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ボードゲームレビュー第249回「失われた鉱山-お邪魔者ボードゲーム-」

「失われた鉱山-お邪魔者ボードゲーム-」
制作:フレデリック・モヤーアセン
メーカー:AMIGO/日本語翻訳:メビウス
プレイ人数:3~9人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約30~60分

 


 

「ファンデルヴァーとは違うのだよ、ファンデルヴァーとは」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当36回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『失われた鉱山-お邪魔者ボードゲーム-』。
サブタイトルにある『お邪魔者』というのは、本作のルーツとなる往年の一作(写真右)。
日本ボードゲーム大賞2004にもノミネートされ、2011年には拡張版も発売されています。
そして、今回ご紹介するのはそれらをさらにブラッシュアップした内容の逸品。
カードのみの前作までと違い、本作はスタンド駒やゲーム盤も封入され、コンポーネントも豪華になっています。
ゲームの題材は、パッケージイラストでもわかる通り「ドワーフ」です。
鍛冶屋や鉱夫として描かれることの多い小人――ファンタジー世界の定番種族ですね。
――でも、それでなぜ「お邪魔者」?
そんな疑問が浮かんだら、まずはあらすじをチェックしてみましょう。

【ゲーム概要】
遥か昔に忘れ去られた、森の奥深くの4つの鉱山。
そこに眠るという高価な財宝を求めて、青と黄色、2種類のドワーフ族が動き出す。
障害物を乗り越えて罠やトロルを回避して、先にたどり着くのはどちらの種族か。
鉱山の1つにはドラゴンの脅威が待ち構えている。
――だが、本当の脅威は一族の中にこそあった。
なぜなら、同じ色の旗を掲げていても、その正体が仲間とは限らないからだ。
中には利己的な者や、敵の味方をするお邪魔者が紛れ込んでいるかもしれない……。

――というわけで、メカニクス的に言うと「チーム戦」&「正体隠匿」ものです。
プレイヤーはまず、自分がどんなドワーフかを決める〈ドワーフカード〉を1枚ずつ引きます。
……『人狼ゲーム』でいうところの「役職カード」みたいなものですね。
陣営は青と黄色の2種類ですが、カードのパターンは6種類あります。
「青のドワーフ」(写真下段左端)、「黄色のドワーフ」(写真下段左から2番目)とここまでは普通。
次に「利己的なドワーフ」。表面上は青か黄色の陣営ですが、本当はどちらにも属さない1人チームです。
(写真上段右端。表面上青族のものと、表面上黄色族のもの、の2種類があります)
そしてお邪魔者=「裏切者のドワーフ」。表面上は青か黄色の陣営ですが、本当は逆陣営に属する存在。
(写真右端が表面上は青族の裏切者、下段右から2番目が表面上は黄色族の裏切者)
裏切者は正体を隠して、表向きとは逆の一族の手助けをしていくことになります。
……ちょっと「人狼」みたいな感じですね。

ゲームは〈道カード〉と〈アクションカード〉を混ぜ合わせた山札&手札(53枚)が尽きるまでで1ラウンド。
ラウンド終了時に全員正体を明かして、チームメイトと勝利点(VP)を山分けします。
2ラウンドプレイしてVPの最も高いプレイヤーが優勝。
……ドワーフ王に、おれはなるっ!!

まずは、それぞれの陣営のスタート地点から手札をプレイすることで、鉱山に向けて道を伸ばしていきます。
カードの中には通常の「道」以外にも「障害物」や「罠」「トロル」などのお邪魔効果を持つものがあります。
それらを敵族の進行ルートに設置することで進路を妨害。いち早く鉱山に着くことを目指しましょう。
鉱山に着くと設置されていた〈鉱山カード〉をオープン。それが〈ドラゴン〉なら「-2VP」。
それ以外ならおおむね、VPとなる〈財宝カード〉がGETできます。
――といった感じ。
ではここから、ゲーム準備を進めつつ、前述以外のコンポーネントもざっと見てきましょう。
……ハイホーハイホーっ♪

【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
・プレイボード(ゲーム盤)
まずは、ゲームの舞台となる〈プレイボード〉を卓上に広げましょう。

・スタートカード(2枚)
〈プレイボード〉に2ヶ所あるテントマークの上に、各陣営の〈スタートカード〉を配置。
4ヶ所ある鉱山マークの上には〈鉱山カード〉4枚をシャッフルして、それぞれ1枚ずつウラ面で配置。
……どこにドラゴンが潜んでいるかわからなくなっちゃうんだね。

・財宝カード(12枚)
オモテ面に1~5の「VP」が描かれたカードです。
シャッフルして〈プレイボード〉右端にウラ面でセット。
残りはこのラウンドでは使わないので、脇に除けておきます。
なお、セットする枚数はプレイ人数によって変動。今回は4人プレイなので4枚です。
……その財宝が何点なのかは、カードをGETするまでわからないわけね。

・ドワーフカード(ノーマル各色3枚・利己的各色1枚・裏切者各色1枚=計10枚)
ここで、先述の〈ドワーフカード〉を引き、役職を決定します。
こちらもプレイ人数によって内訳が決まっていて、4人だと以下の通り。
青:ノーマル×1・利己的×1・裏切者×1
黄:ノーマル×1・利己的×1・裏切者×1
誰も引かなかったカードはウラ面のまま、内容を見ずに脇に除けておきます。

・ドワーフ駒
〈ドワーフカード〉を引いて役どころが決まったら、表面上の陣営カラーをした駒をそれぞれ持ちます。
あとは、どの駒がどのプレイヤーかわかるよう、駒と同じイラストの〈ドワーフタイル〉も持ちます。

・アクションカード(23枚)
〈道カード〉40枚と合わせてシャッフル。
そこからランダムに10枚を取り除いた残りの53枚が山札となります。
4人プレイでは、ここからそれぞれ5枚ずつカードを引き、最初の手札とします。
ちなみに、〈アクションカード〉には9つ種類があります。
中でも便利な効果を持つのが、写真の「情報を得られるカード」。……千里眼って感じ?
使うことで、カードに描かれているアイコンのうち、どちらか一方の情報1つを確認できます。
写真左なら、鉱山or財宝。
写真右なら、財宝or役職。
なお他にも、役職or鉱山、というものもあります。
鉱山なら、〈鉱山カード〉4枚のうち1枚の内容を自分だけこっそり見れる。
財宝なら、〈財宝カード〉のうち1枚の内容を自分だけこっそり見れる。
役職なら、〈ドワーフカード〉のうちプレイヤーの誰か1人が持っている1枚の内容をこっそり……以下略。
……こいつぁ利己的な奴や裏切者を発見できる大チャンスだぜっ!

続いて紹介する種類は、写真左の〈トロル〉と、写真右の〈罠〉。
〈トロル〉は、使用することで盤上の任意の場所に〈トロルトークン〉を設置できます。
置き方は、すでに置かれている2枚の〈道カード〉に跨る形。
または、〈道カード〉1枚の道の終端(盤上のカード未設置のエリアに向かって伸びる道の上)。
〈トロルトークン〉がある道は、誰も通れなくなります。
ただし、〈トロルトークン〉は設置したプレイヤーが次の手番を迎えた際に取り除かれます。
……1ターンのみの通せんぼ効果だね。ここぞというタイミングで使おう。
で、一方〈罠〉は、というと――
置き方は〈トロル〉と同様。効果は「置かれた道を駒が通過する際、手札を1枚捨て札にする」です。
……捨てるカードは『ババ抜き』みたいに、次の手番の人に引いてもらって決めるんだよ。
なお、〈罠トークン〉は〈トロル〉と違ってターンが過ぎても盤上からずっと取り除かれません。
では、どうすれば無くすことができるのかというと――

〈嵐カード〉(写真右下)を使えばいいのです。
このカードを使うと、盤上の駒が乗っていない状態の任意の〈道カード〉1枚を捨て札にすることができます。
この際、取り除かれるカードの上に乗っていたトークンも一緒に取り除かれます。
ただ、これは〈道カード〉1枚の上にトークンが乗っていた場合の話。
トークンが2枚のカードに跨る形で設置されている場合は、両方の〈道カード〉が無くならないと消えません。
……取り除くためには、2回〈嵐カード〉を使う必要がある、ってことだね。
さて、残るアクションカードの種類は5つ。
そのうち3つは、写真の〈斧〉〈ロープ〉〈船〉。
これらは〈道カード〉の種類として存在する障害物「倒木」「穴」「池」に対応しています。
障害物のカードは、そのままでは停まることも通過することもできません。
ですが、上記の3枚を使うことで、それぞれ対応したトークンを上に乗せることができます。
トークンが乗っていれば障害物のカードにも、停止も通過も可能。
ただし、あくまで悪路ですので、そのカード上に停まれる駒は1個だけです。
誰かの駒がすでにそこにいる場合、他の人はそこに停まることも通過することもできません。
……ここ、うっかり間違いやすいので注意しましょう。

〈アクションカード〉9種は以上ですが、話題に上ったので〈道カード〉の種類も、もう少しご紹介。
通常の道と障害物の他に、「岩場」(写真上段右端)と「キャンプ」(下段左)が存在します。
「岩場」は、解決後の障害物同様、1人しか停まれず通過できず、の悪路。
「キャンプ」は、手番の移動をこのカード上から始める場合、最大5歩まで進める効果。
ちなみに、通常の移動では最大3歩しか進めません。

――ちょっと長くなってしまいましたが、コンポーネント紹介は以上です。
あとは、トークンを種類ごとにボード脇にストックにして、準備完了。
ここからゲームスタートといきましょう。

【ゲームの流れ】
スタートプレイヤーは「最も冒険心の強い人」です。
そして、手番は以下の3フェイズ構成。
●1)手札1枚をプレイするor手札1~2枚を捨てる(強制)
A:〈道カード〉をボード上に設置する
〈スタートカード〉か、すでに設置済みの〈道カード〉の道に繋がる形で設置。
ただし、カードに描かれている道のイラストが、他との接地面で齟齬が生じないようにしないといけません。
隣りのカードが「行き止まり」の絵になっているところに「道が伸びている」絵は繋げない、ということ。
逆もまた然り。……この条件、けっこう難しいので、集中して考えることになります。
なお、上記さえ満たしていれば、敵陣営の〈スタートカード〉に繋ぐことや、自分の駒と関係ないところに設置しても問題ありません。

B:〈アクションカード〉を使用する
〈トロル〉や〈罠〉、〈嵐〉などの〈アクションカード〉を使用します。
なお、障害物を解決する〈斧〉〈ロープ〉〈船〉は、対応する障害物がすでに設置されていないと使えません。
これら3種を手札に持っておくことは、邪魔されたときの対策として有効ですが、過剰だと手札を圧迫します。
使えるタイミングには率先して使っていくほうがいい……と私は思います。

C:手札1~2枚を捨てる
これは、手札を置いたり使ったりできない場合、または、したくない場合に選ぶ行動。
障害物が設置されていないのに手札が〈斧〉や〈船〉などのカードばかりだとプレイできませんからね(汗)
目的のカードを得るために1枚でも多くドローしたいときなどに有効です。
ただし、山札が尽きると補充はできなくなるので、なるべくなら捨てるより使うほうを選びましょう。

●2)自分の〈ドワーフ駒〉を1~3歩移動させる(任意)
もし現在停まっているのが「キャンプ」の上なら、1~5歩まで移動可能。
移動することができるのは、存在している道の上のみ、です。
カードが置かれていないマスや、道の繋がっていない先、解決されていない障害物、などには移動できません。
また、「岩場」や「解決済みの障害物」には1人しか停まれないので注意。通過についても前述の通りです。
もし手番開始時に手札が1枚もなく、フェイズ1を行えていない場合――
そのときは、このフェイズ2(移動)も実行できません。

移動によって駒がどれかの鉱山に一番乗りで到達したら、歩数がまだ残っていても移動はそこで終了。
その〈鉱山カード〉をオープンさせ、道が繋がるようにその場に置き直します。
ちなみに、鉱山には「宝石」「金」「銀」「ドラゴン」の4種類があります。
前3種に対応した〈財宝カード〉がボード右端にセットされていたら、それを1枚GETします。
GETした〈財宝カード〉はウラ面のまま、自分の手元に置いておきましょう。
「ドラゴン」の場合は、〈ドラゴントークン〉をストックから取り、手元に置きます。

●3)減った枚数の手札を山札から補充する(強制)
読んで字の如く、です。
ちなみに、山札が尽きた場合はフェイズ3は飛ばされることになり、もう手札は補充できません。
なお、手番開始時に手札がないプレイヤーは、行動不能。ラウンドが終わるまで手番は飛ばされることに。
……悲しい色やね(TーT)

さて、以上の3フェイズで手番は終了となり、次のプレイヤーの番になります。
全員が手札0枚になるか、全ての財宝が回収されたら、ラウンドはそこで終了。
得点計算に入ります。
1ラウンド目なら、その後セットアップをイチからやり直して、もう一戦。
役職も決め直して、山札も間引いた10枚を含めてリシャッフルし、間引きもやり直し。
スタートプレイヤーは、1ラウンド目で最後に手番だった次の人、です。
もし、終了したのが2ラウンド目なら、そこでゲームも終了。
得点計算をして、1ラウンド目との合計VPが最多の人が優勝となります。

【ゲームの終了】
ラウンドが終了したら、まずは全員自分の〈ドワーフカード〉をオープン。正体を明かします。
そして、各自がGETした〈財宝カード〉もオープン。以下の方法で、VPを分配します。
利己的なドワーフは、自分でGETした財宝分のみの〈VPトークン〉を得る。
それ以外のプレイヤーは、自分の属する一族でまとまります。この際、裏切者のドワーフは本当の陣営側へ。
青と黄色、それぞれの陣営の合計獲得VPを算出。そして、それを所属人数で平等に分配します。
端数が出る場合は「単独で最も価値の高い財宝をGETしているプレイヤー」に与えます。
それが複数人いる場合、それらのプレイヤーで端数のVPを平等に分配します。
それでも端数が出る場合は、そのポイントは誰のものにもなりません。
以上が済んだら、最後に〈ドラゴントークン〉を持っている人は「-2VP」します。
その人がこのラウンドで0~2VPしか獲得していないときは、結果「0VP」となります。

2ラウンド目も終わり、これらの得点計算が終わったら、いよいよ決着。
最多得点者が優勝です。……我らがドワーフ王の誕生だ!
もし同点だった場合は、仲良く勝利を分かち合いましょう。……ポジピース☆

【まとめ】
前作もそうですが、やはり多人数プレイが推奨ですね。
少人数だと正体もバレやすいですし、ゲームとしてもちょっと広がりが浅くなっちゃう感じがします。
今回のような4人プレイだと陣営構成は、ノーマル、利己的、裏切者、の3種類が1枚ずつ。
なので、自分がそのうちのどれだろうと、同じ旗色の中には仲間となる存在がいない計算なんですよ。
3枚中1~2枚は誰にも引かれず除外されることもありえますが、どっちにしろ同色に味方はなし。
……アメイジング! 渡る世間は敵ばかりなの?
でも、プレイ人数が4人や5人までのボードゲームが多い中、大人数で遊ぶとき、このゲームは重宝します。
何しろ、プレイヤーが多ければ多いほどおもしろくなるんですから。

なお、マニュアルによると「仲間と思われるプレイヤーとは話し合いつつプレイする」ことが奨められています。
ですが、正直今回のプレイで私は、誰も仲間とは思えないような疑心暗鬼状態。
誰かと相談することはほとんどありませんでした(汗)
……だって、何かやたらみんながボクの進路を阻んでくるんだもん( ;∀;)
アイツ敵っぽい、くらいは後半戦になると読めるんですが、味方を割り出すのはちょっと難しいかも、です。
まあ、正体のわからないそのドキドキ感がおもしろいとこなんですけどねっ☆

あとは、ガシガシ他のプレイヤーの邪魔ができるところも楽しいです。
下手をすると味方の邪魔をしかねない危険はありますが……。
今回、私は「千里眼」なカードで鉱山の内容を確認。密かにドラゴンを発見する機会がありました。
そして、うまく他の人をミスリードしてそれを取らせ「-2VP」に(ニヤリ)
こういう、策がうまくいったときの満足感は得も言われませんです。
……ん? ボクの好感度が急降下してるっ!?

――といったところで、今回はここまで。
以上、マスマテュリアの闘犬、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)