ボードゲームレビュー第240回「シティ・オブ・ローマ」

「シティ・オブ・ローマ」

作者:マシュー・ダンスタン ブレット・ギルバート
制作:ABACUS SPIELE/日本語翻訳:ジーピー
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約60分

 


 

「恐るべし……平たい顔族!」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当31回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『シティ・オブ・ローマ』。
タイトルの通り、描かれているのはローマの街並み。
プレイヤーは古代の建築士となり、ローマの都市を作っていきます。
メカニクス的には「カードドラフト」と「タイル配置」のゲーム。
特に、この2要素が天秤関係になっているところがミソです。
欲しい〈建物カード〉を得るためにドラフト順を早くすると、得られる〈アクションポイント〉が低い。
〈アクションポイント〉を多く得ようとすると、ドラフト順は必然的に遅くなってしまう。
……これぞ「囚人のジレンマ」ならぬ「プレイヤーのジレンマ」。

〈アクションポイント〉には〈生産ポイント〉と〈建築ポイント〉の2種類があります。
〈建築ポイント〉がないと、良いカードが手札にあっても、それを自分の都市に建てることができません。
さらに、このポイントは蓄積できず、ラウンドごとの使い切り。
「ドラフト」と「配置」、どのタイミングでどちらを優先するのか、建築計画が重要になってきます。
ゲームは、3フェイズ14ラウンドの勝負。
最終的に勝利点の最も高かったプレイヤーが優勝となります。
というわけで、めざせベスト・オブ・建築士!
……「私はテルマエ技師に誇りを持っている。自分の意に反してまで風呂を作ることはできない」

【コンポーネント紹介&ゲーム準備】
・アクションバー
手番順に「プレイヤー駒」を乗せていき、ドラフトの順番を決めるものです。
全6個を上下左右裏表にシャッフルし、山にして卓の中央に置きましょう。
なお、描かれているアイコンは「レンガ=建築ポイント」「歯車=生産ポイント」を表しています。

・建築士駒=プレイヤー駒(写真左「橙・紫・茶・白」)
プレイヤーカラーを決めて、各自、駒を持ちます。

・スタートプレイヤーマーカー(写真「銀」)
まずはスタートプレイヤーとなる「最年長」のプレイヤーが持ちます。
以降、ラウンドが変わるごとに、そのラウンドのスタートプレイヤーが持つことになります。

・皇帝駒(写真右「金」)
この駒は、偉大なるローマ皇帝を意味しています。
卓上の〈アクションバー〉の片端にセットして置きましょう。

こんな感じです。
なお、カードドラフトは、より皇帝に近いマスに駒を置いたプレイヤーから、順番となります。
例えば――一番右の歯車マスに置いた場合。
〈建物カード〉のドラフトは最初。得られるポイントは「生産1」となります。
――右から2番目に置いた場合。
自分より皇帝に近い人がいなければドラフトは1番最初。いれば、2番手となります。
得られるポイントは、自分のマスと皇帝までのマスに描かれた分なので「建築1」+「生産1」。
――以下、この例で行くと。
右から3番目:ドラフト3番・「建築2」+「生産1」
右から4番目:ドラフト4番・「建築2」+「生産2」
一番左のマス:ドラフト5番・「建築3」+「生産2」
となります。
ちなみにこのゲームの最大プレイ人数は4人なので、ドラフト5番といっても実質4番手。
もし、自分が駒を置く順が最後で、空きマスが4番と5番なら、絶対5番にしましょう。
ドラフト順は変わらず、〈アクションポイント〉を1つ多く得られますから。

・コイン(写真上段「1」「5」「10」)
〈アクションポイント〉の購入に使えるほか、ゲーム終了時に「1コイン=1勝利点」に。
購入レートは「1コイン:1生産ポイント」「2コイン:1建築ポイント」となっています。
ゲーム開始時は、各プレイヤー「1コイン×5枚」ずつを持ってスタート。
残りはまとめて、卓上にストックにしておきましょう。

・建築ポイントマーカー(写真下左「レンガ」)
ゲーム中〈建物カード〉の「生産効果」で〈建築ポイント〉を得た際、カード上に置く。
これは、任意のタイミングで使うことができる〈建築ポイント〉。
唯一、次のラウンド以降まで持ち越すことができる貴重なポイントリソースです。
もちろん一度使うとストックに戻すことになりますが(汗)
なお、ドラフト順に応じて無料で得られるポイントは仮想で扱い、マーカーでは表しません。

・影響力マーカー(写真下中「星マーク」)
ゲーム終了時に「2個につき1勝利点」になります。
また、ゲーム中の折々で、最多所有者は〈影響力得点カード〉を得られます。
これはまとまった勝利点になるので、勝つためにとても重要なもの。
……詳しくはのちほどご紹介しますね。

・勝利点マーカー(写真下右「青色」)
そのものズバリ勝利点。ゲーム中に〈建物カード〉の効果などで得られます。

これら3種のマーカー類も、それぞれまとめてストックにしたら。
次は、自分の場(都市)に初期配置する〈初期建物カード〉2枚のご紹介です。

・価値2住宅(写真左)
4色の〈公共施設〉と隣接させることでゲーム終了時に勝利点GET。
1色隣接で「価値×1点」、2色で「価値×2点」といった具合。
また、同価値の〈住宅〉と隣接させることで1つの〈住宅エリア〉として扱います。
2枚の〈住宅エリア〉の外周6マスに1色隣接するごとに得点となるため、点を得やすい。

・野菜畑(写真右)
「生産ポイント×2」で行える〈生産アクション〉で「野菜畑の枚数×1コイン」GET。

初期カード2枚はウラ面がプレイヤーカラーになっているので、駒と同じ色を使いましょう。
また、本来コストが描かれている左上部分も、同色になっています。
この2枚は、準備の際にノーコストで自分の場に配置します。
なお、左右どちらにどちらのカードを配置するかは自由。
ただし、自分の場=〈都市〉は、最大で「4×4」のサイズがルールとなっています。
初期2枚+1ラウンド1枚×14ラウンド=最大16枚=「4×4」というわけですね。
……そう、1ラウンドにつき1枚しか建設はできませんので、悪しからず。

こちらは山札や手札となる〈建物カード〉の一例です。
左上の「レンガ」が「建設コスト」。「1レンガ=建設ポイント1コスト」となります。
なお、最高コストは3。最低は1。無料なのは初期配置の2枚のみ、です。
また、右上のアイコンは建物の種類を、下の欄はカードの効果を、それぞれ表しています。

写真上左:公共施設=建設時、隣接〈建物カード〉1枚につき、1〈コイン/☆/点/山札ドロー〉など。
※ドローは「2~4」の山札のうち1つの山から指定数を引き、任意の1枚を手札に。残りは山の下に。
写真上中:水道=終了時に「1枚:4点/2枚:12点/3枚:24点/4枚:40点」GET。
写真上右:神殿=終了時に、各種の条件達成で勝利点GET(写真は「4×4建物を置けたら10点」)。
写真下段:生産施設=〈生産アクション〉実行で〈コイン/建設ポイント/☆〉などGET。
そのほか:住宅=終了時に「住宅価値×隣接する〈公共施設〉の色数」の勝利点GET。

ここで注意しておきたいのが〈水道〉。
圧倒的な高得点を狙えるカードですが、いくつか特別なルールがあります。

●〈水道〉は各列および行に1枚ずつしか置けない。
つまり、必然的に斜め置きになるわけですね。4枚置くなら4×4マスを真ん中で斜めに分断する形。
〈水道〉で得点を狙うと、隣接が条件の〈住宅〉や〈公共施設〉で得点が狙いにくくなるのです。

●〈水道〉はすでに建設済みの〈建物〉と入れ替えで建設もできる。
〈建物〉は基本的に一度建設=設置すると移動も排除もできないのが基本ですが、これだけは例外。
つまり、後半戦で〈住宅〉などの隣接状態がうまく組めていなかった際に、作戦変更できるのです。
ただ、入れ替え設置の場合、完成形の〈都市〉は枚数が16枚より少ない状態になってしまいますが。
ちなみに、入れ替えで排除された〈建物カード〉は、即ゲームから取り除かれます。
……さらにちなみに、青い〈公共施設〉のカードが「浴場=テルマエ」です(まさに蛇足)。

さて、話を戻しまして。
〈建物カード〉の準備を行っていきましょう。
〈建物カード〉はウラ面の「1~4」までのローマ数字ごとに分けて、4つの山札にします。
(今回は4人プレイでのご紹介ですが、3人プレイのときは4の山札は使用しません)
枚数は、1=14枚、2=22枚、3・4=各18枚、の全72枚あります。
1と2の山札は、以下のセットアップ作業を行うことで、結果的に18枚になります。

・1の山札の準備(4人プレイの場合)
山札の該当枚数の位置に、星マークの〈影響力得点カード〉を挟み込んでいきます。
「☆3」を上から3枚目の〈建物カード〉の下に、「☆6」を同じく6枚目の下に、という具合。
なお、4人プレイで使うのは「☆3」「☆6」「☆10」「☆14」の4枚。
「☆4」と「☆8」は2人プレイのみで使用します(詳しくはマニュアル参照)。

・2の山札の準備
スタートプレイヤーとなる「最年長」の人が、上から4枚を取りドラフト作業。
内容を見て1枚を手札にして、残りを次の手番の人に回す。
2番手3番手の人も同様に1枚ずつ取っていき、4人とも手札を1枚ずつ持ったらOK。

これで全セットアップが完了です。
いよいよ実際にゲームをプレイしていきましょう。
……「テルマエ作りの最中に死ねるなら、私は本望だ」

【ゲームの流れ】
●準備フェイズ
まず、場の〈アクションバー〉の一番上の一枚を取って裏返し、山の一番下に入れます。
次に「1~4」の〈建物カード〉の山の一番上のカードをそれぞれオープン。山の横に並べます。
この4枚が、場のカード。ドラフトで取り合うことになるものです。
またこの際、4、7、11ラウンド目には1の山から星印の〈影響力得点カード〉が出てくることになります。
これが出てきたら場のカードの脇に置き、改めて1の山から1枚をオープンして並べます。
こうして置かれた〈影響力得点カード〉は、そのラウンド終了時に〈影響力マーカー〉の最多所有者が獲得。
大量得点のチャンスなので〈影響力マーカー〉はなるべく集めておくようにしましょう。

●配置フェイズ
スタートプレイヤーから時計回り順に「プレイヤー駒」を〈アクションバー〉の空きマスに置いていきます。
前項でも説明しましたが、〈皇帝駒〉に近いマスほどドラフト順が早く、得られる〈アクションポイント〉は少ない。
逆に遠いほど、ドラフト順は遅く、得られる〈アクションポイント〉は多くなります。
「歯車」は〈生産ポイント〉、「レンガ」は〈建築ポイント〉。
最も遠いマスに駒を置いた場合、「生産2」+「建築3」が手に入ります。
〈生産アクション〉を実行するための必要コストは2なので、無料で生産が実行できます。かつ――
〈建物カード〉のコストは最大で3なので、どの建物でも建築できる。
アクション面において、最も有利な位置です。
ただ、反対にドラフト面では最遅なので、得られる場のカードは残り物になりますが……。
全プレイヤーが「プレイヤー駒」を設置し終えたら「アクションフェイズ」に進みます。

●アクションフェイズ
より〈皇帝駒〉に近いマスに駒を置いたプレイヤーから順にアクションを行っていきます。
まず、場のカードを1枚取り、手札に加える。
次に実行できるアクションは、〈生産〉と〈建設〉の2種類。
どちらも1ラウンドに1回ずつ実行でき、どちらから先に行ってもOKです。
また、片方しか行わなくても、両方とも行わなくても構いません。
ただ〈アクションポイント〉は残しておいても次ラウンドへ持ち越せないので、極力使い切るのがいいでしょう。
もし、バーで獲得したポイントが、やりたいアクション実行のための数に満たない場合。
――お金で解決しましょう( ̄ー ̄)ニヤリ
前記もしましたが「1生産ポイント:1コイン」「1建築ポイント:2コイン」です。
コインが払える限り何ポイントでも同時に購入できますが、使う必要があるのは最大でも8コインでしょう。
……「駄賃をよこせというわけか。こざかしい、奴隷め」

〇生産アクション
自分の〈都市〉に配置済みの〈建物カード〉全ての生産機能が1回発動します。
どれかではなく全てなので、生産機能のある〈建物カード〉は多く建てておくと有利。
特に「1建築ポイントを得る」効果の〈小麦畑〉があれば、作戦の幅が広がります。
例えば、無料の獲得ポイントが「生産1」「建築2」の場合。
1コイン払って「生産1」を買い、実行すると、「建築1」も獲得できる。
通常2コインで購入する「建築1」を、実質1コインでGETできてしまうわけですね……アメイジング!
さらに、生産で得られる〈建築ポイント〉に限っては、蓄積こそできないものの次ラウンドへ持ち越せる。
……〈小麦畑〉の有用性の高さは折り紙つきですね。
場に現れたときは、ぜひがんばってGETしましょう。

〇建築アクション
手札から1枚〈建物カード〉を選び、自分の〈都市〉に設置=建設します。
1ラウンドに建設できる建物は1つだけなので、よく考えて選ぶようにしましょう。
なお、建設に際しては、カードに指定されたコスト分の〈建設ポイント〉を支払います。
コストの払えないカードはもちろん選べないので、要注意。

さて、ここで配置のルール。
・建築する〈建物カード〉は、すでに建設済みのカードの縦か横に、最低一辺が必ず接していないといけない。
・建築する〈建物カード〉は基本的に、4×4マスに収まる範囲の空きマスに置かなければいけない。
(→〈水道〉の置き換えで設置する場合だけは、例外)
※効果欄に「☆」の描かれた〈建物カード〉を建設した際には、指定個数分の〈影響力マーカー〉を即GET。

全アクションの実行が終わったら。
終了を示すため、このラウンドに建てた〈建物カード〉の上か〈都市〉の脇に「プレイヤー駒」を置きます。
そして「次に〈皇帝駒〉に近いプレイヤー」がアクションする番。
全員がアクションを終えたら〈スタートプレイヤーマーカー〉を次の手番順の人に移動。
1ラウンドが終了し、また準備フェイズから次のラウンドが始まる、という形です。
1の山札がなくなる14ラウンド終了まで、この流れを繰り返していきます。

【ゲームの終了】
14ラウンドが終了したら、最後に「☆14」の〈影響力得点カード〉の獲得処理を行い、ゲーム終了です。
……獲得処理っていうのは、その時点での〈影響力マーカー〉最多所有者がGETできる、っていうアレね。
以下、得点計算の手順です。
建物の条件達成点+コイン点(1コイン=1点)+影響力マーカー点(2個につき1点)
最後に〈影響力得点カード〉の点をそのまま加えたら、合計点の算出は完了。
最も得点の高かったプレイヤーが優勝。……「Most Valuable 建築士」です。
もし同点なら〈影響力マーカー〉の多いほうが、それも同数ならコインの多いほうが勝ち。
それさえも同数だった場合は、仲良く勝利を分かち合いましょう……ポジピース☆

【まとめ】
遊びやすい佳作、といった印象です。
ボドゲ慣れしているベテランには、ちょっと物足りなく感じる向きもあるかもしれません。
しかし「ドラフト」と「配置」のメカニクス面は、基本に忠実に、しっかりできています。
なので、ビギナーやライト層の方々も戸惑わずに、バッチリ楽しめると思います。

戦術としては〈水道〉の使い方と〈神殿〉の得点条件達成がミソ。
どちらも大量得点が狙えるのでオススメですが、〈水道〉はリスクもあるので考えどころ。
斜め配置が必然なので、〈住宅〉で狙える地道な得点を犠牲にするはめになってしまいます。
今回は4人でのプレイでしたが、〈水道〉を4枚設置した私は、2位という戦績でした。
なお、1位のプレイヤーは〈神殿〉を4枚活用し、〈水道〉も手堅く最後に1枚設置。
……〈水道〉は1枚置くだけで4点になるので、これも結構重要です。
さらに明暗を分けたのは、数ラウンドに一度獲得チャンスが来る〈影響力得点カード〉。
そして、それをGETするため重要になってくる〈影響力マーカー〉――いわば☆の数ですね。
彼はほとんどの〈影響力得点カード〉をGETしていたため、結果的に引き離しての逃げ切りでした。

タイル配置の妙もありながら、カードドラフトも楽しめる。
さらに、ドラフト順が「競り」ではなく「手番順」というのも遊びやすさのポイント。
おかげでコスト管理が切迫せず、難しい顔にならないで、笑顔で楽しくプレイできました。
また、〈アクションポイント〉の持ち越しがない、というのも軽妙です。
リソース面で長期的で複雑なプランを立てなくてもいいので、都市の建設計画に集中できる。
やっぱりテーマは、ローマの街並みを築くことですからね。……ローマは一日にして成らず!
……個人的には、テルマエを建てることにもこだわりましたが(笑)

難しくなりすぎず、ほどよいやり応え。
楽しんでプレイできる一作ですので、よかったら皆さんも一度遊んでみてください。
――といったところで、今回はここまで。
以上、実はローマよりマケドニアな、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)