ボードゲームレビュー第244回「ジンジャーブレッドハウス」

「ジンジャーブレッドハウス」

作者:フィル・ウォルカーハーディング
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約30~45分

 


 

「なんで~も~ない日、ばんざいっ♪」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当33回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『ジンジャーブレッドハウス』。
ジンジャーブレッドとは「生姜を使った洋菓子」のことで「ハウス」が付くといわゆる「お菓子の家」。
そう、このゲームのモチーフは、童話『ヘンゼルとグレーテル』です。
ただ、そのものズバリではない。――というわけで、まずはあらすじを確認してみましょう。

【あらすじ&ゲーム概要】
昔々、魔法の森の奥深くに魔女が住んでいました。
魔女はジンジャーブレッドが大好きで、家までジンジャーブレッドでできていました。
そこに、さまざまなおとぎ話のキャラクターたちが通りかかります。
お腹を空かした彼らは、壁やドアを剥がして勝手に食べていってしまいます。
きっと、まさか人が住んでいるとは思わなかったのでしょうね。
しかし、困った魔女は彼らをとっちめてやろうと考えました。
……そして今、魔女の復讐劇が始まる。食い物の恨みは恐ろしいのだよ。

プレイヤーは魔女となり、ジンジャーブレッドハウスを作っていきます。
つまり、3×3マスの〈プレイヤーボード〉の上に〈ダブルタイル〉を積み重ねていく。
ボードのマークを覆うと、該当する種類の〈ジンジャーブレッドトークン〉が手に入ります。
それを使って、場や山札の〈キャラクターカード〉をGET。これが得点になります。
一種のタイル配置ゲーで、プレイ感覚は『リーフ』(レビュー第235回掲載)にも近いかな。
ゲームは15ラウンドの勝負。
最も多くの得点を得たプレイヤーが優勝で、「一番ずる賢い魔女」の称号を得ることとなります。
皆さん、どんどんお菓子の家を完成させて、どんどんおとぎ話のキャラたちを捕まえていきましょう!

【コンポーネント紹介&ゲーム準備】
・ボーナスカード
ゲームには「標準ルール」と、初めて遊ぶとき用の「導入ルール」があります。
ただ、違うのはこの〈ボーナスカード〉をウラ面で使うかオモテ面で使うか、だけ。
今回は、数字のみが書かれたウラ面「導入ルール」でご紹介していきますね。
ちなみに、オモテ面には数字以外にもテキストが書かれています。例えば――
「ハートを持つキャラ1枚につき2点(最大12点)」や「元気なキャラ1枚につき2点」といった具合。
単純得点のウラ面と違い、より多くの得点を得るためにプレイ方針を考えることになります。
ゲームの深みが増しますね。

〈ボーナスカード〉は全20枚あり、どれを何枚使うかは人数とルールで決まります(マニュアル参照)。
今回は4人で導入ルールなので、ランダムに12枚。高い得点から順にして、卓上に置いておきます。
これは、ジンジャーブレッドハウスが3×3の9マス1階層完成するごとに得られるもの。
早く階層を積み重ねた人ほど、高い得点の〈ボーナスカード〉をGETできます。

・キャラクターカード
GETすることで得点となる、おとぎ話の〈キャラカード〉です。
中央に描かれているジンジャーブレッドの絵が、GETするために必要なコスト。
描かれた種類と枚数のトークンを支払うことで捕獲できます。
右下にはキャラの名前、左下には点数が記されています。
上部左右のマーク「気分」と「種類」は導入ルールでは使わないので割愛します。

〈キャラカード〉40枚を、檻マークのウラ面でシャッフル。
山札として卓上に置き、上から4枚をオープンして横一列に並べます。

・ワイルドタイル(左上)・階段タイル(右上)・ジンジャーブレッドトークン4種(下段)
これらはそれぞれ種類ごとにまとめて、卓上にストックにしておきます。
〈ジンジャーブレッドトークン〉は、いわゆる資源。10個まで持っておけます。
11個以上になってしまったときは、即座に任意のものをストックに戻して調整します。
〈ワイルドタイル〉は、キャラを捕獲した際にGETできる便利アイテム。
このタイルを覆ったときは、どれでも好きなマークの効果を発動できます。
これは勝敗のカギを握る素晴らしい効果。詳しくは追ってご紹介していきますね。
次に〈階段タイル〉。
これは1マスだけの設置ができて、段数を調整するのに活躍するアイテム。
最高4枚まで持っておくことが可能で、最初は1枚持った状態でスタートです。
効果についてはこちらも、のちほど【ゲームの流れ】でご紹介します。

・プレイヤーボード
各自1枚を持ち、卓上、自分の前に置きます。
ジンジャーブレッドの絵の並びが表裏で異なっているので、どちらでも好きな面を使いましょう。
ゲーム中〈ダブルタイル〉でマークを覆うことで、該当の効果が発動します。
ブレッドのマークなら、そのまま〈ブレッドトークン〉をGET。
階段マークは〈階段タイル〉を1枚GET。
矢印マークは「交換」効果。自分が持っている〈ブレッドトークン〉1つを、別種類に交換できます。
檻マークは「引き寄せ」効果。
〈キャラカード〉の列から1枚or山札から3枚を引いてそのうちの1枚、を〈ゲート〉に引き寄せます。
引いて選ばなかった2枚は捨て札として、山札の1番下に任意の順で入れましょう。
〈ゲート〉というのはボードの上部スペースのことで、〈キャラカード〉を2枚まで置けます。
ここに置かれている〈キャラカード〉は、いわばリザーブ。
自分だけの獲物になり、他の人は捕獲できなくなります。
ちなみに、ボード左スペースが、GETした〈ボーナスカード〉を置く〈金庫〉。
右上スペースが〈ブレッドトークン〉を置いておく〈食料庫〉。
右下スペースが〈階段タイル〉を置いておく〈作業場〉。
ボード下部スペースが、捕獲した〈キャラカード〉を置いておく〈牢獄〉となっています。

・ダブルタイル
〈プレイヤーボード〉上に、パズル的に配置していくことになるタイル。いわば建材ですね。
全60枚を絵のないウラ面でシャッフルし、各プレイヤーに15枚ずつ配ります。
余りは使わないので箱に仕舞っておきましょう。
プレイヤーは配られた15枚を自分用山札として、ボードの脇に積みます。
そこから3枚をオープンして、自分の手元に並べます。これが現在の手札。
この3つのうちから、次に配置するタイルを選ぶことになります。

さて、コンポーネント紹介は以上です。
スタートプレイヤーは「最近森に行った人」など適当な条件や方法で決定。
決定したら次に、手番の遅い人から順に、場の〈キャラカード〉の列から1枚ずつ好きなカードを選択。
引き寄せた獲物として、自分の〈ゲート〉に置いておきます。
全員が済んだら、列が元通り4枚になるように山札から〈キャラカード〉を補充。
これで準備は完了です。
――さあ、ゲームを始めよう。

【ゲームの流れ】
選べるアクションは、以下の2種類。どちらかを選択し、必ず実行します。

A:建設&キャラ捕獲
B:「階段×2」GET

基本的にはAを選び、タイルを置けないときだけB、といった感じです。

●A-1.建設
オモテになっている手持ちの〈ダブルタイル〉3枚から1枚を選び、ボード上に配置します。
すると、それによって覆われたマークの効果が発動。
写真の2マスに置いた場合は、「階段タイル×1」と「ブレッドトークン青×1」GETです。
どちらのマスの効果を先に処理するかは、プレイヤー自身で決められます。
例えば「交換」と「ブレッドトークン青×1」だった場合。
先に「青×1」をGETして、次に「交換」効果でそれを「緑×1」にしてしまう、なんてことも可能。
何色の〈ブレッドトークン〉が必要かは、どの〈キャラカード〉を捕獲予定か、で考えましょう。
なお、タイルを置けるのは〈プレイヤーボード〉上の3×3の建設スペースか、前に置いたタイルの上。
ボードの9マスが埋まる前に、一部分だけ局所的に積み上げていくこともできます。
ただし、置き方には守らなければならないルールが2つ存在します。

・すでに置かれているタイル上に置く場合は、2枚に跨る形で置かなければならない。
同じ2マスだけ塔みたいに積み上げていくのは無し、ということです。

・〈ダブルタイル〉は水平になるよう置かなければならない。
段差がなく階層が等しい状態になっている2マスでないといけないわけですね。
それでも、どうしても段数が食い違っている2マスに〈ダブルタイル〉を置きたいとき――
そんなときこそ、〈階段タイル〉の出番です。
……力が欲しいか!! 我はジャバウォック!! 力が欲しいのなら……くれてやる!!

まず、〈ダブルタイル〉を置く前に、階層が低いほうのマスに手持ちの〈階段タイル〉を設置。
その上に〈ダブルタイル〉を置けばOK。
階段の中央からは下のマークが覗けるようになっているので、そのマークの効果を得ることになります。
一度の手番に〈階段タイル〉が置けるのは1マスのみ。ただし、何枚でも置けます。
つまり、最大所持数4なので、4段まで一気に積み上げて段差を調整することができる。
目的のマーク効果を得るために、これはけっこう有用ですね。
なお、〈階段タイル〉を置いた場合は、その手番では必ずその上に〈ダブルタイル〉を置かないといけません。
目的と関係ない箇所の段数を稼ぐことはできないので、悪しからず。

置き方のルールは以上です。
が、特定の置き方をすると得られるボーナスがあるので、そちらもご紹介しますね。
それは、同じマーク2つを覆った場合。
その場合は、発動効果を2回ではなく3回得ることができます。
つまり、「ブレッドトーク青×1」を2マス覆うと、「ブレッドトークン青×3」GET。
これは、超お得。狙わない手はありません。
また、もし〈ワイルドタイル〉のマーク2つを同時に覆った場合、任意の効果3つを得られます。
「ブレッドトークン黄×3」としてもいいですし、「赤×1」「黄×1」「交換」なども可能。
ただ、覆った2つのマークの片方だけが〈ワイルドタイル〉のときは、ボーナスは発生しません。
普通に覆ったマークの「黄×1」と、ワイルドの効果で選んだ「黄×1」で、「黄×2」となります。
間違いやすいところなので気をつけましょう。
置いた後で「あっ!」と気づいても後の祭り。
一度設置したタイルは、ゲーム中もう決して動かせません。
……王様の馬と家来の全部がかかっても、ハンプティ・ダンプティを二度と元には戻せない。

●A-2.キャラ捕獲
タイル設置と効果の処理が終わったら〈キャラカード〉の捕獲が行えます。
まず、カードの列か、自分の〈ゲート〉の〈キャラカード〉から1枚を選びましょう。
そして、コストとして描かれた分の〈ブレッドトークン〉を手持ちからストックに支払います。
これで捕獲は成功。
〈キャラカード〉を自分の〈プレイボード〉下部のスペース〈牢獄〉に移動させます。
すると、ここでボーナス。
〈ワイルドタイル〉1枚をストックからGETして、即座にボード上に設置します。
これにより覆われたマークの効果も、通常通り発動。
ここで得た〈ブレッドトークン〉は、すぐにまた捕獲に使うこともできます。
そう、捕獲は1手番中、立て続けに何枚でも実行可能なんです。
例えば、まず1枚捕まえて、ワイルド設置でトークンを得て、それも使ってさらにもう1枚捕獲、って具合。
劣勢の状況からでも、こんな連鎖を重ねることで一気に逆転も狙えます。……アメイジング!
ただし、列の〈キャラカード〉は手番終了時まで補充されませんので、その点だけ注意しましょう。

●B.「階段タイル×2」GET
ボード上の段差状況などによって〈ダブルタイル〉が置けない場合=Aを実行できない場合。
そんなときに、残念ながら選ぶことになるのが、こちらのアクションB。
建設を行わず、手札の〈ダブルタイル〉のうち1枚を捨てて〈階段タイル〉2枚をGETします。
もしストックに〈階段タイル〉がない場合、途中で尽きた場合は、残りは得られずそのまま手番終了へ。
〈ダブルタイル〉を捨てたのに何も得られないというツラい状況になります。
また、この「B」のアクションを選択した場合、「キャラ捕獲」は行えません。
なんという向かい風。
なるべくなら「B」を選ばずに済むよう、プレイを進めていきたいところですね。

●手番の終了
AまたはBのアクションを完了したら、「階層の完成」をチェックします。
新たに1段、階層が完成するごとに、任意の〈ボーナスカード〉1枚がGETできます。
もし、この手番で2段が新たに完成していた場合は、一気に2枚〈ボーナスカード〉をGET。
ただし、1人が持てる〈ボーナスカード〉は3枚まで。
一度GETしたカードは、引き寄せた〈キャラカード〉のように自由に捨てたりはできません。
単純得点の「導入ルール」ならばいいですが、「標準ルール」ではどれを取るかがターニングポイント。
このゲーム中ずっと付き合う「得点条件」となりますので、特に慎重に選びましょう。
さて――階層チェックが終わったら、あとは補充作業。
ウラ面になっている〈ダブルタイル〉の自分用山札が残っていれば、そこから1枚を取ってオープン。
手札に補充をして、元通り手札3枚の状態にします。
〈キャラカード〉の列が減っていれば、こちらも山札から補充して4枚の状態に戻します。
これで手番は終了。
また次の人が手番プレイヤーとなって、AorBのアクションを行っていくこととなります。

【ゲームの終了】
全員、手札である自分の前のオモテ向き〈ダブルタイル〉がなくなったら、ゲームは終了。
最初に15枚ずつ配られていて1ラウンドに1枚消費しているので、15ラウンド経ったら、ですね。
ここで、捕まえた〈キャラカード〉とGETした〈ボーナスカード〉の得点を全て足します。
その後、手持ちに残っている〈ジンジャーブレッドトークン〉2個につき1点を加算。
トークンの端数は切り捨て、キャラは捕まえたもののみで引き寄せてあるものは数えません。
最高得点の人は見事優勝。あなたこそ栄えある「ベスト・ずる賢二スト魔女」だ!
なお、もし最終得点が同点だったときは、家の階層が高いほうが勝ち。
この場合の「階層」には、未完成のものも含みます。
例えば、1マスだけでも8階層目に達していれば「8階層」ということ。
もし階層も同じだった場合は、仲良く勝利を分かち合いましょう……ポジピース☆

【まとめ】
ガチャガチャしたところがなく、とてもしっかりしたゲームです。
ルールも明快で、キャラクターもかわいい。(←ここ大事)
プレイ感覚も、ほどよく頭を使うので、難しくなりすぎず、ちょうどよく楽しめました。
私的には疲れることもなく、遊んでる感バッチリ☆
ちなみに、勝つために重要なのは、1アクションでなるべく多くの〈ブレッドトークン〉を得ること。
つまり、1つの〈ダブルタイル〉で同じマーク2つを同時に覆うこと。
そのためには、使うマークをある程度絞り、固めて配置していくことが大事になります。
基本的には堅実なプレイが要求されますが、しっかり派手さもあります。
所持数ギリギリの10トークン持っていたところから3連続でキャラを捕獲したときなんか、超爽快!
……Haste makes waste.急いては事をし損じるから俺は滅多に急がない。
……でも、もしイタチがこっちを目がけて突進しようとしたら、俺は走るね。byチェシャ猫

また、得点とは別に「あのキャラGETしたい~っ」なんて思えるのがこのゲームの楽しいところです。
私は「アリス」や「ラプンツェル」、「赤ずきん」といったメジャーキャラを主に捕獲しました。
……ミーハーと呼びたければ呼ぶがよい。あ、でもロリコンはやめて(汗)
だって「強盗」とか「王様」とかはキャラ的に地味で、欲しいと思えないんだも~ん。
……いや、勝つためにはそういうのも必要なんですけどね。
ただ、列にあった「白雪姫」を他プレイヤーに取られてしまったのは痛かったですね。
いや、趣味的に、じゃなくて得点的にも。
次の手番でGETしようと思っていたら、他の人に引き寄せられてしまって……。
お邪魔プレイのない、私の好きなコツコツ系かと思いきや、油断しました。
聞けば、やはりその人は私のGETを見越して阻止するために引き寄せた、とのことでした。
……う~んっ! 悔しいけど、こういうこともあるのが盛り上がりどころであります。

あなたも『ジンジャーブレッドハウス』で、おとぎ話のキャラを捕まえる魔女体験。
ぜひ、一度お試しになってみてはいかがですかな?
――といったところで、今回はここまで。
以上、「LET DOWN YOUR HAIR!!」新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

 

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)