ボードゲームレビュー第232回「進撃の巨人ボードゲーム」

「進撃の巨人ボードゲーム」
作者:アントワーヌ・ボゥザ、ルドヴィック・モーブロン
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:30分

 


「心臓を捧げよ!」

ということで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当27回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『進撃の巨人ボードゲーム』。
言わずと知れた大ヒットマンガ『進撃の巨人』をモチーフとしたボードゲームです。
2009年の連載開始以降、アニメ化・ゲーム化・実写映画なんかもされてきましたね。
一口に言うと、人類の存亡をかけて巨人たちと戦うダークファンタジー。
少しずつ明かされていく謎〈リドル〉の量がハンパなく、ミステリアスでスリリングな作品です。
そんな中でも、このゲームでクローズアップされているのは、巨人とのバトル。
もちろん、シビアさは言わずもがな、です。
……その日、人類は思い出した。ヤツらに支配されていた恐怖を…。

【ゲーム概要】
ゲームは、巨人(1人)vs調査兵団(1~4人)、の対戦形式です。
どちらかが勝利条件を満たすまで、ラウンドを続けます。
1ラウンドは、次の7フェイズ構成。

1)巨人:〈アクションカード〉を選択&セット。
2)ヒーロー:各5ダイスをロール。「巨人」の目が出た分は、巨人に渡す。
3)巨人:入手したダイスを使って、能力発動。使ったダイスはヒーローに戻す。
4)ヒーロー:戻ってきたダイスをロール。
5)ヒーロー:〈アクションカード〉を解決≒ダイス目を使って巨人の攻撃の回避を目指す。
6)ヒーロー:残りのダイス目を使って行動。攻撃・移動・戦術、など。
7)次ラウンドの準備。

巨人の勝利条件は3種類。
・固定砲6個を全部破壊
・民間人12人を全員捕食
・調査兵団(ヒーロー)のうち1人を倒す
調査兵団の勝利条件は1種類。
・戦術カード《うなじ斬り》or《殲滅》を実行して巨人を駆逐する
※実行するには、巨人のライフを〈KILLZONE〉まで削っていなければならない。

だいたいの流れはこんな感じです。
ではここから、ゲームの準備をしつつコンポーネントを見ていきましょう。
……「調査兵団に入って…とにかく巨人をぶっ殺したいです」byエレン

【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
まずは〈巨人フィギュア〉を卓上に置き、プレイヤーの中から「巨人」1人を決めましょう。
巨人プレイヤーは続いて、プレイする巨人の種類を決め、対応する〈アクションカード〉7枚を持ちます。
選択肢は「通常種」「奇行種」「破壊的な巨人」「貪欲な巨人」の4つ。
種類ごとに、3つある勝利条件のうち、どれを満たすのに向いているかが多少分かれます。

他のプレイヤーは、プレイする調査兵団の「ヒーロー」を、以下から選びます。
それぞれ固有の特殊能力があるので、参考にしましょう。
……「まぁせいぜい…悔いが残らない方を自分で選べ」byリヴァイ

●エレン:主人公。正義感の強い死に急ぎ野郎。
フェイズ2でダイスを振った際、仲間各人に1つずつダイスを渡せる。

●ミカサ:主人公の幼なじみ。肉体派の赤マフラーヒロイン。
「攻撃」の出目1つで2回攻撃できる。

●アルミン:同じく幼なじみ。頭脳派の金髪ボーイ。
「戦術」の出目で、自由に〈戦術カード〉を選べる。

●コニー:俊敏な坊主頭くん。
「移動」の出目1つで2回移動できる。

●サシャ:食い意地の張った直感娘。
「回避」の出目を、何の出目としても使用できる。

●ハンジ:巨人の生体調査好きな変人メガネちゃん。
「固定砲」の出目で、自分が塔にいなくても砲撃できる。

●エルヴィン:柔軟思考のシビアな団長。ちゃんと右腕あります。
「戦術」の出目を「攻撃」としても、「攻撃」の出目を「戦術」としても、使用できる。

●リヴァイ:クールなわりに意外としゃべる兵士長。地上最強の刈り上げ三白眼。
「巨人」の出目が出ても、巨人プレイヤーにダイスを渡さず脇に除けて置く。

……リヴァイ兵長、さすがの最強ぶりです。巨人に攻撃の隙を与えないチート能力(汗)
パーティに兵長を入れるか入れないかで、ゲームの難易度が大きく変動します……アメイジング!

プレイする〈ヒーロー〉が決まったら、対応する〈ヒーローカード〉と〈駒〉を受け取りましょう。
あと〈駒〉と同色の「ダイス×5」も忘れずに。
〈ヒーローカード〉の上には、ハートマークの〈ライフトークン〉を3つずつセット。
これは、ゲーム中、巨人の攻撃を受けるたびに減っていきます。
パーティーの誰か1人でも3ダメージ食らってしまったらゲームオーバーなので、注意しましょう。
……「仕方ないでしょ? 世界は残酷なんだから」byミカサ

さて、話を戻しまして。
卓上には〈塔〉を置き、〈固定砲〉を上段に3つ、下段に3つ、設置します。
続いて、先ほど手にした〈駒〉を各自任意の場所に配置するのですが――。
〈巨人フィギュア〉に付いた足場と〈塔〉には数字が描かれており、そこが何層目の高さかを表しています。
卓上=0で、巨人の足部から頭部に向かって1、2、塔下段3、巨人4、塔上段5、巨人6、7、8。
〈駒〉を初期配置できるのは、0、3、5の三ヶ所。地面or塔下段or塔上段、というわけですね。
固まっていると一気にズドンとやられる可能性があるので、散開しておくことをオススメします。

ちなみに、ゲーム中「移動」をするときは、現在地の数字から隣接する数字の位置に移動します。
7から移動できるのは、6or8、ということね。
ただし例外として、地面0から塔下段3、上段5、は隣接しているものとして一歩で移動できます。
また、「攻撃」ができるのは、巨人の足場に〈駒〉があるときのみ。
「砲撃」ができるのは、塔の足場に〈駒〉があるときのみ。……ハンジは能力があるので別だけどね。
「砲撃」は、一発で巨人に2ダメージ与えられる行動なので、かなり重要です。

続いてのセッティングは、卓上〈巨人フィギュア〉の足元周り。
〈民間人トークン〉12個、と〈巨人ライフゲージ〉を置きます。
〈巨人ライフゲージ〉の一番左のマスに〈マーカー〉をセット。

最後に、〈戦術カード〉7枚。シャッフルして、表向きの山札にしておきます。
使用できるのは一番上になっているカードのみ。条件を満たすことで効果を発動できます。
内容は例えば――
・《救出》=巨人に捕食された〈民間人〉を救出。
・《全体回復》=ヒーロー全員のライフを1ずつ回復。
・《転倒》=巨人のライフゲージを一気に〈KILLZONE〉まで減らす。
・《うなじ斬り》=巨人のライフが〈KILLZONE〉のとき、トドメを刺す。
――など。
どれも強力な効果ですね。ただ、一度効果を使用すると、その〈戦術カード〉はゲームから取り除かれてしまいます。
だから、回復できるのも一度きり。
……「私が尊重できる命には限りがある」byミカサ

ちなみに、一番上のカード以外を使用したい場合は。
フェイズ6で「戦術」の出目を1つ使うことで、一番上のカードを山札の底に移すことができます。
これによって、新たに一番上に来た〈戦術カード〉が使える、ということ。
もし「戦術」出目を使ったのがアルミンなら、能力によって、一番上にするカードを自由に選べます。
……アルミンのこの能力こそ最も有能だと思う。……by筆者。

さて、以上でゲームの準備は完了です。
いよいよここから、実際にゲームをプレイしていきしょう。
……「駆逐してやる!! この世から…一匹…残らず!!」byエレン

【ゲームの流れ】
①巨人:〈アクションカード〉を選択&セット
まずは、巨人プレイヤーの行動。
手札である7枚の〈アクションカード〉の中から、使用する2枚を選びます。
そのうち1枚をオモテ、1枚をウラの状態で、卓上にセットします。
これによってヒーロー側は、巨人の1撃目は事前想定で動けるが2撃目はわからない、という状態になるわけですね。

具体的な〈アクションカード〉の効果は、例えばこんな感じ。
・《投げつけ》=1、2、4にいる各ヒーローのライフに1ダメージ。キャンセル条件は、各人「回避」出目×2。
・《防御》=固定砲1個破壊。その後、巨人ライフを4回復。キャンセル条件は、ヒーロー全員で「戦術」出目×人数分。
巨人サイドは、ヒーロー攻撃、民間人捕食、固定砲破壊、の基本的な効果の他、戦術カード撹乱や回復など。
ヒーローサイドが効果発動を止めるための「キャンセル条件」は、基本的に上記の2パターンです。
つまり必要なのは、「回避」か「戦術」の出目。
でも、2枚目のカードが伏せ状態なので、どちらがどれだけ必要かは、オープンされるまでわからないわけです。
しかも、出目を回避系に特化させるとその分、攻撃に注ぐ出目数が減ってしまう。考えどころですね~。
……「何も捨てることができない人には、何も変えることはできないだろう」byアルミン

②ヒーロー:各5ダイスをロール。「巨人」の目が出た分は、巨人に渡す。
今度はヒーローたち調査兵団の行動。
各自持っている5個のダイスを全部振ります。これ、出目に納得するまで、何度でも振りなおしてOK。
ただし、「巨人」の目が出たら、そのダイスはすぐに巨人プレイヤーに渡さないといけません。
つまり、振りなおすたびに目的の出目を得られるチャンスもあるが、半面、敵に攻撃を許してしまうリスクも伴う、ということ。
振りなおしのやめどころは重要です。

③巨人:入手したダイスを使って、能力発動。使ったダイスはヒーローに戻す。
今度は巨人の番。
先ほどのフェイズでヒーローたちが出してしまった「巨人」の出目を使って、能力を発動します。
能力は、選んだ巨人の種類に応じて、各3種。
「巨人」出目×2で民間人1人捕食、や、「巨人」出目×3でライフ4回復、など。
最下段に書かれた3つ目の能力は、ライフが〈WEAKZONE〉か〈KILLZONE〉まで減らされているときだけ発動可能。
さらには、消費するダイスも多いんだけど、効果はその分、強力です。
ちなみに、コストのダイス出目が支払える限り、どの能力を何回使ってもOK。
ただ、使った分のダイスはヒーローの手元に返ってしまいます。
つまり、この後、反撃されるリスクも増える、ということ。
攻守のバランスを考えて行動しましょう。

④ヒーロー:戻ってきたダイスをロール。
さあ、ヒーローの番。
先ほどのフェイズで巨人から帰ってきた分のダイスを振りなおしましょう。
これはフェイズ2と違って一発勝負。振りなおしはできません。……間違えないようにね☆
ちなみに、このタイミングで出た「巨人」の出目は、脇に除けて置きます。
リスクにこそならないけど、なんのプラスにもならないという……。

⑤ヒーロー:〈アクションカード〉を解決。
引き続き、ヒーローの番。
ダイスの出目を使って、〈アクションカード〉の効果発動阻止を目指します。まずはオープンになっている1枚目から。
効果を受けてもいい場合は、もちろんキャンセルしなくてもOK。
阻止か発動かが決まったら、効果を解決。次に、伏せてあった2枚目の〈アクションカード〉をオープンします。
たいてい、このタイミングでヒーローたちから「あーっ」って声が上がるんですよねえ。
2枚目のために「回避」出目を取っておいたら、必要なのは「戦術」の出目だったり、とかで。
でも、それはそれ。
2枚目も1枚目同様に、阻止か発動か、効果解決、を行って次のフェイズに進みます。
なお、解決の終わった〈アクションカード〉は脇に除けて置き、まだ巨人の手札には戻りません。
手札に戻るのは、次のラウンドが終わるタイミング。
これはつまり、同じ〈アクションカード〉は連続して使えない。あいだに1ラウンド挟むこと必要、ということですね。

⑥ヒーロー:残りのダイス目を使って行動。
ここで、ヒーローたち調査兵団の見せ場です。
残っているダイス目を使って、積極的にバトルを展開しましょう。
移動、攻撃、固定砲、など。また、「戦術」ダイスで〈戦術カード〉の山札を動かすのも、このタイミングです。
巨人のライフを〈KILLZONE〉まで追い込み、いざ戦術《うなじ斬り》か《殲滅》を発動して、トドメを刺しましょう。
成功すれば、その場で調査兵団の勝利。
でも反対に、ゲーム中のどこかのタイミングで、巨人が勝利条件を達成したら即ゲームオーバー。
ライフと民間人、固定砲の状況にも気を配りつつ――「各員、立体機動に移れ!」

⑦次ラウンドの準備。
各自行動が終わったら、ラウンドの最後は、次のラウンドの準備です。
使い終わったダイスを回収して、各持ち主であるヒーローの手元に。
巨人プレイヤーは、前ラウンドで脇に除けてあった〈アクションカード〉があれば、それを手札に回収。
以上です。
あとは、ヒーローか巨人か、どちらかが勝利条件を達成するまで、ラウンドを繰り返していきます。
……「これからは力を合わせて、巨人に立ち向かおうじゃないか」byリヴァイ

【まとめ】
いやぁ、アニメの主題歌が脳内再生されますね~(笑)
原作を見事に再現したシビアなバトルぶりですよ。
巨人を倒すのが如何に大変か。追体験出来て楽しいです。
そこがこのゲームの……いーいーとーこー!

ちなみに、今回は4人プレイで2回ほど遊んでみました。2回、です。
何しろ、初回が巨人に瞬殺されてしまったもので(汗)
初回はレビューでの見映えを意識して、エレン、ミカサ、リヴァイ、という編成だったのですが、これが偏ってました。
攻撃特化すぎて、行動に柔軟性がないことないこと……。
そりゃ、固まって行動してたとか、出目の関係とか、原因は他にも多々あるわけですが。
やっぱり「戦術」に関わってくるアルミンとかエルヴィン団長あたりは入れたほうがいいと思います。
実際2回目は、リヴァイ、アルミン、サシャ、の編成で、調査兵団の勝利でした。

プレイ感ですが、ダウンタイムも短くサクサクプレイできるので、オススメ。
原作物だけあって、とっつきやすさもありますよね。
システムは、ダイスロールが重要だけど振りなおしが利くので、運ゲー的な不条理感もありません。
また、行動だけでなく選べるキャラや巨人の種類も豊富なので、繰り返しのプレイも楽しめます。
……私も今度やるときは巨人側でプレイしてみたいな~。
ここまで読んで、このゲームに興味を持ってくださったあなた。
……「お前は間違ってない。やりたきゃやれ」byリヴァイ

――といったところで、今回はここまで。
以上、体重的な意味で巨人化しつつある新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)