ボードゲームレビュー第227回「覇王龍城」

「覇王龍城」
作者:ロレンツォ・シルバ、ヒャルマー・ハッハ、ルッカ・リッチ
メーカー:ホリブル・ゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約45分

 


 

毎度どうもこんにちは。ライターの松風でございます。
まだまだ残暑厳しい日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
え? やっぱり涼しい部屋でボードゲームがしたい? そうでしょうそうでしょう。
それではここらでひとつ、頭を使う知的なゲームはいかがですかな?
というわけで今回ご紹介するタイトルは『覇王龍城』です!

中国産? と思われるかもしれませんがメーカーはホリブル・ゲームズというイタリアのゲーム会社。
『ポーションエクスプロージョン』や『スチームパーク』、『ワインと毒とゴブレット』など、独特のコンポーネントとアイデアが印象に残るメーカーさんですね。
この『覇王龍城』も使用するタイルは……麻雀牌!?

……によく似たオリジナルの牌となっております。
牌の柄は「商・農・兵」を表す『人牌』と、「季・風・龍」を表す『天牌』を合わせて6種類。
いくつかのパターンに積み上げられたこれらの牌を、各プレイヤーたちが取り除いてゆくというルールらしいです。
それってビデオゲームでは定番の『上海』なのでは……?
とはいえ、もちろんルールは『上海』そのまんまなワケではありません。

ではまずセットアップから見ていきましょう。
一番大きい『中央ボード』を人数に合わせた面を表にして、その上によく混ぜた牌を積み上げていきます。
その際、ボードに3と書かれている場所には牌を3枚、2と書かれている場所には2枚ずつ、重ねて置きます。
この積み上げた牌のことを『龍城』と呼びます。

次に『期限トークン』を左から順に、プレイヤー人数に応じたスペースが埋まるまで置いていきます。
この『期限トークン』は、ゲーム終了のタイミングを計るものです。

それから『龍カード』と『精霊カード』をそれぞれ1枚ランダムに選んで『中央ボード』横に並べます。
残りのカードはもう使用しませんので箱に戻しましょう。
これらのカードは、プレイ中のボーナス条件と、プレイヤー共通で使用できる特殊ルールを示しています。

最後に、プレイヤーは『国ボード』と、建物の屋根の形をした『社』コマを1個受け取り、手元に置きます。
『社』はそのまま『国ボード』上の『社プール』と呼ばれるスペースに置いておきましょう。

大まかには牌を積んでカードを2種類選び、自分用のボードを受け取るだけ、というシンプルなものになっていますね。
これにてセットアップは終了です。
「最近、龍を見たプレイヤーがスタートプレイヤーとなってゲーム開始です」なんてルールには書いてありますが、まぁそうそういないと思われますので適当に決めていいんじゃないでしょうか!

では、ここから実際にプレイの手順に入っていきましょう。
プレイヤーは時計回りの順で3種類あるアクションから1つを選んで実行していきます。

1つ目は『牌を合わせる』
『龍城』の最上段にある有効牌から1枚選び、さらに任意の階層から同一の有効牌を取って自分の『国ボード』に配置します。
有効牌とは、牌の長辺のいずれかが空いていて、そこに隣接する牌がない状態の牌を指します。
『上海』を遊んだことのある方には「ああ、アレね」と即座に理解していただけるでしょう。
つまり色もシンボルも一致する2つの有効牌を取って自分のボードに置く、という一番基本となるアクションです。

2つ目は『牌と社を取る』
『龍城』最上段の有効牌1枚を取り、さらに共通プールから『社』コマを1個得る、というアクションです。
1枚だけ、というのがミソですね。

3つ目が『牌を捨てる』
『龍城』最上段の有効牌を1枚取って捨て、共通プールから『勝利点トークン』1点を得ます。
捨てた牌は自分の『国ボード』の脇に裏向きにしてまとめておきます。

どのアクションを取るか宣言する必要はありません。
とりあえず牌を1枚引いてからどうするか考えてもいいでしょう。

さて、捨て牌以外の取ってきた牌は、すべて自分の『国ボード』に表向きで置かなければいけません。これはマストの行動です。
牌を置けるのは空いているスペースか、裏向きになっている牌の上だけです。
必ずしも、取ってきた牌を隣接させて置くという必要はありません。
バラバラのスペースに配置してもOKなのです。
ただし、大抵の場合は隣接して配置したほうが得点が乗りやすいでしょう。

取ってきた牌を含めて、同じ種類の牌が4つ以上隣接したら『合併』が起こります。これもマストの行動になります。
この時の「隣接」の条件は、牌の上下左右が連なっていればOK。階層が違っても構いません。
『合併』した牌はすべて裏向きになります。
一度に裏向きになる牌の数が多ければ多いほど高得点です!

『合併』が起こった時、自分の『社プール』に『社』があれば、今『合併』した牌の上に『社』を建てる事ができます。
建てられる『社』の数は、牌の種類によって変わってきます。
『人牌』なら1つ、『天牌』なら2つ建てることが出来るのです。
さらに『天牌』の中でも紫色の『龍牌』を『合併』した時、『社』2個に加えて『勝利点』も1点もらえます。

では『社』を建てる利点は何かといいますと、ゲーム終了時の得点計算に関わってきます。
『社』はゲーム終了時にボーナス点になるのですが、置かれている牌の高さによって得点が変わるのです。
最も低い1階層に置かれているなら1点、2階層に置かれているなら2点と、階層が高いほど得られる『勝利点』は高くなっていきます。
ただし3階層以上はいくら階層を積み上げてもすべて3点になります。

『社』は『合併』が起こったタイミングでしか置くことが出来ません。
つまり、以前『合併』させた牌の上には、もう『社』は置けないのです。
これ、何げに重要なルールですよ!

中央の『龍城』から牌を抜いて、自分の『国ボード』上に『龍城』を再現していく……そんな光景をイメージしてもらうのが一番でしょうか。
有効牌の見極めと、『社』を得るアクションをいつ行うか、この辺が駆け引きの発生するポイントですね。
あとは『合併』で大連鎖を作るためにわざとズラした所に牌を置くのも手ですが、自分の手番でそうそう狙った牌が得られる保証もなく……。
堅実に『勝利点』を稼ぐか、大量得点を狙うかで戦術は大きく変わってくるでしょう。
なんせ4枚で即『合併』を作っても2点にしかなりませんが、6枚まで繋げば5点、8枚なら8点もの『勝利点』が入ってくるのですから!

とまぁ、これだけでも十分面白いんですが、セットアップに使用した『龍カード』と『精霊カード』についてもご説明しておきましょう。
これらは実は追加ルールのようなもので、ゲームに慣れてない内は使わなくても構わないといったものなのです。

『龍』とは、このゲーム世界に実在している国家の守護神みたいな存在で、王国の中心であった『龍城』を庇護していた『太古龍』が最も力の強い龍みたいですが、それ以外にも多くの龍が現存しています。
特定の形に城を建てる事によって、彼らを喜ばせる事ができたらゲーム終了時にボーナス点が入ってくる、という仕組みです。
この『龍の要求』はホントに様々な種類がありますので、プレイに一層戦略性が加わることでしょう。

そして『精霊』ですが、こちらは城を組むのに手を貸してくれる存在のようですね。
プレイヤー全員に共通して使える特殊能力を提供してくれます。
ただし、使用する際には自分の『国ボード』上から表向きの牌1枚か、『社プール』にある『社』1個の内どちらかを捨てなければいけません。
そして能力を起動できるのも各手番中に1回だけです。
なかなか使い所が難しいですが、精霊によってはかなり強力な能力を持っていますので、ゲームを有利に運ぶには狙って使っていきたいところです。
ちなみに起動コストとして牌を捨てたら、能力は必ず発動させなければいけません。
つまり、不要牌を捨てるのに利用したらアカンよ、という事でしょう。

さて、ゲームが進み『龍城』の残りが最下層の1段目のみになった時、全プレイヤーは『龍の召喚』という4番目のアクションを選択できるようになります。
『龍の召喚』とは、『期限トラック』の上にある『期限トークン』を右端から順に1つゲットします。
この『期限トークン』はターン終了時に2点になります。
そして『期限トラック』上の「!」と書かれたマスがオープンになったら『太古龍』が召喚されてしまった、ということで最終ラウンドがはじまります。
そのままゲームを進め、次にスタートプレイヤーの右隣のプレイヤーが手番を終えたらゲーム終了となります。
つまり牌が残り少なくなってきたらさっさとゲームを終わらせにかかるか、最後まであがくか、ある程度選べるわけですね。

最終的に『勝利点トークン』、『社』ボーナス、『龍カード』の達成状況、『期限トークン』を合計して、最も勝利点の多かったプレイヤーの勝利となります。

ルールはそこまで複雑なものではないのですが、とにかく複数人で牌を取り合う上に『合併』のタイミングや『社』の在庫状況なども絡んできて、かなり頭を使う感じのゲームですね。
運要素はほぼありませんので、終盤に巻き返して大逆転! なんて事もほとんど無いと言っていいでしょう。
序盤からしっかり考えて自分の城を構築していかないといけません。
『龍カード』『精霊カード』を取り入れると、さらにゲームのバリエーションは膨大になりますので、リプレイ性はかなり高いと言えます。
組み合わせを変えて何度も遊びたくなってしまいますね。
そしてなんと言っても、カチッと鳴る牌の感触が気持ちいい!(そこか)

実際にこのゲームが『上海』を参考にしたのかは分かりませんが、昔からある名作ゲームの翻案として見た場合、かなり洗練されたルールになっていると思います。
というわけで、競技性がありつつちょっと目先の変わったボードゲームを遊んでみたい方にオススメです!
気がつくと、黙々と牌を積み上げている自分に気づいてしまう事でしょう……。

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それではまた次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。