ボードゲームレビュー第233回「クアックサルバー」

「クアックサルバー」
作者:ヴォルフガング・ウォルーシュ
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:45分

 


 

毎週木曜日はキウイの日ーっ!
ってなわけで、ご無沙汰しております三家原でごげほげごほっげほっ!!

うううぅ……急に寒くなってきましたねー。え? あなたも病気? そちらは恋の病? あらあらホームシックな方も?
ふふふ、そんな病気の人達を治すにはお医者さんも大切ですけど、やっぱりお薬ですよね! ってなわけで今回ご紹介するのはアークライト様より発売中の「クアックサルバー」なのですー!

プレイヤーは毎年行われるバザールで自慢の特効薬を披露して名声を得る為にやってきた魔法医療師。なので、バザール開催中に様々な薬を作っていきます。
でも、手元の材料だけでは当然いい薬なんて作れるわけがないので、薬を作って得た富で、もっといい薬を作れるように材料を増やしつつ、バザール中にたくさん名声を稼いでいこうというゲームなのですよ。
本作はドイツ年間ゲーム大賞2018にてエキスパート部門で大賞受賞作品! これはもう最初から期待値マックスな作品ですね!

ゲームデザイナー様はオーストリアのヴォルフガング・ウォルーシュ様!
2015年にリリースされた「Dream Team」から本格的にゲームデザイナーとして活動されているそうなのですが、何よりもすごいのは今年に入って「The Mind」「The Mind: Level 13」「Illusion」「Ganz schon clever」「Fuji」「Brikks」、そして今回紹介する「クアックサルバー」の計7作もリリースしているという、月刊ヴォルフガング・ウォルーシュといってもいいんじゃないかというイケイケっぷり。
しかも、そのうちの1本は大賞受賞、2本はノミネート……やばい、このデザイナーさんマジ半端ない……!!

ってなわけで、期待値マックスでご紹介するのですよ!

○ゲーム準備

さあ、バザールに向けて準備開始なのです!
最近料理をしたプレイヤーは、幸運カードをひとまとめにしてシャッフルしたら、裏向きの山にして自分の前に置きましょう。

この幸運カードが、ゲーム中にかなり運命を左右するのですよ。

得点/ラウンド表を全員の手の届くところに配置して、炎トークンを天秤の「1」に、4個の0/50マーカーは0のところに配置。

初期セットはこんな感じ。天秤は現在のラウンドを示します。

ルビーとボーナス得点タイルを横に、テーブルの中央にはゲームで一番重要となる材料チップのうち、白以外を「1」「2」「4」にまとめて置きましょう。

白は数字に関係なくひとまとめに。

最後に素材解説タイルを配置。
タイルに書かれている内容が、このゲーム中に発生する各色の能力を示します。

配置の仕方については、タイルの下部分に表示された壺マークに注目しましょう。2人の場合は壺が2つ書かれている方を、それ以外は裏面を使用しましょう。

また裏面には栞が書かれていて、これは組み合わせを意味しています。栞が1枚ならセット1、2枚ならセット2というようになっていて、同時にこの栞の数が多ければ多い組み合わせほど、難易度が上がっていくのですよ。

今回プレイするセットが決まったら、黄色と紫のタイルはゲーム開始すぐには使用出来ないので別で置いて、残りは得点/ラウンド表のそばに設置しましょう。

さあ、これで全体の準備は完了! 次に各プレイヤーの準備なのです。

プレイヤーは薬ビントークン、薬袋、自分の担当色となる鍋ボード、雫トークン、得点マーカー、干しネズミトークンを1個ずつ受け取ります。

この鍋ボードには、雫トークンを「0」に、干しネズミと薬ビントークンを右側のお皿に配置して、ルビーの入った革袋の上には、ルビーを一個配置します。

これからこの鍋でぐつぐつと煮込んでいくのですよ。

最後に、薬袋の中に白チップの「1」を4個、「2」を2個、「3」を1個。オレンジと緑は「1」を1個ずつ投入して、全部の準備が完了となります。

さあ、楽しい楽しいぐつぐつタイムなのですよ!

○ゲームルール

クアックサルバーは全9ラウンド、1ラウンド4フェイズで構成されています。

①幸運カードフェイズ
②ネズミフェイズ(ラウンド2から発生)
③メインフェイズ
④得点フェイズ

①幸運カードフェイズ

スタートプレイヤーは受け取っていた幸運カードの山札の上から1枚めくり、そこに書かれた内容を全員の前で読み上げましょう。

その内容が、そのラウンド中に適用される内容となります。
基本的にプラスになるのが多いのですけど、中にはマイナスのものがあったりと、めくる時はドキドキしっぱなしなのですよ。

②ネズミフェイズ(ラウンド2から発生)

ここで鍋ボードに置かれている干しネズミを投入するタイミングなのです!

投入された干しネズミは、薬効を強化してくれる効果をもっているのですが、投入するためには以下の手順を行いましょう。

1)トッププレイヤーを確認する。

まずは得点表から、現ラウンドで一番得点の多いプレイヤーは誰かを確認!

2)ネズミの尻尾を数える。

トッププレイヤー以外のプレイヤーは、現在自分が獲得している得点とトッププレイヤーの得点との間に、ネズミの尻尾が何本あるか確認します。

この場合だと、金色がトップなので、銀は1本、茶色は2本、黄色は5本となりますね。

3)ネズミの尻尾分だけ鍋に投入。

現在配置されている雫トークンからスタートして、数えた本数分だけ先のマスに……つまり1本なら2、2本なら3つ先に干しネズミ配置するのですよ。

どぼどぼどぼー!

③メインフェイズ

さあ、下準備はこれで完了! ここからがこのゲームのメインフェイズなのですよ!

このフェイズは、全員同時に行います。
ここで行うことは手元の袋から材料を引いて鍋に投入するか、それともやめるかの二択だけですよ!

1)薬袋から材料を投入する。

さあ、袋から材料を引いちゃいましょう!
そうして手にした材料は、雫トークンか最後に置いた材料から、書かれた数字ぶん先のマスに配置となります。

引いた材料は迷わず鍋にダァァーイブ!(ぼちゃーん)

2)チップアクション

投入した材料のうち、青・赤・黄色は特殊な能力を発動させることができます。

セット1だった時だと、

青は追加でチップを引いて、1枚配置できる追加能力。

赤は鍋の中に存在するカボチャの数によって数字がプラスされる効果。

黄色は一つ前に白の材料があればそれを袋の中に回収できる効果。

のような能力が発揮されるのですよ。

上手く使えば、ゲームを有利に進めることが可能なのですけど……果たしてベストのタイミングで引けるかどうか、まさに己の運が試されている……!

3)バースト!

さあ、鍋に材料を投入するのはいいですけど、一つだけ注意しないといけない具材……じゃなくて、材料があるのです!

それはこいつ……!!

白の材料! 各プレイヤーの薬袋に最初から入っているこいつは、合計「8」以上になった瞬間に爆発してしまうという恐ろしい素材なのですよ!

初期に「1」が4個、「2」が2個、「3」が1個入っているということは、合計は「11」!
つまり、欲張って引こうとすれば、全部引く前にドッカンドッカンしちゃうということなのですよ!

欲張ってドッカーン!

材料が不足気味な初期は心強い「3」ですけど、白が増えるに連れてには恐ろしい爆弾となって襲ってくるのですよ。

4)薬ビントークンの使用

バーストの危険がある白の素材。引いてしまった以上は投入しなければならないのですけど、ここで一つ救済が!

もしも引いてしまった白を鍋に投入しても”まだバーストしていなかった場合”、薬ビントークンを使用することで、その引いたばかりの白を薬袋の中に戻すことができます!

こっちの面が中身がある状態。

使い終わったら薬ビントークンは空になりますけど、メインフェイズ終了後にルビー2個で購入が可能です。

ルビーに余裕があれば常に満タンにしておきたいのですよ。

5)続けるのか、それともやめるのか?

薬袋から引いた材料を鍋に投入し終えたら、ここでプレイヤーはもう一度材料を引くのか、それともストップするのかを決めましょう。

白の合計値が「8」に近い人はバーストのリスクが……! でも上手く行けばもっと高い点数を稼ぐ事も!?

ただし、もうこの時点でバーストしている、または薬袋の中身が空っぽ……全部引いたらバーストするからそういうのはあまりないと思うのですけど……だった場合は、強制的にストップ扱いとなります。

こうして1~5の流れを全員がストップまで続けます。

④得点フェイズ

全員がストップしたら、今回完成した薬によって獲得できる得点の獲得など5つの処理していきましょう。

ステップA:ボーナスダイス

バーストしなかったプレイヤーの中で、一番評価点の高いプレイヤーは、ボーナスダイスを1個振って出た目のボーナスを受け取りれます。


泡の上部分に書かれた数字が評価点なのです。

また必要がないと判断したら、振らなくてもOKですけど……あんまり断る必要はないんじゃないかと思ったり。

出目は勝利点だったり、ルビーだったりとマイナス要素はないのですよ。

ステップB:チップアクション

鍋に投入した材料のうち、黒・緑・紫があれば、スタートプレイヤーから時計回りに各色のアクションを実行します。

値段は高いですけど、雫トークンを上昇させたり、ルビーやチップを無料で獲得出来たりと、結構強力な効果が多い印象。

ステップC:ルビー

得点の計算の対象となるマスにルビーが描かれていたら、1個もらえます。

……と、ここまでは全員共通の処理なのですけど、このラウンドでうっかりバーストしてしまった人は、次のDとEはどちらかを一つを選択することになります。

ステップD:勝利点

スタートプレイヤーから時計回りに、自分の得点の対象になるマスの左下、用紙に書かれた数字分だけ得点マーカーを動かしましょう。

この処理が終わった際、鍋の最後のマスまで到達していたプレイヤーはボーナスタイルを振る権利があるので、対象者はぜひぜひ振っちゃいましょう。

ステップE:チップ購入

スタートプレイヤーから時計回りに、今回獲得した評価点(泡の上部分に書かれた数字)がチップを購入するための資金となります。

購入はチップ1枚、または別々の色のチップを1枚ずつかの二択制。

資金内で買えるお高いのを1枚買うか、それとも拡張性を求めて2枚買うのか……結構購入する内容によって今後の戦略が変わっていきますから慎重に!

また、ルビーと違って、この資金は次のラウンドへの繰越は出来ないので、使えるなら目一杯使う方がいいのですよ。

ステップF:ラウンドの終了

最後に手持ちのルビーを2個消費することで、2つのアクションを起こすことができます。

1)雫トークンを1マス前進させる。
2)空っぽの薬ビントークンを補充する。

ルビーの処理が終わったら、全プレイヤーは鍋に投入していた干しネズミトークンを回収し、スタートプレイヤーは手元の幸運カードの山を左隣のプレイヤーに渡します。

そしてラウンドを示す炎トークンを次のマスに進めたら、再び幸運カードフェイズへと戻っていきます。

ぐつぐつ

○ゲーム終了と勝利条件

こうして最後のドキドキ第9ラウンドが終了したら、ゲーム終了となります。

この時点で最も勝利点を得ているプレイヤーの勝利となりますが、もしも複数の場合は、最後に配置した材料チップが最初のマスから数えて最も遠いマスであるプレイヤーの勝利となります。

スタート地点を高めておくのは有利なんですけど、ガンガン上げすぎると同着の時に不利となるというまさかの落とし穴!

それでも同着だった場合は、勝利を分かち合ってみんなで拍手しちゃいましょう(まてこら)

○総評

いやー、ドイツ年間ゲーム大賞2018エキスパート部門の大賞というだけあって、すっごく面白かったです!
ドミニオンのデッキ構築のように、どの材料を袋の中に入れていくのかという部分と、「もう少し、あと少し、もう一個くらいなら大丈夫かも」と毎ラウンド発生するチキンレースが融合されていい味になっていましたねー。

プレイした人からは「一度負け始めるとなかなか勝つのが難しい」「相手が勝ち始めると止まらない、ヤバい」という話を聞いていたので、初手付近でバーストを3回やらかしたのと、トップとの差がかなりついてしまった辺りで「ああ、これはもう勝ち目ないのかなー?」と思っていましたが、そんなことはない。
中盤に引いた幸運カードをきっかけにして、一気に駆け上がって勝っちゃったのですよ!

すでに3回もバーストしていて、かなり絶望的な点差からのー……

これじゃー! 5匹の干しネズミが10匹に増えてお鍋大沸騰!!

そしてしっかりと点数と高級な材料を増やして……

残り2ラウンドだったけど、やったよ逆転だー!

もちろん、運が味方したというのもあるとは思いますけど、最初のうちは手際よく勝利点と材料を集めるよりも、誰かにトップを走らせて干しネズミボーナスと万歳バーストしながら勝利点ガン無視で高級な材料を購入していくというのも一つの手なのかなーっと思ったり(まてこら)

だ、だって上手く35まで進行できれば、15点を一気にゲット出来るのですよ!? 今回トップが43点でしたから、3回到達すれば勝てちゃうってことじゃないですか! うん、次のゲームではちょっとやってみよう!(お目々ぐるぐる)

とはいえ、追加ルールを加えるとまたゲーム性が変わっちゃうと思うので、この戦術が絶対勝利につながるとは思いませんが(苦笑)
いや、変わるからこそ、もう一回! もう一回遊んでみたいのですよ! もっといっぱい色んな具材で爆発させたい!!

ってなわけで、ガチガチのデッキ構築ゲームというよりは、デッキ構築と幸運を掴む度胸だめしを同時にやってみたい! という方にはおすすめな一本ではないかと思いますので、ご興味のある方はぜひぜひ一度遊んでみてくださいませなのですー。

 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
長編ホラー映画「腐女子」。
その他多数。