ボードゲームレビュー第247回「富士-脱出-」

「富士-脱出-」
作者:ヴォルフガング・ヴァルシュ
メーカー:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:30~60分

 


 

「富士山麓にオウム鳴く」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当35回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『富士-脱出-』。
タイトルの通り、このゲームの題材は日本の代名詞「富士山」です。
内容は、ダイスを使った協力ゲー。……でも、なぜ「脱出」?
あらすじを確認してみましょう。

あなたは富士山調査隊の一員として、現地を訪れました。
ところが、目的のポイントに到達する前に、突如大地が激しく振動し始めた。
――そう、噴火です。
こうなったら調査どころではありません。安全圏である麓の〈集落〉まで大急ぎで逃げましょう。
調査隊の背後からは、時々刻々と溶岩流が迫ってきます。
誰か一人でも飲まれてしまうと一巻の終わり。
さらに、負傷によるゲームオーバーにも気をつけなければなりません。
果たして、あなたは仲間たちと共に、この荒ぶる山から無事生還することができるでしょうか――。

【ゲーム概要】
プレイヤーたちはまず、手持ちのダイス全部を一斉に振ります。
その後、なんやかんやした後、左右の席に座るプレイヤーと出目を比較。
数字や色など何を比較するかは〈目的地マーカー〉を置いた移動目標の〈土地カード〉に記されています。
どちらか一方にでも負けると移動は失敗。
両サイドに勝ったプレイヤーだけが、移動を実行することができます。
――ここがこのゲームの妙。
自分だけ勝ちまくったのでは仲間が移動できず、ターン最後の「噴火フェイズ」に迫ってくる〈溶岩〉に飲まれてしまう。
具体的な発言の禁じられた「相談」によって、勝ちどころと負けどころを理解することが重要です。
逃げ遅れているプレイヤー相手には、自分の移動失敗も辞さず、出目を弱めて負けてあげることも必要。
全員で、互いの勝敗バランスを調整していかなければなりません。思いやりが大事。
……僕は信じてる。世界には愛しかないんだ。

1ラウンドは以下の6つのフェイズで構成されています。
1)ダイスロール、2)目標地点決定&相談・装備使用、3)振り直し、4)装備使用、5)移動、6)噴火。
ダイスを振って、互いの出目が不明なまま相談。それぞれの目標地点を決めて〈マーカー〉を置きます。
ここで必要に応じてアイテムを使い、予見される悪い事態を回避。その後、振り直しによって、状況の改善を目指す。
もし新たな出目が思わしくなければ、このタイミングでもアイテムを使って改善することを目指せます。
全ての画策が終わったら、目隠しの〈スクリーン〉を取って全員の出目を一斉に公開。
比較した結果を反映して、移動と体力消費。ここで新たなアイテムが獲得できることもあります。
ゲームは、誰か1人でも溶岩に飲まれるor体力がなくなると、敗北です。
移動を繰り返していき、全員が〈集落カード〉まで到達すると勝利。
……みんなで負けるかみんなで勝つか、ケンカ無用のポジピース。That’s協力ゲー。

【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
・キャラクターカード
プレイヤーカラーを決めるためのもので、能力差などはありません。
4枚のうち、好きなイラスト、好きな名前のものを選んで、1枚持ちましょう。

・技能カード
能力値を決定するものです。
一番左のダイスマークが、使えるダイスの数。
工具のマークが、初期〈装備品カード〉の数。
「2/4」は、4枚引いて任意の2枚を採用して持つ、という意味です。
歯車マークは、固有の特殊能力。
「1回で使い捨ての〈装備品〉を2度まで使える」や「振り直しの権利を+1回分得る」など。
技能カードは全6枚から、各プレイヤー好きな1枚を選んで持ちましょう。

・装備品カード
ゲームを有利に進めるための、さまざまな効果を持つアイテムです。
テキスト欄の左上に、使えるタイミングのフェイズ数が書かれています。「②」か「④」、またはその両方。
基本的にどのカードも使い捨てで、1回使うと捨て札になります。
効果は「このラウンド終了まで自分の体力は減少しない」や「自分のダイス1個の出目を望む面に変更できる」など。
全15枚をウラ向きでシャッフルして、山札として卓上に置きます。
そこから、自分の〈技能カード〉に指定された枚数のカードを引いて、持ちます。
ちなみに、手持ちの〈装備品カード〉は公開情報。

プレイヤーカラーをした以下のものを受け取ります。
・ダイス:〈技能カード〉に記された個数(5or6)のサイコロ。
・ミープル:〈土地カード〉の上に置いて自分が今いる地点を示す、人型の駒。
・目的地マーカー:移動したい先の〈土地カード〉の上に置く、円形の駒。
・体力マーカー:〈体力ボード〉に置いて現在の体力を示すのに使う円形駒。物は〈目的地マーカー〉と同じ。
・スクリーン:自分のダイス目を伏せておくために使う。ウラ面は各フェイズの早見表。

・シナリオカード
いわば「プレイするマップ」が描かれたカード。
7枚あるうちのどれを遊ぶか、話し合いかランダムで決めます。
決まったら、そこに描かれている通りに各種カードを卓上に並べ、マップを作ります。

溶岩が発生する地点となる〈火山カード〉1枚。
そこから近隣2マス分の侵入禁止地帯となる〈岩場カード〉2枚。
通常の移動可能マスとなる〈土地カード〉全24枚(シナリオによって使用枚数は上下)。
溶岩の及ばないゴール地点となる、黄色い枠の〈集落カード〉全6枚。(プレイ人数で使用枚数は上下)。
ちなみに〈土地カード〉のウラ面は「溶岩」になっています。
「噴火処理」の際〈土地カード〉をウラ面にすることで、その土地が溶岩に飲まれたことを表すわけですね。

マップが組めたら、〈シナリオカード〉の記述に従い〈火山トークン〉と〈装備品トークン〉を設置。
写真上段の〈火山トークン〉は、設置されたマスに誰かが到達した時点で、即1回「噴火処理」が発生するカード。
「溶岩」はターン最後の「噴火フェイズ」で毎ターン1マス分進行するのですが、それ以外にもう1マス迫ってくることになります。
それによって仲間が飲まれてしまう危険が高いので、〈火山トークン〉のあるマスを踏むときは注意が必要です。
一方、写真右下の工具マーク=〈装備品トークン〉。
これが置いてあるマスに停まると、山札から〈装備品カード〉1枚を引いて、手に入れることができます。
……装備品は、ダンジョンの宝箱のように行き止まりの位置にあったり、遠回りする道筋にあったりします。

・体力ボード
各プレイヤーの体力値を示すのに使うボード。
マップの近くの卓上に置き、体力満タンを表すハートマークの位置に、各自〈体力マーカー〉をセット。
ゲーム中、ダメージを受けるごとにマーカーを動かしていくことになります。
全25マスあり、緑から黄色、オレンジ、赤、そして黒ゾーンと進むに従い、死に近づきます。
色の変わり目となるマスには「絆創膏」が描かれていて、これに停まる、または通過するごとに手負い状態に。
具体的に言うと、〈負傷トークン〉によって自分の〈技能カード〉の一部を覆います。
すると、覆われた能力は使用不可になる。
つまり「ダイス数-1」or「装備品使用不能」or「特殊能力使用不能」or「振り直し不能」のどれか。
1つ失うだけでもけっこうリスキーです。ダメージは極力、能力2つ喪失状態=オレンジゾーンまでに抑えたいところ。
ちなみに、〈体力ボード〉の最期ならぬ最後のマスは「RIP」と書かれた西洋墓標。
……「Rest In Peace」安らかに眠れ。

・レベルカード
ゲーム中、ダメージを受ける際に失う体力の数値を記したカード。
セットアップ時に、プレイするレベルのカードを選び〈体力ボード〉の窪みにセットします。
「レベル4」が最高難易度のハードモードで、「レベル1」が最低難易度。
私たちは、初プレイだった今回「レベル1」でプレイしました。
ちなみに、カード左列の数字が、移動判定の際に左右のプレイヤーのダイスと比較した合計数値の差。
右列が、それによって受けることになるダメージの量、を表しています。
つまりレベル1なら――
両サイドのどちらかに負ける、または、どちらか一方と同数=数値差「0」のとき「-3」=3ダメージ。
同様に、両サイドのどちらか、出目の合計数が大きいほうとの差が「1~2」のとき「2ダメージ」。
「3~4」のとき「1ダメージ」。出目合計を「5以上」引き離して勝つと「0ダメージ」=無傷となります。
――というわけで、移動するにもただ出目比較で勝つのではなく、なるべく数値を引き離して勝たないといけないわけですね。
付記しておくと、「レベル4」は数値差10あっても1ダメージ。差が1しかないと一撃で5ダメージ。
……死ぬぜぇ、みんな死ぬぜぇっ!

コンポーネントの紹介は以上です。
あとは各自、自分の駒となる〈ミープル〉をマップの初期位置にセット。
2~3人プレイなら、進入禁止の〈岩場〉に隣接した「白色人型マーク」が描かれた〈土地カード〉が全員同じスタート地点。
今回のように4人プレイなら、上記カード上に2人。
残りの2人は、同様に隣接したもう1枚「灰色人型マーク」の〈土地カード〉からスタートとなります。
これで、全セットアップが完了。
それでは、いざゲームスタート――脱出開始といきましょう。

【ゲームの流れ】
●1)ダイスロール
まずはプレイヤー全員、手持ちのダイス全部を一斉に振ります。
振るときは出目が他の人に見えないように〈スクリーン〉の内側で振りましょう。

●2)計画&装備品カード使用
各プレイヤーは自分の現在地と出目を考慮して、移動したい先〈土地カード〉を決めます。
なお、一度のラウンドで移動できるのは0~3マス。0=あえて移動しない、という選択もあり。
また、移動できるのは縦横方向のみで、斜め移動は不可。
移動目標を決めたら、そこに自分の〈目標地マーカー〉を置きます。
ただし、両サイドのプレイヤーと同じ目標地点にはマーカーを配置できません。
これは、マーカー同士の配置がかぶるのがダメ、ということで、〈ミープル〉がある〈土地カード〉上にマーカーを置くことは問題ありません。
もし現在地に留まりたい場合は、自分の〈ミープル〉がある〈土地カード〉上にマーカーを配置します。
ただしこの場合も、上記ルールは適用されるので、両サイドのプレイヤーはこの〈土地カード〉にマーカーを置くことはできなくなります。
渋滞が発生しないように、相談してうまく各自の移動先を決めましょう。
……まあ、全員が実際に移動を達成できるとは限らないわけですが(汗)
なお、相談の際は「自分の出目を言う」「ダイスの個数を言う」など具体的な数字の入った発言は禁止です。
「大きい数字が多い」とか「君の邪魔にはならない」、「ここにマーカーを置くけど移動達成は厳しそう」など、ある程度間接的な表現を心がけるようにしましょう。
ちなみに、マーカーは一度設置した後でも、この第2フェイズ中であれば何度でも設置し直すことができます。
相談に応じて、設置先を柔軟に変更し合っていくようにしましょう。

使用タイミング「②」の〈装備品カード〉は、このフェイズ中、随時使用できます。
例えば「懐中電灯」――1回だけ、任意の個数、任意のダイスを振り直す効果。
話し合いで、別のプレイヤーとうまく利害が一致しそうにないときなど、これを使って一度振り直しを行う。
するとそこで出目状況が変わり、利害状況も変わってくる、といった具合。

●3)振り直し
全員が〈目標地マーカー〉の設置を終え、確定させたら、この第3フェイズに進みます。
ここでは、自分のダイスのうち、気に入らないものを何個でも振り直すことができます。
ただし、何回振り直せるかは、何歩移動しようとしているかに応じて決まっています。
0歩=2回、1~2歩=1回、3歩=0回。
つまり〈ミープル〉から3マス離れたところに〈目標地マーカー〉を置いていたら、振り直し不可。
これは、フェイズ1のロール出目がかなり良くないと厳しい状態です。
というわけで、第2フェイズでマーカーを置くときには、ここでの振り直し回数も考慮して設置するようにね。
――そうそう、あと。
〈土地カード〉の中には「振り直しマーク」が描かれているものが時々あります。
これの上にマーカーを設置していたら、上記の回数とは別に、1回振り直しが可能です。
ちなみに、この第3フェイズ中は相談不可。
全員が振り直しを終えて、次の第4フェイズに移ってから相談を再開しましょう。

●4)装備品カード使用
ここでは、再び相談を行います。
また、その内容によって、使用タイミング「④」の〈装備品カード〉を適宜使いましょう。
例えば「ダクトテープ」――自分の出目1ダイスを何個でも、出目6に変えられる効果。
他にも「ショベル」――自分のダイス1個の出目を、どれでも望む面に変えられる効果。
こういったものを駆使して、次フェイズで自分が両サイドのプレイヤーとの出目比較に勝てるようにするわけです。
あるいは、あえて負けてあげることを目指す場合も。
〈溶岩〉の進行度合いや、各自の利害などを考慮して、ゲームオーバーにならないよう、なるべく調整しましょう。
そして、〈装備品カード〉を使う人が誰もいなくなったら、次のフェイズに進みます。

●5)移動&体力
いよいよ、全員スクリーンをオープン。各自、出目を公開します。
その後、任意の順番で移動達成の確認=出目の比較を行っていきましょう。
まず、誰の確認を行うかを決めたら、その人のマーカーが置かれている〈土地カード〉の比較条件欄を確認します。
なお、ダイスイラスト上の「直線」は「偶数」、「波線」は「奇数」を意味しています。
なので、写真中段真ん中の〈土地カード〉なら、「赤の偶数」と「青の偶数」が比較条件になります。
同様に、写真中段右端の〈土地カード〉なら、「赤の奇数」「青の奇数」「黄の奇数」が比較条件。

――ではここで、実際に一事例見てみましょう。
写真左上のカードにマーカーが置かれていた場合。
確認、採用するのは「黄色面のダイス出目」と「出目が6のダイス」です。
移動達成確認をされるプレイヤー自身と、両サイドのプレイヤーはそれぞれ、上記の該当ダイスを割り出します。
その後、各自、そのダイスの出目の合計値を算出。そして、比較します。
例えば――。
本人のプレイヤーA:青2・赤5・黄3・黄2・青6・黄5――採用:黄3+黄2+青6+黄5=計16
サイドプレイヤーB:黄5・青3・赤1・赤2・赤6―――――採用:黄5+赤6=計11
サイドプレイヤーC:青5・青6・赤2・赤6・黄1・青3――採用:青6+赤6+黄1=計13
この場合、Aは見事BCより数値が上だったので移動成功となります。
〈ミープル〉をマーカーのある〈土地カード〉上へ移動。マーカーを回収。
次に、体力の反映を行います。

移動者本人と、サイドの出目の大きいほうのプレイヤーの出目の差分を出し、〈レベルカード〉でダメージを確認。
「A:16」-「C:13」=3――〈レベル1:差2~4=体力-2〉
ダメージは2、となります。そこで〈体力ボード〉上の自分の〈体力マーカー〉を2マス進める。
以上で、プレイヤーAの処理は終了となります。
――ここで、同様の出目で比較条件が違った場合も見てみましょう。

「赤の偶数」と「青の偶数」の場合。
A――採用:青2=計2
B――採用:赤2+赤6=計8
C――採用:青6+赤2+赤6=計14
プレイヤーAは両サイドのどちらにも勝てず、移動失敗。
体力は〈レベル1:差0(または移動失敗)=体力-3〉で、3ダメージ。
出目が同じでも、条件が違うだけでこんなにも状況が違ってくるんです……アメイジング!

このシステム一見難しく見えますが、うまくやればいわゆる「WIN-WIN」も可能なのがおもしろいところ。
比較条件がプレイヤーごとに異なるので、Aのとき最初の条件、Cのとき2番目の条件だと、どちらも移動成功。
ともに、溶岩の危険から遠ざかることができるわけです。
さすがに4人全員が移動成功するのは高難易度ですが、相談がうまく行えていれば夢ではありません。
ぜひとも、みんなで同時避難を目指してみましょう。

●6)噴火
全員の移動と体力処理が終わったら、ついにクライマックス。
〈火山カード〉および〈溶岩カード〉に縦横で隣接している全〈土地カード〉を裏返します。
ウラ面はすなわち溶岩。こうして、プレイヤーたちの背後に危険が迫ってくるわけです。
もし、裏返さなければいけないカード上に〈ミープル〉が乗っていたら――
そのプレイヤーは溶岩に飲まれてしまい、ゲームもここで終了。
プレイヤー全員の敗北となります。
誰も飲み込まれず、噴火の処理を終えることができれば、ラウンド終了。
再び第1フェイズのダイスロールから、次のラウンドを開始することになります。

【ゲームの終了】
終了のパターンには3つあります。
まずは、今しがた紹介した、誰かが溶岩に飲まれた場合。
もう1つは、移動の際、誰かの体力が尽きて死亡した場合。
これも前肢同様に、プレイヤーたち全員の敗北でゲームオーバー。
そして、3つ目。
ラウンドを重ねていき、全員が上記の状態に陥らず〈集落カード〉の上に〈ミープル〉を到達させられたら。
調査隊は無事、脱出成功。死の火山と化した富士山からの生還を果たし、プレイヤー全員の勝利となります。
……ポジピース☆

ちなみに、マニュアルで「成功度合い」というのを確認することができ、これも1つの楽しみになります。
・プレイヤー1人につき4VP
・負傷トークン1つにつき-1VP
・未使用の装備品カード1枚につき+1VP
これらの合計点に応じて、エピローグが用意されています。
0VPなら「長期入院になりました」。1~2VPなら「ギリギリ生還したぜ」などなど。
プレイに慣れたときには脱出成功だけに満足せず、ぜひ高得点での脱出を目指してみたいところですね。
……目指すは12VP以上「ハリウッドが映画化に動き出した」だ!

【まとめ】
ちょっとすると背後に溶岩が迫ってきて、油断なりません。
2回連続で移動に失敗しようものなら、もうピンチ。
でも、追い詰められていく緊迫感がドキドキして盛り上がります。
仲間の絆が試される……って言うと、ちょっと大げさすぎ?
でも、さすが協力ゲー。みんなで呼吸を合わせてプレイするのが楽しいところ。
そして、一つ一つの展開にみんなで一緒に一喜一憂。チームプレイはいいものですよ。

今回、私は意図せず献身的な役どころになったのですが、それがまたおもしろいところでした。
なにしろ私はダイス運のない男ですから、放っておくと出目の比較でまあ負けること負けること。
見事に逃げ遅れてしまい、何度も溶岩すれすれの状況に陥ってしまいました。
しかし、それは裏を返すと、他の仲間たちが円滑に逃げられている証拠。
「俺のことはいいから、みんな急いで先に逃げるんだっ!」的な(笑)
個人プレイのゲームだったら、このまま1人で墜ちていくような状況。
でもこのゲームでは、みんなが自分のダイス目を悪くする方向に調整してくれて。
どうにか、トロい私を逃がそうとがんばってくれました。……ありがたやありがたや。
そして、無事に脱出成功。
「成功度合い」もけっこういい評価でした。ただし、それも〈レベル1〉でのプレイだったからこそ。
マップの種類もレベルも複数用意されているので、何度もプレイする楽しみがあります。
……次はハードモードで挑戦だ!

脱出成功のカギを握るのは、なんといっても「相談」。
そこで、仲間の出目の具合を察すること。そして、それに応じて自分の出目を調整してあげること。
あとは〈装備品カード〉を使うタイミング。
仲間の1人は「スクリーンをはずして自分の出目を公開できる」効果のアイテムを使ったのですが――
このタイミングが絶妙。みんなが彼の出目を見て「そこまで絶望的だったか……」と呆然。
「まあギリギリ勝って移動できるでしょ」くらいに読んでいたのが間違いだったと気づけました。
そこからみんな、全力で彼を救い上げることに尽力。
どうにか溶岩に飲み込まれずに済みました。……装備品の使いどころ、やっぱり重要です。

また、勝敗とは別の面では――
ラウンドを重ねるほどに、マップ上がどんどん真っ赤に染まっていく姿がなかなかに圧巻です。
平面なカードなのに、色味が一変していくためか、迫力というか臨場感のようなものがありました。
……ハリウッド映画ばりの情景が脳内再生。
ダイスの天運とプレイヤーたちの一挙手一投足が、筋書きのないドラマティックな展開を生みます。
皆さんも『富士-脱出-』で、卓上の大スペクタル体験をぜひ。
――といったところで、今回はここまで。
以上、富士の麓に建国された、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)