ボードゲームレビュー第229回「メルカド」

「メルカド」(原題:MERCADO)
デザイナー:リュディガー・ドーン
メーカー:KOSMOS/日本語翻訳:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約30分

 


 

みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当26回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『メルカド』。
パッケージには、高価そうな金盃が描かれていますね。
ブルーがかった背景は、市場の様子でしょうか。
そういえば、「メルカド」ってスペイン語で「市場」のことだよね?
どんなゲームなんだろう。
……折木さん、わたし気になります!
というわけで、まずは世界観から見ていきましょう。

【世界観&ゲーム概要】
裕福な市民であるプレイヤーの皆さんは、社交界で名を馳せるのが目標。
煌びやかな〈高級品〉や〈香水〉を市場で手に入れ、〈名声〉をGETしていきます。
〈市場監視人〉から〈特権〉を得たり、〈両替商〉を活用しつつ、ライバルたちに差をつけましょう。
各自が手にした袋には、軍資金となる色とりどりのコインがいっぱい。
しかし中には、黒い〈偽コイン〉も混ざってたりして……。
さあ、人々から羨望の眼差しで見つめられる明日を夢見て!
誰よりも早く、誰よりも多くの〈名声ポイント〉を獲得しましょう!

ここまでの内容を、ざっとゲーム的に言い換えますと――
手番に袋から3個コインをランダムで引いて、商品にベット。
商品の指定価格を満たすと、その商品のタイルをGET。
タイルの得点分、トラックの自駒を進め、止まったマスの効果を適用。
(追加で数マス進めたり、アイテムをGETできたり。中には、邪魔な黒コインが増えちゃったりも)
誰かがトラックを一周する、または一周を過ぎたら、そのラウンドでゲームは終了。
未使用の所持アイテムを得点に換算して、合計得点の最多所有者が優勝、という具合です。

【コンポーネント紹介&ゲーム準備】
まずは「得点ボード」。
「黒コインに×印」の描かれた任意の1マスの上に、〈スタートマーカー〉をセットします。
その上に、プレイヤーカラーの〈得点マーカー〉を重ねて置きましょう。
置く順番は上から、手番の早い順です。
なお、スタートプレイヤーは「リアルで手持ちのお金が一番多い人」。
……懐事情を明かすわけにはいかぬ、という場合は平和に「年長者から時計回り」にしましょう。

順番が決まったら、プレイヤーカラーに対応した〈人物タイル〉を受け取り、手元に。
ちなみにこのタイル、は裏表で男女の絵柄になってますので、好きな面を使いましょう。
あと、同じカラーの札が付いた〈コイン袋〉も受け取ってね。

〈コイン袋〉の中には軍資金となる〈コイン〉を、各自平等に入れておきます。
内訳は、「金×5・銀×5・緑×5・茶×5・黒×5」の計25個。
なお、「黒」の偽コインはいわば「ハズレ」で、なんに使うこともできません。
引いても、即「使用済みコイン置き場」である「人物タイルの上」に移動することになります。

「白×14」と、残った分の「黒」は、それぞれ卓上にまとめてストックにしておきます。
他の色の残りコインは使用しませんので、箱に仕舞っちゃいましょう。
ちなみに「白」は、何色の代わりとしても使える万能のジョーカー。
初期状態では持っておらず、〈両替商〉の効果で使えたり「得点ボード」のマス効果などでGETできます。

上記の写真――左は前述の〈スタートマーカー〉なので、もう説明は不要として。
写真右が〈印章〉。いわば、便利アイテムです。
手番の際、一度に1枚だけ使うことができ、「袋から追加で2個コインを引ける」という効果。
活用することで、円滑にどんどん商品をGETできるようになります。
セットアップでは、各自1つずつ持ってスタート。
残りは「得点ボード」中央にまとめて、ストックにしておきます。

こちらは、〈特権タイル〉。
18枚全部をシャッフルして山札にして、〈印章〉同様「得点ボード」中央にセットしておきます。
この〈特権タイル〉は、商品を獲得した際などにGETできたりする、いわば報奨品。
持っていると、手番開始時に1枚だけ使うことができます。
基本効果は、得点GET。1点など低得点の場合は、おまけで「印章GET」などの効果が付いてたりもします。
なお、みんな0枚の、持っていない状態からスタート。

次はいよいよ、〈高級品〉と〈香水〉とからなる〈商品タイル〉の準備です。
まず「高級品タイル×24枚」と「香水タイル×12枚」をそれぞれ山札にしてシャッフル。
〈高級品〉を上から4枚、〈香水〉を2枚、オープンにして、卓上に等間隔に並べます。
この6品が、市場に並んでいる購入対象の商品となるわけですね。
なお、タイルの見方は以下の通り。

・左上のコインアイコン:購入に必要なコインの種類と枚数。
※縞模様は「任意の1色統一で指定枚数」。また、間に「≠」がある場合は「別色で指定枚数」。

・右上の盾アイコンと数字:購入によって獲得できる〈名声ポイント〉の数。
※〈香水〉の「?」は、「高級品山札の一番上のカードをめくって出た点数」を適用。めくった札は捨て札に。
※「1234」は、「獲得プレイヤーの現在順位に応じて(1位なら1点、4位なら4点)」。

・盾下部のアイコン:タイル獲得時に手に入る副産物。写真右の場合は、「印章×1」GET。
※「黒コインに×印」は「袋内の黒コイン1個を取り除きストックに」。袋にない場合は「人物タイル上」から。
※「黒コイン」は、ストックの黒コインを1個袋内に加える。バッド効果。
※「人アイコン」を伴って描かれているものは、他プレイヤー全員に適用する効果(「印章GETなし」など)。

続いてこちらは、特殊タイル〈市場管理人〉(写真左)と、〈両替商〉(写真右)、です。
この2枚も〈商品タイル〉同様、場に並べて置きます。
つまり、場には合計8枚のタイルが常に置いてある状態。
ただし、この2枚の特殊タイルは〈商品タイル〉のように、獲得されて場から離れることがありません。
それぞれの効果は以下の通り。

●市場監視人
使用条件:コイン3色を1個ずつ設置。
効果:〈特権タイル〉を1枚GET。

●両替商
使用条件:コインをいずれか1色統一で3個設置。
効果:即時〈白コイン〉1個をGETして使用。

さて、コンポーネントは以上です。
ライトゲームの割に、けっこう種類がありましたね(汗)
でも、プレイルールは……安心してください。簡単ですよ。
というわけで、ここからは実際にプレイしていきましょう。
……譲れないプライドをかけたセレブたちの戦いが、今ここに幕を開ける(って、演出過剰?)

【ゲームの流れ】
●〈特権タイル〉の使用
手番プレイヤーは、手番開始時にまず、手持ちの〈特権タイル〉を1枚だけ使うことができます。
使ったら効果の点数分、「得点ボード」の自駒を時計回りに進めましょう。
もし、止まったマスに何かしらのアイコンが描かれていたら、任意で効果を適用します。
通常移動で止まった場合は「必ず適用」ですが、〈特権〉での場合は「任意」です。
あと、この「マス効果」は、先に止まっているプレイヤーがいた場合は発動しないので注意。
なお、主な効果は以下の通り。

・追加得点 → 自駒を追加で進める(必ず指定数ぴったり進まないといけない)。
・白コイン → ストックの白コイン1つを自分の袋内に加える。
・黒コイン → ストックの黒コイン1つを自分の袋内に加える。
・黒に×印 → 袋内の黒コイン1つを取り除きストックに置く。

さて、〈特権タイル〉を使ってマスの効果処理まで終わったら――。
あるいは、使わなかった場合、持っていなかった場合も、次の「アクション」に進みましょう。

●アクション
以下の「A」「B」どちらか1つを実行します。
ちなみに、そもそも袋内のコインが3個未満の場合「A」は選べず、強制的に「B」になります。

A)袋からコイン3個を引き、場のタイルに設置する
※この際、手持ちの〈印章〉1つをストックに戻すことで、追加でもう2個引ける。
※複数〈印章〉を持っていても、1手番で使えるのは1つだけ。

《設置》
設置する際は〈商品タイル〉四辺の、プレイヤーカラーに対応する辺に、コインを置きます。
引いたコインは可能な限り、最低1個はどこかに設置しないといけません。
タイルの購入条件に当てはまらないコインは、そのタイルには設置できないので、気をつけましょう。
……「金×3」の商品に「銀」とか「緑」は置けないってことね。
置けない、または、置きたくないコインは、袋の中に戻します。
なお、設置は、複数箇所にバラバラに、でもOK。
また、今回の設置ですぐに購入条件を達成できなくても、設置可能です。
例えば――。
「金×3」が購入条件の商品に、この手番では「金×2」だけ設置できる、ということ。
足りない分は、以降の手番で、また設置し足せばいいんです。
ただ、それより先に他の誰かが購入達成してしまう危険性がありますが(汗)
――しかし、そんなときでも大丈夫。
誰かが先に購入達成したとき、そこに設置済みだった自分のコインは、袋に戻ってきます。
しかも、その商品に次点となる量のコインを設置していた人は、〈印章〉1つGET。
……アメイジング!
これは「補償」ということだそうです。良心的なシステムですね。
ただし、これは〈商品タイル〉の場合のみで、特殊タイルの次点は〈印章〉をもらえません。悪しからず。

《決算》
設置が終わり、購入条件(または、使用条件)を達成したものがあれば、処理していきます。
複数ある場合、どれから順番に処理していくかは手番プレイヤーの自由です。
達成した〈商品タイル〉を捨て札にして、その得点分、「得点ボード」の自駒を進めます。
なお、移動を終えたところに「マス効果」があれば、その場で適用してください。
一方、購入に使ったコインは、使用済みとして、自分の〈人物タイル〉の上に乗せます。
また、場には、すぐに空いた分の対応タイル(高級品or香水)を山札から補充しましょう。

B)コインを引かず、〈人物タイル〉に乗っている全コインを袋内に戻す
商品購入に成功するなどして使用済みになったコインは、〈人物タイル〉の上に溜まっていきます。
やがて中盤に差し掛かる頃、袋内のコインが少なくなってきたら、この「B」を選びましょう。
これで、全てのコインは袋の中に戻り、また使用することが可能になります。

アクションABのどちらかを終えたら、手番は終了。次の人の番です。
この作業を繰り返して、得点ボードのトラックをいち早く進めることを目指していきます。

【ゲームの終了】
誰かの駒が「得点ボード」のトラックを一周以上したら、そのラウンドでゲームセット。
手番回数が全員同じになるようにして、プレイを終えます。
その後、最終得点を計算、反映させます。なお、これは手番順に一人ずつ。
ボード以外で付与されるのは、「未使用〈印章〉:1個1点」と「未使用〈特権〉:記載得点」。
この際〈特権〉で適用されるのは点だけで、追加効果は無効です。
最終的に、一番トラックを進んでいたプレイヤーが優勝。
同点の場合は、駒が上になっているほう=後から到着したほうの勝利です。
……仲良くポジピースじゃないのかっ……Σ(゚д゚lll)ガーン
このタイブレイクで負けたら悔しいな~。

【まとめ】
文章の説明だと少し難しく感じますが、とっつきやすい一作です。
実際にプレイすれば、ルールもパッと直感的に理解できるはず。
プレイ自体は簡単で、勝つためにはちょっと頭を使う――いいゲームのスタンダードですね。
コインや〈特権〉などの引きには運要素があり、設置では計画性や他者の動きを読む能力が試されます。
そして、「得点ボード」のトラックをどう進めていくかも重要。

今回のプレイで私は、4人中3位と残念成績だったのですが、タイルの点自体はトップと大差なかったんです。
しかし、トラックで効果のないマスにばかり止まっていた。
かたや、優勝した彼は、ほぼ毎回「追加点」や「白コイン」に止まっていた。
これが明暗を分けましたね。
ただ急ぐより、一回一回狙いどころを定めて止まる。これ、重要です。
……功を焦るのはよくないね。
しっかり考えて行動した彼は優勝し、晴れて社交界に燦然と輝くセレブリティとなったのでした。
……あらミカさん、グッドルッキングガイはどこかしら?

ちなみに、「得点ボード」にはB面もあって、こちらは上級コースになっています。
他にも、〈スタートマーカー〉の位置を変えることでアレンジが効いたりして。
繰り返しのプレイでも楽しめる要素がしっかりあるのも……いーいーとーこー!
さあ、皆さんも『メルカド』で、大金片手にお宝GETだぜっ!

――といったところで、今回はここまで。
以上、セレブ姉妹より「からあげ姉妹」な、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)