によって決まっています(マニュアル参照)。
(4人プレイ:1番手=赤青緑/2番手=赤黄緑/3番手=青黄紫/4番手=赤青紫)
各自これを受け取ったら、3つの〈生産ライン〉の一番左のマスに1枚ずつ、設置しましょう。
〈生産ライン〉1つに最大4つのタイルを設置できますが、スタート時は各ラインに1枚ずつがルール。
……ぼ~く~ら~は位置について~、横一列でスタートをきった~♪
なお、残りの〈職人タイル〉はストックにして、卓上に並べて置いておきましょう。

次は〈機械タイル〉。全部で5色×3種類×3枚の、計45枚あります。
一旦、色ごとに分けて裏向きでシャッフルし、各色3枚ずつ間引きます。この15枚はゲームから除外。
残りの30枚はオモテにして、〈職人タイル〉同様、種類ごとにストックとして卓に並べて置きましょう。
なお、盤面に描かれている丸の数は、チャージの回数です。

チャージとは――
〈搬入口〉に置いた〈チャージコマ〉は3つとも、1人手番が終わるごとに、右に1マス移動します。
これがチャージ。〈機械タイル〉は、〈フルチャージ〉状態でないと機能しません。
〈フルチャージ〉というのは、タイルの一番右の丸か、それより右の位置に〈チャージコマ〉があること。
だから、タイルに描かれた丸が1個なら1チャージで稼動可能なので、購入額は「10億」と高額。
丸3つは稼動まで3チャージと時間がかかるため、「4億」と比較的安価になっています。
一度〈工場ボード〉上に設置した〈機械タイル〉は、以降、移動も喪失もしません。
ただ、〈チャージコマ〉はその〈生産ライン〉で一度〈生産〉を行うと〈搬入口〉まで戻ってしまいます。
イチから、またチャージし直していかないといけないわけですね。

ちなみに、前述の〈職人タイル〉のほうは、チャージなしで即使える便利品。
しかし〈機械タイル〉と違って、一度使うとストックに戻さなければいけない。いわば使い捨てです。
この辺、どちらをどの程度活用するのか、考えどころとなっています。

さて、こちらは〈製品カード〉、12種類30枚。
カード下部に製品名が、中央にそのイラストが、描かれています。
左上のアイコンは〈生産〉するために必要な〈工程〉。右上の数字は〈生産〉して入る金額です。
例えば、写真左上の「木材」なら――
「必要工程:青(切断)」、「収益金:通常3億/便乗1億」という具合。
〈製品カード〉は全てを裏向きでシャッフルし、山札にしておきます。

最後に、ジャンケンなど適当な方法でスタートプレイヤーを決めたら、その人の前に「便乗第一」を設置。
これは、誰からゲームを始めたかをマークしておく〈スタートプレイヤータイル〉で、移動はしません。
移動するのはイナズマ型をした〈チャージタイル〉。これが手番プレイヤーの証となります。
……では、ゲームを始めよう。

【ゲームの流れ】
1回の手番を構成する4つのフェイズは、以下の通りです。

①-A「雇用」or ①-B「受注と生産」→ ②「設置」→ ③「増資」→ ④「チャージ(手番の移動)」

①のみ、どちらのアクションを行うか選択式になっているわけですね。
――では、ここから各フェイズの具体的な内容を見ていきましょう。

■①-A「雇用」
手持ちの〈お金チップ〉を支払い、ストックにある〈職人タイル〉のうち、任意の1枚をGET。
自分の〈工場ボード〉の任意のマスに、即座に設置します。
これ、一応どこの空きマスにでも設置できるわけですが――
各〈生産ライン〉は、〈搬入口〉から横一列に繋がっているところまでしか機能しない、というルール。
つまり、例えば――
「赤・(空きマス)・青」の〈生産ライン〉だと、必要工程が「赤のみ」の〈製品〉しか作れない。
「赤・青・(空きマス)」の〈生産ライン〉なら、必要工程が「赤と青」の〈製品〉も作れる。
なので、〈職人タイル〉は左寄りのマスから順に詰めて設置していくのが定石となっております。
なお、後述する〈機械タイル〉の場合は、一度設置すると移動できないので、定石通りにはいきません。

■①‐B「受注と生産」
受注=山札から〈製品カード〉をオープンします。
何枚めくるかは、〈資本金ボード〉に置かれている〈プレイヤーコマ〉の現在地=現在の増資額、次第。
受注数の初期枚数は2枚ですが、増資額「5億G」を超えると3枚めくれるようになります。
以下、15~29億Gで4枚、30億G以上で5枚。
めくる数が多ければ、当然それだけ生産可能な〈製品〉が出てきやすくなる。
増資額が多いほうが有利になるわけですね。そこが〈増資〉の……いーいーとーこー!

〈製品カード〉をオープンしたら、次は〈生産〉。
オープンした中に必要工程を満たしている〈製品〉があった場合、〈生産〉が行えます。
ただ、〈生産〉すると、使った〈生産ライン〉の〈チャージコマ〉はフリダシに戻ってしまいます。
ライン上の〈職人タイル〉はストックに戻っちゃうしね。
だからもし「もっとデカい獲物を狙いたい」という場合は「あえて生産しない」という選択もあり。
〈生産〉を実行した場合は、〈チャージコマ〉や〈職人タイル〉の戻し処理も実行。
そして、〈製品カード〉に書かれた通常生産分の〈お金チップ〉をGETしましょう。

――ここで、エクスキューズ!
手番プレイヤーが〈生産〉を行ったとき、他のプレイヤーは「便乗生産」を行うことができます。
行う場合は、このタイミングで透かさず「ビンジョーっ!」と叫びましょう。
なお「便乗生産」の場合、2つ以上の必要工程がある〈製品〉は、1工程少ない状態で作れます。
「木炭:赤」などの条件はそのままですが、例えば「プラスチック:赤・黄」などの場合は――
「赤」か「黄」のどちらか一方を満たしているだけで作れちゃう。……アメイジング!
まあ、通常生産なら「6億G」のところ、便乗生産では「3億G」と控えめな収入にはなっちゃうけどね。
便乗プレイヤーは、手番プレイヤー同様〈チャージコマ〉や〈職人タイル〉の戻しをして、お金をGET。
ちなみに、〈製品〉1つに何人でも便乗できます。
……尻馬に乗るのではない。人のふんどしで相撲を取るのだ。

また、もし手番プレイヤーが〈製品〉2つを作ったら、その両方とも便乗生産、というのも可能です。
ただ、作れるのは〈製品カード〉1枚につき、1人1個のみ。
「赤」の条件を満たしている〈生産ライン〉が2個あっても、「木炭」2個は作れない、ということ。
オープンされたカードに「木炭」が2枚あった場合は、2個作れるけどね。
この辺、注意しましょう。
〈生産〉する人がいなくなったら、手番プレイヤーは引いた〈製品カード〉全部をオモテのまま捨て札に。
そして、次のフェイズへ進みます。

■②「設置」
手持ちの〈お金チップ〉を支払い、ストックにある任意の〈機械タイル〉1枚を購入できます。
購入した場合は、買ったタイルを自分の〈工場ボード〉の任意の空きマスに、すぐセットしましょう。
ちなみに、マスによっては「-1億G」などと書かれているので、その分、支払いが少なくて済みます。
なお、ストックにタイルがない場合や、〈工場ボード〉に空きマスがない場合は、購入はできません。
購入しない場合や、できない場合は、次のフェイズに移りましょう。

■③「増資」
手持ちの〈お金チップ〉を支払い、その分〈資本金ボード〉上の自分のコマを進めます。
一度の増資額に上限はありません。60億G払えるなら、一気に60マス進めることも可能です。
……理論上はね、あくまで理論上は。
基本的には、受注数が増える境目のマスを狙って、そこまで一気に〈増資〉、がオススメ。

■④「チャージ」
プレイヤー全員が、全ての〈チャージコマ〉を右に1マスずつ動かします。
ここ忘れやすいので、手番プレイヤーは手番終了の意味を込めて「チャージ!」と叫ぶようにしましょう。
……我が美しさを股間の紳士に!! チャーグル!!

【ゲームの終了】
誰かが〈増資〉を行った際、〈資本金ボード〉の「60億G」を上回ったら終了処理に入ります。
具体的に言うと、「便乗第一」が置いてあるプレイヤーの手前のプレイヤーまで、手番を行います。
全員の手番プレイ数が同じになるようにする、ってことね。
それが済んだら、各自「最終増資」。
お金は残しても何の価値にもならないので、あるだけ使い切りましょう。
……ダイアモンドはただの石! 一万円札はただの紙!

これらの結果、最も資本金額が多いプレイヤーが優勝。町一番の大工場主に決定です!
同点の時は、〈工場ボード〉上にあるタイルの合計枚数が多い方が勝利。
それも同じなら、仲良く勝利を分かち合いましょう……ポジピースっ☆

【まとめ】
序盤は〈増資〉より〈機械タイル〉の獲得が重要なので、ゲームはスロースタートです。
一方、〈工場ボード〉がタイルで埋まり、ストックの〈機械タイル〉が尽きる後半は、怒涛の展開。
あっという間に勝負が決してしまいます。
私のように「出遅れ追い上げ型」のプレイスタイルの人は、ちょっと追い上げるのが難しいかも。
ただ、タイトルにもなっている〈便乗〉というシステムが出色で、とてもおもしろい。
他のプレイヤーと持ちつ持たれつしながら、戦いが拮抗していきます。
作れる〈製品カード〉を引けるかどうかは、100%運頼み。
しかし引けなくても、うまく〈便乗〉して立ち回れば、相手の上を取ることもできちゃう。
次の手番が回ってくるまでにもチャージはどんどん溜まっていくので、どんどん〈便乗〉しましょう!

ちなみに、〈生産〉の花形はなんといっても、この「宇宙ロケット」。
「青・黄・紫・緑」で「20億G」の収益。
条件は厳しいけれど、このゲームをプレイするからには一度は〈生産〉してみたい。
勝ち負けは別にして、そんなワクワクもあるのです。
……いいオッサンが夢見て何が悪い。町工場が夢見て何が悪い。
皆さんも『ビンジョー×コウジョー』で、目指せ下町ロケット!

――といったところで、今回はここまで。
以上、我らコンタクティな、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

 

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)