ボードゲームレビュー第251回「ゲスクラブ」

「ゲスクラブ」
制作:スカイ・ファン
メーカー:グループSNE/cosaic
プレイ人数:2~8人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約20~30分

 


 

「下衆じゃなくてGUESSです」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当38回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『ゲス・クラブ』。
描かれているのは、ネオン輝く豪華な建物。
ちなみにタイトルの「ゲス」は英語の「GUESS」=「推測」という意味なんですが――
あらすじを見ると、ちょっと「下衆」とダブルミーニングになっている気も。
というわけで、まずはあらすじ(当方の脚色あり)をチェック!

高名なゲスクラブには、さまざまな専門家やプロフェッショナルが集っています。
ここを訪れたあなたは、彼らと知恵比べをすることになります。
だが、彼らの狙いはズバリ、あなたの財布の中身。
勝てば一攫千金、負ければ文無し。
彼らに勝利し見事大金を手にするためには、きっと狡猾に振る舞うことが不可欠でしょう。
人の思考を読み、賢く立ち回り……めざせ、ゲスの極み!

ゲームは3ラウンドの勝負。
出題プレイヤーの決めた「お題」から連想するもの6つを、6枚の手札にそれぞれペンで書き込みます。
手番が回ってきたら手札をプレイ。もし、他の誰かが同じ回答を書いていたら賞金GET。
ただし、逆に誰も書いていなかった場合は罰金となってしまいます。
基本的な流れは以上。……直感的で純粋なゲームですね。
でも、実はもう1要素あります。
プレイヤーは手番中に「手札をプレイする」以外にも「賭ける」行動を選ぶことができます。
予想して所持金をベットするのは、「現在のラウンド中に何回答えが一致するか」、その数です。
的中させることができれば、ラウンド終了時に大金を獲得することができます。
ゲームは最終的に、最も多くのお金を持っていたプレイヤーの勝利。
――というわけで。
まずはコンポーネントの確認とセットアップを行っていきましょう。

【ゲーム準備&コンポーネント紹介】
まずは各自のプレイヤーカラーを決めます。
そしてその色の〈プレイヤーマーカー〉4個、手札となる〈回答カード〉6枚を受け取る。
あとは、手札をセットする〈カードホルダー〉と〈ペン〉を1個ずつ。
スタート時の所持金は「150ドル」($50チップ×2・$10チップ×5)です。
残りのチップは卓上にまとめて置き〈銀行〉とします。

卓の中央に〈ゲームボード〉を置き、真ん中に〈賞金ボウル〉を嵌め込みます。
ボウルの中には、賞金となる「$10チップ×3」を入れておきましょう。
次に、ボードの脇に〈ボーナスボード〉を置きます。
これは「ラウンド終了時に予想を的中させていたらもらえるボーナス金」を置く場所。
……現在のラウンド数を表示する意味もあるね。

ボーナスの額はプレイ人数に応じて決まっています(詳細は〈報酬表カード〉をチェック)。
なお、今回は4人プレイなので、1・2ラウンド目がそれぞれ「$40」。3ラウンド目が「$70」。

次に「回答の一致数」を表す〈ガラストークン〉(写真右下)を〈ゲームボード〉の「0」に設置。
「お題」を決定するための〈カテゴリーカード〉19枚は、シャッフルして山札にしておきます。
以上でセットアップは完了。……5分と掛からない簡潔さですね。
では、ここからは実際のゲームの流れを見ていきましょう。

【ゲームの流れ】
●カテゴリー選択フェイズ
まずは適当な方法で「出題プレイヤー」を決め、その人に「お題」を決めてもらいます。
〈カテゴリーカード〉を1枚めくり、そこに書かれているものから選んでもいいし、自由に選んでもOK。
慣れてきたら、自由に発想して決めたって大丈夫です。
……フリーダム! 俺たちは自由だーっ!

ただし、ここで一点だけ注意。
お題は、回答が10個以上存在するものでないといけません。
例えば「野球のポジション」とか「アイドルグループの『嵐』のメンバー」とかはダメよ。
……じゃあ「『乃木坂46』のメンバー」はOKだよね?(ワクテカ)
ところが、それもちょっと待った。
出題者以外のプレイヤーには、お題を拒否する権利があります。
わからないものを出題されてもゲームになりませんから、当然ですね。
現に〈カテゴリーカード〉に記されている「政治家」「巨大ロボ」なんてお題は向き不向きがありそう。

●回答フェイズ
全員の了承のもと、無事「お題」が決まったら。
出題者も含めて各自、6枚の〈回答カード〉1枚に1個ずつ、回答を書き込みます。
……ちなみに写真は〈カテゴリーカード〉にあった「飲食店チェーン」というお題の回答例。
回答を書き終わったら、写真のように扇状の〈カードホルダー〉に6枚全部を差し込んで持ちます。
ここからが、いよいよ手番のスタート。
出題者の左隣りのプレイヤーから、時計回りの順に手番をプレイしていくこととなります。

●アクションフェイズ
手番に行えるアクションは2種類。
どちらか1つを実行して、次の人の手番に進みます。

A)手札をプレイする
手札の〈回答カード〉から1枚を選び、読み上げながら卓上に出します。
このとき大事なのは、他の人も書いていそうな回答のものを選ぶこと。
他プレイヤーは、同じ回答、もしくは近似回答が手札にあった場合、そのカードを同様に卓に出します。
誰か1人でも回答が一致したプレイヤーがいれば、手番プレイヤーは賞金GET。
〈賞金ボウル〉の中にある全てのチップを獲得します。
その後、〈ゲームボード〉の〈ガラストークン〉を現在値の次の数値に移動させます。
例えば、初手で回答が一致した場合――
〈賞金ボウル〉の中身「$30」を得て、〈ガラストークン〉を「0」から「1」へ動かす。
これで「このラウンドで回答が一致した回数」は「0」から「1」になったわけです。
以上が済んだら、あとは次の人の手番に進むための準備。
「銀行」から〈賞金ボウル〉の中に「$30」を補充します。

もし、同じ回答の人がいなかった場合。
手番プレイヤーは賞金を得られず、逆に「$10」を〈賞金ボウル〉の中に支払うことになります。
これで、次の人が手番中に誰かと回答を一致させた場合の賞金は「$30+$10=$40」に。
……キャリーオーバーが溜まったタイミングで一致する〈回答カード〉を出せれば、大金GETだぜっ。
ちなみに、もし回答が曖昧だったりして「一致か否か」判定が微妙な場合――
そんなときは、プレイヤーみんなで話し合って、過半数が認めれば「一致」の判定となります。

B)賭けを行う
こちらのアクションを選択した場合、まず〈賞金ボウル〉に「$10」支払います。
そして「ラウンド終了時に〈ガラスマーカー〉がどの数値の位置にあるか」を予想。
〈ゲームボード〉上の、ここぞと思う数値の脇に〈プレイヤーマーカー〉1個を置きます。
なお、アクション「A」ではなくこの「B]を選んだ場合、手札を出すことはできません。
なので、すぐに賞金は得られず。
ただし、ラウンド終了時に予想が的中していたときは、多くの賞金がGETできます。
……慌てる乞食は貰いが少ない、ってやつさ。
まあ、予想が外れてしまったときには、単純に「$10」損したことになるわけですが(汗)
……それはまるで、麻雀でリーチ棒を掏ったときのような感覚。

ちなみに、同じ数値の脇に置けるマーカーの最大数は2個。
2人まで同じところに賭けられる、ってことですね。
なお、同じプレイヤーが1ヶ所に2個マーカーを置くことも可能です。
ただ、1度のアクションで置けるマーカーは1個だけなので、その場合2ターンが必要ですが。
予想に絶対の自信があるとき、点差が開いていて一気に逆転したいとき、などに有効な手段です。

●得点フェイズ
プレイヤーの誰か1人でも手札が尽きたら、そのラウンドの「得点フェイズ」に進みます。
「尽きた瞬間」じゃなくて、ちゃんと「アクションの処理を最後まで行った後」でね。
……回答が一致した場合は「〈賞金ボウル〉の補充」まで、しっかり行います。

このフェイズでは、まず手番プレイヤーが「各プレイヤーの残りの手札の枚数」を確認。
そして、各プレイヤーは残り枚数1枚につき「$20」の罰金を〈賞金ボウル〉に支払います。
次に〈ガラストークン〉の位置を確認。
マーカーの設置による予想が的中していたプレイヤーがいた場合――
そのプレイヤーは〈賞金ボウル〉の中身全部と〈ボーナスボード〉上のそのラウンドの報酬金をGET。
予想的中者が2人だった場合は、この合計金額を山分けします。
もし割り切れず「$10」のハンパが出たときは、それは先に賭けていたプレイヤーのものになります。

以上で得点の処理は終了。
あとは、次のラウンドの準備です。
自分の〈回答カード〉を各自全て回収し、書いた内容を消去。
〈ガラストークン〉は「0」の位置に戻します。
最後に、「銀行」から〈賞金ボウル〉へ「$30」を補充したら、改めて次のラウンドを始めましょう。

【ゲームの終了】
3ラウンド目の得点フェイズが終わったら、ゲームセット。
全員の所持金を比べて、合計金額の最も多いプレイヤーが優勝です。
……まさに、ゲスの極み!
もし同額だった場合は、仲良く勝利を分かち合いましょう。……ポジピース☆

【まとめ】
これはおもしろい!
直感的なゲームで、人を選ばず誰とでもワイワイ楽しめるのが素敵なところです。
さらに、最大プレイ人数は8人と、大勢で遊べるのもこのゲームの……いーいーとーこー!
筆記式のシステムは、名作『テレストレーション』にも通じるプレイ感覚です。
また、プレイヤーのセンスがゲームの鍵を握るところは『ディクシット』や『ナンジャモンジャ』にも。
ちなみに写真は「一人暮らしに必要なもの」というお題の回答例。
家電の種類が多くを占める中、「友達」なんて回答もあるところに、このプレイヤーのセンスが光ります。
……中には「話し相手」と書いていたプレイヤーも。

なお、〈カテゴリーカード〉に書かれている「お題」の種類は実に多様。
「名字」なんかは実に直感的だし、「神話の登場人物」なんかは知識傾向が顕著に出ます。
また、中には「彼女が彼に腹を立てた理由」なんてお題も。
これは恋愛経験や想像力が回答に反映されるお題ですね。
ちなみにこのお題は実際今回のプレイ中に登場したのですが、おもしろい回答で一致が起こりました。

……アメイジング!
これ、ドラマかマンガかわかりませんが、どこかで見たような理由ですよね。
いわゆる「とっておいた冷蔵庫のプリンを勝手に食べられた」。
彼女が怒っている光景が目に浮かぶようです。
書いたうちの1人は私だったのですが、まさかこれが一致するとは。思わず笑ってしまいました。

ちなみに、ゲームに勝つためにはおよそ「賭け」で予想を的中させる必要があります。
そして、的中させるためには、回答一致数をある程度意図的に調整すること。
例えば――「4」に賭けていて現在が「3」、手札の残りが1枚のとき。
最後の手札が誰かと一致しそうな回答のものなら、出すべき。
最後にそれによる一致で「4」になったところでラウンド終了。見事、賞金GET。
逆に、一致しそうにない回答の場合。……さっきの「友達」とかのときだね。
そんなときは手札を出さず「賭ける」を選択して、適当なところにマーカーをベット。
別の誰かの手札プレイによって回答の一致が起こりラウンドが終了することを狙う、といった具合。
手札を残してしまうと「$20」払うことにはなりますが、予想的中の大量賞金GETに比べれば。
……結果的にはプラス収支。肉を切らせて骨を断つ。
とまあ、こんなふうに戦術的プレイもできるので、楽しみ方の幅も広がりますね。

あなたもぜひ『ゲス・クラブ』で、知恵比べならぬ「センス比べ」してみてはいかがかな?
遊んだ相手のことがわかって、心の距離も縮まるかもよ?
――といったところで、今回はここまで。
以上、「Guess what?」新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
某専門学校のノベルス文芸学科で授業も受け持つ。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)