ボードゲームレビュー第234回「ジャアク教授と時限要塞」

「ジャアク教授と時限要塞」
制作:マシュー・ダンスタン ブレット・J・ギルバート
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約30~45分

 


 

はいどーもこんにちは。ライターの松風です。
今日はこの紹介記事を読んでるボードゲーム好きの善男善女の皆さんに、ホットな協力ゲーをご紹介しましょう。
それじゃあ早速行ってみますか。
タイトルは『ジャアク教授と時限要塞』だ!

なんとなくスタイリッシュなデザインと物々しいタイトルが目を引きますが、これは間違いなくワクワクするヤツですね!
原題だとプロフェッサー・イビルだからジャアク教授と言うわけですよ! なるほどなー。

モナ・リザ、ロゼッタストーン、水晶ドクロなどなど……世界中で名だたる秘宝が次々に盗まれる事件が起きました。
国際秘密情報機関は、それが『ジャアク教授』と名乗る怪人物の仕業であると突き止め、秘宝奪還のために特殊エージェントチームを彼のアジトに送り込みます。
しかしそこは幾重にもトラップが張り巡らされ要塞化した不気味な屋敷だったのです!
プレイヤーは特殊エージェントの一人となって、仲間とともに秘宝を取り戻せるか!?
てな感じでバックストーリーの掴みはオーケーですね?

このジャアク教授、一定期間は盗んだお宝を自分の家のあちこちに展示しておく趣味があるようなんですが、その期間が過ぎると誰も手を出せない秘密金庫にお宝をしまっちゃうんですね。
そうなる前にとにかくお宝を4つ盗み出せればプレイヤーチームの勝利!
逆に金庫に4つお宝がしまわれてしまうとジャアク教授の勝利となります。
ちなみに一度に展示される秘宝は常に3つまでです。

秘宝が展示されている部屋にはそれぞれ警備システムとしてトラップが仕掛けられています。
トラップを無効化するには、各トラップに対応した『スイッチタイル』を全てオフにしなければなりません。
当然、各部屋のドアは施錠されていますのでそれも開けて回る必要があります。
さらには教授本人も屋敷内を見回っていて、開いたドアは施錠しますし、切れたスイッチは入れ直してしまうのです!
しかもモタモタしてると時間がどんどん過ぎてお宝が秘密金庫に送られてしまいます!

それでは、ここからはセットアップを行っていきましょう。

まず『ゲームボード』を卓に広げ、ひと際目を引く『主タイマー』の12時の位置に『時刻マーカー』を置き、『研究室』に『ジャアク教授コマ』を配置します。
そして各部屋をつなぐ扉の位置に『施錠ドアマーカー』(黒い細長い棒)を一本ずつ置いていきます。

それから『部屋カード』と『スイッチタイル』をそれぞれシャッフルして山札を作ります。
部屋の山から一枚引いて公開し、そこに示された部屋にスイッチの山から一枚タイルを取って配置します。
これを6回繰り返し、『スイッチタイル』はOFFの面を表にしておきます。
続いて同様に『部屋カード』と『スイッチタイル』をそれぞれ6回引いて、今度はタイルをONにして配置します。

次に『宝物タイル』をシャッフルして山を作り、さきほど使った『部屋カード』を再シャッフルして山を作り直します。
宝物の山と部屋の山から一枚ずつ引いて、そこに示された部屋に宝物を配置します。
そうしたら、その『宝物タイル』の上にまず赤い『宝物マーカー』を置きます。
この『宝物マーカー』は三色2個ずつありまして、一個は今のように『宝物タイル』の上に、もう一個は『主タイマー』の上に配置します。

『主タイマー』は見ておわかりの通り、時計の文字盤を表しています。
そして『宝物タイル』に書かれている数字は「現在の『時刻マーカー』から見て何分後に金庫行きになるか」を示しているのです!
例えばモナ・リザであれば、55と書かれていますので、赤い『宝物マーカー』を(『時刻マーカー』の初期位置である12時から見て)11時の位置に置くのです。
同様の手順を緑と青のマーカーについても行います。

それから皆さんお待ちかね、キャラクター選択のお時間です。
難攻不落の邪悪な要塞に挑む頼もしいエージェントはこいつらだ!
「神出鬼没の男」ネイサン・グッドスピード!
「細工の名人」エドワード・マイヤ!
「タイマー操作の女王」イレーネ・エルダー!
「スイッチ操作の神様」ルロワ・ジョンソン!
「出たとこ勝負の女」デスティニー・ブラッドショー!
……なんか最後の人だけ二つ名が雑じゃね? と思ったりもしますが、これでもみんな強力な特殊技能の持ち主なんです。

各プレイヤーは自分の担当キャラクターを決め、選んだキャラクターの『キャラクタータイル』、『アクションカード』1セット、『コマ』を受け取ります。
『キャラクタータイル』はイラストが大きく書かれた面を表にしておきましょう。
裏面にはそれぞれの特殊能力が書かれていますが、それは最初はまだ使えないのです。
『アクションカード』6枚はシャッフルして山を作っておきます。
担当がいないキャラのタイルやカードはもう箱にしまっておきましょう。
セットアップはこれにてお終い。簡単ですよね。

ゲームの流れも至極単純です。
自分の手番が来たら
1.山札から2枚引く
2.アクションを実行する
3.ダイスを振る
の3つを行うだけ。
ではそれぞれ説明していきましょう。

まずは自分の『アクションカード』の山札から2枚引いて公開します。
これがこのターンに行える『カードによるアクション』です。

次にアクションを実行していくわけですが、プレイヤーはここで『常時アクション』を3回と『カードによるアクション』を1回行えるのです。
『常時アクション』は以下の4つです。

A.移動する(移動アクション)……自分のコマがいる部屋から隣の部屋に移動できます。
ただし教授がいる部屋には入れませんし、施錠されたドアを通り抜けることも出来ません。
また、ゲーム開始時や教授に見つかりそうになって脱出した時は、まず『侵入口』からこのアクションで屋敷に入ることになります。

B.ドアを解錠する(解錠アクション)……部屋と部屋の間に置かれた『施錠ドアマーカー』を取り除けます。
単純ですが地味に重要なんですよね、これ。

C.スイッチを切る(スイッチアクション)……ON状態の『スイッチタイル』をOFFにできます。
『スイッチタイル』にはそれぞれトラップの種類を表すアイコンと、そのスイッチが何個あるのかを示す数字が描かれています。
屋敷中に散らばった同種のスイッチを全てオフにできれば、ようやくそのトラップを無効化できるのです。

D.宝物を手に入れる(奪取アクション)……『宝物タイル』が置かれた部屋のトラップが全てOFFになっていれば宝物を奪取できます。
その部屋にどのトラップが仕掛けられているかは、『宝物タイル』にアイコンで示されています。

もちろん同じアクションを2回以上繰り返しても構いません。
『カードによるアクション』では、2枚引いたうちの1枚を選んでその内容のアクションを行います。
これらを好きな順番で組み合わせて合計4回のアクションが行えるというわけですね。
手番が終われば『アクションカード』は両方捨て札になります。
『アクションカード』は山札が切れたら再シャッフルしてください。

プレイヤー側のアクションが終わればジャアク教授が行動を起こす番です。
手番プレイヤーはちょっと変わった目が描かれた3種類のダイスを全部いっぺんに振ります。

まず三色の円が描かれたダイスは「教授がどの扉に向かって移動するのか」を示しています。
青の目が出たら、常に青いカーペットが敷かれたドアをくぐるように移動するのです。

V字というかチェック印のようなマークが描かれたダイスは教授が移動する歩数を表します。
歩数は1~3までしかありませんが、教授は(マスターキーを持っているので)施錠されたドアも通り抜けて移動できますし、解錠されたドアは律儀に閉めていきます。
おまけにせっかくOFFにしたトラップのスイッチもONにしてしまうのです。
さらに、プレイヤーがいる部屋に教授が入ってきたら、プレイヤーは見つかる前に屋敷を脱出して避難するハメになり、盤外へとコマを取り除かなければいけません!

教授の移動を表すダイスには他にも特殊な出目があります。
矢印の出目は『隠し通路』を示していて、さっきのダイスで出た色の『宝物マーカー』が置かれた宝物の部屋へ教授が高速移動します。
5または10と書かれた出目は、教授がさっさと宝物をしまうために、タイマーをいじってしまう危険な出目です!
この目が出たら、色のダイスで決まった『宝物マーカー』を、書かれた分数だけ反時計回りに動かしましょう。
これによって『宝物マーカー』が『時刻マーカー』と同じマスに入るか追い越したら、その宝物は残念ながら教授の金庫送りに……。

そして3つめの黒いダイス。
二つの白ダイスによる教授の行動を終えたら、黒のダイスによって『時刻マーカー』が進行します。
出目に描かれた時計の数により、1マス(5分)ないし2マス(10分)、『時刻マーカー』を動かします。
当然、『時刻マーカー』が『宝物マーカー』と同じマスに入るか追い越した場合、その宝物は教授のものになってしまいます……。

こうして教授がゲットした宝物は『失われた宝物エリア』に並べていきます。
その後、取られた『宝物タイル』を取り除き、その上に合った『宝物マーカー』とタイマー上の『宝物マーカー』両方をボードの脇に避けておきます。
そしてまた新しい『宝物タイル』をセットアップの時と同じ手順で配置します。

各プレイヤーの手番ごとに教授は行動しますので、『時刻マーカー』もどんどん進んでしまいます。
しかし、悪いことばかりではありません。
『主タイマー』のⅢとⅨのマスにはカードをめくるようなアイコンが描かれています。
『時刻マーカー』がこれらのマスを通過するたび、エージェントたちは『ひらめき』を得ます。
プレイヤーはみんなで話し合って、どのエージェントがひらめくのか決めてください。
ひらめいたエージェントの『キャラクタータイル』を裏返しましょう。
ここでようやく各エージェントの特殊能力が使用可能になるのですよ!

タイルの上側に書かれているのが『常時能力』といい、手番中に常に発揮されている能力です。
そして下側に書かれているのが『一時能力』といって、これを自分の手番中に使うと、また『キャラクタータイル』は裏返ってしまうのです!
でもそれだけ強力な効果が揃っているので、「ここだ!」って場面では惜しみなく使いましょう!
ぶっちゃけこれを駆使していかないと勝てません。(断言)

限られたアクション回数の中でいかに効率よく立ち回るか、がこのゲームのキモです。
ジャアク教授の移動範囲を懸案しつつ、タイムリミットが来る前に取れそうなお宝は取っていく。
そのためには部屋を解錠して回る役やスイッチを切る役、宝物を奪取する役など、ある程度役割を決めて動いた方がいいでしょう。
プレイヤーたちのチームワークが試されます。
その辺も考慮に入れてキャラ選択をしていくとなると、ゲームの準備段階からもう攻略は始まっているとも言えるでしょうね!
そしてプレイヤーが喧々諤々の議論をして綿密にルートを検証しても、ダイス目次第で安々とプランをぶち壊してくれる教授に何度も頭を抱える事になるはずです!

意外に時間管理がシビアですので、手番を空費するのはなるべく避けたいのですが、なかなかそうも行ってくれません……。
でも明確なタイムリミットを設けて緊迫感を演出しているのは上手いゲームデザインですね。
あと教授に同じ部屋に入られても、捕まってキャラがリタイアするではなく何度もリトライ出来るのも(移動が痛いロスにはなりますが)ありがたいところ。

各キャラクターの特殊能力は強いものばかりです!
汎用性の高いネイサン、ルロワ、デスティニーは文句なく有能ですが、エドワードとイレーネはやや能力を使う状況が限定されるかもしれません。
実は『アクションカード』もキャラクターごとに内容が違っていたりして、なかなか凝ったデザインしています。
こうなれば組み合わせを変えて何度も遊んでみたくなるのもゲーマーの性でしょうか。

明確でわかりやすいルールながら、時計のギミックとダイスによる敵側の予測のつかなさによって一筋縄ではいかない展開が繰り広げられるのが面白いですね。
こうした協力型ゲームでなにかパンチの効いたゲームをお探しなら、一度は遊んでみてください。
サクサク手軽にプレイできて時間も30分程度で回せるので、重ゲーが苦手な方にもオススメですよ!

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それではまた次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。