ボードゲームレビュー第248回「ディスカバー:未知なる大地へ」

「ディスカバー:未知なる大地へ」
デザイナー:コーリィ・コニチカ 作
メーカー:アークライト
プレイ人数:1~4人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約60~120分

 


 

毎度どーも、ライターの松風でございます。
よく映画とかマンガでは「突然放り込まれた環境で命がけのサバイバル!」みたいなジャンルありますよね。
過酷な自然の中でたくましく生き抜く登場人物たちにハラハラドキドキしつつ、「自分だったらどうするだろう?」みたいな事を考えちゃったり。
はい、それではそんなあなたの欲求を叶えてくれるボードゲームはいかがでしょうか!
というわけで、今回ご紹介するのは一風変わったサバイバルアドベンチャーゲーム『ディスカバー:未知なる大地へ』です!

まぁ正直、サバイバルアドベンチャーをボドゲで楽しむだけなら他にも選択肢はあると思います。
ですが! このゲームの一番のポイントは、ガッツリ系の探索ゲームであるにも関わらず、なんと「同じ内容のコンポーネントが世界に存在しない」という点にあります。
ホントカナー?

そのカラクリはと言いますと、この『ディスカバー』ではゲームに使う各種カード類やタイル類がそれぞれランダムで箱に入っているという仕様なのです。
つまり同じ『ディスカバー』を友達同士で買ったとしても、あなたとその人の箱の中身はキャラクターからアイテムからストーリーから、なんなら舞台となるマップまで違うわけですよ!
これメチャクチャ画期的じゃないですか!?
そういった事情もあり、今回の写真にはネタバレ回避のためにモザイク処理をかけたものが多くなっていますのであらかじめご了承下さい。

デザイナーは『エルドリッチホラー』や『マンション・オブ・マッドネス』などの重厚なクトゥルフ系ボードゲームを作ってきたコーリィ・コニチカ氏。
そういえばどちらもストーリーの流れ重視のどっしりとしたゲームでしたね。

あともう一つ、このゲームの特徴としましては「シナリオクリア型なので繰り返しプレイに向いてない」といったあたりでしょうか。
もちろん、『パンデミック:レガシー』のようにコンポーネント一つで1回しかプレイできないというわけではありません。
実際、筆者らも1度プレイしただけでは作中に散りばめられた謎の一端に触れた程度、といった感触でした。
しかし、謎解きゲームでも正解が分かっていれば次からはポイントになる箇所に最速で進んでしまいますよね?
なので、ドキドキしながらの「手探り感」が味わえる最初の数回こそが、このゲームの醍醐味を最大限に味わえる期間ではないかと思います。
ですがそれを分かった上でなお、このゲームには独特の魅力があるのですよ!

気がつくと大自然の中に迷い込んでいたサバイバーたち。
ここがどこで、何故ここにいるのか、何一つ分からない。
最も優先すべきは水と食料の確保だ。
だがそのためには危険の潜む大自然の中へ、探索に赴くしかない。
果たして彼らは無事に我が家へと帰れるだろうか──

というのがこのゲームの基本ストーリーになります。
こう、目が覚めるとそこは極限環境の真っ只中だった! みたいなホットスタートはワクワクします。
とりあえず今回我々がプレイした舞台は『島』!
脱出不能の絶海の孤島! いいシチュエーションですね!
他にも砂漠とか雪山とかジャングルとか、色々あるらしいです。

さてこのゲーム、基本は協力型ゲームなのですが、シナリオによってはどこかで他のプレイヤーを出し抜かなければならないという対戦型の要素もあったりします。
なので、シナリオごとに勝利条件も敗北条件も違っているようです。
とは言え、それはもっとシナリオが進んでからのお話。
最初のシナリオはまだまだみんな手探り状態ですので、穏当に協力プレイが前提になっています。

まず最初は海岸にある焚き火マスからスタート。
ここには『キャンプマス』が置かれ、いわゆるマップ攻略の拠点になります。
このゲームのラウンドは『昼フェイズ』と『夜フェイズ』に分かれており、サバイバーが動けるのは『昼フェイズ』のみ。
そして、手番が来たサバイバーは、自分の『持久力』を1点消費するごとに1アクションを行います。
サバイバーが取れるアクションは実に11種類もあり、中には焚き火で肉を炙って食料を作る『調理』というアクションもあったりします。
上手に焼けましたー。
それぞれの『持久力』は選んだキャラクターごとに設定されていて、だいたい8~9くらい持ってます。
『持久力』は『夜フェイズ』が来るとある程度回復しますので、割と大胆に使っても大丈夫でしょう。

数あるアクションの中でも一番使う頻度が高いのが『移動と収集』アクションです。
隣接するマスに1歩移動するのに1持久力を消費します。
この時、普通なら『持久力』を消費する『収集』の効果を消費ナシで同時に行えるのが利点です。
『収集』というのは、自分がいるマスに置かれたトークン(水であったり資源であったり敵だったり)を獲得するアクションになります。
まぁ、敵であった場合はそのまま戦闘になってしまうんですが。

歩いてマップタイルの端にたどり着いたら、『偵察』アクションを使ってタイルをめくらなくてはいけません。
新たにめくられたマップに各種アイコンが描かれていれば、そこに対応するトークンを配置します。
こうやって徐々に世界が広がっていく感覚は結構ワクワクさせてくれますね。
中にはどのトークンにも対応していない赤いアイコンがある場合もあり、こういうのはそのアイコンがついているアイテムを持っていればイベントが発生するマスになっているのです。

また、マップの中には数字とイラストの描かれた『目標マス』と呼ばれるマスも存在します。
『目標マス』は例えば廃屋だったり洞窟だったりが描かれていて、シナリオの目的地であることが多いです。
ここに入ったサバイバーは『調査』アクションを行うことで、そこの数字に対応した『探索カード』をめくります。
『探索カード』にはシナリオ解決のための指示だったり、なんらかのキーアイテムだったり、時にはボス級モンスターだったりが書かれています。
この『探索カード』をめくっていくのがゲーム進行の一番の目的と言えるかもしれませんね。

さて、マップ上で敵のトークンやボスモンスター等に遭遇してしまったら、そこで戦闘が発生します。
これはアクションではなく、『収集』や『調査』の結果起こってしまう事態ですので『持久力』は消費しません。
『敵カード』にはその敵が持つ能力値と『報酬』が書かれています。
数値は上から順に『防御力』『攻撃力』『体力』です。

戦闘では、サバイバーは黒と赤2つのダイスが与えられます。
黒のダイスは自分の攻撃力。
出目が敵の『防御力』以上ならダメージを1点与えられます。
赤のダイスは敵の攻撃力。
出目が敵の『攻撃力』以上ならサバイバーがダメージを1点受けます。
『体力』以上のダメージを与えられたら見事撃破! 『報酬』に書かれた資源などを得ることができます。
与えられなかったら敵は隣接するマスに『退却』してしまいます。
とまぁ、ルール自体は至極シンプルなものになっています。
他にも細かい修正が付いたり付けたりもできますが、今回は割愛。

戦闘でダメージを負ってしまったら?
通常のゲームでは回復アイテムなどを使用するところですが……このゲームではなんと!
負傷によるダメージは基本的に回復手段がありません!
サバイバーがゲーム中に受けるダメージにはいくつか種類がありまして、それぞれ『飢餓』『脱水』『不調』『負傷』となっています。
これらのダメージは『状態トラッカー』と呼ばれるボードで管理します。(持久力もこのボードで管理されます)
『状態トラッカー』には3つのダイヤルがついてまして、これでそれぞれのダメージを表すわけですね。

このうち、『飢餓』は『食糧』を、『脱水』は『水』を、『不調』は『医薬品』を消費することで回復することができます。
ところが、戦闘による『負傷』だけは回復手段が無いんです。(もしかしたらキャラクターの能力やアイテム等であるのかもしれませんが、取材時のプレイでは見られませんでした)
怪我をするとおいそれと治せない、というあたりが過酷な状況に追い込まれてしまった事を嫌が応にも思わせてくれますね。
そして『状態トラッカー』にダイヤルは3つ。
つまり、4つめのダメージを受けたら、(それがどんな種類のダメージであれ)そのサバイバーは死亡してしまうのです!
その他のダメージを回復させる水や食糧なんかも、どこかで入手しないといけないわけで、意外と死が身近にあるゲームだと言えるでしょう。
当然、各種の治療にも『回復』という1アクションを消費します。キビシー!

ちなみに死亡してしまったサバイバーは、持っているトークン類を全てその場に落としてコマを横倒しにします。
死んでもその場に残るんですね。
他のサバイバーがこのマスに来ればそのトークンを拾うこともできます。
残されたサバイバーは、志半ばで散っていった仲間のためにも、資源を有効活用してあげましょう。

敵からゲットした『肉』は『調理』しないと『食糧』として使えませんし、『汚い水』はろ過してきれいな『水』にしないと『不調』ダメージを受けるかもしれません。
こうした、入手した資源に一手間加えないとまともに使えない、というのもサバイバル感をバリバリ感じさせてくれます。
また、マップ上で拾える『木材』や『石』、動物を狩ることで手に入る『皮』などの資源を集めることも重要です。
ゲーム中は、これらの資源を使って『加工』アクションを行うことで、サバイバーは様々な『加工アイテム』を作り出せるからです!
全てのサバイバーはゲーム開始時に『プロジェクトカード』と呼ばれるカードをランダムに持っています。
これはいわゆるアイテムの設計図のようなもので、そこに書かれた『資源トークン』を集めて『加工』することで、新たな便利グッズを作り出せるのです。
『プロジェクトカード』は最初は手元に裏向けで持っていて自分だけが参照できるのですが、一度『加工』に成功した『プロジェクトカード』は表向きのままマップ脇に配置され、以降は誰でもそれを作り出せるようになります。
『加工アイテム』には戦闘で有利になる武器や、所持アイテム数を拡張してくれるものなど、欲しい機能がいろいろあります。
ですが、マップ上で拾える資源には限りがあり、計画的に『移動と収集』をしていかないと結局作れずに終わってしまう場合も……。

その他、サバイバーには各キャラクターの職業ごとに様々な特殊能力が書かれています。
しかし、「山岳ガイド」や「生物学者」なんかはサバイバル的にまぁまぁ分かるんですが、「寿司職人」とか「郵便配達員」とか「ダンサー」とかは、一体どういう基準で選ばれたんでしょうね?
それでも、彼らのもっている能力は探索行に役立つものばかりなので、ここぞという時には惜しみなく使いましょう。
特に寿司職人の能力には「なるほど!」と思わされました(笑)
あと一際目を引く「野人」の存在感……。
こういったキャラクター能力を使うのにも『持久力』を1点消費する場合があります。

さて、ここまでは『昼フェイズ』のお話。
全サバイバーが手番を終えると、恐怖の『夜フェイズ』がはじまります……。
夜は休息の時間。
ということで、全サバイバーは『持久力』を6点回復させることができます。
それからサバイバーの『リーダー』が『夜カード』の山から1枚引いて、そこに書かれた内容を上から順に解決していきます。(効果は全員に適用されます)
ここでまず備えがないサバイバーは『飢餓』や『脱水』に襲われることになります。
さらに夜は夜行性の動物がうろつき回る時間。
ということで、マップ上にいる『敵』のトークンが動き出したりもします。
また、夜に焚き火のそばにいないサバイバーは『脅威カード』と呼ばれるバッドイベントが書かれたカードを引かされることもあったりします。
つまり、「食糧や水は余裕を持って所持しておくこと」「移動する際は焚き火まで帰れる持久力を残しておくこと」などが教訓として挙げられるわけですねー。
まぁ、言うほど簡単に行かないのがこのゲームのシビアなところなんですが!
ゲームが進んでいくと『夜カード』はレベル2(赤いカード)になり、さらに過酷な状況がサバイバーたちを襲います。
キミは生き延びることが出来るか!?

細かいルールは他にもあったりしますが、大まかなゲームの流れはこれで掴んでもらえるかと思います。
果たしてサバイバーたちはこの島に秘められた謎に迫ることができるでしょうか? そして無事に故郷へ帰り着くことは……?
とまぁ、サバイバル&謎解きという2つの要素を併せ持った欲張りなゲームと言えるでしょう。
「世界にひとつだけのコンポーネント」という売りもあって、かなりの意欲作だと思います。

ルールもパッと見はすごく多いように思えるんですが、プレイしてみれば実にスッキリしており、基本的に「昼に手番が回ってきたら好きな回数行動する」「夜はカードの指示に従う」だけと、大変分かりやすくなっております。
『探索カード』で垣間見える謎も、興味をかき立てられる物語風味になっており、没入感もバッチリ。
さらには別の場所で『キーアイテム』を手に入れていれば、同じ『目標マス』を『調査』しても違う展開が発生したりと、気になる要素もあちこちに散りばめられています。
プレイ感覚はやや重ためのゲームですが、ぜひ腰を据えてシナリオを通しでプレイしてみて下さい。
そこには新しいゲーム体験が待っているかもしれませんよ!

と言ったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。