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ボードゲームレビュー第250回「アズール:シントラのステンドグラス」

「アズール:シントラのステンドグラス」
制作:ミハエル・キースリング
メーカー:ネクストムーブゲームズ/日本語版販売:ホビージャパン
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約30~45分

 


 

「タイルの次はステンドグラスだ」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当37回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『アズール:シントラのステンドグラス』。
このパッケージ、見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本作は2018年に「ドイツ年間ゲーム大賞」と「ドイツゲーム大賞」を同時受賞した傑作ゲーム『アズール』の新作。
前作は「タイル職人」がテーマしたが、今回は「ステンドグラス職人」。まさに姉妹作といった趣きですね。
プレイヤーはシントラの王宮に見事なステンドグラスを作り上げ、名誉ある世界一の職人の座を目指します。

ゲームは明解ルールで、選択アクションはわずか2種類。
卓の中央or場の〈工房展示ボード〉上から〈ガラス片〉を取り、自分のボード〈図案票〉に設置、窓の完成を進める。
あるいは、〈宮殿ボード〉左端から右へ適宜移動していく〈職人駒〉を、スタート地点の左端へ戻す。
6ラウンドをプレイして、最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが優勝。……君こそがステンドグラスマスターだ!

【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
まず、コースターのような見た目をした〈工房展示ボード〉を、卓上に円形に並べます。
今回は4人プレイなので9枚。……3人なら7枚、2人なら5枚を使用します。

立体の〈グラスタワー〉を全員が手の届く卓上に置きます。
これは、不要となった〈ガラス片〉が放り込まれるゴミ箱のようなもの。

続いてプレイヤーカラーを決め、その色の〈宮殿ボード〉を手元に持ちます。
A面とB面があるので、プレイヤー全員で話し合ってどちらの面で遊ぶか決めましょう。
これにより、ゲーム終了時の追加得点計算方法が変化します。
……初プレイでは基本的にA面が推奨。

〈宮殿ボード〉上部に、同色の〈図案票〉8枚をセット。
両面あるうちのどちらの面でセットしても、どの順番で並べても構いません。
ただし、「ジョーカースペース」と呼ばれる灰色のマスが2つある面だけは、裏になるようセットすること。
これは各プレイヤーカラーに1枚1面だけ存在します。……白マスと混同しないよう気をつけてね。

〈宮殿〉と〈図案票〉のセットが完了したら、左端上部に同色の〈職人駒〉を配置。
次にスタートプレイヤーを決めます。――決定条件は「最近、窓の掃除をした人」。
決まったら、「1」と書かれた〈先手プレイヤータイル〉を持ちましょう。

〈得点ボード〉を卓上に設置。また、〈得点ボード〉の操作を行う担当者「スコアラー」を話し合って決めます。
「スコアラー」は、2個あるキューブ状の〈プレイヤーマーカー〉のうち各色1個を、得点「0」のマスに設置。
もう1個は、同ボード上に描かれている「割れたガラス表」の一番上のマスに置きましょう。
これは、ペナルティによるマイナス点の数、を表すものです。
次に、「スコアラー」は5色1個ずつの〈ガラス片〉を両手で覆って持ち、ランダムに1個ずつ手から落とします。
落下順に、〈得点ボード〉「ラウンド表示」の「2」~「6」のマスに1つずつ設置。
これは、現在のプレイラウンド数を表すと同時に、各ラウンドの「色ボーナス」を示すものとなります。

残りの〈ガラス片〉は、全てまとめて布袋の中へ。
なお〈ガラス片〉は「白・緑・黄・橙・赤」の5色。1色20個の全100個あります。
すでに「ラウンド表示マス」で5個使ったので、布袋の中身は95個ということ。
「スコアラー」は中から1個をランダムに引き、それをラウンド表示「1」のマスに。

一方、スタートプレイヤーは布袋から〈ガラス片〉を4個1セットで引き、場の全〈工房展示ボード〉上に設置。
――以上で、セットアップは完了です。

スタートプレイヤーが〈先手プレイヤータイル〉を卓の中央=〈工房展示ボード〉の円の中に置いたら――
さあ、ゲームを始めよう。……The game is afoot!

【ゲームの流れ】
選べるアクションは、前述の通り2種類。必ずどちらかを実行しなければいけません。
「A:図案を追加する」or「B:自分の〈職人駒〉を一番左の〈図案票〉へ戻す」です。
なお、「A」のアクションは「取る」「配置する」「完成チェックをする」の3ステップに分かれています。

●A-1)場から1色の〈ガラス片〉を取る
〈工房展示ボード〉の1つor卓の中央から、いずれか1色の〈ガラス片〉全てを取ります。
取ったのが〈工房展示ボード〉からだった場合、残りの〈ガラス片〉は全て卓の中央へ移動させます。

基本的には〈工房展示ボード〉上から2、3個を狙い〈ガラス片〉を取っていく流れです。
何人かがそれを繰り返していくと中央にだんだん残りの〈ガラス片〉が蓄積されていくので、そこで「中央から取る」を選択。
すると、一気に5個など大量の〈ガラス片〉をGETできる。
もしくは、〈工場展示ボード〉上に欲しい色の〈ガラス片〉がないとき、なども「中央から取る」ことになります。
ただ、そのラウンドで最初に中央から取った人は、〈ガラス片〉と同時に〈先手プレイヤータイル〉も得ることに。
つまり、次のラウンドのスタートプレイヤーになるわけですね。
これはいいことなんですが、反面リスクも存在します。

それが――「スコアラー」は〈先手プレイヤータイル〉を得たプレイヤーの「割れたガラス表」のマーカーを1マス下げる。
これは、簡潔に言うと勝利点マイナスということ。
「中央から取る」選択には利点が多いですが、このリスクによって安易には選べないようになっているんですね。
……アメイジング!

●A-2)取った〈ガラス片〉を自分の〈図案票〉1枚の同色マスに配置する
取った〈ガラス片〉を配置する際には、以下のルールを守らなければいけません。
・複数の〈図案票〉には配置できず、得た全ての〈ガラス片〉を必ず同一の〈図案票〉上に配置しなければいけない。
・配置する〈図案票〉は、〈職人駒〉の真下か、それより右側にあるものでなければいけない。
右側の〈図案票〉に配置する場合、まず〈職人駒〉をその〈図案票〉上部に移動させ、それから〈ガラス片〉を配置する。
・取った〈ガラス片〉を〈図案票〉の空きマスに配置しきれない場合、あぶれた分は「落ちて割れた」と見なし、1個につき1マス「割れたガラス表」のマーカーを下げなければいけない。
つまりこれも「-1点」ということ。なお、あぶれた〈ガラス片〉は全て〈グラスタワー〉の中に入れます。
・配置できるマスがある限り、必ず配置しなければいけない。
配置したくないから取った2個中1個だけ配置、みたいなことはできないということです。

これらの制限があるため、どの〈図案票〉にどう配置するか、〈ガラス片〉を取る時点であらかじめ考えておくことが必要です。
なお、前述した「ジョーカースペース」には何色(ナニイロ)でも配置できるので、ここぞというときに活用しましょう。
……イマニミテイロでも、ザマーミイロでも?

●A-3)図案の完成をチェックする
「取る」と「配置する」が終わったら――
〈職人駒〉の下部にある〈図案票〉の縦1列5マスが全て埋まっている=完成しているかどうかを確認します。
1マスでも空いている場合は未完成。すぐに次のプレイヤーのターンへ移行します。
もし完成していた場合は、以下の通り。

・色ボーナスポイントをチェックする
チェックするのは〈得点ボード〉、現在のラウンド表示に置かれている〈ガラス片〉の色です。
完成した〈図案票〉に配置されている〈ガラス片〉にこれと同じ色があれば、1個につき1点の「色ボーナス」が入ります。
……麻雀で言う「ドラ表示牌」みたいなものだな。
色ボーナスを狙い、表示牌ならぬ表示片の色を意識――図案完成タイミングを調整するのも勝つためには必要なポイントです。
……「あンた、背中が煤けてるぜ」。

・完成した〈図案票〉の〈ガラス片〉5個のうち1個を選び、真下の〈宮殿ボード〉の窓に配置する
選ばなかった4個の〈ガラス片〉は〈グラスタワー〉の中へ。
窓は上下2つあり、上から順にガラスを嵌めることになります。
1個目=上の窓が埋まったら、たった今完成した〈図案票〉を裏返します。
のちに裏返した面が完成したときには、2個目=下の窓に〈ガラス片〉を配置し、その〈図案票〉は箱に仕舞うことになります。……もう完成済みってことでね。

・勝利点を獲得する
「宮殿の窓」の下に描かれている勝利点を獲得。〈得点ボード〉のトラックマーカーをその分進めます。
なお、このとき、完成した〈図案票〉より右側に「窓に1個でも〈ガラス片〉が置かれている〈図案票〉」があれば――
その部分の窓に描かれている勝利点もGETできます。
つまり、右側から先に〈図案票〉を完成させていったほうが、点の入りがよくなる、ということ。
ただ、「A-2」=取った〈ガラス片〉を配置できるのは、〈職人駒〉の下部か右側のみ。
右に行けば行くほど、置く場所の選択肢が少なくなってしまうのがリスクです。
また、描かれている勝利点はおよそ右側のほうが低めに設定されています。
ゲームが終了するまでは6ラウンド。あれもこれもの〈図案票〉を完成させる時間はないので、狙いを定める必要があります。

勝利点の処理まで終わったら、完成した場合の処理も完了。
次のプレイヤーのターンに移行します。

●B)自分の〈職人駒〉を一番左の〈図案票〉へ戻す
「A」を選ばなかった場合は、この「B」を実行することになります。
これは、〈職人駒〉が右に来すぎて〈ガラス片〉を置けるマスの選択肢が減った状態をリセットする行為。
〈職人駒〉をスタート位置である一番左の〈図案票〉の上部に移動させます。
もし、その〈図案票〉がすでに箱に仕舞われているときは、その右側の〈図案票〉上部。
そこもなければ、またその右――という感じ。〈図案票〉のない位置の上に〈職人駒〉が置かれることはありません。
「B」の処理はこれだけで終了。次のプレイヤーのターンになります。

「B」は新たに〈ガラス片〉を得ることもできず1ターンを消費してしまうので、極力なら選びたくないアクションです。
そのためには〈職人駒〉の移動が少なく済むよう、しっかりと計画を立てたうえで〈図案票〉を埋めていくようにしましょう。

【ラウンドの終了】
誰かのターン終了時に、全〈工房展示ボード〉上と卓の中央の全ての〈ガラス片〉がなくなっていたら、ラウンド終了。
「スコアラー」は〈得点ボード〉上の、現在のラウンド表示片を取り除き、〈グラスタワー〉の中へ入れます。
もし、これによって全ラウンド表示片が取り除かれたことになる場合は、6ラウンド経ったということでゲーム終了。
まだ表示片がある場合は、もちろんゲーム続行です。
次のラウンドの準備は、セットアップのとき同様。
〈先手プレイヤータイル〉を持っている人が、全〈工房展示ボード〉の上に、布袋から〈ガラス片〉を4つずつ置く。
袋内の〈ガラス片〉が足りなくなった場合は、〈グラスタワー〉の中のものを布袋に戻して使います。
こうして準備が完了したら、また「A」「B」のアクション選択から、次のラウンドを始めていきましょう。

【ゲームの終了】
先程述べた通り〈得点ボード〉のラウンド表示片がなくなったらゲームセット。得点計算に入ります。
――終了後の処理は以下の3手順。
・未完成の〈図案票〉上に残っている〈ガラス片〉3個ごとに1点を加点
・「割れたガラス表」のマーカー位置に応じた点数分、勝利点をマイナス
・〈宮殿ボード〉の「◆」マークの周囲にある4窓、それぞれに〈ガラス片〉が何個置かれているかをチェック(A面プレイ時)
→4個=10点、3個=6点、2個=3点、1~0個=0点、を加算。

最終得点が最も多かった人が優勝です。
もし同点の場合は、マイナス点の少なかったほうの勝利。
それも同じ場合は――そう、ポジピース!
仲良く勝利を分かち合いましょう。

【まとめ】
「宝石」もさることながら「ステンドグラス」も人気の題材。
『サグラダ』(レビュー第212回掲載)なんてゲームもありましたね。
本作も、クリア素材でカラフルな〈ガラス片〉が卓上に映えます。
色ごとに紋様も異なっていて、凝った作り。……「神は細部に宿る」byジョブズ

ルールは直感的でわかりやすく、ゲーム展開もサクサク進み、ストレスフリー。
勝つためには計画性とペース読みが必要ですが、プレイ自体は気軽に楽しめます。
軽ゲーでは物足りなくなったボドゲ・ビギナーの方には、特におすすめ。
各国で高評価を得た前作を、見事に上回るおもしろさです。

今回のプレイで、私は右側の〈図案票〉から率先的に完成させていく戦術をとりました。
序盤の得点は少ないですが、後半になるにしたがって大量得点に繋がるプレイスタイルです。
――ところが。
6ラウンド勝負、というところでのペース配分を間違えてしまいました。
いい感じに得点し始めたところで試合終了。
……あと3ラウンドぐらいあればいい感じだったんだけどな~。
結果的に、優勝したのは別のプレイヤー。
彼は毎ラウンド「色ボーナス」をがっつり獲得していたので、それが大きかった。
やはり、先々まで見越した計画的なプレイこそが勝利に繋がるようです。
とはいえ、戦略はいろいろ。
終了時の4窓得点を重視したり、とにかく高得点の〈図案票〉完成を優先したり。
あなたなら、どんなふうにステンドグラスを作っていきますか?
ぜひ一度、実際にプレイしてみてください。

――といったところで、今回はここまで。
以上、「教会の片隅に隠したトランジスタ・ラジオ」新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
ゲームシナリオのライティングにも携わる。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)