ボードゲームレビュー第239回「オルビス」

「オルビス」
作者:ティム・アームストロング
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約45分

 


光あれ……

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当30回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『オルビス』。
白髪白髭の、いかにも神っぽいおじいちゃんが描かれてますね。
「ORBIS」というのはラテン語で「世界」を意味する単語です。
そう、この作品のテーマはいわば「天地創造」。
六角形の〈地域タイル〉をピラミッド状に配置して、自分の世界を創っていくゲームです。
頂上に置く1枚は〈神タイル〉。この世界をどんな神に治めさせるか、という感じですね。
例えば、灌漑路(かんがいろ)=青タイルが多いなら〈海の神〉を乗せることで追加得点を狙えます。
火山の描かれた赤タイルが多いなら、同様に〈火の女神〉で、ゲーム終了時の追加得点を狙える。
――といった感じですね。

メカニクス的には「タイル配置ゲーム」。
ピラミッド状の最下段は横並びで5枚。以降、上に向かって4、3、2、1枚となっていきます。
……見た目は『ペンギンパーティ』みたいになるわけだ。
ゲームは、場のタイルから手番順に1枚ずつ獲得していき、ピラミッドが形成されるまでの15ラウンド。
〈地域タイル〉には条件を満たすことで勝利点となるものがあり、基本的にはこれで点を得ていきます。
また、タイルの置き方には法則性があり、それを守れない場合はウラ面で配置。
これは〈荒野〉=「-1点」となってしまいます。
他に〈神殿〉による得点や終了時の追加点などもありますが、それらの説明は追い追いするとして。
ここからは、コンポーネントを確認しつつ、ゲームのセットアップを行っていきましょう。

【コンポーネント紹介&ゲーム準備】
画像上部の5枚は〈神殿トークン〉。描かれている数字はGETした際に得られる得点です。
今回は4人プレイでしたので「9点」は使わず「2、4、7、11点」の4つを使用。
入手方法に関してはのちほどご紹介しますね。

画像右上の「0」と書かれたものは〈打消しトークン〉。
場の〈地域タイル〉を入手した際、条件を満たせると得点になりますが満たせないと点は入りません。
そんなとき、タイルの得点数字の上にこの〈打消しトークン〉を乗せておきます。
これでゲーム終了時にタイルの点を数える際、数え間違いがなくなる、ということですね。

画像三段目「∞」の描かれた5枚は〈コスト減少トークン〉。
〈地域タイル〉には入手コストがかかるものがあるのですが、そのコストを減らす効果。
減少効果はトークンの色と対応していて、例えば……
〈赤コスト減少トークン〉を持っていると、赤キューブ=〈赤の崇拝者〉を払わなくてOKになります。
……これは強力!
「減少トークン」は特定の〈地域タイル〉をGETした際、その効果として入手できます。
場に、入手効果のあるタイルが並んだときは、意地でも獲得するようにしましょう。

画像最下段、5色のキューブは〈崇拝者コマ〉。
世界の創造主であるあなたを崇拝する人々、ということですね。
ゲーム的に平たく言うと「資源」。コストを支払う際に必要となります。
持っておける最大数は、色に関わらず合計10個。
手番終了時にオーバーしていると、10個になるよう、選んでストックに戻すはめになるので注意。
……まあ、そんなに潤沢になることはそうそうないんだけど(汗)
また、ゲーム中いつでも、同色3個で任意の色1個と交換ができます。
手持ちが偏っているときは、適度に調整を心がけてもいいでしょう。

以上の5コンポーネントは、それぞれまとめてストックにしておきます。

これが〈地域タイル〉。
5色の色とは別に「☆1」と「☆2」と「☆3」の3レベルに大別されています。
これをレベルごとの山札にしてシャッフル。
「☆1」の山からタイルを取って、3×3の形になるよう、場に並べます。
減ったらその都度山札から補充していき、「☆1」が尽きたら「☆2」。次に「☆3」へ移行します。
なお、「☆1」はコスト無料などで、「☆3」は高コストのものが主、となっています。

タイルの見方は、上部がコスト。下部がレベル。
左部分が、タイル入手によって得られるもの、となっています。
例えば画像のものは「任意の色のキューブを1個GET」。
また、白タイルには〈神秘値〉というものが描かれています。画像のものの場合「11」。
これは〈神殿トークン〉を得る際タイブレイクとして機能するのですが、詳細はのちほど。

こちらは〈神タイル〉。
全10枚を山札にしてシャッフルし、5枚をオープン。
〈地域タイル〉を並べた場の上部に、1列にして並べます。
残る5枚は使用しないので、箱に仕舞ってしまいましょう。
ちなみに、〈神タイル〉はゲーム中、1人1枚だけGETできます。
入手タイミングは〈地域タイル〉入手と同じ、手番のタイミング。
場から〈地域タイル〉を取る代わりに〈神タイル〉を取って、手番終了となります。
なので、具体的には――
・場の〈地域タイル〉のどれをGETするためのコストも払えないとき
・場の〈地域タイル〉をGETしても、自分のピラミッドに配置できないとき
・〈神タイル〉の即時発動効果が使いたいとき
・〈神タイル〉のゲーム終了時発動効果の条件を満たせたとき、満たせそうなとき
・自分の欲しい〈神タイル〉を誰かに先に取られてしまいそうなとき
といった場面が想定できます。
特に、冒頭の2肢は「コツ」とも言えるやり方。
コストが払えないor配置不可のときの〈荒野〉=「-1点」を回避するテクニック。

〈神タイル〉に具体的にどんな効果があるのかも、一部だけ紹介しておきますね。

・収穫の神:ゲーム終了時、有効な村アイコン付きタイルを最多所持していれば3勝利点。
・技術の神:ゲーム終了時〈荒野〉の所持数が最少なら3勝利点。
・愛の女神:入手時に任意のキューブ5個を得る&ゲーム終了時に1勝利点。
・火の女神:ゲーム終了時、有効な火山アイコン付きタイルを最多所持していれば3勝利点。
・怠惰の女神:〈荒野〉によって失点しなくなる&ゲーム終了時に1勝利点。

ちなみに、村や火山のアイコンは、点などを得るための「条件がある〈地域タイル〉」。
「有効」というのは、その「条件を達成してある」ということです。

とまあ、コンポーネントは以上です。
ではここから、実際にゲームをプレイしていってみましょう。
……神は光と闇を分け、光に天聖界、闇に天魔界を創造し、それぞれに天使と悪魔をおかれた。

【ゲームの流れ】
スタートプレイヤーは「最年少」の人です。

●タイルをGETする
手番プレイヤーは、場の〈地域タイル〉9枚か〈神タイル〉のうち、1枚を取る。
〈地域タイル〉を取った場合――
そのタイルの四方(上下左右)に隣接していた場のタイル上に、ストックからキューブを1個ずつ乗せる。
乗せるキューブの色は、取ったタイルの色に応じます。
青タイルを取ったなら、隣接タイル上には青キューブを1個ずつ設置。
その後、場の空いた部分に新しく山札から〈地域タイル〉1枚を補充します。
ちなみにこの「上に乗っているキューブ」は、次にそのタイルを取った人が入手できます。
乗せられるキューブ数には限りがないので、一気に大量のキューブをGETすることも可能。
……タイルGETのおまけで10キューブGETなんてことも! ……アメイジング!

●コストを支払う
取ったタイルにコストが描かれていた場合、キューブをストックに支払いましょう。
なお、このとき支払うキューブは、手持ち分だけでなく、取ったタイル上にあったものも使用してOK。
また、前述もしましたが〈コスト減少トークン〉を持っている色は、払わなくて大丈夫です。
ちなみに、多色で描かれているアイコンは、何色で払ってもOK……ということなんですが。
この、多色アイコン分を〈コスト減少トークン〉で賄うことはできない、ということだけ要注意。
――あ、それと。
もしコストを払いたくない場合は、払わなくてもOKです。
ただしその場合、タイルはウラ面〈荒野〉で配置することになります(払えなかった場合も同様)。

●タイルを自分の世界(ピラミッド)に配置する
コストの件を解決したら、次はタイルをピラミッドに配置します。
配置のルールは以下の通り。

1)1段目(最下段)は何色でも配置できる。
1段目の2枚目以降は、最低1辺が他のタイルと接していないと配置できない。

2)2段目以降は、直下の段のタイル2枚の上に置かなければいけない。
※六角形の下側2辺が、下段の2枚に接する形。下段が1枚ではまだ設置できない。

3)直下の段のタイル2枚のうち最低1枚が、新たに置くタイルと同色でなければならない。
※例えば、下段2枚が赤と青の場合、その上には赤か青しか置けない。

ルールを守れていれば、1段目に5枚置かないうちに、2段目3段目を置いていくことも可能です。
極論、1段目に赤と青を置いて、3番目に得た赤タイルを2段目に置く、といった具合ね。
もし、色のルールを守れない場合は、必然的にウラ面〈荒野〉で配置することになります。
また、守れる場合でも意図的に〈荒野〉で置くこともできるので、戦術によってはそうしましょう。
〈荒野〉は「-1点」ですが、無色扱いなので、上に何色でも繋げられるという利点もあるのです。
……でもコーヤコーヤ星にはならないようにね(汗)

ちなみに〈地域タイル〉ではなく〈神タイル〉をGETした場合――
効果が即時型だった場合は、まず効果を処理。タイルはピラミッドには配せず、手元に置いておきます。
〈神タイル〉は最終的に、ピラミッドの頂点に置く形になります。ゲーム終了時にね。
なので、ゲームを通じて〈地域タイル〉で作るピラミッドは、実質4段14枚。
……お間違いなく!

●タイルの効果を解決する
さて、タイルが無事に設置できたら、効果を解決します。
例えば「任意の色のキューブを1個GET」とか。
ちなみに「村アイコン」の条件は、「指定数のキューブをストックに支払う」。
「火山アイコン」の条件は「指定の色数のキューブを場のタイル上からストックに戻す」。
なお、条件を達成できなかったタイルの上には〈打消しトークン〉を置いて「得点0」にしましょう。
また、〈荒野〉での配置になっていた場合、オモテ面に描かれた効果は無効となります。

【ゲームの終了】
15ラウンド目のプレイが終わったら、ゲームは終了。
全員が〈地域タイル〉14枚と〈神タイル〉1枚で、ピラミッドを完成させた状態になっているはずです。
まずは自分のピラミッドの〈地域タイル〉に描かれた獲得勝利点を合計しましょう。
次に、そこへ〈神タイル〉で入る得点を加算。
そして最後に〈神殿トークン〉の点数を足すのですが――
神殿タイル=白タイルを持っているプレイヤーは、そこに描かれている〈神殿アイコン〉の数を足します。
そして、アイコンの数が多いプレイヤーから順に、〈神殿トークン〉を獲得していきます。
もしアイコンが同数だった場合は、高い〈神秘値〉を持っているプレイヤーに優先権があります。
なお、〈神秘値〉は合計ではなく、単体の数字で比べます。
〈神殿トークン〉の獲得が済んだら、その分の点数も加算。
最も得点の高かったプレイヤーが、優秀なる創造神に決定!
……つまり、スーパーゼウスか。
同点の場合は、手持ちに残っているキューブの数が多いほうが勝利。
もしそれも同じ場合は、仲良く勝利の栄光を分かち合いましょう。……ポジピースっ☆

【まとめ】
簡潔なルールでサクサク展開していくのが魅力です。
ただ、やってみるとコスト管理が思ったよりシビア。
最終的に、4人中3人が〈荒野〉が3ヶ所ある状況になってしまいました。
序盤である1段目の5枚の色が偏りがちだったのが災いしましたね。
後々どの色が来てもいいように、なるべくバラバラな色合いの配置を心がけましょう。
パズル要素、重要です。
また、序盤で最も重要なのが〈コスト減少トークン〉の獲得。
これが1個も得られないと、正直、優勝は厳しくなります。
……ええ、誰あろう私のことですとも。
手番のときに〈コスト減少トークン〉を得られるタイルがあれば、絶対に取りましょう。
しかし、それがどのタイミングで場に現れるかはランダム。
もし1個も獲得できなかった場合は、順当な戦術ではなく、邪道プレイに舵を切りましょう。
例えば、〈荒野〉の失点を無効にする〈怠惰の女神〉を使うとか。
あとは〈神殿トークン〉での高得点GETを狙う、など。
……けっこういい線いくはずです。
1時間ほどのプレイで、ほどよいボリューム。
重ゲー前など、頭のウォーミングアップに向いてる感じ。
あなたも『オルビス』で、Let’s Divine Design !!

――といったところで、今回はここまで。
以上、サイバーアップ! 海天聖ビシュヌ・新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)